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26話 祈祷式
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『ペリドット様。その子は、触ってはダメですか?』
「…? ジャスパーのことですか?」
『え、ええ…。私は、外に出てこなかったので、
動物とかも触った事がなくて…』
カラカラと音が聞こえて来る馬車の中、私は
エメラルドからそう聞かれた。まあ、この質問は
私が答えるべきではない。
「ジャスパー。いい?」
『…ぃやだ』
「そっか。なら、そのままで居てね」
『うん…』
「と、言う事なので、ダメらしいです」
『あら…まあ、その子の意思が優先ですものね』
皇女なのにも関わらずこの優しさ。漫画とかだと
かなり傲慢なイメージあったけど…アレは勝手な
イメージか。現実であるこの世界でもそうとは
限らないよね。
『今のうちに色々と説明することをしてしまい
ますね』
「! ありがとうございます、皇后様」
『ええ。まず、神殿に着いたら中にある椅子に
座り、祭壇に置かれている神器に向かって祈りを
捧げます。この時に声は出さなくて大丈夫です』
「ふむ…。わかりました」
『そして、神官が最後に祈りを捧げると神の使いが
降りてきて、声を聞く。それを私達王族に話す。
それまでが儀式の内容です』
神の使いが降りてくる…か。ペリドットの元友人
とか、居たりするのかな?
「了解しました。私はその中に混じっていればいい感じでしょうか?」
『ええ、そうよ。貴方達二人は別の国から来た王族の双子だと説明済みだから、安心してね』
「ありがとうございます。わざわざそこまでして
いただいて」
『いいのよ、気にしないで!』
『もう直ぐ神殿に着きますね』
ふと窓から見てみると、薄っすらと光が見え、
真っ白な柱が見えてきた。あれが神殿兼、教会と
いう事だろう。
ー移動後ー
『では、王族の皆様、並びに他国からいらっしゃっ
たお二方は、こちらに』
「はい。ジャスパー、行くよ。頑張って」
『うん…!』
ゆっくりと歩きながら奥に進んでいくと、話に
あった祭壇と座る場所らしき空間が見えてきた。
『どうぞこちらに。皆様のお声を届ける為、最前列でお願いしますね』
『わかりましたわ。ペリドット様、こちらに』
「了解です」
全員が着席したのを見届けると、神官は祭壇の方を
向き、こう呼びかけた。
『では皆様。礼を。今から私が、神の声を
お聞きし、そして皆様にお伝え致します』
『…』
『…』
「…」
小さくため息を吐き、私達も下を向く。ただ、今の言葉で大体確信はついた。あの神官、偽物だ。この世界では、神官になるには聖属性の魔法が
使えていなければいけない。それもレベル8まで。
(こりゃあ苦労する筈だ。エメラルドにあったもの
が呪いだと気付けないのも納得だよ)
色々と考えていると、瞼の裏に光を感じた。照らされている感覚がし、少し顔を上げると、祭壇の近くに誰かが立っているのがわかる。でも、何かおかしい。
(誰だあれ…。人じゃない…白い狐?)
神官は相変わらず祭壇に向かって祈っているが、
私はその狐のようなヒトガタに目が離せない状態
だった。ふと、その存在はこちらが見ている事を
知ったのか薄く微笑み、テレパシーのようなもので
こちらに話しかけてきた。
[こんばんは、ペリドット。貴方に言伝が
あります。『今夜寝た後、伝えることが色々と
ある。今日だけは誰とも一緒に寝てはダメ。
ジャスパーとも。もし守れないんなら、約束を
破る』だそうです]
(…え?え?…ま、まあ?今日一人で寝ればいいって事だよね?それだけなら、いいけど…)
色々と疑問点はあるが、取り敢えずこくりとその子に頷いた。理解できたのか、彼女は祭壇に
向かって行き、最後にこう言った。
[もし神の世界に帰って来るのであれば、私がまた
教えます。帰ってこないのなら、こちらから
ちょっかい掛けに行きますからね。では、また]
「…?うん…うん?」
『皆様!声が聞けましたよ。お顔をあげて下さい』
『神は、なんと?』
『はい、皇帝様!神は…』
その後、ごちゃごちゃ言っている神官は頭に入ら
なかった。さっき言ってきた言葉が頭から離れない
のだ。
(なんであの神獣は、"また"って言ったの?忘れて
いる記憶の中にヒントがあるの…?)
