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21.5話 神獣と眷属
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『ふ~ん…。よくここまで隠し通せたもんだよ
ねえ、ペリドットちゃん?』
「…」
『ずっとダンマリだね。私と話すのは嫌かい?』
「…いえ」
『なら、その無愛想なんとかしないとだなぁ~。
自我があるってわかった以上、眷属にして
おけないし~…』
木でできた扉に阻まれ、周りから盗み聞き等が
されない特殊なバリアが貼られた空間。そこに私はいた。生まれてからすぐ、私は名前と役割、そして感情がある事を理解した。所謂、突然変異だ。
バレて実験とかされたら嫌なので隠していたが、
10年が限界だった。
『よく見ればちゃ~んと銀髪なんだよねえ…。
ヒトガタの子を久々に生成したけど、私もまだ
個体管理が甘いなあ』
「…」
目の前にいるのは私達の主人、フォルフィア様。
長い白髪に金と銀の瞳を持ち、"光と生命を司る"
女神様で、とても慈悲深いひと…神様だ。
『で、ペリドットちゃん?私は君を眷属にして
おけないから、神になるしかないんだけど…』
「嫌です」
『だよねえ~…君はかなり私の為に働いてくれてたもんねえ~…』
例え突然変異であっても、私を創った神様への
忠誠心は誰にも負けない。むしろ感情があるので
誰よりもわかりやすく忠誠心を示せる。
『ねえ、本当に嫌?私の眷属じゃないとダメ?』
「ええ。私の役割は貴方様の仕事を代わりに行う事です。それ以外に何の役割があると?」
『…』
困らせているのは百も承知。だが!私が神になった
とて一体何をすればいいのかわからないのも事実!
だったら今まで通り周りの眷属達みたいなフリを
してフォルフィア様の為に使える方がいい!
ーーフォルフィア視点ーー
「は~っ…」
『…?』
とんでもない子を生み出したもんだ…。こんな頑固になるとは…まあ自我がある証にはなるんだけど
さあ…。そのままにしとくと他の神が勝手に承認
与えたりする可能性がなあ…私の眷属な以上、私が
許可出さないと…
『…』
「はあ…」
でも、この子は拒否している。"嫌だ"って…この子
を消すことはできるけど、そんな事はしたくないし、今後もやらない。私は生命の神だ。命の価値がどれだけあるかなんて分かりきっている。
そして、その命に刻まれた運命も…。
「…!そうだ!いい事思いついた!」
『…?なんですか?』
「一から強くなってみるってのは、どう?」
『…え?』
正直かなりヤバい提案だが、ここまで私を盲目的に信じてるのなら、もうそれを利用するしかない!
「ねえペリドット?どうせ個人として名前あるんなら、地上で最初から始めてみるってのはどう?
楽しそうじゃない?これからは仕事しなくていいんだから、眷属も作っちゃいなよ。動物をヒトガタに変える霊法、使えるでしょ?』
「使えますが、それでどうしろと…?」
『…。君の眷属を作るんだよ!その力で!』
「嫌です!私は貴方様の眷属以外での何者でも
ありません!」
まあそりゃそうなるよねえ。でも!ここは苦しみを乗り越えてでも神になってもらわないといけない!霊法はそのまま、霊力は鍛える毎に増えるように
して、霊力と同じ量の魔力に全属性適正に光属性と闇属性も扱えるようにして~…。あと、身体は~、今の神獣のままでいいや。まあ尻尾は減らすし髪は長すぎるから切らせてもらうけど。
「ペリドットちゃん。どこかで戻るようにはして
あげる。だから…」
『…?』
「ッ…。これは命令だ。私の力で貴方の記憶を封印する。そして、眷属を創り人間界で暮らせ。
時が経ち、私の元まで辿り着けたら、君を私の直属の眷属として迎え入れよう」
『えっ…?え?』
「ふう…。[神法 生命神の試練]。……じゃあ、いってらっしゃい」
『ッ⁈ 待って…待って下さい!フォルフィア様!
私を一人にしないで…』
「ッ…ごめんねッ…こんな事しかできない主人で…」
神法から逃げる事など出来るわけもなく、
ペリドットは姿を消した。そして、あの子が
持っていた霊力を玉状にしたものと、私が切った髪がそこに落ちていた。
「…私の元に来た時に、返してあげよう」
あの子は神獣。私が神として認めた、一個人の、
神獣だ。いつかこの記憶が戻ったとしたら、貴方は私の元に来るのかな?そしたら、勝手に記憶を
封印して、人間界に落とした事に怒って、私を
殺しに来るのかな…?
