前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第178話:ディズニーランド入場前で爆笑必至の羞恥劇!? もう笑うしかねえよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は東名高速の大渋滞でクラクションに囲まれる地獄を味わった。
 その前はネモフィラの丘で観光客に笑われたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛タコス丼」を食っただけじゃなく、美月が「太一ならこれくらい余裕でしょ?」って持ってきた手作り激辛チリビーンズも一緒に食っちまった。
 コンビニの辛さと美月の挑戦的な優しさ(辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。  
 学校から帰って少しマンガ読んでたけど、我慢の限界が来た。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 ミッキーのテーマ曲と、興奮した人々のざわめきが耳に飛び込んできた。
 目の前にはゴールデンウィークで大混雑してる東京ディズニーランドの入園門前、入場開始30分前の光景。
 俺の便器は、その入園ゲートのど真ん中、ミッキー型の花壇の真上にポツンと出現。  
「うおっ、ディズニーランド!? 入場前かよ! しかも花壇の上って何!?」  
 周りにはミッキーの耳つけた家族連れやカップルが「早く入りたいね!」ってワクワクしてる。
 入園ゲートの前は人で埋め尽くされてて、キャストが「もうすぐ開園です!」ってアナウンスしてる。
 ミッキーのバルーンが浮かんで、遠くにシンデレラ城が見える夢の国。
 でも俺の便器がミッキー花壇の上にドーンと浮いてて、まるでミッキーが俺を乗せてるみたいになってるよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……って、笑える状況じゃねえか!」  
 腹痛は待ってくれない。
 タコス丼の辛さと美月のチリビーンズのスパイスが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、ディズニーランドの入場前の大混雑で、しかもミッキー花壇の上って、どうやって真面目に耐えろって言うんだよ!
 近くの子供が「ミッキーだ!」って俺の便器指さしてくるし、カップルが「何か変な形してるね?」って笑ってる。
 キャストが「整列お願いします!」って頑張ってるけど、俺の便器がミッキーの頭に鎮座してるせいで、シュールすぎて俺まで笑いそうになるよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ? ……って、これ笑うしかないだろ!」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が限界を迎えて「グゥゥゥ!」ってデカい音を立てちまった。
 近くのおっさんが「何だ、今の!?」って振り返り、子供が「ミッキーが鳴いた!」って大爆笑。
 おばさんが「オナラじゃないよね?」って鼻クンクンしてるし、見えてないはずなのに俺の腹音でバレかけてるじゃん!
 俺、自分の腹に「タイミング悪すぎだろ!」ってツッコミ入れながら、笑いこらえるのに必死だよ!  
「やばい、やばい、やばい! 笑いながら終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音がゲート前に爆音で響いた!」  
 混雑の中で音が反響して、観光客が「何!?」って一斉に凍りつく。
 子供が「ミッキーがオナラしたー!」って腹抱えて爆笑、カップルが「え、マジで!?」って笑い崩れる。
 おっさんが「誰だよ、こんなとこで!」ってキレつつもニヤニヤしてるし、キャストが「皆様、落ち着いてください!」って顔真っ赤にしてる。
 見えてないはずなのに、匂いと音で完全にバレてるじゃん!
 俺、自分の便器がミッキー花壇の上で「ミッキーのオナラ」扱いされてる状況に、羞恥心超えて笑いが止まらねえよ!  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って笑いすぎて腹痛い!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま笑いをこらえきれず「プッ」と吹き出す。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……って、笑えるわ!」  
 汗だくで呟く。
 ディズニーランドの入場前でミッキー花壇の上、子供に「ミッキーのオナラ」認定されるなんて、俺の人生ハードすぎて逆に笑えるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客の爆笑とミッキーのシュールさが地獄をコメディに変えた。
 あの夢の国で耐えた俺、よくやったよ……いや、笑うしかなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖いけど、ちょっと楽しみでもある。
 でもタコス丼とチリビーンズの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も美月の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 ディズニーランドで笑いものになっただけでも褒めてくれよ、自分。
 あのミッキー花壇の上でミッションクリアしたんだからさ。  

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