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第二章(第2巻分目)『戦国を歩む伊達藤次郎、春の烽火』
『海に夢を浮かべて』
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空は高く澄み渡り、波穏やかな松川浦の海面には冬の日差しが柔らかく反射している。俺は久しぶりにこの地を訪れ、潮風を感じながらゆっくりと浜辺を歩いた。潮騒の音とともに鼻先をくすぐる磯の香りが、なぜだか無性に懐かしく感じられた。
かつて廃れていたこの浦も、今やすっかり活気を取り戻している。荒れ果てていた砂浜には新しく建てられた漁師たちの小屋が並び、人々の暮らしが戻りつつある証拠に煙が小さく立ちのぼっていた。子供たちが裸足で砂浜を駆け回り、笑い声を上げている姿は、この土地が再び息吹を取り戻したことを物語っていた。
「若殿、ご覧ください。松川浦もすっかり賑やかになってまいりましたぞ」
振り返ると片倉小十郎が満面の笑みを浮かべて立っている。いつもの厳めしい表情から一転して嬉しそうな顔を見るのは珍しい。
「ああ、小十郎。おぬしの尽力のおかげだな。よくここまで整備したものだ」
俺が素直に褒めると、小十郎は少し照れたように頭を掻いた。
「いやいや、全ては若殿の大局的なお考えのおかげでございます。それよりも、こちらへおいでください。お見せしたいものがございますゆえ」
小十郎に案内されて港の方へ歩を進めると、新たな埠頭が姿を現した。まだ完成には程遠いが、その規模は十分に目を見張るものがあった。
「これは……思った以上に立派だな」
驚きと感嘆を含めて呟くと、小十郎は誇らしげに胸を張った。
「これはただの漁船の停泊所ではございません。安宅船が停泊できる規模の埠頭でございますぞ。ここから長距離航海も可能となりましょう」
「安宅船、か……」
その言葉に俺は心を強く惹かれた。安宅船は瀬戸内海を中心に活躍する大型軍船であり、大量の兵や物資を載せ、遠く離れた土地へ運ぶことができる。これがあれば、伊達家の戦略的自由度は飛躍的に増すだろう。
「若殿、松川浦をただの漁村として再興するだけでは終わりませぬぞ。この港を拠点に、さらなる繁栄を掴もうではありませんか」
小十郎の瞳には熱い光が宿っている。その視線は、まさに未来を見据えているかのようだった。
俺は小十郎の言葉に深く頷き、海を見つめた。
「ああ、その通りだな。安宅船があれば、松川浦は奥州の重要拠点となるだろう。遠方への交易はもちろん、京や堺とも繋がりを持てるようになる」
海風が髪を撫で、心がざわざわと躍り出すようだった。俺の中で新しい計画が芽生え、胸が高鳴っているのが分かった。
「小十郎、安宅船を入手する手はないだろうか?」
俺が問いかけると、小十郎は少し驚いたような顔を見せたが、すぐに意図を察したように真剣な表情で考え込んだ。
「簡単な話ではございませんが……全く不可能というわけでもありません。西国には腕利きの船大工がおりますし、資材や技術を揃えるためには、堺の商人たちとの交渉も必要でしょう」
「よし、それならば準備を始めるべきだな。まずは堺の商人たちと連絡を取っておけ。必要な資金や資材について具体的な話を進めるのだ」
俺の言葉に小十郎は力強く頷いた。
「承知いたしました。若殿のご期待に沿えるよう、必ずや成し遂げてご覧に入れましょう」
小十郎が去ったあと、俺は一人静かに埠頭に立った。波の音を聴きながら、これまで歩んできた道を改めて振り返った。
この松川浦を復興させる計画は、最初は周囲に理解されなかった。それが今や、小さな漁村として命を吹き返し、更には奥州の重要港となる可能性まで秘めている。未来とは面白いものである。小さな一歩が、やがて大きな歴史の流れとなっていくのだ。
俺は空を見上げて呟いた。
「いよいよ、奥州と西国を結ぶ大きな一歩を踏み出すときだな」
海鳥の鳴き声が響き、俺の言葉を海風がさらっていった。その瞬間、俺の胸の内にある決意は一層固くなった。
