『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第123話『ドタバタこそ、最高の日常』

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 夕暮れの道を、
 カサカサと買い物袋を抱えた一行が歩いていた。

 赤く染まった空。
 長く伸びる影。

 冷たい風が吹きすぎるたびに、
 紙袋がかさりとかさりと音を立てた。

「……はぁぁぁ……」

 ハルカは、
 腕にぶら下がる袋を恨めしげに見下ろしながらため息をついた。

 その袋には──

 今日、エミリに半ば強制的に選ばされた、
 とんでもないシースルー下着が収まっている。

(……見なかったことにしよう……)

 ハルカは心の中で、
 そっと現実から目を逸らした。

 ***

「ふふっ……」

 隣で、エミリが小さく笑った。

 その顔は、
 すっごく楽しそうだった。

「な、なに笑ってんのさ……」

 ハルカが顔をしかめると、
 エミリはくすくすと肩を揺らした。

「だって──」

「ハルカさん、さっきからずっとむくれてるんですもの」

「む、むくれてないし!!」

 必死で否定するハルカだったが、
 エミリは悪戯っぽく微笑みながら続けた。

「でも」

「すごく可愛かったです」

「~~~~っっ!!」

 ハルカ、瞬間湯沸かし器。

 顔が一瞬で真っ赤に染まった。

(ずるいよ……そんな無邪気に……!!)

 ハルカは、
 紙袋をぎゅっと抱え直した。

「エミリだって……!」

「今日どれだけ、みんなを赤っ恥かかせたと思ってんのよ!」

「えへへ……すみません?」

 全然反省してない顔。

 ハルカは、
 肩をすくめて笑った。

(ま、いいか……)

(楽しかったし)

 思い返せば、
 最初はただの異文化ギャップに振り回されるだけだった。

 でも今は。

 一緒に笑って、
 一緒に恥ずかしい思いをして、
 自然に隣を歩いている。

 気がつけば、
 そんなふうに──

「一緒にいるのが、当たり前」になっていた。

 ***

「ねぇ、エミリ」

 ハルカは、
 ふと思い立って言った。

「また一緒に、買い物行こうね」

 エミリは、
 ぱあっと顔を輝かせた。

「はいっ!」

「ハルカさんと一緒なら、どこへでも行きます!」

 その笑顔に、
 ハルカもつられてにやけてしまった。

(バカみたいにドタバタして)

(バカみたいに笑いあって)

(でも──)

(それが、きっと最高の日常なんだ)

 吹きすぎる風の中で、
 ハルカは、
 温かい気持ちでいっぱいになった。

 ***

「──で、次はメンズパンツ売り場ですね!」

「行かないって言ったでしょぉぉぉぉぉぉ!!」

 エミリの無邪気な爆弾発言に、
 ハルカは即座に叫んだ。

 ミキもナナも、
 遠くで「絶対に行かないからな!!」と合唱している。

「ええ~?」

 エミリがほっぺたをぷくっと膨らませる。

「では次は、もっとすごいところを──」

「やだやだやだやだ!!!」

 全力で逃げ出すハルカたち。

 エミリがきゃあきゃあと笑いながら追いかけてくる。

 夕暮れの道に、
 笑い声が響いた。

(……やっぱり)

(ドタバタこそ、最高だ)

 ハルカは、
 胸の中でそっとそう呟いた。

 物語は、
 今日もまた、にぎやかに転がり続ける。

 そして明日も──

 もっともっと、笑顔でいっぱいに──!
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