『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第118話『割れ目パンツと守らない布パンツ』

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「では、詳しくご説明を──」

 エミリ・セレスタは、
 まるで博物館のガイドツアーを始めるかのような顔で、
 Tバックを指差した。

(や、やめろエミリぃぃぃぃぃぃ!!!)

 ハルカは心の中で必死に叫んだ。

 しかし、エミリは無邪気そのものだった。

「この、ふたまたに分かれたデザイン──」

「つまり、お尻を割るために設計されているのでしょうか?」

 教室以上に静まり返った売り場に、
 エミリのクリアな声が響き渡った。

「わああああああああああ!!」

 ハルカ、ナナ、ミキ、ユイ、全員が顔面大爆発。

「割るためじゃない!!」

「割れてるの!! もともと!!」

「ていうかあんた、ナチュラルに爆弾落とすのやめなさい!!」

 総ツッコミ炸裂。

 周囲のお客さんたちも、
「(ふたまた……?)」と微妙な顔でこちらを見ている。

(し、死ぬ……)

(このままじゃ、羞恥心で本当に死ぬぅぅぅ……!!)

 ハルカは必死で顔を両手で覆った。

 ***

 だが、エミリの興味は止まらなかった。

「それでは──」

「こちらの、極めて面積の少ない布は……?」

 今度は、隣にディスプレイされていた、
 極小ビキニタイプの下着を指差した。

 いや、もはや"布の切れ端"レベルのやつだ。

「わ、わわわわ……!!」

 ハルカは真っ赤になって後ずさった。

(やめて……! そっちはもっと危険だからぁぁぁぁ!!)

「ええっと……これも……おしゃれ用、というか……」

 ナナが必死に言葉を選んで説明しようとするが──

「守る気ないじゃん!!」

 ハルカが、思わず叫んだ。

 叫んでしまった。

 店内に、響き渡った。

 しーん。

 再び静寂。

 そして。

「ぶはっ!」

「はははははは!!」

 ミキが、盛大に吹き出した。

 ナナも、肩を震わせて笑い出す。

 ユイは、笑いすぎて壁に頭を打ち付けていた。

「ま、守る気ないって──」

「ハルカ最高──!」

「おしゃれは防御じゃないってことだな!!」

 大爆笑の嵐。

(うわああああああ!!)

(なんで私が爆弾落としたみたいになってんのぉぉぉ!!)

 ハルカは頭を抱えた。

 顔は火が出るほど熱かった。

 でも。

 エミリは、
 そんなハルカたちを見て──

「なるほど!」

「日本の下着文化は、防御よりも──攻撃重視!!」

 すごく真剣な顔で、
 謎の結論に至っていた。

「違う違う違う!!!」

 再び総ツッコミ。

(どこでそんなまとめ方覚えたんだよ!!)

 もはや誰にも止められない。

 エミリの異文化考察ドタバタは、
 ますます勢いを増していた。

 ***

「でも……」

 エミリは、ビキニタイプの下着を指先でつまみながら、
 小首を傾げた。

「こんなに小さいと、着るのに勇気がいりそうですね……」

 その無邪気な一言に、
 またしてもハルカたちは崩れ落ちた。

「勇気とかの問題じゃねぇぇぇぇ!!」

「文化の深淵を覗くなぁぁぁぁ!!」

 ミキが地面に倒れ込み、
 ナナはしゃがみこんで笑い転げていた。

 ハルカは、もう限界だった。

 顔面真っ赤、耳まで真っ赤。

「エミリ! とりあえず戻ろう! ねっ!!」

「下着売り場から一回離れよう!!」

「えっ、でもまだ見たいです──」

「だめぇぇぇぇぇぇ!!」

 ハルカは、
 ほとんど拉致するようにエミリの手を引いて、
 売り場から脱出した。

(もう……こんな恥ずかしい思い……)

(生まれて初めてだよぉぉぉ!!)

 頭を抱えながら、
 でもどこか笑ってしまう自分がいることに、
 ハルカは気づいていた。

(エミリと一緒だと……本当に、毎日がドタバタだなぁ……)

 ***

「でも!」

「このふたまたパンツ、戦闘時には便利そうですね!」

「だから違うって言ってるでしょぉぉぉぉ!!」

 わちゃわちゃと笑い声が響くショッピングモール。

 ハルカたちのドタバタは、
 まだまだ終わりそうになかった。

(続く)

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