『親王だけど、バレずに萌え活したいだけなのに女子に囲まれてる件』 〜茨城県つくば市で始まる、親王殿下の秋葉原文化潜入ライフ〜

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第24話『“この人、特別なの” 王女の宣戦布告に女子たち震撼!』

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 春の朝陽が差し込む登校路──だが、その光景は平穏とは程遠かった。

「おはようございますわ、日本の皆様♡」

 突如、通学路に響き渡った高らかな声。

 誰よりも目を引く金髪に、透き通るような碧眼。
 そして、どう見ても庶民の制服を着慣れていない、異国風アレンジ制服姿の少女が、
 一人の男子高校生の腕にぴったりと絡みついていた。

「……いやちょ、待ってイザベラ。離れなさい。お願いだから!」

「嫌ですわ~ん♡ だって、ワタクシこの人に“お世話”されてますの♡」

 ……何を言ってるんだこの王女は。

「……っ!!?」

 千夏の表情がピクリと跳ねた。

「お、お前……今なんつった?」

 鬼咲千夏。地元で“鬼爆の千夏”と恐れられた女が、震える指でポケットに手を突っ込みそうになる。
(バイクのキーではない)

「武尊、お前……なにやらかしたんだよ」

「何もしてない、というか、何もしてないどころか今もしてない!!」

 とっさにオタク芝居に切り替える武尊。
 目を伏せ、猫背になり、手元でエアキーボードを打つ素振りをしながら、
「いやあ~二次元が一番っすよね……」とぶつぶつ呟く。

 それを見て、光川が叫んだ。

「出たッ!俺の親友、通称“平民代表地味メガネ男子”こと大和武尊くんのオタ芸だ!」

「誰がそんな通称を……!」

 一方、ことねは目を伏せたまま微動だにしない。
 が、その沈黙が逆に怖い。

 ──ピッ。

 視線が武尊とイザベラに突き刺さる。
 まるで、目からレーザーが出そうなほどの無言の圧力。

(怖い。あの静かな殺意、今にも背後から背中に“配信禁止剣”でも突き刺されそう)

 女子たちもザワつき始める。

「ねぇねぇ、イザベラってあの外国からの……お姫様?」

「てかさ、『お世話されてる』ってなに?どういう関係?」

「まさか、同棲……?」

「マジ!?推しの尊死案件じゃん!」

 ザワザワザワ……

 武尊は頭を抱えた。
 これ以上はまずい。
 このままでは、せっかく築き上げた“ただの地味系オタク男子”という仮面が剥がされる!

「イザベラっ!ちょ、ちょっと職員室に寄っていこう!」

「えぇ~でも授業始まっちゃいますわよ~?」

「いいから来なさい!」

 武尊は彼女の腕を引いて、急ぎ足でその場を離れる。
 その背後から、千夏とことねの冷気混じりの視線が突き刺さる。

 *

 休み時間。

「おい、どういうことだ、さっきの外人……」

 千夏が机をバンと叩き、武尊の顔を覗き込む。

「いや、何もない。ただの、隣の席になっただけの……その、ちょっとフレンドリーな子で……」

「隣ってレベルじゃなかっただろ。身体密着してたぞ」

「異文化交流、だよ……たぶん……」

 そこへことねが、静かに呟いた。

「ふーん……お世話、されてるんだ」

「まって! 違う、あれは比喩的な、というか、あの人の国のジョークで!」

 武尊、土下座の構え。

 ──が、心の中では焦りが限界点に達していた。

(マズい。このままじゃ本当にバレる……!)

「“この人、特別なの”……ね」

 ことねが窓の外を見つめながら呟いた。

 千夏が隣で、「あいつ、何者なんだ……」と拳を握る。

 そして、睦月が物陰からメモ帳に一言記す。

 《警戒レベル、最大》

 波乱の火種は、まだ始まったばかりだった──!
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