聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

文字の大きさ
60 / 121
第二部第一章 act.55

史絵~華那恵と蓉子~

しおりを挟む
次の日の昼休み。
翔はいつものように屋上に来ていた。

「…………もう夏だな……」

(昼飯も食って……こうして…
 屋上に上がってくると風の感じが
 なんとなく変わったような
 気がするよな……。

 ……………。
 夏が近づいて来たって感じがする)

空を見上げながらしみじみと呟く翔。

「………もうすぐ…夏が来るんだなぁ…」

「………気持ちいいですね……」

「………!? 史絵ちゃん?」

突然声を掛けられ、入り口の方に振り
返るとそこには笑顔の史絵が立っていた。

史絵は笑いながら近づいて来て、
その横に並んで翔の顔を見ながら
話しかけてくる。

「ふふふ……。翔くんこんにちわ」

「こんにちわって…史絵ちゃん一人?
 華那恵ちゃんや蓉子は?」

「私……一人ですよ……。
 華那恵ちゃんと蓉子ちゃんは…
 仲良く教室でお話ししてます……」

「……………そう」

(そうか……二人で仲良くか……
 もう大丈夫だよな?)

翔は教室で仲良く笑いながら話して
いる華那恵の姿を思い浮かべていた。

「史絵ちゃんは?」

「私は翔くんに用事があって……
 屋上に来たんです」

翔の質問に微笑みながら答える史絵。

「……俺に?」

「……はい」

「翔くんにですね…
 お聞きしたいことがありまして…」

「…………なに?」

「はい。翔くん…テニス部に
 入部されたのですか?」

「はい?」

史絵の唐突な質問に思わずひょうきんな
声をあげる翔であった。

史絵は少し可笑しそうに笑いながら
言ってきた。

「ふふふ…。いえ…ココ最近。
 ずっとテニス部で練習されている
 みたいでしたから…」

「えっ? ああ、あれは…桜庭…
 テニス部の部長に頼まれて、
 瑠璃ちゃん…部員の一人を指導してる
 っていうか…テニスを教えてるって
 感じかな?」

「えっ? そうだったんですか?
 桜庭くんって…E組の桜庭球児くん
 ですよね?」

「へえ~桜庭ってE組だったんだ…って、
 史絵ちゃん桜庭の事知ってるの?」

「はい、知ってますよ~。
 よく図書館に御本を借りに来てます
 から…。とても勤勉家な方ですね~」

「へっ? 勤勉家?」

(勤勉家…って普段の桜庭から
 まったく想像できないが…
 同一人物…だよな?)

史絵から聞く桜庭の情報が
信じられない翔であった。

「たしか…。英語も堪能でして…
 よく英語の御本を借りていってます。
 海外留学のご経験もあると思いますよ?」

「え、英語が? ペラペラなのか?」

「同じクラスの図書委員の方の話だと、
 英会話もできるそうですよ?」

「ま、マジっすか…?」

(ますます…信じられない。
 本当にあの桜庭か?)

「ふふふ。もっとも、借りていく御本は
 テニス関連の御本ばかりですけど…」

「……やっぱり。あの桜庭の事だった…。
 じゃあ、留学ってもしかして…
 テニス留学なのか?」

「ふふふ、はい。そのようですね~」

未だ桜庭の事が信じられない翔の反応が
可笑しくて笑っている史絵だった。

「…………」

華那恵の件から翔の前でよく喋り、
よく笑う史絵の姿があった。

翔はそんな史絵の表情を黙って
見つめていた。

「ところで史絵ちゃん。
 よく俺がテニス部の練習に顔を出して
 いるって気が付いたね?」

「あ、はい。 華那恵ちゃんと
 蓉子ちゃんと三人で下校する時に、
 よく見かけましたから…」

「えっ三人で? 史絵ちゃん…。
 毎日そんなに遅くまで図書館にいるの?」

「えっ?あ、いえ…わたしと蓉子ちゃん…
 華那恵ちゃんに頼まれて演劇部の
 お手伝いをしているんです。
 それで…毎日三人で帰っているんです」

「えっ?史絵ちゃん演劇部に入ったの?」

「いえ。全国大会までの臨時です。
 わたしの脚本の関係でお手伝いする
 ようになって…。蓉子ちゃんは
 マネージャーをしています」

「そっか、全国大会か…。
 たしか来週の週末だったっけ?」

「はい。 来週の土曜日に京都で
 開催されます」

「わたしも蓉子ちゃんも
 一緒に行くことになったんです」

「そっか…楽しみだね?」

「ふふふ、はい。楽しみですよ~。
 翔くんにはお土産を買ってきますね?」

「ははは。 楽しみにしてるよ」
  
「ふふふ……。 じゃあ……私…。
 教室に戻りますね?」

「ははは。
 じゃあ、あとで教室でね?」

「ふふふ。はい」

史絵はそう言って、笑顔で離れていった。

(…………史絵ちゃんもいい子だよな……。
 なんだか……ほんわかしていて……。
 でも…なんで…テニス部に入部したかを
 わざわざ確認しに来たんだろう?)

翔は去っていく史絵の後ろ姿を見ながら
思っていた。

 。
 。
 。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。 本宮 のい。新社会人1年目。 永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。 なんだけど。 青井 奏。 高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、 和泉 碧。 初恋の相手らしき人も現れた。 幸せの青い鳥は一体どこに。 【完結】 ありがとうございました‼︎

アラフォーリサの冒険 バズったSNSで退職からリスタート

MisakiNonagase
恋愛
堅実な会社員として働いてきた39歳のリサ。まだまだ現役の母親と二人暮らしで高望みしなければ生活に困ることはなく、それなりに好きなことを楽しんでいた。 周りが結婚したり子育てに追われる様子に焦りがあった時期もあるなか、交際中の彼氏と結婚の話しに発展した際は「この先、母を一人にできない」と心の中引っ掛かり、踏み込めないことが続いてきた。 ある日、うっかりモザイクをかけ忘れインスタグラムに写真を上げたとき、男性から反応が増え、下心と思える内容にも不快はなく、むしろ承認欲求が勝り、気に入った男性とは会い、複数の男性と同時に付き合うことも増え、今を楽しむことにした。 その行動がやがて、ネット界隈で噂となり、会社の同僚達にも伝わり… リサは退職後、塞ぎ込んでいたが、同じような悩みを抱えていたカナリア(仮名)と話すようになり立ち上がった。ハローワーク経由で職業訓練を受講したり、就活したり、その間知り合ったり仲間と励まし合ったり、生きる活力を取り戻していく… そして新たな就業先で、メール室に従事する生涯枠採用の翔太という男性と知り合い、リサの人生は変わる… 全20話を予定してます

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。 その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに! 戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

処理中です...