豊臣ハーレム❤『豊臣秀吉、愛と政の合間にて──天下を取ったらハーレムがついてきた件』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第7章『若き政の才、戦場を越える──尾張統治試練編』

第六十一話『命名──我が名は、木下藤吉郎秀吉』

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 夏の気配が清洲城に忍び寄る朝。
 城の奥、障子越しに朝日が射す中。

 日吉丸は、信長から直々の呼び出しを受けていた。

 「殿中にて、名を授ける」

 その一言だけが書かれた文が届き、日吉丸は訳も分からぬまま畳を正座していた。
 
 (……名? わし、名前はもう“日吉丸”やけど……)

 緊張で背筋がぴんと伸びる。
 ねね、お濃、千鶴も傍らに控えていた。
 
 そこへ、すっと現れる織田信長。
 真紅の直垂を身にまとい、その鋭い瞳でじっと日吉丸を見下ろす。

 「おぬし、よくやった」

 「はっ……!」

 「郷倉の一件、政の初務、すべて上出来。
 わしは、おぬしを“家中の柱”として育てる覚悟を決めた」

 「そ、そんな……もったいなきお言葉……!」

 信長は、手にした扇子をぱたりと開いた。

 「──そこで、名を与える。
 今日より、おぬしは“木下藤吉郎秀吉”と名乗れ」

 「──えっ」

 しん、と空気が止まった。

 「……木、下、藤、吉……? なんやその高そうな名前!?」

 ねねが思わず声をあげた。

 「いや、いきなり出世しすぎやろ!? なんで“藤”とか入ってんの!? 平民にそんなのアリなん!?」

 「黙れ、うるさい」

 信長が一言で制すると、ねねはむくれて口を閉じた。

 日吉丸──いや、これから“秀吉”となる男は、なおも呆然としていた。

 「わ、わしが、“名”を……?
 百姓の生まれのわしが……家名をもらってええんですか……?」

 「“出自”など、くだらん。要は“力”と“才覚”じゃ」

 信長は語気を強めた。

 「おぬしには、“才”がある。
 “民”を見、“数”を知り、“兵”を動かす“才”がな」

 「……」

 「名を持て。
 そして、尾張を、戦を、天下を背負え」

 その言葉は、日吉丸の胸を深く突き刺した。

 (……わしに、“天下”を……)

 目の奥が熱くなるのを感じながら、彼は深く頭を下げた。

 「……ありがたき幸せにございます。
 この名に恥じぬよう、命を尽くして御奉公いたします」

 信長が小さく頷いた。

 その後ろで──

 「うわぁ……これ、“殿下”とか“殿”って呼ばんとあかんようになるやつや」

 「今までも似たようなものでしたが……いよいよですね」

 「……“秀吉様”……なんか、似合うような、こそばゆいような……」

 ねね、お濃、千鶴がそれぞれ思い思いにつぶやく中。

 秀吉は、初めて自分の“名”を口に出した。

 「……木下藤吉郎秀吉。
 ──わしの、人生が、また動き出したんやな」

 その名は、草履持ちの過去を背負いながらも。
 
 やがて“天下人”へと至る、最初の“肩書き”だった。

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