魔法創造~魔法を作って異世界闊歩~

doragon0128

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プロローグ:転生するらしい。

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僕の名前は水瀬 龍。容姿も運動も勉強も至って普通の男子高校生だ。

...そのはずだった。

何故に過去形なのか。それは今僕が立っているこの場所が物語っている。
どこからが空でどこまでが地面なのかすらわからない一面真っ白な空間、もはや空間かもわからない場所に気づいたら立っていたのだ。

おかしい。さっきまで僕は身の丈にあった大学に合格するために、自室でせっせと受験勉強に励んでいたはずだ。

『ずいぶんと混乱しているようだね』

そりゃそうだ。気づいたら見たこともない空間に放り出されたら誰だって混乱する。
もしかしてこれが最近噂の孤独死?勉強しすぎて死んだ?ここは死後の世界だったりするのか?

『正確には、現世と死界の狭間、君たちの世界の言葉で言うと三途の川って言うところかな』

三途の川ってことはやっぱり僕は死んだのか...
タブレットの中にあるあんな画像やこんな動画は一体どうなってしまうのか...
まぁ身内は居ないしバレたところでなんとも...っておかしいでしょう。さっきから僕は誰に話しかけられて...

ん?話しかけられてる?

『ようやく気づいてくれたか?こっちだこっち』

よくよく落ち着いて聞いてみると、優しげで耳心地のよいやわらかい声に導かれて視線をあげた先にいたのは、ブロンド髪の絶世の美女。
いや、美女なんて言葉じゃ言い表せないほど、この世の美というのもの凝縮させたような存在が確かにそこにあった。

『そんなに誉めるな。照れるじゃないか』

そういって対して照れて無さそうな、余裕な笑みを浮かべながらこちらを見る美女。

正直やばい。彼女の美貌は男の色々な部分を刺激しすぎる。かくいう僕も主に下半身の男のシンボル的なアレが自己主張を激しくしている。
しかし、男としての本能が彼女の美しさがから目を背けることを許さない。
ここが天国と地獄か...。

『そろそろ本題に入ろうか。君もその...色々と辛そうだ』
「...お願いします」

さっきからちょくちょく僕の言葉にしていない声に反応しているように、どうやら彼女は僕の心が読めるらしい。
そう考えると、激しい羞恥心に襲われ、顔が猛烈に赤くなるのを感じる。

『さて、さきにもいったが、ここは現世と、死んだ者の魂が集まり、次の輪廻を待つ場所【死界】の狭間だ。今君は、私に魂だけここに召喚されている状態だ』

「召喚って...あなたは一体...」

『失礼した。私はアリステラ。境世界ブリュンヒルドに生きる神族...ようは女神だな』

女神...ブリュ...うん、よくわからないけど、最近勉強の合間によく読んでた小説にこんな展開のやつがあった気がする。まさか、それが自分の身に降りかかるとは思ってもみなかったけど。

『ひとまず本筋を噛み砕いて説明しようか。君がここに呼ばれた理由も含めてな』

「頼みます」

『君の現状を理解してもらうためには、まず我々の住むブリュンヒルドについて理解してもらう必要がある』

そういって、女神は手のひらを自分と僕の間にかざすと、僕たちの中央に球体状のスクリーンが産み出され、そのなかに様々な景色が写し出される。

中世ヨーロッパのようなレンガ造りの建物が並ぶ街並み、自然豊かな大森林や広大な砂漠が広がる荒野。
さらに、そのなかに暮らしている人々、ただの人間だけではなく、犬耳や猫耳、尻尾や鱗...明らかに普通のヒトではない者たちも写し出される。

『これが我がが住む世界、ブリュンヒルドだ。獣人やエルフを含んだ人族、魔物が進化して知性を持った魔族、そして我々神族が共にする世界だな』

「すごい...ですね...」

僕は言葉を失っていた。マンガやアニメでしか見たことないような景色が実在するのもしかり、こんな多種多様な種族が実際に生きているなんて、驚きをあっと通りすぎて感動しっぱなしだ。