変な爪痕を残されて、私は眠る時まで考えるしか
できなかった。
「…? ジャスパーのことですか?」
『え、ええ…。私は、外に出てこなかったので、
動物とかも触った事がなくて…』
カラカラと音が聞こえて来る馬車の中、私は
エメラルドからそう聞かれた。まあ、この質問は
私が答えるべきではない。
「ジャスパー。いい?」
『…ぃやだ』
「そっか。なら、そのままで居てね」
『うん…』
「と、言う事なので、ダメらしいです」
『あら…まあ、その子の意思が優先ですものね』
皇女なのにも関わらずこの優しさ。漫画とかだと
かなり傲慢なイメージあったけど…アレは勝手な
イメージか。現実であるこの世界でもそうとは
限らないよね。
『今のうちに色々と説明することをしてしまい
ますね』
「! ありがとうございます、皇后様」
『ええ。まず、神殿に着いたら中にある椅子に
座り、祭壇に置かれている神器に向かって祈りを
捧げます。この時に声は出さなくて大丈夫です』
「ふむ…。わかりました」
『そして、神官が最後に祈りを捧げると神の使いが
降りてきて、声を聞く。それを私達王族に話す。
それまでが儀式の内容です』
神の使いが降りてくる…か。ペリドットの元友人
とか、居たりするのかな?
「了解しました。私はその中に混じっていればいい感じでしょうか?」
『ええ、そうよ。貴方達二人は別の国から来た王族の双子だと説明済みだから、安心してね』
「ありがとうございます。わざわざそこまでして
いただいて」
『いいのよ、気にしないで!』
『もう直ぐ神殿に着きますね』
ふと窓から見てみると、薄っすらと光が見え、
真っ白な柱が見えてきた。あれが神殿兼、教会と
いう事だろう。
ー移動後ー
『では、王族の皆様、並びに他国からいらっしゃっ
たお二方は、こちらに』
「はい。ジャスパー、行くよ。頑張って」
『うん…!』
ゆっくりと歩きながら奥に進んでいくと、話に
あった祭壇と座る場所らしき空間が見えてきた。
『どうぞこちらに。皆様のお声を届ける為、最前列でお願いしますね』
『わかりましたわ。ペリドット様、こちらに』
「了解です」
全員が着席したのを見届けると、神官は祭壇の方を
向き、こう呼びかけた。
『では皆様。礼を。今から私が、神の声を
お聞きし、そして皆様にお伝え致します』
『…』
『…』
「…」
小さくため息を吐き、私達も下を向く。ただ、今の言葉で大体確信はついた。あの神官、偽物だ。この世界では、神官になるには聖属性の魔法が
使えていなければいけない。それもレベル8まで。
(こりゃあ苦労する筈だ。エメラルドにあったもの
が呪いだと気付けないのも納得だよ)
色々と考えていると、瞼の裏に光を感じた。照らされている感覚がし、少し顔を上げると、祭壇の近くに誰かが立っているのがわかる。でも、何かおかしい。
(誰だあれ…。人じゃない…白い狐?)
神官は相変わらず祭壇に向かって祈っているが、
私はその狐のようなヒトガタに目が離せない状態
だった。ふと、その存在はこちらが見ている事を
知ったのか薄く微笑み、テレパシーのようなもので
こちらに話しかけてきた。
[こんばんは、ペリドット。貴方に言伝が
あります。『今夜寝た後、伝えることが色々と
ある。今日だけは誰とも一緒に寝てはダメ。
ジャスパーとも。もし守れないんなら、約束を
破る』だそうです]
(…え?え?…ま、まあ?今日一人で寝ればいいって事だよね?それだけなら、いいけど…)
色々と疑問点はあるが、取り敢えずこくりとその子に頷いた。理解できたのか、彼女は祭壇に
向かって行き、最後にこう言った。
[もし神の世界に帰って来るのであれば、私がまた
教えます。帰ってこないのなら、こちらから
ちょっかい掛けに行きますからね。では、また]
「…?うん…うん?」
『皆様!声が聞けましたよ。お顔をあげて下さい』
『神は、なんと?』
『はい、皇帝様!神は…』
その後、ごちゃごちゃ言っている神官は頭に入ら
なかった。さっき言ってきた言葉が頭から離れない
のだ。
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