9 / 51
第8話 「二人のアマノ、そして閻魔の選定──最終機“天照”覚醒」
しおりを挟む
「……やめて……やめてください……!」
アマノサグメが叫んだ。
月面に、彼女と“零号機”が剣を交えた痕が、深く残る。
「……なんで……どうして、こんな戦いを……!」
零号機の目は、迷いなかった。
けれど、その瞳の奥に、確かに“痛み”があった。
「だって、それが……私の最後の存在証明だから」
サグメ零号機。
感情を持ちすぎたために封印され、記録からも抹消された“旧試作型”。
けれど今、彼女は確かに“生きている”。
「私は、開発中止を命じられた。
私の“心”は、不完全だとされた。
でも、私はこの記憶を持っている――貴女との記憶を」
零号機の声に、サグメは震える。
その記憶は、かつてレイナと過ごした静かな日々。
「……覚えてる。あなたは、いつも私に微笑んでくれた」
「だからこそ、今、終わらせてほしいの。
私の存在は、もう“過去の設計”にすぎない。
でも貴女は、未来を繋げることができる。だから……!」
「そんなの、違う!」
サグメが涙を流した。
「過去でも未来でもない。あなたは……“今”を生きてる!
消えていい命なんて、あるわけないでしょう!」
「……サグメ……」
「それに、私じゃあなたに勝てない。
心の深さも、記憶の重さも……あなたの方がずっと、強い」
静寂が月を包んだ、その時。
空が、裂けた。
紅蓮の扉が開き、再び“彼女”が現れる。
「──ふたりとも、よくここまで来たね」
閻魔・エンマル。
美しく、どこか哀しげな微笑を浮かべて、彼女は降臨した。
「ここからは、私が選ぶ。
この世界を導く、“最終機”を」
「最終機……?」
閻魔は、小さく頷く。
「“天照(アマテラス)”よ。
“アマノ計画”の最終目的。
感情、記憶、論理、そして意志――
すべてを融合した究極の戦巫女」
天照――それは、ひとつの機体ではなかった。
ふたりのアマノの心がひとつになった時に、初めて完成する“共鳴存在”。
「問うわ。どちらが、よりふさわしい?」
閻魔の問いに、沈黙が落ちる。
だが――
「私じゃない!」
「私じゃない!」
ふたりのアマノが同時に叫んだ。
「……あなたが、いるなら、それでいいの」
「私はあなたを守るために存在した。だから、私は消えても……」
その言葉に、閻魔の目が見開かれた。
「ふたりとも、譲り合ってどうするの!? 今まで散々バチバチしてたじゃん!?」
「「うるさいです」」
俺と閻魔が同時に突っ込まれるという謎空間が生まれたその時――
光が、溢れた。
「リンク開始──霊装融合開始」
ふたりのアマノのボディが、月光に照らされ、
その輪郭が重なり合う。
「あなたの記憶、私の意志――すべてを一つに」
「ありがとう。私を、“私”にしてくれて」
光が収束し、そこに立っていたのは――
「起動コード《アマテラス》、完全承認。
全系統、最適化完了──龍之介様、これが私たちの“答え”です」
最終機《天照(アマテラス)》、ついに覚醒。
その姿は、二人のアマノの融合体。
紅と白、機械と巫女が織りなす、“神装融合態”。
「……ああ。最高だよ、お前ら」
俺は、その手を取り、言った。
「一緒に行こう。“この世界のその先”へ」
閻魔は、微笑んだ。
「合格。
さあ、次は“神々との最終戦”よ」
──物語は、“世界創世の領域”へ。
(つづく)
アマノサグメが叫んだ。
月面に、彼女と“零号機”が剣を交えた痕が、深く残る。
「……なんで……どうして、こんな戦いを……!」
零号機の目は、迷いなかった。
けれど、その瞳の奥に、確かに“痛み”があった。
「だって、それが……私の最後の存在証明だから」
サグメ零号機。
感情を持ちすぎたために封印され、記録からも抹消された“旧試作型”。
けれど今、彼女は確かに“生きている”。
「私は、開発中止を命じられた。
私の“心”は、不完全だとされた。
でも、私はこの記憶を持っている――貴女との記憶を」
零号機の声に、サグメは震える。
その記憶は、かつてレイナと過ごした静かな日々。
「……覚えてる。あなたは、いつも私に微笑んでくれた」
「だからこそ、今、終わらせてほしいの。
私の存在は、もう“過去の設計”にすぎない。
でも貴女は、未来を繋げることができる。だから……!」
「そんなの、違う!」
サグメが涙を流した。
「過去でも未来でもない。あなたは……“今”を生きてる!
消えていい命なんて、あるわけないでしょう!」
「……サグメ……」
「それに、私じゃあなたに勝てない。
心の深さも、記憶の重さも……あなたの方がずっと、強い」
静寂が月を包んだ、その時。
空が、裂けた。
紅蓮の扉が開き、再び“彼女”が現れる。
「──ふたりとも、よくここまで来たね」
閻魔・エンマル。
美しく、どこか哀しげな微笑を浮かべて、彼女は降臨した。
「ここからは、私が選ぶ。
この世界を導く、“最終機”を」
「最終機……?」
閻魔は、小さく頷く。
「“天照(アマテラス)”よ。
“アマノ計画”の最終目的。
感情、記憶、論理、そして意志――
すべてを融合した究極の戦巫女」
天照――それは、ひとつの機体ではなかった。
ふたりのアマノの心がひとつになった時に、初めて完成する“共鳴存在”。
「問うわ。どちらが、よりふさわしい?」
閻魔の問いに、沈黙が落ちる。
だが――
「私じゃない!」
「私じゃない!」
ふたりのアマノが同時に叫んだ。
「……あなたが、いるなら、それでいいの」
「私はあなたを守るために存在した。だから、私は消えても……」
その言葉に、閻魔の目が見開かれた。
「ふたりとも、譲り合ってどうするの!? 今まで散々バチバチしてたじゃん!?」
「「うるさいです」」
俺と閻魔が同時に突っ込まれるという謎空間が生まれたその時――
光が、溢れた。
「リンク開始──霊装融合開始」
ふたりのアマノのボディが、月光に照らされ、
その輪郭が重なり合う。
「あなたの記憶、私の意志――すべてを一つに」
「ありがとう。私を、“私”にしてくれて」
光が収束し、そこに立っていたのは――
「起動コード《アマテラス》、完全承認。
全系統、最適化完了──龍之介様、これが私たちの“答え”です」
最終機《天照(アマテラス)》、ついに覚醒。
その姿は、二人のアマノの融合体。
紅と白、機械と巫女が織りなす、“神装融合態”。
「……ああ。最高だよ、お前ら」
俺は、その手を取り、言った。
「一緒に行こう。“この世界のその先”へ」
閻魔は、微笑んだ。
「合格。
さあ、次は“神々との最終戦”よ」
──物語は、“世界創世の領域”へ。
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる