聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第一章ⅩⅥ

雪乃Ⅱ~初デートⅡ~

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食事の後、二人は繁華街に
繰り出していた。

「うわぁ…可愛い洋服…。
 翔さん。これ可愛いですよね…?」

「そうだね…可愛いよな…。
 …雪乃ちゃんに似合うかも?」

「えっ…そ、そうですか…?」

「ああ……似合うと思う。
 ゆっくり見てきたら……?」

「えっ……でも……」

「いいから行っておいで……
 俺ここで待っているから……」

「えっ? でも、それじゃあ…
 …翔さんに悪い……」

「いいからいいから……」

「あっ」

翔は遠慮しがちの雪乃の背中を
押しながら、店の前に送り出す。

雪乃は申し訳なさそうに店の中に
入っていった。

ウィンドウ越しに雪乃の顔を
見ている翔。

雪乃は真剣な面差しで洋服を
見ていた。

「ははは……。
 雪乃ちゃん真剣な顔で洋服を
 見てら……なんかいいよな……。
 彼女の真剣な顔って………」

翔はそんな雪乃を見ながら一人
呟いていた。

雪乃が店から出てくるのを待って、
二人はゲームセンター遊びに行った。

雪乃はゲームセンターに来るのが
初めてだったらしく、はしゃぎまくり
ながら翔と楽しんでいった。

格闘ゲームやレーシングゲーム、
シューティングゲームはさすがに
初めてなので弱かったが、
音楽系のゲームには何かハマル物が
あったらしく、初心者なのにハイスコアを
叩きだし翔を驚かせた。

「うふふ……あたしの勝ちです」

得意そうに胸を反らしながら
嬉しそうな表情の雪乃。

(………。…マジに悔しい………
 まさか雪乃がこんなに音ゲーに強いとは
 思わなかった…)

「雪乃ちゃん…もう一回……勝負だ……」

「うふふ……いいですよ」

 ・
 ・
 ・

(……………負けた………。
 ちくしょう…やっぱり…勝てねえ……)

翔は何度も勝負を挑んでは敗れ去った
のであった。

二人は時間を忘れるように
遊びまくっていた。





いつの間にか雪乃は翔と腕を組み、
歩くようになっていた。

辺りが暗くなり、雪乃の自宅まで送る
途中、近所の公園に立ち寄る二人。

「わあー!懐かしい!
 昔から、変わってないこの公園!」

雪乃は、誰もいない夜の公園で
はしゃぎまくっていた。

「そうなの?でも、公園がコロコロと
 形を変えたら困るよね?」

「もう、翔さん。すぐそうやって
 あたしの揚げ足とる……
 いじわるです!」

「ごめんごめん、怒んないで」

「ふふっ、だめです。ゆるしませんっ」

「なんだよ、あせるじゃないか?」

「うふふっ……。
 でも…翔さんって…いいな!」

「雪乃ちゃん…?」

公園のベンチに座り、話し出す雪乃。
その横に翔も座る。

「だって…あれから…すぐに…
 グリフォのメンバーに
 加わってるんだもん!」

「雪乃ちゃん!」

「あたしも何時か…、玲子さん達と
 一緒に演奏できるかな?」

寂しそうに話してくる雪乃であった。

雪乃と翔の憧れの人がいるバンド、
それがグリフォであった。

翔はメンバーに加わることになった
その日にAQUAに向かい雪乃に
会って報告していた。

「雪乃ちゃんっ!」

「あれ?翔さん、どうしたんですか?」

「俺、グリフォに入ることに
 なったんだ!」

「えっ!? そ、そうなんですか?」

「ああ。チョット事情があって、
 隆二さんから一緒やろうって
 言って貰えて…」

「そうなんですか?」

「俺もう嬉しくて。
 雪乃ちゃんに一番に知って
 もらいたかったから、
 飛んできたんだよ」

「おめでとうございます!
 あたしも嬉しいです」

「ありがとう。
 雪乃ちゃんなら絶対、
 喜んでくれると思ったんだ」

「ふふふ。当たり前です。
 翔さんよかったですねっ!」




翔はその日の事を思い出していた。

(あのときも…雪乃はまるで自分の
 ことのように喜んでくれた…。

 雪乃もグリフォに加わりたいはず
 なのに…玲子さんと一緒に
 演奏したいはずなのに……)

 ぎゅうぅ…

「あ……」

「雪乃ちゃん……」

翔は雪乃の身体を思わず抱きしめていた。
雪乃の頬に涙が零れていく。

「翔さん…………苦しいよ…」

「ご、ごめん……。雪乃ちゃん!
 いつか…きっと…夢がかなうよ」

「かな…かなうかな……あたしの夢…」

「ああ…かなう!必ずかなう!
 そして…俺と雪乃ちゃんが
 ずーと…一緒に演奏していくんだ!
 …約束するよ!」

「うふふ…約束って翔さん。
 それってなんかプロポーズみたい
 ですよ……うふふ」

雪乃は翔の優しい言葉が嬉しかった。
そして、翔に改めて抱き付いてきた。

「……? …雪乃ちゃん?」

「翔さん待っててね?
 あたしきっと、翔さんと一緒に
 演奏するから」

  チュッ…

雪乃は翔の頬に自分の唇を
押し当ててきた。

「雪乃…?」

雪乃は目をつむり、
わずかに身体を震えさせている。
雪乃の身体を抱きしめる
翔の腕に力が入る。

「翔さんごめんなさい。
 そして、今日はどうもありがとう!
 また誘って下さいね?」

身体を離し、頬を紅く染めながら
笑顔で話しかけてくる雪乃。

「あたしの家、ここから直ぐだから、
 もう、ここでいいです!」

「雪乃!」

照れながら、去ろうとする雪乃を
呼び止める翔。

「俺も楽しかった…。ありがとう。
 雪乃が休める日…またデートしよう。
 三週間後にいいか?」

「翔さん…。ハイ!空けておきます!
 よろしくお願いします!
 …それじゃ…お休みなさい!」

雪乃は元気よく翔に挨拶し、
自宅の方へ走っていった。

「雪乃……」

翔の頬には、雪乃のぬくもりがまだ、
残っていたのであった。



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