同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三五七話 「バレたら終わる秘密の時間──ヒロイン乱入で即死寸前!」

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 ──静かな放課後。
 誰もいない図書室の隅。

 そこには、俺と“ことね”だけがいた。

「……ここ、本当に落ち着くね」

「でしょ。文芸部の倉庫扱いだから、誰も来ないんだよ。
 読書したり、書き物したり、あとは……内緒話とか」

 ことねは、カーディガンの袖を指先で握りながら、そっと俺の顔を見上げた。

「弘弥くん……あのね」

「……ん?」

「さっき、教室で“推し”って言われたけど……
 本当は、もうちょっとだけ特別な存在でいてほしいなって、思ってるの」

「…………っ」

(な、なんだこの空気……!!)

 空調が止まり、周囲の音が吸い込まれる。
 俺の鼓動が、図書室に響いてる気がした。

 ◆ ◆ ◆

「ことね……それって……」

「しーっ。まだ“告白”じゃないよ」

 ことねは微笑んだ。

「でもね……いつか、言いたいなって。
 “あの時、伝えられてよかった”って、未来の私が思えるように」

 優しくて、でも確かに刺さる言葉。

 俺は、返事の言葉を探しながら、
 そっと――ことねの横顔を見つめた。

(……ああ、この子は本当に、“スクリーンの向こう”じゃないんだな)

 そしてその時――

「こ・と・ね・ちゃ~~~ん♡」

 \ガラァン!!/
 図書室のドアが爆音を立てて開いた。

 ◆ ◆ ◆

「よ・う・や・く・見つけたわよ~~~?」

 ルナだった。
 その背後から、すみれ・ひより・あゆむ・りあまで続々と現れる。

「えっ!?!?!?!? な、なんでここに!?!?」

「弘弥の行動パターン、予測済みです」

「GPSつけてません、念のため言っとくね」
「たまたま、偶然、よ? でも本当に偶然かは……さて」

「……ひどい……隠し部屋、私だけに教えてくれたのに……」
(碧純も来てたあああああ!!)

 ◆ ◆ ◆

「で、二人で何してたのかな?」

 すみれが、微笑みながら本の間に視線を滑らせる。

「う、読書を……ただの読書を……!」

「“耳に囁く系”じゃなかった?」

「いや、そんなことは――」

「“特別な存在”とか言ってなかった?」

「ま、まさか……聞いてた!?」

「録音済みです」
「スクショもしました」
「“ことね”ってさ、VTuberに似てるよね~?」

「やめて!!やめて!!その発言はまだ早い!!!」

 ◆ ◆ ◆

 ことねは顔を赤くして、俺の袖をぎゅっと掴んだ。

「ご、ごめん……私のせいで……!」

「いや、俺の運が悪いだけだから……!」

「え、付き合ってんの?」「結婚前提?」「配信に出るの?」「実写化するの?」

「落ち着けみんなああああああ!!!」

 こうして、“ことねと俺だけの静かな時間”は、
 完全に爆破された。

(バレたら即死どころか、今まさに即死中だよおおお!!)
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