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闇に巣食う者
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颯太や晴の様に、除霊師が居るという事は、他にも居ると言う事で、いつ、どこで、出会うかは、わからない。音羽は、それを警戒していた。颯太自身、修行を積んだ訳ではなく、天性の能力である。やはり、素質があり、修行を積んだ者には、敵わない。取り返しのつかなくならないうちに、辞めさせえてしまえば、危険な目に遭わなくて済む。答えは、2つに1つだ。能力のある者を探し出し、味方につける。もしくは、颯太を手放す。音羽自身、その為には、消滅してしまう。颯太から、離れる事は、この世の因縁を断ち、消滅する事しかない。自分の願いは、果たせない。
「颯太。ごめんよ。まだ、話せない」
音羽は、真実をまだ、颯太に、話す訳には、いかなかった。このまあ、颯太に取り憑いて、居るしかない。
「だとしても・・」
音羽の恐れている事が、起きつつあった。颯太の住むマンションは、割と、お金持ちの多い地区にあった。が、その一本、裏に行くと、貧困層の人達が住む団地街があった。日雇いや放浪者が、あちこち、路上に住み、子供達や女性が、夜遅く近寄る事は、危険だと言われる通りが、近くにある。そこには、近寄らせないように、音羽は、気をつけていた。まだ、颯太には、敵わない相手が、住んでいるからだ。
「出会わせたくない」
音羽は、思っていた。貧しいから、危険なのではない。弔われない者やマイナスの気が、陰鬱な者を呼び寄せる。その団地街には、古くからの寺があった。
「颯太には、敵わない」
音羽は、その寺から漂ってくる陰気な空気を、感じていた。まだ、能力の足りないその相手に、颯太が、出会ってしまい、負けてしまったら・・・。その相手が、敵だとしたら。そう、あの「混沌」と同じ類だとしたら。音羽の恐れていた事が、思わぬ形で、訪れる事になる。
その日は、依頼のメールを、紐解き、その現場に向かう筈だった。あれから、晴の姿を見る事は、なかった。今流行りの感染症で、しばらく、休みだと、学校では聞いていた。
「まずい事になって、ないか?」
「まだ、少し、時間がかかるんだろう?」
音羽は、颯太の目になって、宙を泳いでいる。
「本当に、この辺りに、殺人犯を見た霊がいるのか?」
同じ道を何度も、回っているので、不安になった颯太は、聞いた。未解決事件の被害者の友人からの依頼だった。被害者の霊を探し回っているうちに、その殺人犯を見たという例がいると聞いた。その霊を探しているのだが、どうしても、同じ場所に戻ってきてしまう。そのうちに、2人は、迷い込んでは行けない道に、たどり着いてしまった。
「まずい。颯太。戻ろう」
いつになく、音羽が焦っていた。
「危険だ。戻るんだ」
音羽の髪が逆立っている。耳元まで、口が裂け、音羽の身長が、上に高く伸びている。
「いいか、振り返らずに、戻るんだ」
「何が、起きたんだい。僕には、何も・・・」
正面から、青白い炎が見え始めていた。
「颯太。ごめんよ。まだ、話せない」
音羽は、真実をまだ、颯太に、話す訳には、いかなかった。このまあ、颯太に取り憑いて、居るしかない。
「だとしても・・」
音羽の恐れている事が、起きつつあった。颯太の住むマンションは、割と、お金持ちの多い地区にあった。が、その一本、裏に行くと、貧困層の人達が住む団地街があった。日雇いや放浪者が、あちこち、路上に住み、子供達や女性が、夜遅く近寄る事は、危険だと言われる通りが、近くにある。そこには、近寄らせないように、音羽は、気をつけていた。まだ、颯太には、敵わない相手が、住んでいるからだ。
「出会わせたくない」
音羽は、思っていた。貧しいから、危険なのではない。弔われない者やマイナスの気が、陰鬱な者を呼び寄せる。その団地街には、古くからの寺があった。
「颯太には、敵わない」
音羽は、その寺から漂ってくる陰気な空気を、感じていた。まだ、能力の足りないその相手に、颯太が、出会ってしまい、負けてしまったら・・・。その相手が、敵だとしたら。そう、あの「混沌」と同じ類だとしたら。音羽の恐れていた事が、思わぬ形で、訪れる事になる。
その日は、依頼のメールを、紐解き、その現場に向かう筈だった。あれから、晴の姿を見る事は、なかった。今流行りの感染症で、しばらく、休みだと、学校では聞いていた。
「まずい事になって、ないか?」
「まだ、少し、時間がかかるんだろう?」
音羽は、颯太の目になって、宙を泳いでいる。
「本当に、この辺りに、殺人犯を見た霊がいるのか?」
同じ道を何度も、回っているので、不安になった颯太は、聞いた。未解決事件の被害者の友人からの依頼だった。被害者の霊を探し回っているうちに、その殺人犯を見たという例がいると聞いた。その霊を探しているのだが、どうしても、同じ場所に戻ってきてしまう。そのうちに、2人は、迷い込んでは行けない道に、たどり着いてしまった。
「まずい。颯太。戻ろう」
いつになく、音羽が焦っていた。
「危険だ。戻るんだ」
音羽の髪が逆立っている。耳元まで、口が裂け、音羽の身長が、上に高く伸びている。
「いいか、振り返らずに、戻るんだ」
「何が、起きたんだい。僕には、何も・・・」
正面から、青白い炎が見え始めていた。
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