同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二二五話 夜明けの証と帰り道──わら納豆と春の終わり

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 波音がかすかに聞こえる朝。
 障子の外から差し込む光はやわらかく、ほんのり潮の香りを含んでいた。

 俺は布団の中でぼんやりと目を開けた——が。

 (……え? ちょっと待て……また、だと……?)

 下半身に走るぬるっとした違和感。
 やらかしていた。またしても、夢精。

「うぅ……なんで……俺、疲れてたのに……」

 むくっと起き上がると、周囲にはまだ眠そうなヒロインたち。
 だが、異変にはすぐ気づかれる。

「……え? また? 弘弥くん……?」(すみれ)
「うわー……お兄ちゃん……疲れてても出るんだ……」(碧純)
「ある意味、生命力の塊ですね」(ひより)
「これも……成長の証ですわ……ふふっ」(イザベラ)

 俺は顔を真っ赤にして、布団をぎゅっと握りしめた。

「違うから! 別に俺、好きでやってるわけじゃ……!」

「ねぇ弘弥くん、これ、ほんとに将来大丈夫? 精子製造マシンになってない?」(ルナ)
「……それでも、嫌じゃない。むしろ……」(りあ)

 朝からカオス。
 だが、どこかぬくもりのある、家族のような空気がそこにはあった。

 午前十時。
 俺たちは民宿を後にし、帰路へと向かった。

「帰りに、水戸駅で“わら納豆”買いたいですの!」(イザベラ)
「名物だもんね! 弘弥、電車までちょっと寄り道しよ~」(ルナ)
「観察対象、納豆の粘度に対して若干苦手意識あり。要注意」(ひより)

 商店街の土産物屋で、ヒロインたちは思い思いの納豆を買い求める。

「お兄ちゃん、これって朝ごはんに出したら、びっくりする?」(碧純)
「わらに包まれた納豆……美味しそう。私、冷蔵庫に入れる場所空けとくね」(すみれ)

 ローカル線に揺られて、のんびりと戻る道中。
 車窓から見える田園風景と海。
 そして車内に広がる、誰かの笑い声。

 ああ——なんだかんだで、いい旅だった。

 春の思い出が、またひとつ増えたのだった。
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