奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

５話 裏切られた理由

『貴方、本当に亜人なの？随分と香りも違うわね』
「…」

そりゃあ私は亜人じゃなく神獣ですし…。というか、この子は～…そうだ。闇オークションみたいな所で売られてた、鷹の獣人だ。名前は～…飛行
タイプはラスボス戦で邪魔にしかならんくて助けて
もラスボス戦に連れてくの辞めたんだったわ…。

『おいお前。コイツに付けてる枷を解いて
もらおうか』

ああ、万が一人間にバレてもいいように付けてた
擬似の枷ね。私が商人役、ルビーが奴隷役で
隠せるように付けてた奴。柔らかい素材でできてるからすぐにでも壊せるけどね、それ。あとは、
コイツらの勘違いをどう解くか…。

「その枷は柔らかい素材でできてる偽物です。
疑ってるのなら切ってみたらどうです？立派な剣があるようですし」
『…ペリドット。私、ごめんだけど、この人に
着いていく。他の獣人さんもいるし、それに…前にいたあの牢に他にも捕まってるかもって。私、助けに行きたい』
「ッ…」

ルビーが裏切るなんて…いや、違う。私が勘違い
していた。あくまでも裏切らないのは主人公とその仲間。その前にできた存在は、最いとも簡単に裏切れるんだ。

「わかった。ルビー、その枷は外し方知ってるでしょ？ちゃんとその人支えるんだよ」
『待て。もしお前が奴隷商人なのなら、ここで
放っておく事はできないな』

そう言って、私の首筋に剣を突きつけてきた。
この子はチーターの獣人だったかな。

「その枷は偽物だって言ったでしょう？違いますよ。私は去りますから」
『ペリドット。これ、あげる。じゃあね』
「…？　あ…」

ルビーが投げてきたのは前まで使っていたマント
だった。黒くて、暗い森の中で姿を隠すには最適
な物。

『ルビー！君が来てくれて嬉しいよ！あの牢獄を
知っているんだろう？連れていっては
くれないか？』
『はい！では、皆さん、ご案内します！』
『…。命拾いしたな』

チーターの獣人はそう吐き捨ててルビーに着いて
行った。疑われた時点で、狐耳とかの姿はもう
見せても無意味だろうから見せなかった。でも、
それが…。

(初めて、裏切られた…)

私を裏切った理由はわかる。ゲームで主人公達は
あの牢獄でペンダントを貰った後、その説明を
ルビーから受ける。それ以外の人物から聞くことは不可能。つまり、主人公はハッピーエンドへの道を歩む為、ルビーを連れて行った。でなければ
ペンダントを付けずに王と戦い、息絶えるだろう
から。

「…マントは貰って行こう」

役には立つし、目立たない。森を抜けても
いいかもな。…もう、気にしないでおこう。
アイツらが死のうが生き残ろうが知ったこっちゃ
ないね。