「安宅船を手に入れ、この松川浦から世界を見よう。伊達の名を天下に知らしめるために」
俺は再び歩き出し、明日への夢を胸に抱きながら、砂浜にしっかりと足跡を刻んでいった。
かつて廃れていたこの浦も、今やすっかり活気を取り戻している。荒れ果てていた砂浜には新しく建てられた漁師たちの小屋が並び、人々の暮らしが戻りつつある証拠に煙が小さく立ちのぼっていた。子供たちが裸足で砂浜を駆け回り、笑い声を上げている姿は、この土地が再び息吹を取り戻したことを物語っていた。
「若殿、ご覧ください。松川浦もすっかり賑やかになってまいりましたぞ」
振り返ると片倉小十郎が満面の笑みを浮かべて立っている。いつもの厳めしい表情から一転して嬉しそうな顔を見るのは珍しい。
「ああ、小十郎。おぬしの尽力のおかげだな。よくここまで整備したものだ」
俺が素直に褒めると、小十郎は少し照れたように頭を掻いた。
「いやいや、全ては若殿の大局的なお考えのおかげでございます。それよりも、こちらへおいでください。お見せしたいものがございますゆえ」
小十郎に案内されて港の方へ歩を進めると、新たな埠頭が姿を現した。まだ完成には程遠いが、その規模は十分に目を見張るものがあった。
「これは……思った以上に立派だな」
驚きと感嘆を含めて呟くと、小十郎は誇らしげに胸を張った。
「これはただの漁船の停泊所ではございません。安宅船が停泊できる規模の埠頭でございますぞ。ここから長距離航海も可能となりましょう」
「安宅船、か……」
その言葉に俺は心を強く惹かれた。安宅船は瀬戸内海を中心に活躍する大型軍船であり、大量の兵や物資を載せ、遠く離れた土地へ運ぶことができる。これがあれば、伊達家の戦略的自由度は飛躍的に増すだろう。
「若殿、松川浦をただの漁村として再興するだけでは終わりませぬぞ。この港を拠点に、さらなる繁栄を掴もうではありませんか」
小十郎の瞳には熱い光が宿っている。その視線は、まさに未来を見据えているかのようだった。
俺は小十郎の言葉に深く頷き、海を見つめた。
「ああ、その通りだな。安宅船があれば、松川浦は奥州の重要拠点となるだろう。遠方への交易はもちろん、京や堺とも繋がりを持てるようになる」
海風が髪を撫で、心がざわざわと躍り出すようだった。俺の中で新しい計画が芽生え、胸が高鳴っているのが分かった。
「小十郎、安宅船を入手する手はないだろうか?」
俺が問いかけると、小十郎は少し驚いたような顔を見せたが、すぐに意図を察したように真剣な表情で考え込んだ。
「簡単な話ではございませんが……全く不可能というわけでもありません。西国には腕利きの船大工がおりますし、資材や技術を揃えるためには、堺の商人たちとの交渉も必要でしょう」
「よし、それならば準備を始めるべきだな。まずは堺の商人たちと連絡を取っておけ。必要な資金や資材について具体的な話を進めるのだ」
俺の言葉に小十郎は力強く頷いた。
「承知いたしました。若殿のご期待に沿えるよう、必ずや成し遂げてご覧に入れましょう」
小十郎が去ったあと、俺は一人静かに埠頭に立った。波の音を聴きながら、これまで歩んできた道を改めて振り返った。
この松川浦を復興させる計画は、最初は周囲に理解されなかった。それが今や、小さな漁村として命を吹き返し、更には奥州の重要港となる可能性まで秘めている。未来とは面白いものである。小さな一歩が、やがて大きな歴史の流れとなっていくのだ。
俺は空を見上げて呟いた。
「いよいよ、奥州と西国を結ぶ大きな一歩を踏み出すときだな」
海鳥の鳴き声が響き、俺の言葉を海風がさらっていった。その瞬間、俺の胸の内にある決意は一層固くなった。
「安宅船を手に入れ、この松川浦から世界を見よう。伊達の名を天下に知らしめるために」
俺は再び歩き出し、明日への夢を胸に抱きながら、砂浜にしっかりと足跡を刻んでいった。
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