聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第一部 第三章

努力~生まれ変わるために~

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五日後の結婚式の為、母親が滞在している長崎のホテル着いたのだが、
翔のケガだらけの姿を見た母親と高村さんは当然のように大騒ぎになった。
問答無用で翔を近くの大学病院に連れていった。
翔のケガは思っていたより重傷で5針以上の縫合やヒビ等の骨折していた部位もあった。
そのまま安静のために入院することになった翔であった。

翔からケガの経緯の話を聞いた病院の先生から説明受けた母親は、
翔が学校で複数の人からイジメにあっていた事を初めて知ったのであった。
母親と高村さんは学校を訴えるつもりだったが、訴える事で華那恵に嫌な思いをさせる
可能性があると思った翔が訴える事を頑なに嫌がった。
ただ、高村さんの提案で学校側に連絡をし、翔の転校先は誰にも伝えない事を約束させた。

一時退院し結婚式に参列する翔であった。
派手な披露宴はせず、施設内の教会で挙げる結婚式であったが、
なぜか母親よりも初めての教会の雰囲気に緊張する翔の姿があった。
神聖的な雰囲気の中結婚式は行われ、母親の恥ずかしそうに照れる幸せそうな表情と
結婚式の前に母親から妊娠していることを伝えられた事を思い出し、
自分自身も幸せな気持ちになる翔であった。

結婚式の後、翔の事が心配で長崎に残るといった母親を身体に障るからと父親と説得して
二人は先に沖縄に戻ってもらった。
念のため2週間ほど入院をした翔は一人で退院し、これから生活をする沖縄の自宅へと向かった。

新たな生活の場である沖縄の地で翔がまず始めたことは、自分自身を鍛えることであった。
自分の身体を鍛える事と勉強もできるようになりたいと考える翔であった。

怪我をしていた事もあり、新しい学校へ転入するのは2年になってからとなっていたが、
両親は翔の気持ちを考えて翔の気のすむまで休んでよいと言ってくれた。

翔は、午前中と夕方からは家族に頼んで家庭教師をつけてもらい英会話を含むすべての教科の
勉強を教えてもらいながら早朝は砂浜のランニング、午後は砂浜での筋力トレーニングと
猛勉強と身体を鍛える事を中心に毎日を過ごしていった。

新学期が始まっても学校に行かず、トレーニングと猛勉強に励んでいった。

翔の両親も毎日頑張っている翔に何も言えず、ただ黙って見守っているのであった。
毎日の走り込みのおかげで太っていた身体は瘦せてきて筋力もついてきていた。
身長も少し伸びてきたおかげで翔の見た目は沖縄に来たばかりの時とはかなり変わってきていた。
身体も動くようになった翔は、隆二の格闘をまねるように、ネット等で格闘技の映像を観て
やり方を自分で覚え、見よう見まねで手足を繰り出す事も日課になっていった。

「アナタツヨく、なりタイのデスか?」

翔が浜辺で一人、手足を繰り出す練習に励んでいると一人の見知らぬ外人が声をかけてきた。
日本語で話しかけてきたのだが、少し変なイントネーションだった。

「アナタ、まいアサ、ココでヒトリでハシってまスネ?
 ヒトリで、KARATE(カラテ)のヨウなことしてマス。デモそれじゃだめデス。
 ヒトリじゃツヨくはナレなイ」

「あなたは?」

「わたし、カプランいいマス。 ソコの、ベース(米軍基地)で、ソルジャー(兵隊)たちニ、
 マーシャルアーツ(戦術格闘技)オシエていマス。
 アナタ、ソシツ(素質)あるミたいネ? わたし、アナタにマーシャルアーツ(戦術格闘技)を
 オシえタイとオモいマス」

男はカプランと名乗り、米軍の沖縄基地(ベース)の中で兵隊達に戦術格闘技を教えてる師範だった。

翔はその日から毎日、昼からベース(米軍基地)に通うことになった。

カプランが教えている米軍の兵隊達は気さくで陽気な人が多かった。
中には日本人である翔の事を快く思っていない兵隊もいたが、
翔が真面目に格闘技を習いにきては、日に日に強くなっていくのを
見ている内に家族のように可愛がるようになっていった。

