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砂漠の王
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じっと見下ろす姿に、古木の双子は、思わず、悲鳴をあげていた。
「ヒィ!」
「だから、言ったでしょう。邪神が現れるって」
「逃げろって。ニンゲン。逃げろって!あれ?」
古木の双子は、先程まで、立ちすくむ人間のいた場所に目をやった。
「いない」
「あれ?」
先程まで、頼りなさげの青年がいた場所には、細かい羽毛に太い両足と長い尻尾を持つ、邪神が立ち塞がっていた。
「ニンゲン死んだ?」
「邪神の足の下?」
見上げると鱗と羽毛に覆われた大きなお腹が見える。その先に、砂漠の闇に包まれて紅く光る両目が、覗いていた。
「まさかでしょう?」
「まさか?あのニンゲン?」
砂漠の空気を震わせ、邪神は、何かを叫んでいた。古木の双子は、聞き取ろうとするが、よく、聞き取れない。空気は、震え、砂が巻き上がる。
「なんでだ」
晴は、自分の体に起きた変化に戸惑っていた。鏡の中から、もう一人の自分が現れ、その後の記憶がなかった。気がついたら、砂漠の海に突き刺さるように、巨大化した体の中にいたのだ。その体は、恐ろしくも醜かった。
「これは・・・」
目の前で、両手を見つめた。ゴツゴツとした両手に長く黒い爪が生えており、それは、鋼の様に固かった。
「なんでだ」
再度、叫ぶ。声は、ひび割れ、口の中では、太い舌が、渦巻いている。
「何があったんだ」
苛立ち、叫ぶと、一陣の風が巻き起こり、双子の古木が、吹き飛ばされそうになった。
「どうしたの?今日は、機嫌が悪いの?」
「ニンゲンは、美味しくなかった?」
古木の双子は、邪神がニンゲンを食べたとばかり思っているようだった。
「ここは、どこだ?」
「ここは、あなたの家ですよ」
邪神に聞かれて、双子の古木は、答えた。
「砂の海ですよ。」
「砂の海?」
晴は、古木の指す彼方に広がる海を見た。
「砂も海もわからないでしょう?あの砂の向こうの海に、真凜様が眠っているのです」
「真凛さま?」
晴にその記憶はない。
「よく、砂の向こうを見て、泣いていおられた真凛様は、あの海で、眠られています。邪神様」
「海か・・・」
遠い海を見つめる。血走った紅い目は、いつしか、穏やかになり、瞳の色は、落ち着きを取り戻していた。体は、黒い煙を立てて、小さく、沈んでいった。羽毛も鱗も剥がれ落ち、そこには、全裸になった晴の姿があった。
「きゃー」
「邪神様が、ニンゲンになった?」
古木は、互いの体が引きちぎれる程、叫んでいた。
「ヒィ!」
「だから、言ったでしょう。邪神が現れるって」
「逃げろって。ニンゲン。逃げろって!あれ?」
古木の双子は、先程まで、立ちすくむ人間のいた場所に目をやった。
「いない」
「あれ?」
先程まで、頼りなさげの青年がいた場所には、細かい羽毛に太い両足と長い尻尾を持つ、邪神が立ち塞がっていた。
「ニンゲン死んだ?」
「邪神の足の下?」
見上げると鱗と羽毛に覆われた大きなお腹が見える。その先に、砂漠の闇に包まれて紅く光る両目が、覗いていた。
「まさかでしょう?」
「まさか?あのニンゲン?」
砂漠の空気を震わせ、邪神は、何かを叫んでいた。古木の双子は、聞き取ろうとするが、よく、聞き取れない。空気は、震え、砂が巻き上がる。
「なんでだ」
晴は、自分の体に起きた変化に戸惑っていた。鏡の中から、もう一人の自分が現れ、その後の記憶がなかった。気がついたら、砂漠の海に突き刺さるように、巨大化した体の中にいたのだ。その体は、恐ろしくも醜かった。
「これは・・・」
目の前で、両手を見つめた。ゴツゴツとした両手に長く黒い爪が生えており、それは、鋼の様に固かった。
「なんでだ」
再度、叫ぶ。声は、ひび割れ、口の中では、太い舌が、渦巻いている。
「何があったんだ」
苛立ち、叫ぶと、一陣の風が巻き起こり、双子の古木が、吹き飛ばされそうになった。
「どうしたの?今日は、機嫌が悪いの?」
「ニンゲンは、美味しくなかった?」
古木の双子は、邪神がニンゲンを食べたとばかり思っているようだった。
「ここは、どこだ?」
「ここは、あなたの家ですよ」
邪神に聞かれて、双子の古木は、答えた。
「砂の海ですよ。」
「砂の海?」
晴は、古木の指す彼方に広がる海を見た。
「砂も海もわからないでしょう?あの砂の向こうの海に、真凜様が眠っているのです」
「真凛さま?」
晴にその記憶はない。
「よく、砂の向こうを見て、泣いていおられた真凛様は、あの海で、眠られています。邪神様」
「海か・・・」
遠い海を見つめる。血走った紅い目は、いつしか、穏やかになり、瞳の色は、落ち着きを取り戻していた。体は、黒い煙を立てて、小さく、沈んでいった。羽毛も鱗も剥がれ落ち、そこには、全裸になった晴の姿があった。
「きゃー」
「邪神様が、ニンゲンになった?」
古木は、互いの体が引きちぎれる程、叫んでいた。
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