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龍とゴーグル魔法使い
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「エダルベルト・ラス・エルデレイです。途中参加ではありますが、よろしくお願いします。」
にこりと綺麗な笑顔を浮かべるエダルベルト。きゃあ、って声が聞こえたぞ。……そういう悲鳴が漏れるのは十分にわかる。ノヴァもやたらめったら美形なのだが、こいつも美形だ。担任の説明によると、ノヴァと同郷の人間だが、その国は美形をやたら産出するのだろうか。人にはあまり興味がない方だが、じっくり観察させてもらうことに。綺麗に整われた紺色の髪と煌めく琥珀色の瞳が、よく似合う顔立ちだ。スラリとした体型に、しゃきっとした体勢。猫背になりがちなオレとは正反対だ。制服も着こなしていて、まるでどこかの王子様のようだった。目が本当に綺麗で、宝石みたいだ。ちなみにオレは灰色の髪を無造作に赤い紐で結んで、頭には錬金時に使うゴーグルがある。目は赤いウサギの目のような色で、制服の上にはボロくなっている白衣を着用している。まぁ、風呂は入ってるぞ、ちゃんと。自分の作る品は綺麗な体で向き合いたいからな。
「では、授業を始めます。まずは教科書……。」
ぼーっとエダルベルトを見ていたら、いつの間にか紹介は終わって授業が始まった。
エダルベルトは何処に座るのだろうかと思っていたら、ノヴァの隣に腰掛けた。同郷の方が気心っていうやつが知れているのかもしれない。
とりあえず、授業に集中せねば。
「まさかサイラスと同じクラスになるとはね。嬉しいよ。これからよろしく。」
王子様、もといエダルベルトは授業が終わり担任がはけた後、サイラスに声をかけた。
「あ、えーと、よろしくエダルベルト。」
なんだか引き攣ったような声で答えるサイラス。それじゃあ、まだ手続きが残っているから行くねとエダルベルトはそう言って教室を後にした。ノヴァには挨拶しないんかい。後からぞろぞろと女子も男子も行くのはすげぇなと思いながら見送った。
「……ノヴァとは関係悪いのか?」
こっそりノヴァには聞かれないように聞いてみる。
「……さあ、僕も会ったのは一度きりだからなんとも……。その時はかなり険悪ムードをノヴァ一人が醸し出していたけどね。」
はははと、何かを思い出したかのように遠くの方を見るサイラス。なんかあったみたいだが、聞くと傷口が開きそうな気もしなくもないので、やめておく事にした。
「見せ物も終わった事だし、工房に戻るとするか。」
くうっと背筋を伸ばすと、ぼきぼきと音が鳴る。綺麗な見せ物だったなぁと思い返しながら、道具をまとめて立ち上がると、同じく立ち上がったサイラスが、思い出したかのように言った。
「魔道具のメンテナンス頼めるかな?フィールド実習、今週末に来るから、なるはやで頼みたいんだけど。」
「……俺のも頼む。」
ずっと黙っていたノヴァにも頼まれてしまった。
「あいよ。あの実習で出た魔物って、どうして出たのか原因は知っているか?」
「さあね……。最近の気候変動が何たらかんたらって言ってたけど、僕にはわからないな。」
「……そうか。しかし、相変わらず物好きだな。プロに頼めるのに、オレにわざわざメンテナンス頼むなんてな。」
腕はプロには敵わないが、毎回魔道具を使うときがくるとサイラスにメンテナンスを頼まれるのだった。
「普段のメンテナンスは僕でもできるけど。本格的な魔法銃のメンテナンスは覚えるだけでも大変だけど、ジーニアスはその大変なのをわざわざ習得してくれただろう。その努力を買っているだけだよ。ジーニアスのメンテの方が、他の人のメンテナンスより丁寧な仕事してくれるのもあるしね。」
「……そんじょそこらの武器屋にはない珍しい魔法銃だ。メンテを覚えるのも楽しかっただけからな。勉強になる。」
「そういう心持ちだから、僕も安心して魔法銃を預けられるんだよ。」
「……そうか?」
本心を述べただけに過ぎないが、褒めてもらえたようだった。少しくすぐったい気分になる。
「それに魔法学園の生徒の半分の得物は、でっかいだけのロッドだからな。高価な素材をぶち込めば、ある程度は担保されるとしても、メンテナンスが重要と言えるかというとそうではなく、メンテナンスせずにこの学園を卒業するのもいたりする始末だ。その点魔法銃は手間はかかるがメンテを完璧に行えば、パフォーマンスも明らかに上昇する。弓よりも正確に攻撃できる魔法銃のメンテナンスはメンテナンスの中でも大変だが、これを行えばオレのメンテの腕が鈍らずに済むし、なおかつ」
「あーあーストップストップ!!もう次の授業があるから僕たちは行くよ!じゃあ、また。」
「またな。」
