奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

文字の大きさ
20 / 46

20話 お話

しおりを挟む
ーークォーツ視点ーー

色々と話し終え、私達は顔を上げた。殿下達は
何とも言えないような表情で考えているよう
だった。

『クォーツ。お前はその神獣の気配を感じたのは
裏庭で間違いないのか?』
「はい。確かに裏庭から感じました。行った時には何もいませんでしたが、微かに神獣や神族のみが持てる、霊力を感じました」
『クォーツは亜人だが、感じ取れるのか?』

むしろ感じ取れなければおかしいのだ。偉大なる
存在の気配を感じ取れずして亜人なぞ名乗れない。

「ええ。亜人でなくとも、異種族であれば気配を
感じ取れます」
『だが、今のペリドットからその~…霊力は感じているのかい?』
「…いえ。何も。ただの魔力しか感じません」

ペリドット様はきっと、何かを隠しているだろう。私達に言ってはくれない、何かを。

ーーペリドット視点ーー

「…♪」
『す~…す~…』

鳥状態をもふもふしてるのもそれはそれでよかったけど、人間の状態で頭を撫でるのもいい…。
そして可愛い…。獣人にしてよかった…あ、でも、後で魔法とかも教えないとだよな~。

「…!」
(魔法書!図書館!行ってみよう!え~っと~…
書き置きかなんか、しておかないと心配するよね)

立ちあがろうとすると、急に服をぐいっと
掴まれた。よく見ると寝ぼけた目でジャスパーが
こちらが見ている。

「あ、おはよう。ジャスパー。私少し出かけて
くるから、寝てていいよ?」
『…僕も行く。主様と一緒がいい』

くっっそ可愛い!いやでも、ただ不安なだけだもんね、きっと。なら一緒にいた方がいいか。

「わかった。鳥の状態になってもらってもいい?
その状態だと説明に困っちゃうから…」
『わかった。鳥になるね』

ポンッと煙が出て鳥に変わり、私は服のポケットに彼を隠し、部屋を出た。

ー移動中ー

(随分とメイドが少ないような…)

お城にしては少ない…?休憩中とか、そもそもここに用がないとか?普通はそうか。用がないところには行かないよね。

「…?」

ぴくりと、隠している狐耳が動いた。私の真横に
ある部屋の中に誰かいる。しかも、話をして
いる。…盗み聞き、してみよ~っと。

『そういえば、君達の言う神獣ってのは、どう
いった存在なんだ?』
「ッ…?」

皇太子殿下…?この時間帯は仕事じゃ…?

『神獣様は、天に存在する神様の眷属。もしくは、神様から認められて、一個人の獣の神となった存在を言います』
『じゃあ、ペリドットさんは神様の眷属と言う事
かい?』

第二皇子殿下…?それにクォーツ?あと、私の話?ヤバいな、絶対バレてる。

『いえ。仮にそうであれば獣としての姿を表して
いますし、あんな風に悠長に話す事はありません』
『どういうこと?』
『…それは、私が住んでいた村で伝えられてきた事に、詳しく話されていたかと…』
『…!マリン、何か教えてくれるか?』

私に記憶がない事と何か関係があるのかな…。
マリンは精霊とのハーフ。神と精霊は深い関係に
あると聞いてるし、それなのかな…?

『神獣様は、神様の力で創られた存在。故に、通常であれば自我も意思もない、ただの獣の形をした
人形に過ぎません。ですが、例外があります。
人間にも、亜人にも存在する、世界を狂わす特殊な存在。…です』
「ッ⁈」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...