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第二部第一章 act.62
-隆二の心の叫びー…翔の心の痛み…
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「翔…雪乃ちゃんは?」
みんなが寝静まった後、隆二達の寝室から
リビングに戻ってきた翔に
隆二が聞いてきた。
「大丈夫です……。
落ち着いて玲子さんのベッドで寝てます。
玲子さんすみません。
ベッドをお借りしちゃって…。
それと…隆二さん…玲子さん……。
今日はご迷惑をかけました」
翔は二人に向かって深く頭を下げた。
「そんなこと、気にしなくてもいいのよ…。
翔くん。
今日は隆二のベッドで休んでね?
私たちは隣の部屋で休むから…」
「えっ? でもそれじゃ……」
「遠慮しなくていいから。
それよりも……雪乃ちゃんのこと…
気を使ってあげてね?
私のときなんかよりずっと怖い思いを
したんだから……」
玲子が心配そうな顔をして翔に言ってきた。
「………はい。わかっています」
翔は玲子の顔を見て答えた。
「翔……ちょっと……いいか?」
「……はい」
隆二は真面目な顔で翔を呼び部屋を出て行く。
翔とはその後をついていった。
玲子は雪乃の側にいるために、
そのまま部屋に残ってくれた。
・
・
・
「翔、俺が何を言うか…解っているな…」
翔の部屋でコーヒーを啜りながら
隆二が口を開いた。
「解っています…。今回の雪乃の件は
俺のせいです…。俺が…復讐なんて
馬鹿げたことをしたから…
雪乃を巻き込んだ…。
そして…雪乃が…俺の替わりに…」
うなだれながら話す翔に、隆二は淡々と
語りはじめた。
「翔、俺は…この前お前の話を聞いて…
言ったよな…?賛成出来ないって…。
憎しみからは…何も生まれない…
残るのはもっと深い憎しみだけだ…。
蓉子ちゃんの話によると…今日…あの女が
集めた男達は、ほとんどが昔お前の事を
虐めてたやつだよな?」
「……………………。良く解らないけど……
多分そうだと思います……」
「…………で? どうだ?
昔のお前を虐めた奴らをやっつけて…
気持ちよかったか?」
「!?」
(………………。俺は……………)
「………いいえ」
翔は静かに首を横に振った。
「翔…お前は確かに…強くなったよ…。
もしかしたら…この俺よりも
強くなったかもしれない…。
だけど…お前の復讐の相手が俺で…
お前と俺が戦ったら…最後に立っている
のは…。いや、勝つのはこの俺だ!
…その意味が解るか?」
翔はブンブンと首を横に振った。
「俺は…お前は肉体的に強くなったが…
精神的には弱くなった…と思っている」
「隆…隆二さん…」
隆二の言葉に唖然とする翔。
「今日のお前を見ていて…。
今のお前よりも…数年前に…
彼女…華那恵だったな?
その彼女を体を張って守っていた
お前の方が…明らかに…強い…。
どうしてだか解るか?」
「…………。解りません…」
「お前は今回、雪乃ちゃんの襲われている姿
を見て…自分を見失っていた…。
何も考えずに、手当たり次第
暴れただけだ…。
もし…あの時、雪乃ちゃんを人質に
取られていたらどうする?
…お前…それに…気が付いていたか?…」
「!?」
隆二の言葉にハッとする翔。
「気が付けなかっただろうな…
あの…様子じゃな!
これから先、お前の周りで同じ事が
起こって…。お前に関係する女の子達が
人質に取られても…。
お前は…今日と同じようにただ暴れる
だけだ…。
この事は…今のお前の考えを改めない
限りかわらないだろうよ…。
今のお前は…復讐を言い訳にして…
ただ暴れてるだけだ!」
「隆二さん…俺は…」
翔は隆二の言葉の重みに耐えかねて口を
開く、隆二はその翔の言葉を遮るように
話し続けた。
「なあ…翔? お前…なんのために
強くなりたかったんだ?
