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第一章

放課後 2

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【現段階での登場人物】

○主人公
名前:日宮 優   性別:男  年齢:16   高校一年生
能力:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。(というか題名に出てる...)
  性格:卑屈屋。ただし友人である葵や琴葉、花蓮は命に変えてでも守ろうとする。
記憶関連:両親とも禍憑きに殺されている。そのため禍憑きに対して異常なほど殺意を抱く。
妹の生存は現段階不明。→物語が進んでいくにつれ判明する。


○ヒロイン(主人公の幼馴染)
名前:神原 葵   性別:女   年齢:16   高校一年生
能力:氷
能力名の通り氷を操る能力。強力な能力ではあるが扱いがとても難しい。
氷が生成される際、周りの温度が急激に下がる。
冷気が発生する。
能力を無理して使うと能力者である葵自身に凍傷の危険性がある。
性格:お調子者。友達思い。ムードメーカー
記憶関連:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。


○ヒロイン2(主人公とは高校からの付き合い)
名前:鮎腹 花蓮   性別:女   年齢:16   高校一年生
能力:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。
性格:まじめ。友達思い。母性本能が高い。
記憶関連:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。


○ヒロイン3(メインヒロイン、転校生)
名前:倉橋 琴葉   性別:女   年齢16   高校一年生
能力:風
能力名の通り風を操作する能力。瞬間的に強風を生成することができ衝撃波のようなものを放つことができる。(禍憑き【個体名:カラス】を倒した技も衝撃波を応用したもの)
強風を生成する際、能力者自身である琴葉にも反動が来る。
性格:まじめ。何事にも慎重で丁寧。
記憶関連:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。


○教師(主人公のクラスの担任の教師)
名前:増山 慶子   性別:女   年齢:26
能力:水
能力名の通り水を操る能力。この能力で様々な禍憑きを倒していた。
性格:強気。まじめ。
記憶関連:現段階不明→物語が進んでいくにつれ判明する。

○教師(主人公の通う学校の保険医)
名前:原田 和夫   性別:辛うじて男   年齢:34
能力:治癒
能力名の通り怪我や病気を治す。
能力の扱いが難しい。
性格:まじめ。おかま。
記憶関連:優の過去を知っている。そのため優のことを気遣っている。
親友である優の父親が禍憑きに殺される。
もう二度と傷つく人は見たくないと思い治癒能力を特訓。特訓後、一流の治癒能力者へと変貌する。

──────────

「あぁ、もう!どうにでもなれ!」

僕はカラスに能力を使おうと思い、手をカラスの方へ向ける。

そして、いざ放とうと思った時。

「伏せて!」

そんな、心にまで浸透するような綺麗な声が後ろから聞こえた。

「え!?」

僕は驚く。
後ろを振り向く暇が無く、誰が僕に声をかけたのかが分からなかった。

それでも、言われた通り僕は伏せようとする。

急に言われた為、反応が少し遅れたが何とか伏せることができた。

乾いた破裂音が踊り場で響く。

そして、破裂音が響いた直後、カラスの胴体が跡形もなく弾け飛んだ。

カラスの残った身体の部位からは血飛沫があがる。

その血飛沫が僕の体にかかり、ムッとした血の臭いに鼻が詰まる。

「今...何をやったんだ……?」

困惑しながら後ろを振り向きつつ僕はこれをやった人物に問いかける。

「何って...。ただ能力を使って禍憑きを倒しただけだけど?」

その人物は、呆れた様な口調で僕に言い返す。
首を傾げながら言うものだから美しさがよりいっそう際立つ。

── 能力を使っただけ

そのたった一言でその人物の能力がいかに強力かを理解させられる。

カラスの胴体が跡形もなく弾け飛んだのだ。
破壊力は尋常なるものだろう。

得体の知れない恐怖を感じる。
逃げたいという衝動に駆られる。

だが、助けてくれたのには変わりはない。
ここで僕が逃げてしまえば、命の恩人である彼女に失礼極まりないだろう。

「助かったよ。ありがとう」

僕は彼女ーー倉橋 琴葉の方を向き直しお礼を言う。

「え?あぁ、うん。どういたしまして」

僕が謝ったのが意外の様な反応を琴葉はする。

どうしてだろうか。
そんな意味を込め僕は琴葉を目で見る。

そしてその意図を汲み取ったのか、琴葉は一度ため息を吐くと説明をし始める。

「貴方、能力を使おうとしたでしょ?」

「あぁ、使おうとしたよ」

琴葉の問いに僕は素直に答える。

「それってあの禍憑きを倒すためよね?」

「ああ」

「それで、貴方が倒そうとしていた禍憑きを後ろから私が倒しちゃったから手柄を横取りされたとかで責められるかと思ったの」

琴葉の説明で僕は納得した。

確かにそういった行動は手柄としては大きいだろう。

実際にこの学校ではそういった行動は評価され加点される。

この学校では将来禍祓い師を目指している人が大半だ。

将来禍祓い師を目指している人としてはそういった行動で加点を狙うものが多い。

僕もこの学校に居るのだからそういった人と同じように見られてもおかしくはない。

そのため、琴葉は僕に責められるとでも思ったのだろう。

「あぁ、そういうことか。助けてくれたことには変わりはないからね。当然お礼は言うよ」

僕も、僕の意見をしっかり琴葉に伝える。

琴葉はそっか。と、踵を返すとそのままーー

「とりあえず、制服血でベタベタになってるから着替えなよ」

と、僕に言った。

   *

教室へと戻った僕は、血でベタベタになった制服を脱ぐと、体操着へと着替える。

教室に戻る前にシャワー室でシャワーを浴びてきたため、僕自身に着いていた血はすっかりと落ちていた。

「着替えたから入ってきていいよ」

着替えるために教室の外へと出てもらっていた葵と琴葉に僕は声をかける。

その声かけと同時に教室のドアが開いた。

そして葵と琴葉が教室に入ってくると、葵はーー

「さて、そろそろ説明してもらいましょうか?」

と、怒気を含んだ声で僕に言った。
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