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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話16 澪標愛良(エイン帝国プレイヤー)
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「九紋竜形態変化、第三紋! 風竜(かざりゅう)!」
竜胆が叫ぶ。
同時に手にした木刀をアランとかいう執事にたたきつけた。
それをアランは、さも当然のように右手でつかむ。
飛んでくる木刀を素手でつかむとか、どんだけめちゃくちゃだよ。
そう思ったが、めちゃくちゃなのは相手もだった。
「吹っ飛べ!」
竜胆はかまわず木刀を振り切った。
それによって起こるのは風。
突風が吹きすさび、アランの体をも上空へと飛ばす。
「アラン!」
「超絶・正義突風!」
竜胆が再び木刀を振るう。
すると突風が巻き起こり、オレたちを襲う。
「きゃあ!」
「ちっ、クリスティーヌ!」
耐えきれなかったクリスティーヌが5メートルほど背後に飛ぶ。
それを空中で受け身を取り、いとも簡単に着地したアランが背後に回って受け止めた。
「さすがアランですわ」
などとうっとり寸劇をやっている間に、竜胆がこちらとの距離を詰めてくる。
くそ、もう戦うしかないのか。
オレの邪魔をするなら、竜胆ももう、敵だ。
「剣よ」
空から無数の剣が落ちてくる。
その中に木刀は……ない。
だから一瞬迷い、近場にあった安っぽい日本刀を手にして前に出る。
「愛良さん!」
「この、分からず屋!!」
呼ばれ、カッとなって刀をふるう。
何もわかってない。
どうして立ちふさがるのかも。
だからそれを排除しようと、剣をふるう。
「九紋竜形態変化、第一紋! 火竜(かりゅう)!」
振り切った。斬った感触――はなかった。
見れば、刀は半ばで両断されていた。
切り口が熱を帯びたように赤い。
竜胆の木刀も燃えるように赤い。
理由は分からないけど、刀を斬られたのは確か。
それがどうした。
オレのスキルなら、代わりはいくらでもある!
「はああああああ!」
手近にあった刀を地面から抜き、再び振るう。
それを竜胆は迎え撃つ。
また斬られた。
いや、溶断された。
金属音もなく、相手の木刀を傷つけるわけでもなく、ただただ溶けるように刀が両断される。
先ほどの風といい、どうやら竜胆の木刀はそういうスキルらしい。
反則だろ、そんなの。
けど甘い。
オレは剣道の試合をしているわけじゃない。
何が何でも邪魔者を排除する――喧嘩をしてるんだ。
「ごっ……はっ」
竜胆が口から胃液を吐き出して、3メートルほど後ろに飛ぶ。
刀が斬られると同時、蹴りを入れたのだ。
お上品な剣術なんて知らない。
けど、こうやって昔から勝ってきた。
タイマンを張る時、どうしても意識は得物に向かう。
だからそれを囮に使うのだ。
もちろん、得物を使って勝てればよい。
けど警戒される攻撃はそうそう当たってくれない。だからそれを最大限に活かす。
警戒されるということは、注目されるということ。
しかも今回は真剣だ。当たればそれだけで致命的。だからこそ、意識もそちらに集まりやすく、他が無防備になる。
そこを狙い打つ。
道場剣術にはない、喧嘩殺法。
もとより竜胆を斬るつもりはない。
いくら道が分かたれたとはいえ、人を殺すつもりはオレにはなかった。
だから体術でケリをつける。
そうすれば、竜胆も諦めてくれるはずだ。
「はっ!」
追い打つように距離を詰め、右手で横なぎに刀を振るう。
竜胆はもちろん木刀でガード。刀が溶断される。
この木刀。反則級の強さだ。
けどそれを扱う人間が劣っていれば、勝てない相手ではない。
武器破壊された。
だがこちらの攻撃は止まらない。
右足の蹴り。読まれていた。竜胆の体が防御の姿勢に入る。
先ほどの反応で分かった。
この子は喧嘩慣れしていない。
いや、逆にこの子が喧嘩慣れしていたら、なんか嫌だ。
だからこれも想定通り。蹴りを途中で止め、それを踏み込みの一歩とすると、そのままの勢いで左拳をフック気味に竜胆の横っ面に叩き込んだ。
「がっ……!」
直撃を受けて、竜胆がふらつく。
とどめだ。取り替えた刀。峰の部分を向け、振り下ろす。
「くっ……九紋竜形態変化、第四紋! 雷竜(らいりゅう)!」
峰打ちの一撃。防がれるか。いや、オレの方が早い。
仮に防御しても、崩れた態勢では満足に連撃に耐えられないだろう。
だから勝った。
そう思った。
だが予想外の行動が来た。
竜胆はこちらの迎撃ではなく、それを地面に突き刺した。
するとそこから何かが走り、
「っ!!」
体が、止まった。
それは一呼吸の短い時間。
だが勝機を逃すには十分な時間。
峰打ちの一撃は空を切った。
「はぁ…………はぁ…………」
距離を取った竜胆が、肩で息をしている。
もうこちらの優勢は変わらない。あとは武器破壊に注意しながら、峰打ちか体術で相手を戦闘不能に追い込めばいい。
けど、その前に。
「竜胆、分かっただろ。もうどいてくれ。じゃないと、オレは」
「…………ってます」
「なに?」
「愛良さんは、間違っています」
「は……?」
「愛良さんは、間違ってます。だから、竜胆が正義するんです……」
「……っ!」
間違ってる。
分かってる。