…復讐のためか?」
「な・ん・の・ため?…」
隆二の言葉が翔の胸の中に響き渡る。
『これからも俺が守ってやるから!』
『これからもずっと華那恵のこと
守ってくれるの?』
『うん!ずっと守ってやる!』
翔はその言葉を聞いて、華那恵との約束を
思い出していた。
「俺は…華那恵を……守りたかった…。
……違う!隆二さんみたいに…
自分の周りにいる…女の子を…人を…
守りたかった…。
その…力が…欲しかった…」
翔がポツリとその言葉を発した時、
その瞳から大きな涙がこぼれ落ちてきた。
「隆二さん!…俺は…俺は…!」
翔が泣きながら叫ぶ。
隆二は翔の肩を正面からしっかりと掴み、
その目を見ながら力強く言った。
「翔! その事が解れば…
お前は俺よりも強い…強くなれる!」
「強く? …隆二さんより…強く…」
翔の涙に濡れた瞳には迷いが無かった。
その瞳はまっすぐに隆二の顔を見つめていた。
隆二はその瞳を満足気に見つめ、
うんうんと頷くと立ち上がった。
「もういいな…復讐は?…これからは…
本来の目的に戻れるな?」
「はいっ!」
翔は涙を拭きながら、元気よく返事をして
立ち上がった。
みんなが寝ている部屋に戻って行く隆二の後
を追うように、自分の部屋を出ていく翔。
(俺は…間違っていた…。隆二さんのように
なるためには…自分自身の心を鍛えなきゃ
いけなかったんだ…。
力や技よりも先に心を鍛えなければ
いけなかったんだ。
…今からでも遅くない!
…俺は…これからのために…自分自身の心
を鍛えていく!)
心の中で固く誓う翔であった。
。
。
。
雪乃の事件の後、
翔は不良達の間で噂される男になっていた。
もちろんあの事件の後、恵子達は翔達の前に
姿を見せることはなく、二度と近づいて
こなかった。
もちろん…隆二が脅かしたせいでもあるが…。
。
。
。
みんなが寝静まった後、隆二達の寝室から
リビングに戻ってきた翔に
隆二が聞いてきた。
「大丈夫です……。
落ち着いて玲子さんのベッドで寝てます。
玲子さんすみません。
ベッドをお借りしちゃって…。
それと…隆二さん…玲子さん……。
今日はご迷惑をかけました」
翔は二人に向かって深く頭を下げた。
「そんなこと、気にしなくてもいいのよ…。
翔くん。
今日は隆二のベッドで休んでね?
私たちは隣の部屋で休むから…」
「えっ? でもそれじゃ……」
「遠慮しなくていいから。
それよりも……雪乃ちゃんのこと…
気を使ってあげてね?
私のときなんかよりずっと怖い思いを
したんだから……」
玲子が心配そうな顔をして翔に言ってきた。
「………はい。わかっています」
翔は玲子の顔を見て答えた。
「翔……ちょっと……いいか?」
「……はい」
隆二は真面目な顔で翔を呼び部屋を出て行く。
翔とはその後をついていった。
玲子は雪乃の側にいるために、
そのまま部屋に残ってくれた。
・
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・
「翔、俺が何を言うか…解っているな…」
翔の部屋でコーヒーを啜りながら
隆二が口を開いた。
「解っています…。今回の雪乃の件は
俺のせいです…。俺が…復讐なんて
馬鹿げたことをしたから…
雪乃を巻き込んだ…。
そして…雪乃が…俺の替わりに…」
うなだれながら話す翔に、隆二は淡々と
語りはじめた。
「翔、俺は…この前お前の話を聞いて…
言ったよな…?賛成出来ないって…。
憎しみからは…何も生まれない…
残るのはもっと深い憎しみだけだ…。
蓉子ちゃんの話によると…今日…あの女が
集めた男達は、ほとんどが昔お前の事を
虐めてたやつだよな?」
「……………………。良く解らないけど……
多分そうだと思います……」
「…………で? どうだ?
