夕暮れカフェ◆ 公園通り恋物語◆

まゆら

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潤い補給してみる?

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ここは、月雲の厨房です。

凪は難しい顔をしながら何やらブツブツ呟いておりますが、どうしたのでしょうか。

「潤いが足りない…潤いがぁ…

うーん、豚なの?鶏なの?

コラーゲンペプチド…

お肌トゥルトゥルンになあれ!

よし!これだ」



お肌の潤い?

心の潤い?

どちらでしょうね?


ブツブツ独り言を言いながら、大きな蒸し器に何やら放り込んだ。

その後、高速でキャベツの千切りをする凪に恐れをなしたのか、キッチンスタッフは無言でそれぞれの仕事に専念している。

店主である夕凪は、仕込み中によく自分の世界に入るのだ。

(凪さん…見た目は普通の女子なんだけどなぁ)

(あゆさん、早く来ないかなぁ…今日の段取り確認したいのに、凪さん、遠くに逝ってるし…)

彼らは、凪の幼なじみであるあゆが出勤してきてくれるのを心待ちにしながら、黙って仕込み作業を続けるのだった。

◇◇◇◇◇

「おはようございます」

(ようやく、俺らの救世主が来た!)

(あゆさん!待ってた)

「「おはようございます!」」

「あゆ、おはよう。ちょっと来て!

今日の女子会のコースはこれで行きたいんだけど…」

「凪ちゃん、ちょっと待って!

着替えてくるから」

デート帰りだったのか、いつもより女っぽいピッタリしたシルエットのニットワンピースを着ている彼女をさりげなく観察していた男子ふたりは…

(あゆさん…可愛いだけじゃなくスタイルも最高)

(あゆさんの彼氏になりたい人生だった)

顔を見合わせながら心の声をだだもれさせている。

「ふたりとも、あゆに見とれてないで手を動かしてよ!

今日は女子会の予約三組あるから、気合い入れていくからね?」

「女子会って言いながら、マダムしか来ないって事ないですよね?

まぁ、美魔女なら全然つきあえますけど…」

「えっ?どうしよ?また、お客さんに一目惚れされるわ俺」

月雲の男性スタッフ…ダメダメかもしれない…



制服に着替えたあゆが厨房に入って来たので、ミーティングが始まる。

「本日は、電話で問い合わせがあっても全てお断りして下さい。

キャンセルが来ても、直ぐに予約は受けないで、あゆに確認してね。

十九時から、女子会三組と宴会二組。

コースになっているから、追加注文が入るまでは流れ通りで…

真也さんとレナちゃんが入ってくれるので、ドリンクとオーダーは任せたらいいから」

「凪ちゃん!コース料理の確認していい?

宴会チームは、同じコースだよね?

女子会は?セレクトメニューとレディースプランともう一組は何も書いてないけど…」

「それがさぁ、お肌が美しくなる料理尽くしでお願いって言われて悩んでて…

地鶏の水炊きは決定なんだけどね、
焼き豚足、豚耳の酢の物とか、見た目たで無理って人もいるでしょ?」

「確かに…見た目グロいよね。

豚足は…美味しいし、食べた次の日の肌の調子良くなるのは間違いないんだけどねぇ。

ねぇ、凪ちゃん!アレよ、アレ。

たまに賄いで作るアレ!」

「豚足のトマト煮込み?

アレなら豚足の骨外せばグロくないわね。

野菜たっぷりにしてミネストローネっぽくしたらいけるかも!

あゆ有難う!

ブロッコリー、ペコロス、ミックスビーンズ入れて仕上げにココナッツミルクでいいよね!

ココナッツミルクもお肌にいいし…」

「ココナッツオイルの生チョコもいっちゃいましょ?

ドリンクもココナッツミルク使ったカクテルとか…」

「後は、酒粕ピザと甘酒入りホットヨーグルトもオススメしようかと…」

「えー。私食べた事ないヤツ…気になる…」

「酒粕ピザすぐ作れるけど…賄いで食べる?ドリンクは、混ぜて温めるだけだから自分で作って味見して?

甘酒が七でヨーグルト三の割合がちょうど良かったけど好みがあるから、自分で調節してみて」

「うん!美肌になるコース好評だったら定番メニューにしようよ。

私も食べてみたいし…」

「そうだね。ちょっと豚足煮込み味見して?

トマトの酸味キツい?ココナッツミルクで緩和されるからこの位にしとく?」

「いい味!私は好き!」

凪さんとあゆさんが…

ずっとイチャイチャしてるんだけど…とふたりをチラ見しながら、コース料理の下ごしらえをしている二人の男性。

ふたりに名前がつくのかは、まだ決まっていない。















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