前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー～うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと！～

第179話：ディズニーランド入場前でヒロイン全員並んで爆笑祭り!? もう耐えきれねえよ！

　俺の名前は佐藤太一、１８歳。
　コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
　最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
　俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
　トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
　もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
　このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー！」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
　昨日はディズニーランドの入場前でヒロイン全員に囲まれ、ミッキー花壇の上で笑いものになった。
　その前は東名高速で渋滞地獄を味わったし、毎回毎回が試練だ。
　なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
　原因は昨夜の飯だ。
　半額の「激辛キムチラーメン」を食っただけじゃなく、彩花が「太一くんに温まってほしいな！」って持ってきた手作り激辛味噌スープも一緒に飲んじまった。
　コンビニの辛さと彩花の優しさ（と辛さ）が胃の中で暴れてる感じだ。  
　学校から帰って少しゲームしてたけど、我慢の限界が来た。
　仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
　風鈴の音と、外国人観光客の「Wow!」って声が耳に飛び込んできた。
　目の前には清水寺の舞台、外国人観光客でごった返す京都の名所。
　俺の便器は、その舞台のど真ん中、絶景ポイントにポツンと出現。  
「うおっ、清水寺!? 外国人だらけかよ！？」  
　周りにはカメラ持った外国人観光客が「Beautiful!」「Amazing!」って連呼しながら写真撮りまくってる。
　舞台からは京都の街並みと緑が一望できて、風が気持ちいい。
　でもそのど真ん中に俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が観光名物の目玉みたいになってる。
　そして、そのすぐ前に、見覚えのある５人がズラッと並んでるよ！  
「兄よ！ この聖地に眠る闇の気を我が手にせん！」
　厨二病全開で叫ぶのは俺の妹、佐藤遥。
　扇子持って、片手挙げてポーズ取ってる。  
「太一くん、大丈夫？ またお腹痛いんだね？」
　明るい声と笑顔で心配そうに言うのは山本彩花。
　クラスの癒し系ヒロインで、浴衣着てこっち見てる。  
「太一、彩花ちゃんに近づきすぎじゃない？ こんな場所でも落ち着いてね」
　穏やかで親しみやすい口調は山本美月。
　幼馴染で、カメラ持ってニヤッと笑ってる。  
「太一……私がそばにいるのに、観光客と楽しそうに……許さないよ？」
　低い声でジトッと睨むのは佐々木美咲。
　ヤンデレ気質で、団扇持って怖い目してる。  
「全てが虚無……この景色も、私の心も……」
　虚ろな目で呟くのは中村玲奈。
　闇落ちしたクラスメイトで、ぼーっと京都の街見つめてる。  
「何！？ お前ら全員並んでるのかよ！ しかも観光客に紛れて何！？」  
　５人が俺の便器の前で横一列に並んでるせいで、外国人観光客が「Japanese performance?」ってザワザワしてる。
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……って、笑えるしかねえだろ！」  
　腹痛は待ってくれない。
　キムチラーメンと味噌スープが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
　でもさ、ヒロイン全員並んでる前で、しかも外国人観光客が「Cool!」って写真撮ってる中、どうやって真面目に耐えろって言うんだよ！
　遥が「闇の舞台が目覚めた！」って叫んでるし、彩花が「太一くん、顔赤いよ？」って笑ってる。
　美月が「ほら、落ち着いて」ってニヤニヤ、美咲が「太一は私だけでいいよね？」って迫ってくる。
　玲奈が「どうせ虚無……」って呟いてる中、外人が「Funny smell!」って笑い出してるよ！  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ？ ……って、これ爆笑ものだろ！」  
　深呼吸しようとした瞬間、腹が「グゥゥゥ！」ってデカい音立てちまった。
　観光客が「Oh my god!」って振り返り、遥が「闇の咆哮だ！」って大喜び。
　彩花が「え、太一くん、これって……？」って目を丸くして、美月が「まさかね……」って笑いこらえてる。
　美咲が「太一の全てを受け入れるよ……」って目を潤ませ、玲奈が「この音も虚無……」って呟く。
　外人が「Japanese fart!」って大爆笑してカメラ向けまくり、俺も羞恥超えて笑いが止まらねえよ！  
「やばい、やばい、やばい！ 笑いながら終わらせないと精神持たねえ！」  
　腹に全神経を集中させる。
　おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ！
　ブッ。  
「……うっ、音が清水寺に爆音で響いた！」  
　舞台で音が反響して、観光客が「What’s that!?」って一斉に凍りつき、外人が「Super fart!」って腹抱えて爆笑。
　カップルが「Smells bad!」って笑い崩れ、おばさんが「誰だよ！」ってキレつつもニヤニヤ。
　遥が「闇の風が吹いた！」って叫び、彩花が「太一くん！？」って笑いながら驚く。
　美月が「私の予想超えたね」って爆笑、美咲が「太一の音、最高……」って変なテンション。
　玲奈が「虚無が響いた……」って呟いてる中、俺の便器が「日本のオナラ名物」扱いで外人の笑いの的だよ！  
　ポチャン。  
「よっしゃ、出た！ 終わった！ ……って笑いすぎて涙出る！」  
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
　光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
　心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま笑いをこらえきれず「プハハッ」と吹き出す。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……って、笑えるしかねえ！」  
　汗だくで呟く。
　清水寺でヒロイン全員並んで、外国人観光客に「Super fart」認定されるとか、俺の人生ハードすぎて爆笑だろ。
　遥の厨二病、彩花の優しさ、美月の冷静さ、美咲のヤンデレ、玲奈の虚無感が揃って、京都名所がコメディ劇場になったよ！  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
　腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
　次に開けるのが怖いけど、ちょっと楽しみでもある。
　でもキムチラーメンと味噌スープの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
　コンビニ飯も彩花の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
　安いし美味いし、優しさも嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
　とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
　でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
　清水寺で笑いものになっただけでも褒めてくれよ、自分。
　あの舞台の上でミッションクリアしたんだからさ。