幼なじみの男の子は男らしい女の子で女っぽい幼なじみは男でした

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第19話 自転車の道と教室の視線

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 春の朝が、薄曇りの空に広がっていた。
 4月8日、新学期3日目の朝が続く。  
 俺、袋田龍輝は、千陽と一緒に学校へ向かう自転車を漕いでいた。
 桜並木が薄曇りの空に映え、昨夜の風で散った花びらが道に散らばっている。
 冷たい風が頬を撫で、少し肌寒い朝だ。  
「なぁ、リュウちゃん。今日も一緒に帰ろうぜ」と千陽が隣で言う。
「別にいいけど…お前、毎日くっついてくるつもりか?」と返すと、「うん、ずっと隣にいたいから。親友だろ?」と千陽が笑う。  
「親友って…昨日のお前、ちょっとおかしかったよな?」と聞くと、「何が?」と千陽が首をかしげる。
「何がって…『俺と済まそうぜ』とか言ってたじゃん。あれ何?」と問いかけると、「あぁ、あれね。冗談だよ、冗談。リュウちゃんが可愛く悲鳴上げたから、ついからかっちゃった」とニヤッと笑う。  
「冗談であの距離感はねぇだろ」と言うと、「リュウちゃんが恥ずかしがる顔、久しぶりに見れて嬉しかっただけだよ」と千陽が目を細める。
「…お前、ほんと変態だな」と睨むが、「親友に変態って褒め言葉じゃん」と憎めねぇ笑顔で返す。  
 教室に着くと、昨日より視線が重い。
 千陽の隣に座る。
 休み時間になると、男子がまた寄ってくる。  
「なぁ、袋田。昨日のお前ら、怪しかったな。二島が女でも、やっぱBLっぽいってさ」とニヤニヤされ、「BLじゃねぇって!何度言えば分かるんだ!」と返す。
「でもさ、二島って気持ち悪いって噂が広がってんだよ。お前、よくそんなのと一緒にいられるな」と笑われる。  
「気持ち悪いって何だよ!お前ら、千陽のこと何も知らねぇくせに!」と声を荒げると、千陽が俺の腕を掴む。
「リュウちゃん、いいよ。慣れてるから」と静かに言う。
「慣れてるって何だよ!お前が我慢すんな!」と反論すると、男子がニヤニヤしながら、「ほら、熱くなるなよ。二島の気持ち悪いイケメンぶり、クラスで話題だぜ」と続ける。  
 拳を握り、また殴りかかりそうになる。
 その時、千陽が立ち上がる。
「俺、気持ち悪いって言われてもいいよ。でも、リュウちゃんに迷惑かけるのは嫌だ。だから、ちゃんと説明するね」とクラスを見渡す。  
「俺、二島千陽。女だよ。生まれた時からずっと女。昨日、リュウちゃんと温泉入ったのは、幼なじみだからだよ。変なことしてねぇから。よろしくな」と満面の笑みで言う。
 クラスの空気が、少し和らぐが、俺への視線はまだ冷たい。  
 自然な形でラッキースケベ:
 千陽が座り直そうとした時、椅子が揺れて俺に寄りかかる。
「うっ!」と支えると、千陽の柔らかい肩が俺の胸に当たり、桃の香りが漂う。
「ご、ごめん!」と慌てる千陽の顔が近く、心臓がドキッと高鳴る。
「お前、重いんだよ!」と顔を赤くして言うと、「ふふっ、リュウちゃん、優しいね」と笑う。  

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