前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
184 / 234

第180話:清水寺で外国人観光客と爆笑の嵐!? もう恥ずかしくて笑うしかねえ!

しおりを挟む
 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日はディズニーランドの入場前でミッキー花壇の上で笑いものになった。
 その前は東名高速で渋滞地獄を味わったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛キムチラーメン」を食っただけじゃなく、彩花が「太一くんに温まってほしいな!」って持ってきた手作り激辛味噌スープも一緒に飲んじまった。
 コンビニの辛さと彩花の優しさ(と辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。  
 学校から帰って少しゲームしてたけど、我慢の限界が来た。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 風鈴の音と、外国人観光客の「Wow!」って声が耳に飛び込んできた。
 目の前には清水寺の舞台、外国人観光客でごった返す京都の名所。
 俺の便器は、その舞台のど真ん中、絶景ポイントにポツンと出現。  
「うおっ、清水寺!? 外国人だらけかよ!?」  
 周りにはカメラ持った外国人観光客が「Beautiful!」「Amazing!」って連呼しながら写真撮りまくってる。
 舞台からは京都の街並みと緑が一望できて、風が気持ちいい。
 でもそのど真ん中に俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が観光名物の目玉みたいになってる。
 観光客が「Look at this view!」って叫んでるけど、俺の便器が視界に入ってると思うと笑えてくるよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……って、笑えるしかねえだろ!」  
 腹痛は待ってくれない。
 キムチラーメンと味噌スープが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、外国人観光客が「Selfie time!」って写真撮ってる中、どうやって真面目に耐えろって言うんだよ!
 近くのアメリカ人っぽいおっさんが「This is so cool!」って俺の便器の方向にカメラ向けてるし、中国人観光客が「太漂亮了!」って連写してる。
 ガイドが「Kiyomizu Temple, very famous!」って説明してるけど、俺の便器が主役みたいになってるよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ? ……って、これ爆笑ものだろ!」  
 深呼吸しようとした瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 観光客が「What was that!?」って振り返り、アメリカ人おっさんが「Did the temple just growl?」って大爆笑。
 中国人観光客が「哈哈,是放屁吗?」って笑いながら友達に何か言ってるし、ガイドが「Maybe wind?」って誤魔化そうとしてる。
 見えてないはずなのに、俺の腹音でバレかけてて、俺も笑いこらえるのに必死だよ!  
「やばい、やばい、やばい! 笑いながら終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が清水寺に爆音で響いた!」  
 舞台で音が反響して、観光客が「Oh my god!」って一斉に凍りつく。
 アメリカ人おっさんが「Super fart!」って腹抱えて爆笑、イギリス人っぽい女が「That’s hilarious!」って拍手してる。
 中国人観光客が「太臭了!」って笑い崩れ、ガイドが「Please, stay calm!」って顔真っ赤にしてる。
 別の外人が「Japanese temple fart!」って叫んでカメラ向けまくり、見えてないはずなのに俺の便器が「清水寺のオナラ」で観光客の笑いの的だよ!  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って笑いすぎて涙出る!」  
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま笑いをこらえきれず「プハハッ」と吹き出す。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……って、笑えるしかねえ!」  
 汗だくで呟く。
 清水寺で外国人観光客に「Japanese temple fart」認定されるとか、俺の人生ハードすぎて爆笑だろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客の「Super fart!」連呼と笑い声で京都名所がコメディ劇場になったよ。
 あの絶景の中で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったけど笑ったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖いけど、ちょっと楽しみでもある。
 でもキムチラーメンと味噌スープの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も彩花の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、優しさも嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 清水寺で笑いものになっただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの外国人観光客の爆笑の中でミッションクリアしたんだからさ。  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

処理中です...