『気に入っていただけたようで何よりだ。私が君を呼び出したのは、君のこの世界に転生してほしいからだ』

テンプレ展開キターッ!定番のトラックさんや通り魔さんには恵まれなかったけれども、そんな細かいことはテンションで吹っ飛んでいってしまう。

と、いかんいかん。あまりの急展開にテンションと共に冷静さも吹っ飛んでいってしまったようだ。
大抵こういう異世界転生ものの物語には裏話があるものだ。
大体が魔王を倒せとか世界を救えとか。

「あの...いくつかお伺いしても...?」

『かまわん。何でも聞いてくれ』

「まず、僕を転生させてから何をさせるつもりなのでしょうか?」

『ふむ、基本的には君の好きなように、自由気ままに過ごしてくれればそれで良い』

「...は?」

『すまない、少し短絡的だったな。そもそも、我々神族が異世界の人間をわざわざ召喚するのはなぜだと思う?』

「えぇっと、色々やばげな邪神が復活するとか」

『ないな。そもそも邪神などというものが生まれれば、他の種族に影響が及ばないうちに我々が処理するだろうな』

「じゃあ、世界滅亡の危機を救ってほしいとか...」

『あぁ、まぁ私が生まれるさらに昔はそういうこともあったようだな。だが今は至って平和そのものだ』

「じゃあなんで...」

『端的に言えば、人族、特にヒトの文化向上だな。この世界は基本的には平和そのものだが、身体能力に優れた獣人、魔法の扱いに長けたエルフ、さらには莫大な魔力を有する魔族...彼らに比べると、ヒトは繁殖能力以外は特に優れた面はない。それが多種族へのひがみや差別に繋がっている。今はまだ良いが、いずれこれが大きな流れになると...』

「戦争...ですか?」

『察しがいいな。まぁ戦争は言いすぎでも、種族間の関係は途切れてしまうだろうな』

「でも、僕はただの一般人です。そんな大きなことができるとは...」

『そこは心配しないでもらっていい。我々も君にすべて任せようとは思っていない。まずは、君たちの世界の進んだ技術や知識を君の知っている限りでいいから、広めてほしい。その後、数年から数十年単位にはなるが、異世界から君のような人間を少しずつ招き、段階的にヒトの文明を底上げするつもりだ。君たちがこちらの生活にスムーズに馴染めるように、私から加護という形で、身体能力の向上と特殊なスキルを授けるから。ある程度の荒事は解決できるようにしておくしな』

「...なるほど。だから好きなように過ごす...ですか」

『そういうことだな。そうやってヒトの文明レベルをあげていければ、種族同士のパワーバランスも改善されるだろう。』

「納得しました。では、もうひとつお聞きしても?」

そういうと、女神は小さくうなずき僕の質問を促す。

「なんで...僕なんでしょうか?」

『ふむ?』

「技術とか文化とか、そう言うのを広めるなら、そういうのに強い専門家がいたはずです。僕はどうあがいたって普通の学生ですから、できることなんてたかが知れてると思いますが...」

『まず、先程もいった通り、これからも異世界人は定期的に招く予定だし、人材という意味ではなんの問題もない。そちらの世界の学者を呼べば、より効率よく目的を達せられるかもしれん』

女神の言う通りだ。どうせ後から呼ぶなら、最初に呼んだ方が効率的だし、そもそも無駄が多い。
異世界から人呼ぶなんて、魔力とやらも相当消費するんだろうし。

『召喚する人間を決めるのは、単純な知識や能力ではない。むしろそちらは二の次といっても良い。重要なのは【器】だ』

器...この手の作品にはよく出る言葉だ。魔力がたくさんあるとか、神様の力を扱える才能だとか。
僕にもそういう能力があるってことだろうか。
そんな僕の思考を読み取ったのか、女神が言葉を続ける。

