知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
413 / 627
第4章 ジャンヌの西進

第86話 遙かなる女神の中で

しおりを挟む
「はい、というわけでジャンヌ・ダルク完全勝利ー! 第4部、完! ってぇことでーどうだったかにゃー?」

 お前、よくあの後で顔出せるよな。

「えー、だってちゃんと来るって言ったよ? 首都を落とすか、ジャンヌが本当に死ぬかしたらまた来るって」

 そういえばそんなこと言ってか。

「で? で? どうだったのかな?」

「別に。後味の悪い結末だったけど。これもそういう世界だから仕方ないって受け止めるさ。てか俺はお前に対する怒りが積もってきてるんだが?」

「あー、違う違う。そんなどうでもいいことじゃなくて」

「お前なぁ」

「ファーストキッスはどうだったかって方」

「ぶっ!」

「奇しくも女の子と男の子。両方いただいちゃいましたってね。ごちそうさまです!」

 なんのごちそうさまだよ。
 てかファーストじゃないからな!

「またまた。そんなすぐばれるウソついてどうするのさ」

 嘘じゃないもん。本当だもん。

「はいはい。でも結局どっちなのかなー、アッキーは?」

「なにがだよ」

「男の子が好きなのか、女の子が好きなのかってことだよ」

「…………お前、よくそんなことを真面目に議論できるな?」

「何言ってるの。人間の、いや生物の究極的な欲求は種の繁栄だよ? 子孫を作らないでどうするのさ?」

 心底どうでもいい。

「あ、でもそうなるとアッキーは男の子が好きってことかー。あの真面目だけどどこか抜けてるウィットって子に、恋愛のれの字も知らずアッキーの一世一代の告白を蹴った残念イケメンのジーンに、攻めが大好きでアッキーに告白して男だってことすらも受け入れようとしているサカキ。そこに生き残ったビンゴの星のセンドに、クールな必殺仕事人クルレーンまで加わって……うーん、より取り見取り。お姉さん、よだれでちゃう」

「もう姉はいいって……てか言ってるだろ。俺は男だ。だから男と付き合うとか考えられない」

「でも体は女だよ?」

「うっ……」

「子供が産める体だよ?」

「う、産めるとか言うな!」

「まっ、アッキーったら顔を真っ赤にしちゃって。かーわーいーいー!」

「自由か!」

 ほんとなんなんだこいつ。
 このテンションといい、このうざさといい。
 どんだけフリーダムなんだよ。

「そりゃしょうがないでしょ。終わりが見えてきたんだから」

「終わり?」

「そう。大陸の北半分を支配するエイン帝国に、川や海を駆使して対抗する大陸の3分の1を支配するシータ王国。そしてそして、南軍に旧ビンゴ領を頂戴して、さらにヨジョー地方という旧領も回復した同じく大陸の3分の2を支配する我らがアッキーのオムカ王国」

「それだと合計1を超えるんだが……」

「細かいこたぁー気にしないのが江戸っ子の流儀よぉ!」

 誰が江戸っ子だ。誰が。

「ま、そういうわけだから、もう少しで終わりって感じ? ようやくゴールも見えてきたし」

「もう少しというか、次で終わらせるよ。帝国を倒して、それで……もう、こんな世界は終わらせる」

「ふーーーーーん?」

「なんだよ、その意味ありげなふーんは」

「いや、別にぃ。アッキーはホント優しい勘違い野郎だなぁって」

「どういう意味だよ」

「別にー? まぁアッキーが言う次で終わりって言うなら、その時に分かるから」

「お前なぁ」

「じゃあ教えてあげてもいいけど……1つだけ条件」

「なんだよ」

「私とも……キス、して?」

「っ!!」

「はっはー! アッキー破れたりー! 相変わらずちょっろー!」

「うるさい! とにかく次で終わらせるからな! お前も準備しとけよ。俺たちを元の世界に戻す準備を」

「うん、いいね、その自信あふれる感じ。マジで惚れちゃいそう。でも、まぁその自信なら大丈夫でしょ。応援してるからね、アッキー」

「お前、それ煌夜にもいうだろ」

「もちろん! 女神は公正だからね! 片方に肩入れするなんて断罪ギルティーなの!」

「お前もう色々ふざけんな! あのな。俺はお前に怒ってるんだからな!」

「えー? アッキーが怒ってるのはデフォじゃないの? だがそれが逆にアッキーの良いところっていうかー。でれでれ」

「でれでれすんな。……はぁ。お前な。一応言っとくけど、あの双子。丹姉弟あかしきょうだいのこと見てたんだろ? なら俺が怒るのもわかるよな?」

「えー、わっかんなーい。おしえてアッキー」

「お前本当いい加減にしろよ。あんな子供をこんな世界に放り込んで、無理やり戦わせるなんて何考えてんだよ」

「え? あの双子35だよ? しかも両方男」

「は!?」

「うっそでーす! だははー、アッキーちょっろー!」

「お前に肉体があったら、間違いなくオムカとビンゴとシータの全兵力で潰しに行ってるぞ」

「お、いいねー。そういうのウェルカム!」

「真に受けんな」

「ちぇ、アッキーのいけず。久しぶりに運動できると思ったのに。でもね、あの2人が見た目通りの年齢だと思ったら大間違いだよ? だってアッキーが良い例じゃん」

 年齢とアバターは別ってことか。
 いや、でもあれで10代後半とか、20代だったらそれはそれで……。

「誰が上って言ったのかなー?」

「まさか!?」

「嘘嘘。上だよ上。とぉってぇも上。80、90のおじいちゃんおばあちゃんが、昔に戻ったみたいになっちゃったんじゃない?」

「なんで疑問形なんだよ」

「だって、わたし知らないし」

「嘘つけ。俺みたいにちゃんと最初会ってんだろ!」

「さぁ、そんな300年前のこと言われても」

 ……はぁ、駄目だ。
 こいつとまともに話をするほど馬鹿を見る。

 これこそ本当に人外と喋っているようなものだ。

「そりゃわたしは女神だもん。人間なんかとは違いますよーだ」
 
「お前、前に人間と同じみたいな発言してなかったか?」

「記憶にございません!」

「政治家か!」

「わたし、女神党の女神は、それこそ戦争のない平和の実現を公約として掲げ、一心不乱に人間が心地よく過ごす世界を作り上げることをここに誓うわけでありまして――」

「よくそうすらすらと嘘が吐けるな。あの双子に罰してもらえよ」

「ふっふーん。わたしがあげたスキルで、わたしがどうにかできると思って? まぁ、できるかもだけど」

「できるのかよ! そこはなんか強者っぽい感じ出せよ!」

「いやー、そういうのはちょっと、ね?」

 やっぱりこいつとは話が通じない。
 てかこいつに怒るのももう場違いな気がしていた。

 のれんに腕押し、ぬかに釘、猫に小判にカエルの顔に小便。

「まっ、アッキーったら、小便なんて……汚い言葉を使うんじゃありません!」

「もういいよ。つか誰だよ。もう二度と来んなって言ってもどうせ無駄なんだろうなぁ」

「そりゃそうよ。俺っち江戸っ子は、火事と喧嘩は女房を質に入れても駆けつけるって決めてんだい」

「人の生き死にを火事と喧嘩にたとえられたたら、やっぱり怒りがわいてくるよな」

「もう、そんなに怒らないで、アッキー。ほら、ご褒美にキスして……あ、あげなくもないんだからね!」

 もういいや。
 なんか疲れた。

 とりあえずこいつに怒っても無駄ってことが分かった。
 だからもう起きよう。

 こんなところより、俺を必要としてくれる場所が、きっと俺を待っているから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...