前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
210 / 234

第206話:磐梯山頂上で絶景がまさかの大波乱!? もう principals恥ずかしくて火口に逃げたいよ!

しおりを挟む
 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまの妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は蔵王のお釜で、神秘的な火口湖の絶景をカオスに変えてしまった。
 その前は白石城の天守閣前で歴史を汚してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 彩花が「太一くん、山の気分にぴったりだよ!」って持ってきた手作りきのこシチューを食ったんだ。
「優しい味にしたから!」って言ってたけど、隠し味の生姜が効きすぎてたのか、胃がザワついたみたいだ。
 シチュー自体はきのこの香りが効いてて美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「彩花の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 それに加えて、最近この転移トイレのストレスで胃が弱ってたから、ついコンビニで「腸活サポート!」ってパッケージの乳酸菌キャンディ舐めちまった。
「トイレの呪いに勝つぞ!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 きのこシチューの生姜と乳酸菌キャンディの発酵パワーが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少しゲームしてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 冷たく澄んだ山の空気と、岩場のゴツゴツした匂いが鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には福島県の磐梯山頂上、火口壁を見下ろす絶景ポイント。
 俺の便器は、その山頂のど真ん中、登山客が集まる頂上広場の真前にポツンと出現。  
「うおっ、磐梯山頂上!? 絶景の火口かよ!?」  
 頂上からは磐梯山の火口壁が荒々しく広がり、眼下に猪苗代湖や会津の街並みがキラキラ輝いてる。
 登山客が「すげえ景色!」って写真撮りまくってて、カップルが「登ってよかったね」って寄り添ってる。
 ガイドが「磐梯山は会津のシンボル、1888年の大噴火で生まれました」って説明してるし、風が「ゴオオオ!」って吹き上げてくる。
 この壮大で神秘的な磐梯山頂上のど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が火口の新ランドマークみたいになってるよ。
 磐梯山の静けさと絶景が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 彩花のきのこシチューと乳酸菌キャンディの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、磐梯山頂上の絶景ポイントで、どうやって集中しろって言うんだよ!
 カップルが「ここでプロポーズしたいな」って囁き合ってるし、登山客が「この火口、すげえ!」ってスマホでパシャパシャ撮ってる。
 風の「ゴオオオ!」とガイドの声が耳に響いてて、雄大すぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な気配するね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 頂上の静寂が一瞬止まって、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「風かな?」って彼氏が誤魔化すけど、彼女が「いや、変な音だったよ?」って首かしげる。
 登山客のおじいさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな絶景の場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「磐梯山の神秘壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、静寂を破る音が頂上に響いた!」  
 火口壁に音が反響して、登山客が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 子供が「何か鳴った!」って笑い出し、おばさんが「何!?」って目を丸くする。
 見えてないはずなのに、音が静寂を切り裂いてバレちまったじゃん!
 カップルが「え、変な音!」って顔見合わせ、ガイドが「皆様、落ち着いて! 山の響きです!」って誤魔化そうとするけど、すぐに匂いが漂ってきて混乱が広がる。
 おじいさんが「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、登山客が「火口の匂いじゃないよね?」って騒ぎ出す。
 風が「ゴオオオ!」と吹き上げ、岩が「ザワ!」と揺れる気がする。
 頂上全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、この磐梯山の絶景を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「磐梯山は会津の誇りです、静かに!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺は火口じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は磐梯山の雄大な美しさを汚した焦りと羞恥しかない。
 子供が「オナラ山だ!」って走り回り、登山客が「これも磐梯山の伝説?」って笑ってる。
 カップルが「せっかくの登山が……」って言い争い、ガイドが「次は下山します、落ち着いて!」って必死に誘導するけど、誰も動かねえ。
 磐梯山の火口壁が静かに絶景をたたえる中、俺のせいで「オナラ山頂事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この会津の聖域が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころか火口に逃げ込みたくなるよ!  
「いや、磐梯山、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、磐梯山の絶景を汚した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 福島県磐梯山頂上で火口壁の絶景を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、登山客のざわめきとお釜の静けさが俺を追い詰めた。
 あの頂上の前で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも彩花のきのこシチューと乳酸菌キャンディの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は会津の象徴を汚しちまったよ。
 あの火口壁と猪苗代湖の輝きが頭から離れねえよ。
 磐梯山、ごめんな。
 お前の美しさを汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 彩花の隠し味と乳酸菌パワーが俺を離してくれねえ。
 磐梯山の風と火口の風景が頭に残ってて、ちょっと雄大な気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 きのこシチューみたいな美味いもん、もうしばらく控えようと思ったけど、彩花がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 磐梯山でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの頂上の前でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

処理中です...