コレからいいところに入るのだが、時間ならば致し方がない。次の授業に行く二人を見送る。あ、腰に手をやって、怒られてるなノヴァ。こんなゲロ甘いちゃいちゃを見させられる他の人の身にもなれ。
にこりと綺麗な笑顔を浮かべるエダルベルト。きゃあ、って声が聞こえたぞ。……そういう悲鳴が漏れるのは十分にわかる。ノヴァもやたらめったら美形なのだが、こいつも美形だ。担任の説明によると、ノヴァと同郷の人間だが、その国は美形をやたら産出するのだろうか。人にはあまり興味がない方だが、じっくり観察させてもらうことに。綺麗に整われた紺色の髪と煌めく琥珀色の瞳が、よく似合う顔立ちだ。スラリとした体型に、しゃきっとした体勢。猫背になりがちなオレとは正反対だ。制服も着こなしていて、まるでどこかの王子様のようだった。目が本当に綺麗で、宝石みたいだ。ちなみにオレは灰色の髪を無造作に赤い紐で結んで、頭には錬金時に使うゴーグルがある。目は赤いウサギの目のような色で、制服の上にはボロくなっている白衣を着用している。まぁ、風呂は入ってるぞ、ちゃんと。自分の作る品は綺麗な体で向き合いたいからな。
「では、授業を始めます。まずは教科書……。」
ぼーっとエダルベルトを見ていたら、いつの間にか紹介は終わって授業が始まった。
エダルベルトは何処に座るのだろうかと思っていたら、ノヴァの隣に腰掛けた。同郷の方が気心っていうやつが知れているのかもしれない。
とりあえず、授業に集中せねば。
「まさかサイラスと同じクラスになるとはね。嬉しいよ。これからよろしく。」
王子様、もといエダルベルトは授業が終わり担任がはけた後、サイラスに声をかけた。
「あ、えーと、よろしくエダルベルト。」
なんだか引き攣ったような声で答えるサイラス。それじゃあ、まだ手続きが残っているから行くねとエダルベルトはそう言って教室を後にした。ノヴァには挨拶しないんかい。後からぞろぞろと女子も男子も行くのはすげぇなと思いながら見送った。
「……ノヴァとは関係悪いのか?」
こっそりノヴァには聞かれないように聞いてみる。
「……さあ、僕も会ったのは一度きりだからなんとも……。その時はかなり険悪ムードをノヴァ一人が醸し出していたけどね。」
はははと、何かを思い出したかのように遠くの方を見るサイラス。なんかあったみたいだが、聞くと傷口が開きそうな気もしなくもないので、やめておく事にした。
「見せ物も終わった事だし、工房に戻るとするか。」
くうっと背筋を伸ばすと、ぼきぼきと音が鳴る。綺麗な見せ物だったなぁと思い返しながら、道具をまとめて立ち上がると、同じく立ち上がったサイラスが、思い出したかのように言った。
「魔道具のメンテナンス頼めるかな?フィールド実習、今週末に来るから、なるはやで頼みたいんだけど。」
「……俺のも頼む。」
ずっと黙っていたノヴァにも頼まれてしまった。
「あいよ。あの実習で出た魔物って、どうして出たのか原因は知っているか?」
「さあね……。最近の気候変動が何たらかんたらって言ってたけど、僕にはわからないな。」
「……そうか。しかし、相変わらず物好きだな。プロに頼めるのに、オレにわざわざメンテナンス頼むなんてな。」
腕はプロには敵わないが、毎回魔道具を使うときがくるとサイラスにメンテナンスを頼まれるのだった。
「普段のメンテナンスは僕でもできるけど。本格的な魔法銃のメンテナンスは覚えるだけでも大変だけど、ジーニアスはその大変なのをわざわざ習得してくれただろう。その努力を買っているだけだよ。ジーニアスのメンテの方が、他の人のメンテナンスより丁寧な仕事してくれるのもあるしね。」
「……そんじょそこらの武器屋にはない珍しい魔法銃だ。メンテを覚えるのも楽しかっただけからな。勉強になる。」
「そういう心持ちだから、僕も安心して魔法銃を預けられるんだよ。」
「……そうか?」
本心を述べただけに過ぎないが、褒めてもらえたようだった。少しくすぐったい気分になる。
「それに魔法学園の生徒の半分の得物は、でっかいだけのロッドだからな。高価な素材をぶち込めば、ある程度は担保されるとしても、メンテナンスが重要と言えるかというとそうではなく、メンテナンスせずにこの学園を卒業するのもいたりする始末だ。その点魔法銃は手間はかかるがメンテを完璧に行えば、パフォーマンスも明らかに上昇する。弓よりも正確に攻撃できる魔法銃のメンテナンスはメンテナンスの中でも大変だが、これを行えばオレのメンテの腕が鈍らずに済むし、なおかつ」
「あーあーストップストップ!!もう次の授業があるから僕たちは行くよ!じゃあ、また。」
「またな。」
コレからいいところに入るのだが、時間ならば致し方がない。次の授業に行く二人を見送る。あ、腰に手をやって、怒られてるなノヴァ。こんなゲロ甘いちゃいちゃを見させられる他の人の身にもなれ。
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