人狼と眼鏡男子魔法使い

フェレイル

文字の大きさ
32 / 93
龍とゴーグル魔法使い

しおりを挟む
「エダルベルト・ラス・エルデレイです。途中参加ではありますが、よろしくお願いします。」



にこりと綺麗な笑顔を浮かべるエダルベルト。きゃあ、って声が聞こえたぞ。……そういう悲鳴が漏れるのは十分にわかる。ノヴァもやたらめったら美形なのだが、こいつも美形だ。担任の説明によると、ノヴァと同郷の人間だが、その国は美形をやたら産出するのだろうか。人にはあまり興味がない方だが、じっくり観察させてもらうことに。綺麗に整われた紺色の髪と煌めく琥珀色の瞳が、よく似合う顔立ちだ。スラリとした体型に、しゃきっとした体勢。猫背になりがちなオレとは正反対だ。制服も着こなしていて、まるでどこかの王子様のようだった。目が本当に綺麗で、宝石みたいだ。ちなみにオレは灰色の髪を無造作に赤い紐で結んで、頭には錬金時に使うゴーグルがある。目は赤いウサギの目のような色で、制服の上にはボロくなっている白衣を着用している。まぁ、風呂は入ってるぞ、ちゃんと。自分の作る品は綺麗な体で向き合いたいからな。



「では、授業を始めます。まずは教科書……。」



ぼーっとエダルベルトを見ていたら、いつの間にか紹介は終わって授業が始まった。

エダルベルトは何処に座るのだろうかと思っていたら、ノヴァの隣に腰掛けた。同郷の方が気心っていうやつが知れているのかもしれない。

とりあえず、授業に集中せねば。







「まさかサイラスと同じクラスになるとはね。嬉しいよ。これからよろしく。」



王子様、もといエダルベルトは授業が終わり担任がはけた後、サイラスに声をかけた。



「あ、えーと、よろしくエダルベルト。」



なんだか引き攣ったような声で答えるサイラス。それじゃあ、まだ手続きが残っているから行くねとエダルベルトはそう言って教室を後にした。ノヴァには挨拶しないんかい。後からぞろぞろと女子も男子も行くのはすげぇなと思いながら見送った。



「……ノヴァとは関係悪いのか?」



こっそりノヴァには聞かれないように聞いてみる。



「……さあ、僕も会ったのは一度きりだからなんとも……。その時はかなり険悪ムードをノヴァ一人が醸し出していたけどね。」



はははと、何かを思い出したかのように遠くの方を見るサイラス。なんかあったみたいだが、聞くと傷口が開きそうな気もしなくもないので、やめておく事にした。



「見せ物も終わった事だし、工房に戻るとするか。」



くうっと背筋を伸ばすと、ぼきぼきと音が鳴る。綺麗な見せ物だったなぁと思い返しながら、道具をまとめて立ち上がると、同じく立ち上がったサイラスが、思い出したかのように言った。



「魔道具のメンテナンス頼めるかな?フィールド実習、今週末に来るから、なるはやで頼みたいんだけど。」



「……俺のも頼む。」



ずっと黙っていたノヴァにも頼まれてしまった。



「あいよ。あの実習で出た魔物って、どうして出たのか原因は知っているか?」



「さあね……。最近の気候変動が何たらかんたらって言ってたけど、僕にはわからないな。」



「……そうか。しかし、相変わらず物好きだな。プロに頼めるのに、オレにわざわざメンテナンス頼むなんてな。」



腕はプロには敵わないが、毎回魔道具を使うときがくるとサイラスにメンテナンスを頼まれるのだった。



「普段のメンテナンスは僕でもできるけど。本格的な魔法銃のメンテナンスは覚えるだけでも大変だけど、ジーニアスはその大変なのをわざわざ習得してくれただろう。その努力を買っているだけだよ。ジーニアスのメンテの方が、他の人のメンテナンスより丁寧な仕事してくれるのもあるしね。」



「……そんじょそこらの武器屋にはない珍しい魔法銃だ。メンテを覚えるのも楽しかっただけからな。勉強になる。」



「そういう心持ちだから、僕も安心して魔法銃を預けられるんだよ。」



「……そうか?」



本心を述べただけに過ぎないが、褒めてもらえたようだった。少しくすぐったい気分になる。



「それに魔法学園の生徒の半分の得物は、でっかいだけのロッドだからな。高価な素材をぶち込めば、ある程度は担保されるとしても、メンテナンスが重要と言えるかというとそうではなく、メンテナンスせずにこの学園を卒業するのもいたりする始末だ。その点魔法銃は手間はかかるがメンテを完璧に行えば、パフォーマンスも明らかに上昇する。弓よりも正確に攻撃できる魔法銃のメンテナンスはメンテナンスの中でも大変だが、これを行えばオレのメンテの腕が鈍らずに済むし、なおかつ」



「あーあーストップストップ!!もう次の授業があるから僕たちは行くよ!じゃあ、また。」



「またな。」



コレからいいところに入るのだが、時間ならば致し方がない。次の授業に行く二人を見送る。あ、腰に手をやって、怒られてるなノヴァ。こんなゲロ甘いちゃいちゃを見させられる他の人の身にもなれ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!

はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。 ******** 癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー! ※ちょっとイチャつきます。

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

処理中です...