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担任らしい男性教師が入ってきたので、認識阻害を少し弱めにしたアイラである。


せっかく来たのに、いないと思われても困りますからね。


Aクラスは、高位貴族で溢れていてアイラは思わずみんなうちの太客になってくれ!と祈っていた。


アイラはつるむのが苦手なので、特に親しい友達を作る気はないのだ。


マイヤーズ商会の太客は欲しいが友達はいらない、何故かと言えば…


友達付き合いより、商談が好きだからだ。


アイラは、15歳の貴族令嬢の平均値からかなりズレた令嬢なのである。


そんな、アイラなので前の席に王太子が座っていても、隣に隣国の第3王子が座っていても知らん顔である。


さっきまで、アイラと念話していたレイモンドは密かにアイラを観察し、自国の王太子にも興味無しなんだなぁ…


アイラ姫は男嫌いなのかなぁ?と勝手に分析していた。


アイラは、周りをさりげなく見回して王太子の隣の席が側近で魔導具オタクのカイルである事を確認すると…


よっしゃあ!!


魔導具オタクの太客もゲットだぜ!とウキウキしていた。


そんな中、窓際の席の前の方から自己紹介が始まっていた。


自己紹介かぁ…


言う事特にないから店の紹介しとくか。


アイラは、クラスメートの情報収集をすべく耳を澄ますのだった。


王太子の長めの自己紹介が終わり、次はアイラの番である。


「皆様初めまして。

アイラ・マイヤーズと申します。

マイヤーズ商会王都店では、新生活に必要な生活用品から新しいゲーム、スイーツなど皆様のニーズに合わせた商品を取り揃えて皆様のご来店をお待ちしております」と店の紹介をしてお辞儀をして着席した。


そんなアイラの自己紹介を聞いて笑っているのは、隣の赤髪王子である。


えっ?


私の自己紹介面白くなかったよね?


何で笑われたのかな?


赤髪王子に笑われて納得がいかないアイラであった。


私の事を笑っておいて、どんな自己紹介をするのかしら?


聞いてやろうじゃないの!


笑われたアイラは不貞腐れたようだ。


「王国の皆様、初めまして。

隣国からやってきた愛の伝道師レイモンドと申します。

愛について語り合いたい女性諸君は遠慮なく話かけてください。

ただいま、婚約者も募集しておりますので我こそはという方がいたら是非声をかけてください」


ちょっと…


この人、真面目な顔して愛の伝道師とか言ってるけど大丈夫かな?


こんなとこで婚約者まで募集するとか…


王子自ら婚約者を募集するって…


アーライでモテなかったのかしらねぇ。


アーライは確か、最強な方が神王になるんだったわね。


レイモンド殿下って強いのかしら?


変な自己紹介が案外アイラの興味をそそったようである。

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