『ここで指す器とは、心の大きさ、だな』

「心?」

『そうだ。人に優しくできる。人のために怒ることができる。人のことを省みることができる。簡単に言えばそんなところだが。どんな場面でも、仮に自分の命がかかっていても、他の命のために自分の身を投げ出すことができる、そんな人間でなければ、問題が問題だけに、任せるわけにはいかなかったわけだ』

なるほど、理解はできる。理解はできるが納得はできない。なんてったって僕はそんな大それた人間じゃないのだから。

『ふふ、今君が何を考えているかは、心を読まずとも分かる。ならば、君が大それた人間である証拠を見せよう。後ろを見てみるといい』

女神に促され振り向くとそこには、毎日のように顔を付き合わせていた女性。大きな瞳に長い黒髪。
少女から女性との狭間、町中を歩けば、十人中十二人が振り返る美少女。
僕の幼馴染み、何より僕の初恋の相手である、南 楓 が立っていたのだった。









私には、ずっと好きな男の子がいた。
小さい頃からずっと一緒にいた。

私は人から見たらそれなりに整った顔立ちをしているらしく、色んな男の子に告白されたけど、皆お断りしたし 誰ともお付き合いしなかった。

たぶんそれがよくなかった。
ひがみや妬みを持った人たちに虐められるようになった。

机やカバン、ノートに落書きされたり、靴に画鋲入れられたり。

そんなときをずっとそばで支えてくれたのが彼、水瀬 龍くん。

彼は虐められてる私の逃げる場所になってくれた。

彼にも仲のいい友達がたくさんいたのに、お昼は必ず二人っきりでご飯を食べてくれた。

私が学校にいけないときは、ノートを必ずとってきてくれたし、分からないところは丁寧に教えてくれた。

後から聞いた話だけど、私と一緒にいたせいで彼も相当虐められてたらしい。時には大ケガに繋がるようなこともされたって。でも、そんなことは微塵も感じさせずに、いつも私に笑顔をくれた優しくて大好きな人。

高校は違うところにいってしまってお互い疎遠になったけど、彼のことを一時だって忘れたことなんてなかった。

なのに

「りゅ...誰その子?新しいお友だち?」

頭が真っ白になった。

私の両親も、小学校の頃のクラスメイトも、数少ない中学校時代の友人も、誰一人彼のことを覚えてない。

卒業アルバムにも、私の携帯の電話帳にも、どこにも居ない。

それを自覚した瞬間、猛烈な頭痛が私を襲ってきた。まるで彼の存在を、私の中から消し去るように。

嫌だ。そんなのいやだ。私のことをたくさん助けてくれた彼のこと、忘れるなんて絶対に嫌だ。

そう思った瞬間、目の前が真っ白な景色に包まれた。









『そも、神の力に他人への想いだけで抵抗するなどありえんことだ。これだけ人の心に自らの存在を打ち立てることができる時点で、君の器の大きさは並みでないということが分かるわけだ』

「そんなことが...」

話を全て聞いた僕はまたもや言葉を失っていた。

異世界に行く僕の存在そのものを消すって言うどう考えても力押しな方法もそうだし、それに抗うぐらい僕のことを想ってくれていた楓にも驚かされた。

正直、死ぬほど嬉しい。けど、だからこそ別れが辛い。これから僕は異世界に行くことになってる。彼女とは二度と会えない。

それを考えるとなかなか彼女にかける言葉が見つから...

『うむ。ではこれから二人を転生させるぞ』

「はい、お願いします!」

ない...って、ん?んん?

「今二人を転生させるって言いました⁉」

『その通りだ。ではな、もし何かあれば神殿に来れば良い。私にできることであれば力を貸そう』

「ちょっと待った!?楓!!どういうこと!!?」

「さぁ、女神様速く‼」

「ちょっと!?なんで急に腕をつかむの!?あなたこんな積極的な女の子でしたっけ!?なんか体も光ってるし⁉」

『では、君たちの新たな旅に幸多からんことを!』

「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

どうやら僕の異世界転生は、一筋縄では行かないらしい。




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