昔のお前を虐めた奴らをやっつけて…
気持ちよかったか?」
「!?」
(………………。俺は……………)
「………いいえ」
翔は静かに首を横に振った。
「翔…お前は確かに…強くなったよ…。
もしかしたら…この俺よりも
強くなったかもしれない…。
だけど…お前の復讐の相手が俺で…
お前と俺が戦ったら…最後に立っている
のは…。いや、勝つのはこの俺だ!
…その意味が解るか?」
翔はブンブンと首を横に振った。
「俺は…お前は肉体的に強くなったが…
精神的には弱くなった…と思っている」
「隆…隆二さん…」
隆二の言葉に唖然とする翔。
「今日のお前を見ていて…。
今のお前よりも…数年前に…
彼女…華那恵だったな?
その彼女を体を張って守っていた
お前の方が…明らかに…強い…。
どうしてだか解るか?」
「…………。解りません…」
「お前は今回、雪乃ちゃんの襲われている姿
を見て…自分を見失っていた…。
何も考えずに、手当たり次第
暴れただけだ…。
もし…あの時、雪乃ちゃんを人質に
取られていたらどうする?
…お前…それに…気が付いていたか?…」
「!?」
隆二の言葉にハッとする翔。
「気が付けなかっただろうな…
あの…様子じゃな!
これから先、お前の周りで同じ事が
起こって…。お前に関係する女の子達が
人質に取られても…。
お前は…今日と同じようにただ暴れる
だけだ…。
この事は…今のお前の考えを改めない
限りかわらないだろうよ…。
今のお前は…復讐を言い訳にして…
ただ暴れてるだけだ!」
「隆二さん…俺は…」
翔は隆二の言葉の重みに耐えかねて口を
開く、隆二はその翔の言葉を遮るように
話し続けた。
「なあ…翔? お前…なんのために
強くなりたかったんだ?
…復讐のためか?」
「な・ん・の・ため?…」
隆二の言葉が翔の胸の中に響き渡る。
『これからも俺が守ってやるから!』
『これからもずっと華那恵のこと
守ってくれるの?』
『うん!ずっと守ってやる!』
翔はその言葉を聞いて、華那恵との約束を
思い出していた。
「俺は…華那恵を……守りたかった…。
……違う!隆二さんみたいに…
自分の周りにいる…女の子を…人を…
守りたかった…。
その…力が…欲しかった…」
翔がポツリとその言葉を発した時、
その瞳から大きな涙がこぼれ落ちてきた。
「隆二さん!…俺は…俺は…!」
翔が泣きながら叫ぶ。
隆二は翔の肩を正面からしっかりと掴み、
その目を見ながら力強く言った。
「翔! その事が解れば…
お前は俺よりも強い…強くなれる!」
「強く? …隆二さんより…強く…」
翔の涙に濡れた瞳には迷いが無かった。
その瞳はまっすぐに隆二の顔を見つめていた。
隆二はその瞳を満足気に見つめ、
うんうんと頷くと立ち上がった。
「もういいな…復讐は?…これからは…
本来の目的に戻れるな?」
「はいっ!」
翔は涙を拭きながら、元気よく返事をして
立ち上がった。
みんなが寝ている部屋に戻って行く隆二の後
を追うように、自分の部屋を出ていく翔。
(俺は…間違っていた…。隆二さんのように
なるためには…自分自身の心を鍛えなきゃ
いけなかったんだ…。
力や技よりも先に心を鍛えなければ
いけなかったんだ。
…今からでも遅くない!
…俺は…これからのために…自分自身の心
を鍛えていく!)
心の中で固く誓う翔であった。
。
。
。
雪乃の事件の後、
翔は不良達の間で噂される男になっていた。
もちろんあの事件の後、恵子達は翔達の前に
姿を見せることはなく、二度と近づいて
こなかった。
もちろん…隆二が脅かしたせいでもあるが…。
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