(どっちでもいい…。でも、約束は果たす)
もしここに戻って来られたのなら、貴方を私の
直属の…突然変異種の眷属として、迎え入れよう。
(どれだけ時間が掛かってもいい。私も貴方も、
死なないのだから)
ねえ、ペリドットちゃん?』
「…」
『ずっとダンマリだね。私と話すのは嫌かい?』
「…いえ」
『なら、その無愛想なんとかしないとだなぁ~。
自我があるってわかった以上、眷属にして
おけないし~…』
木でできた扉に阻まれ、周りから盗み聞き等が
されない特殊なバリアが貼られた空間。そこに私はいた。生まれてからすぐ、私は名前と役割、そして感情がある事を理解した。所謂、突然変異だ。
バレて実験とかされたら嫌なので隠していたが、
10年が限界だった。
『よく見ればちゃ~んと銀髪なんだよねえ…。
ヒトガタの子を久々に生成したけど、私もまだ
個体管理が甘いなあ』
「…」
目の前にいるのは私達の主人、フォルフィア様。
長い白髪に金と銀の瞳を持ち、"光と生命を司る"
女神様で、とても慈悲深いひと…神様だ。
『で、ペリドットちゃん?私は君を眷属にして
おけないから、神になるしかないんだけど…』
「嫌です」
『だよねえ~…君はかなり私の為に働いてくれてたもんねえ~…』
例え突然変異であっても、私を創った神様への
忠誠心は誰にも負けない。むしろ感情があるので
誰よりもわかりやすく忠誠心を示せる。
『ねえ、本当に嫌?私の眷属じゃないとダメ?』
「ええ。私の役割は貴方様の仕事を代わりに行う事です。それ以外に何の役割があると?」
『…』
困らせているのは百も承知。だが!私が神になった
とて一体何をすればいいのかわからないのも事実!
だったら今まで通り周りの眷属達みたいなフリを
してフォルフィア様の為に使える方がいい!
ーーフォルフィア視点ーー
「は~っ…」
『…?』
とんでもない子を生み出したもんだ…。こんな頑固になるとは…まあ自我がある証にはなるんだけど
さあ…。そのままにしとくと他の神が勝手に承認
与えたりする可能性がなあ…私の眷属な以上、私が
許可出さないと…
『…』
「はあ…」
でも、この子は拒否している。"嫌だ"って…この子
を消すことはできるけど、そんな事はしたくないし、今後もやらない。私は生命の神だ。命の価値がどれだけあるかなんて分かりきっている。
そして、その命に刻まれた運命も…。
「…!そうだ!いい事思いついた!」
『…?なんですか?』
「一から強くなってみるってのは、どう?」
『…え?』
正直かなりヤバい提案だが、ここまで私を盲目的に信じてるのなら、もうそれを利用するしかない!
「ねえペリドット?どうせ個人として名前あるんなら、地上で最初から始めてみるってのはどう?
楽しそうじゃない?これからは仕事しなくていいんだから、眷属も作っちゃいなよ。動物をヒトガタに変える霊法、使えるでしょ?』
「使えますが、それでどうしろと…?」
『…。君の眷属を作るんだよ!その力で!』
「嫌です!私は貴方様の眷属以外での何者でも
ありません!」
まあそりゃそうなるよねえ。でも!ここは苦しみを乗り越えてでも神になってもらわないといけない!霊法はそのまま、霊力は鍛える毎に増えるように
して、霊力と同じ量の魔力に全属性適正に光属性と闇属性も扱えるようにして~…。あと、身体は~、今の神獣のままでいいや。まあ尻尾は減らすし髪は長すぎるから切らせてもらうけど。
「ペリドットちゃん。どこかで戻るようにはして
あげる。だから…」
『…?』
「ッ…。これは命令だ。私の力で貴方の記憶を封印する。そして、眷属を創り人間界で暮らせ。
時が経ち、私の元まで辿り着けたら、君を私の直属の眷属として迎え入れよう」
『えっ…?え?』
「ふう…。[神法 生命神の試練]。……じゃあ、いってらっしゃい」
『ッ⁈ 待って…待って下さい!フォルフィア様!
私を一人にしないで…』
「ッ…ごめんねッ…こんな事しかできない主人で…」
神法から逃げる事など出来るわけもなく、
ペリドットは姿を消した。そして、あの子が
持っていた霊力を玉状にしたものと、私が切った髪がそこに落ちていた。
「…私の元に来た時に、返してあげよう」
あの子は神獣。私が神として認めた、一個人の、
神獣だ。いつかこの記憶が戻ったとしたら、貴方は私の元に来るのかな?そしたら、勝手に記憶を
封印して、人間界に落とした事に怒って、私を
殺しに来るのかな…?
(どっちでもいい…。でも、約束は果たす)
もしここに戻って来られたのなら、貴方を私の
直属の…突然変異種の眷属として、迎え入れよう。
(どれだけ時間が掛かってもいい。私も貴方も、
死なないのだから)
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