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第4章 ジャンヌの西進
第86話 遙かなる女神の中で
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「はい、というわけでジャンヌ・ダルク完全勝利ー! 第4部、完! ってぇことでーどうだったかにゃー?」
お前、よくあの後で顔出せるよな。
「えー、だってちゃんと来るって言ったよ? 首都を落とすか、ジャンヌが本当に死ぬかしたらまた来るって」
そういえばそんなこと言ってか。
「で? で? どうだったのかな?」
「別に。後味の悪い結末だったけど。これもそういう世界だから仕方ないって受け止めるさ。てか俺はお前に対する怒りが積もってきてるんだが?」
「あー、違う違う。そんなどうでもいいことじゃなくて」
「お前なぁ」
「ファーストキッスはどうだったかって方」
「ぶっ!」
「奇しくも女の子と男の子。両方いただいちゃいましたってね。ごちそうさまです!」
なんのごちそうさまだよ。
てかファーストじゃないからな!
「またまた。そんなすぐばれるウソついてどうするのさ」
嘘じゃないもん。本当だもん。
「はいはい。でも結局どっちなのかなー、アッキーは?」
「なにがだよ」
「男の子が好きなのか、女の子が好きなのかってことだよ」
「…………お前、よくそんなことを真面目に議論できるな?」
「何言ってるの。人間の、いや生物の究極的な欲求は種の繁栄だよ? 子孫を作らないでどうするのさ?」
心底どうでもいい。
「あ、でもそうなるとアッキーは男の子が好きってことかー。あの真面目だけどどこか抜けてるウィットって子に、恋愛のれの字も知らずアッキーの一世一代の告白を蹴った残念イケメンのジーンに、攻めが大好きでアッキーに告白して男だってことすらも受け入れようとしているサカキ。そこに生き残ったビンゴの星のセンドに、クールな必殺仕事人クルレーンまで加わって……うーん、より取り見取り。お姉さん、よだれでちゃう」
「もう姉はいいって……てか言ってるだろ。俺は男だ。だから男と付き合うとか考えられない」
「でも体は女だよ?」
「うっ……」
「子供が産める体だよ?」
「う、産めるとか言うな!」
「まっ、アッキーったら顔を真っ赤にしちゃって。かーわーいーいー!」
「自由か!」
ほんとなんなんだこいつ。
このテンションといい、このうざさといい。
どんだけフリーダムなんだよ。
「そりゃしょうがないでしょ。終わりが見えてきたんだから」
「終わり?」
「そう。大陸の北半分を支配するエイン帝国に、川や海を駆使して対抗する大陸の3分の1を支配するシータ王国。そしてそして、南軍に旧ビンゴ領を頂戴して、さらにヨジョー地方という旧領も回復した同じく大陸の3分の2を支配する我らがアッキーのオムカ王国」
「それだと合計1を超えるんだが……」
「細かいこたぁー気にしないのが江戸っ子の流儀よぉ!」
誰が江戸っ子だ。誰が。
「ま、そういうわけだから、もう少しで終わりって感じ? ようやくゴールも見えてきたし」
「もう少しというか、次で終わらせるよ。帝国を倒して、それで……もう、こんな世界は終わらせる」
「ふーーーーーん?」
「なんだよ、その意味ありげなふーんは」
「いや、別にぃ。アッキーはホント優しい勘違い野郎だなぁって」
「どういう意味だよ」
「別にー? まぁアッキーが言う次で終わりって言うなら、その時に分かるから」
「お前なぁ」
「じゃあ教えてあげてもいいけど……1つだけ条件」
「なんだよ」
「私とも……キス、して?」
「っ!!」
「はっはー! アッキー破れたりー! 相変わらずちょっろー!」
「うるさい! とにかく次で終わらせるからな! お前も準備しとけよ。俺たちを元の世界に戻す準備を」
「うん、いいね、その自信あふれる感じ。マジで惚れちゃいそう。でも、まぁその自信なら大丈夫でしょ。応援してるからね、アッキー」
「お前、それ煌夜にもいうだろ」
「もちろん! 女神は公正だからね! 片方に肩入れするなんて断罪なの!」
「お前もう色々ふざけんな! あのな。俺はお前に怒ってるんだからな!」
「えー? アッキーが怒ってるのはデフォじゃないの? だがそれが逆にアッキーの良いところっていうかー。でれでれ」
「でれでれすんな。……はぁ。お前な。一応言っとくけど、あの双子。丹姉弟のこと見てたんだろ? なら俺が怒るのもわかるよな?」
「えー、わっかんなーい。おしえてアッキー」
「お前本当いい加減にしろよ。あんな子供をこんな世界に放り込んで、無理やり戦わせるなんて何考えてんだよ」
「え? あの双子35だよ? しかも両方男」
