奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

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21話 違い

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ーーセレス視点ーー


「神から創られても、突然変異すると…?」
『はい…。これはただの言い伝えに過ぎませんが…。神から創られし神獣様は皆、白い体を持ち、聖なる存在として神様の代わりに地に降りて仕事を
行うのです。神は穢れを特に嫌いますからね』

ペリドットさんは神の眷属ではない、と言う事か。
まだ、話の続きがありそうだな。

『ですが、ごく稀に自我や意思を持ち、銀色の体を持って生まれる神獣が存在します。それこそが先程クォーツさんの言った、一個人の獣の神、です』
『…そういえば、ペリドットは銀色の髪だったな。
この国には存在しない系統だから旅人だと
言われて納得していたが…』

兄上の言う通り、この国に銀色の髪を持つ存在は
いない。勿論、亜人を含めてだ。だからこそ、
旅人だと言われればすぐに納得できた。それが
間違いであると…?

『そのような存在が生まれた場合、自我がある事が主人である神に認識され次第、一個人の神として
承認を得る。そして眷属であった頃の記憶を主人が封印し、その神獣は神として暮らす。…私の村での言い伝えはこれくらいです』
「…そうか。ありがとう。…君達は、ペリドットは人間だと思う?」


ーーペリドット視点ーー


『いえ、思いません。そもそも、魔道具を使わずにランクが見えている時点でまずあり得ない事。
魔道具を使った気配もない時点で、なんだかそんな
予感はしました』
『最初、ポンッとランクを言ったのは予め殿下方
から聞いたのだと思っていたのですが…違うの
ですよね』
『ああ、違う。なら、数日前の謎の気配騒動。アレはペリドットさんがやったと?』
『仮に、神獣ならのお話ですが…』

色々とわかってきた…。神獣は普通なら自我を
持たず、意思もないただの人形。神の代わりに
仕事を行うのが役割。でも、自我があるのなら
神として暮らす…。そして、主人だった神から
記憶を封印される…?

〔ねえペリドット?どうせ個人として名前あるんなら、地上でってのはどう?
楽しそうじゃない?これからは仕事しなくていいんだから、眷属も作っちゃいなよ。動物をヒトガタに変える霊法、使えるでしょ?〕
「っえ…?ぁえっ…?」

グラグラと視界が歪み、体が震える。私は立って
いられずに膝をついた。当然、大きな音を立てたので皇子達が扉を開けた。

『ッ⁈ ペリドットさん⁈ 大丈夫ですか⁈』
『ペリドット様!お顔が真っ青ですよ!お部屋に
戻りましょう!』
『僕が運ぶよ。魔法でなら簡単に持ち上げられる
だろうから…』
「ぁ…ッ…待って、様ッ…」

口が勝手に動いて、見知らぬ名前を私は言った。
でも、体は覚えているんだろう。

『フォル、フィア…?それって…』
『この国をあげて信仰している、"光と生命の神"の
名前だ…』

グラグラと歪み続ける視界に体と脳が耐えきれず、私は気絶した。焦っている声を、薄っすらとだけ頭に残して…。
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