格闘技の練習の合間にバスケットやテニスを教えてくれたり、
軍が休みの日には、翔を自宅に招待してくれ
て、一緒にプールにベースボールにと遊んでくれたりしてくれた。

そのおかげで、翔の英語力はメキメキと上達して行き、
2ヶ月後には日常の英会話ぐらいなら話せるようになっていった。

翔の両親はそんな翔の姿を見て、翔を普通の中学校に通わせるのを止めて、
インターナショナルスクールへの転入をさせることにした。

翔はインターナショナルスクールに通いながら、毎日トレーニングを続けていった。

成長期で身長が伸びた事と筋力トレーニングのおかげで、
細マッチョな均整の取れた身体つきになっていった。
もうすでに昔の翔の面影はどこにもなくなっていた。

インターナショナルスクールの成績の方も、毎日の猛勉強とベ-ス内での
生きた英会話が役にたってか、みるみるうちに上がっていった。

成長期に充実した施設でのトレーニングは翔の上達を早めていった。

基地(ベース)内にカプランの生徒の一人であるディーンと言う若い男がいた。

ディーンは兵隊ではなく、ベース内のクラブで演奏をしている本国では
結構名前の売れている若手ミュージシャンの一人であった。

翔はディーンに頼み込み、練習の合間をみてギターを教えて貰い始めた。

ディーンは一度教えると必ずモノにしてくる翔の音楽の才能に惚れ込み、
翔に高度なギターのテクニックをさらに教え込んでいった。

「隆二のような男になりたい。」

その想いも手伝って、翔は血の滲むような努力で、ギターに格闘技に勉強にと励んでいった。

翔は自分が挫けそうになると、昔の自分の事を思い出し自ら闘志を奮い立たせ、
さらに身体を虐めて鍛え上げていった。





ポンポン…
「ギ、ギブアッ…プ…」

翔よりも身体の大きい男が、翔に投げ飛ばされて蹴りを入れられその場で半回転した後、
腕を決められた状態でギブアップを伝えるながら翔の身体を2回叩いた。

「ショウ!ベリーグッド! ツヨクなったネ!サイゴのキックはサイコだったネ。 
 ベースNo1(ナンバーワン)のジョンにカテレバもうダレにもマケないネ!」

カプランが翔に近づきながら身体を抱きしめ嬉しそうに言う。

「格闘だけじゃなく、ミュージックもすごいからね!」

側にいた、ディーンも翔の事を自分の事のように喜んで言って来る。

日本でいう高一の終わり頃になると、翔はインターナショナルスクールの学年の中で
一番の成績を取り続け、スポーツもできる優秀な生徒になっていた。

他の生徒の面倒見も良く明るくなった性格のお陰で人にも好かれ、男女問わず友達も多くできていた。

私生活においても週末の夜はベース内のクラブでディーンと共にステージに上がり演奏をこなし、
格闘技に至っては米軍の猛者達と肩を並べるくらいの実力を持つほどの男に成長していた。

その顔つき体型からは昔の面影が何一つ無く、自信に満ちあふれている立派な青年の姿になっていた。

翔は華那恵が通っている学園に転校する事を、カプラン達に話した。

「ソウか、ついにイクのか… ショウ、サミしくナルネ。」

「翔! 全部終わったら彼女を連れて遊びにおいで。」

翔の事情を知っているカプラン達は翔の事を誰も止めなかった。

翔はカプラン達に再会を約束し、沖縄を離れる決意をした。

「翔。お前の努力は父さん達が一番知っている。
 母さんと妹のことは心配しないで安心して行ってきなさい!」

父が翔の身体を抱きしめ言ってきた。
父と二人で、反対する母親を何とか説き伏せ、故郷に住む叔父に後見人になってもらい(叔父の経営
するライブハウスで、アルバイトをすることを条件に…)
翔の生まれた街に戻る事になったのであった。

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