「は!?」
「うっそでーす! だははー、アッキーちょっろー!」
「お前に肉体があったら、間違いなくオムカとビンゴとシータの全兵力で潰しに行ってるぞ」
「お、いいねー。そういうのウェルカム!」
「真に受けんな」
「ちぇ、アッキーのいけず。久しぶりに運動できると思ったのに。でもね、あの2人が見た目通りの年齢だと思ったら大間違いだよ? だってアッキーが良い例じゃん」
年齢とアバターは別ってことか。
いや、でもあれで10代後半とか、20代だったらそれはそれで……。
「誰が上って言ったのかなー?」
「まさか!?」
「嘘嘘。上だよ上。とぉってぇも上。80、90のおじいちゃんおばあちゃんが、昔に戻ったみたいになっちゃったんじゃない?」
「なんで疑問形なんだよ」
「だって、わたし知らないし」
「嘘つけ。俺みたいにちゃんと最初会ってんだろ!」
「さぁ、そんな300年前のこと言われても」
……はぁ、駄目だ。
こいつとまともに話をするほど馬鹿を見る。
これこそ本当に人外と喋っているようなものだ。
「そりゃわたしは女神だもん。人間なんかとは違いますよーだ」
「お前、前に人間と同じみたいな発言してなかったか?」
「記憶にございません!」
「政治家か!」
「わたし、女神党の女神は、それこそ戦争のない平和の実現を公約として掲げ、一心不乱に人間が心地よく過ごす世界を作り上げることをここに誓うわけでありまして――」
「よくそうすらすらと嘘が吐けるな。あの双子に罰してもらえよ」
「ふっふーん。わたしがあげたスキルで、わたしがどうにかできると思って? まぁ、できるかもだけど」
「できるのかよ! そこはなんか強者っぽい感じ出せよ!」
「いやー、そういうのはちょっと、ね?」
やっぱりこいつとは話が通じない。
てかこいつに怒るのももう場違いな気がしていた。
のれんに腕押し、ぬかに釘、猫に小判にカエルの顔に小便。
「まっ、アッキーったら、小便なんて……汚い言葉を使うんじゃありません!」
「もういいよ。つか誰だよ。もう二度と来んなって言ってもどうせ無駄なんだろうなぁ」
「そりゃそうよ。俺っち江戸っ子は、火事と喧嘩は女房を質に入れても駆けつけるって決めてんだい」
「人の生き死にを火事と喧嘩にたとえられたたら、やっぱり怒りがわいてくるよな」
「もう、そんなに怒らないで、アッキー。ほら、ご褒美にキスして……あ、あげなくもないんだからね!」
もういいや。
なんか疲れた。
とりあえずこいつに怒っても無駄ってことが分かった。
だからもう起きよう。
こんなところより、俺を必要としてくれる場所が、きっと俺を待っているから。
お前、よくあの後で顔出せるよな。
「えー、だってちゃんと来るって言ったよ? 首都を落とすか、ジャンヌが本当に死ぬかしたらまた来るって」
そういえばそんなこと言ってか。
「で? で? どうだったのかな?」
「別に。後味の悪い結末だったけど。これもそういう世界だから仕方ないって受け止めるさ。てか俺はお前に対する怒りが積もってきてるんだが?」
「あー、違う違う。そんなどうでもいいことじゃなくて」
「お前なぁ」
「ファーストキッスはどうだったかって方」
「ぶっ!」
「奇しくも女の子と男の子。両方いただいちゃいましたってね。ごちそうさまです!」
なんのごちそうさまだよ。
てかファーストじゃないからな!
「またまた。そんなすぐばれるウソついてどうするのさ」
嘘じゃないもん。本当だもん。
「はいはい。でも結局どっちなのかなー、アッキーは?」
「なにがだよ」
「男の子が好きなのか、女の子が好きなのかってことだよ」
「…………お前、よくそんなことを真面目に議論できるな?」
「何言ってるの。人間の、いや生物の究極的な欲求は種の繁栄だよ? 子孫を作らないでどうするのさ?」
心底どうでもいい。
「あ、でもそうなるとアッキーは男の子が好きってことかー。あの真面目だけどどこか抜けてるウィットって子に、恋愛のれの字も知らずアッキーの一世一代の告白を蹴った残念イケメンのジーンに、攻めが大好きでアッキーに告白して男だってことすらも受け入れようとしているサカキ。そこに生き残ったビンゴの星のセンドに、クールな必殺仕事人クルレーンまで加わって……うーん、より取り見取り。お姉さん、よだれでちゃう」
「もう姉はいいって……てか言ってるだろ。俺は男だ。だから男と付き合うとか考えられない」
「でも体は女だよ?」
「うっ……」
「子供が産める体だよ?」
「う、産めるとか言うな!」
「まっ、アッキーったら顔を真っ赤にしちゃって。かーわーいーいー!」
「自由か!」
ほんとなんなんだこいつ。
このテンションといい、このうざさといい。
どんだけフリーダムなんだよ。
「そりゃしょうがないでしょ。終わりが見えてきたんだから」
「終わり?」
「そう。大陸の北半分を支配するエイン帝国に、川や海を駆使して対抗する大陸の3分の1を支配するシータ王国。そしてそして、南軍に旧ビンゴ領を頂戴して、さらにヨジョー地方という旧領も回復した同じく大陸の3分の2を支配する我らがアッキーのオムカ王国」
「それだと合計1を超えるんだが……」
「細かいこたぁー気にしないのが江戸っ子の流儀よぉ!」
誰が江戸っ子だ。誰が。
「ま、そういうわけだから、もう少しで終わりって感じ? ようやくゴールも見えてきたし」
「もう少しというか、次で終わらせるよ。帝国を倒して、それで……もう、こんな世界は終わらせる」
「ふーーーーーん?」
「なんだよ、その意味ありげなふーんは」
「いや、別にぃ。アッキーはホント優しい勘違い野郎だなぁって」
「どういう意味だよ」
「別にー? まぁアッキーが言う次で終わりって言うなら、その時に分かるから」
「お前なぁ」
「じゃあ教えてあげてもいいけど……1つだけ条件」
「なんだよ」
「私とも……キス、して?」
「っ!!」
「はっはー! アッキー破れたりー! 相変わらずちょっろー!」
「うるさい! とにかく次で終わらせるからな! お前も準備しとけよ。俺たちを元の世界に戻す準備を」
「うん、いいね、その自信あふれる感じ。マジで惚れちゃいそう。でも、まぁその自信なら大丈夫でしょ。応援してるからね、アッキー」
「お前、それ煌夜にもいうだろ」
「もちろん! 女神は公正だからね! 片方に肩入れするなんて断罪なの!」
「お前もう色々ふざけんな! あのな。俺はお前に怒ってるんだからな!」
「えー? アッキーが怒ってるのはデフォじゃないの? だがそれが逆にアッキーの良いところっていうかー。でれでれ」
「でれでれすんな。……はぁ。お前な。一応言っとくけど、あの双子。丹姉弟のこと見てたんだろ? なら俺が怒るのもわかるよな?」
「えー、わっかんなーい。おしえてアッキー」
「お前本当いい加減にしろよ。あんな子供をこんな世界に放り込んで、無理やり戦わせるなんて何考えてんだよ」
「え? あの双子35だよ? しかも両方男」
「は!?」
「うっそでーす! だははー、アッキーちょっろー!」
「お前に肉体があったら、間違いなくオムカとビンゴとシータの全兵力で潰しに行ってるぞ」
「お、いいねー。そういうのウェルカム!」
「真に受けんな」
「ちぇ、アッキーのいけず。久しぶりに運動できると思ったのに。でもね、あの2人が見た目通りの年齢だと思ったら大間違いだよ? だってアッキーが良い例じゃん」
年齢とアバターは別ってことか。
いや、でもあれで10代後半とか、20代だったらそれはそれで……。
「誰が上って言ったのかなー?」
「まさか!?」
「嘘嘘。上だよ上。とぉってぇも上。80、90のおじいちゃんおばあちゃんが、昔に戻ったみたいになっちゃったんじゃない?」
「なんで疑問形なんだよ」
「だって、わたし知らないし」
「嘘つけ。俺みたいにちゃんと最初会ってんだろ!」
「さぁ、そんな300年前のこと言われても」
……はぁ、駄目だ。
こいつとまともに話をするほど馬鹿を見る。
これこそ本当に人外と喋っているようなものだ。
「そりゃわたしは女神だもん。人間なんかとは違いますよーだ」
「お前、前に人間と同じみたいな発言してなかったか?」
「記憶にございません!」
「政治家か!」
「わたし、女神党の女神は、それこそ戦争のない平和の実現を公約として掲げ、一心不乱に人間が心地よく過ごす世界を作り上げることをここに誓うわけでありまして――」
「よくそうすらすらと嘘が吐けるな。あの双子に罰してもらえよ」
「ふっふーん。わたしがあげたスキルで、わたしがどうにかできると思って? まぁ、できるかもだけど」
「できるのかよ! そこはなんか強者っぽい感じ出せよ!」
「いやー、そういうのはちょっと、ね?」
やっぱりこいつとは話が通じない。
てかこいつに怒るのももう場違いな気がしていた。
のれんに腕押し、ぬかに釘、猫に小判にカエルの顔に小便。
「まっ、アッキーったら、小便なんて……汚い言葉を使うんじゃありません!」
「もういいよ。つか誰だよ。もう二度と来んなって言ってもどうせ無駄なんだろうなぁ」
「そりゃそうよ。俺っち江戸っ子は、火事と喧嘩は女房を質に入れても駆けつけるって決めてんだい」
「人の生き死にを火事と喧嘩にたとえられたたら、やっぱり怒りがわいてくるよな」
「もう、そんなに怒らないで、アッキー。ほら、ご褒美にキスして……あ、あげなくもないんだからね!」
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