オレの願いのため、愛梨沙のため。他人を犠牲にしようとしているんだ。
大間違いに決まってる。
けど、けど……。
「こうなっちゃったんだよ! こうするしかなかったんだよ!」
分かってる、けどどうしようもない。
人生なんて、そんなものの連続。
分かっちゃいるのに。どうしようもなくて道を外していく。
それでも、その果てにある幸せがあると信じて、進んでいくしかない。
学校に居場所がなくて、チームに入った。
けど、それによって得られた幸せもあった。
ろくでもない男と付き合って、妊娠もした。
けど、それによって得られた幸せもあった。
だから今回も。
その先にある、幸せを得られると信じての行動。
「じゃあ、なんで!」
それでも竜胆は反駁する。
「なんで、言ってくれなかったんですか……」
「っ!」
その言葉が、オレの、急所を突く。
「なんで、困ってるって言ってくれなかったんですか! 言ってくれれば、竜胆はアホの子なんで分からないですけど……先輩とか、もっと頭のいい人がきっと解決策を考えてくれたはずなのに! なんで黙って出ていったんですか!」
そんなの分かっていた。
けど。
けど、だ。
そんなの……言えるわけ、ないだろ。
いや、あの子には言った。
言って、何もできなかったじゃないか。
何も、叶えてくれなかったじゃないか。
なのになんでオレが悪いみたいに言うんだ。
理不尽だ。
学校に居場所がなくなったように。
悪い男に騙されたように。
「うるさい! あんたに何が分かる!」
「いい加減にしてください、愛良さん!」
「いい加減にするのはそっちだろ、竜胆!」
「敵と戯れ合ってるんじゃあ、ありませんよ! アラン!」
クリスティーヌが背後から声を張る。
その声に応じて、アランが俺の横を通り過ぎ、竜胆に迫る。
「くっ、邪魔を!」
竜胆が再び地面に木刀を刺す。
すると、そこから何かが走り、アランの体を拘束した。
だがそれも数秒。すぐに動き出したアランの突きを、竜胆は大仰な動きで回避する。
「っ! 竜胆!」
「そうよ、2人がかりでやっておしまいなさい!」
2人がかり……。
その言葉を聞くと、なんだかとてもひどいことをしているような気がして、足が一瞬止まる。
「いい加減にしてください! 執事さんも! さもないと正義しますよ!」
「やれるものならやってみなさい! アランは無敵でしてよ!」
「なら――九紋竜形態変化、第七紋! 闇竜(あんりゅう)!」
途端、竜胆の周囲にもやが出現した。
そのもやはこちらに広がり、空気を闇に染めていく。
「目くらましを! アラン!」
「いや、待て!」
嫌な予感がした。
それだけの何の考えもない一言。
だがそれは、現実のものとなった。
光が、闇を斬り裂いた。
竜胆が叫ぶ。
同時に手にした木刀をアランとかいう執事にたたきつけた。
それをアランは、さも当然のように右手でつかむ。
飛んでくる木刀を素手でつかむとか、どんだけめちゃくちゃだよ。
そう思ったが、めちゃくちゃなのは相手もだった。
「吹っ飛べ!」
竜胆はかまわず木刀を振り切った。
それによって起こるのは風。
突風が吹きすさび、アランの体をも上空へと飛ばす。
「アラン!」
「超絶・正義突風!」
竜胆が再び木刀を振るう。
すると突風が巻き起こり、オレたちを襲う。
「きゃあ!」
「ちっ、クリスティーヌ!」
耐えきれなかったクリスティーヌが5メートルほど背後に飛ぶ。
それを空中で受け身を取り、いとも簡単に着地したアランが背後に回って受け止めた。
「さすがアランですわ」
などとうっとり寸劇をやっている間に、竜胆がこちらとの距離を詰めてくる。
くそ、もう戦うしかないのか。
オレの邪魔をするなら、竜胆ももう、敵だ。
「剣よ」
空から無数の剣が落ちてくる。
その中に木刀は……ない。
だから一瞬迷い、近場にあった安っぽい日本刀を手にして前に出る。
「愛良さん!」
「この、分からず屋!!」
呼ばれ、カッとなって刀をふるう。
何もわかってない。
どうして立ちふさがるのかも。
だからそれを排除しようと、剣をふるう。
「九紋竜形態変化、第一紋! 火竜(かりゅう)!」
振り切った。斬った感触――はなかった。
見れば、刀は半ばで両断されていた。
切り口が熱を帯びたように赤い。
竜胆の木刀も燃えるように赤い。
理由は分からないけど、刀を斬られたのは確か。
それがどうした。
オレのスキルなら、代わりはいくらでもある!
「はああああああ!」
手近にあった刀を地面から抜き、再び振るう。
それを竜胆は迎え撃つ。
また斬られた。
いや、溶断された。
金属音もなく、相手の木刀を傷つけるわけでもなく、ただただ溶けるように刀が両断される。
先ほどの風といい、どうやら竜胆の木刀はそういうスキルらしい。
反則だろ、そんなの。
けど甘い。
オレは剣道の試合をしているわけじゃない。
何が何でも邪魔者を排除する――喧嘩をしてるんだ。
「ごっ……はっ」
竜胆が口から胃液を吐き出して、3メートルほど後ろに飛ぶ。
刀が斬られると同時、蹴りを入れたのだ。
お上品な剣術なんて知らない。
けど、こうやって昔から勝ってきた。
タイマンを張る時、どうしても意識は得物に向かう。
だからそれを囮に使うのだ。
もちろん、得物を使って勝てればよい。
けど警戒される攻撃はそうそう当たってくれない。だからそれを最大限に活かす。
警戒されるということは、注目されるということ。
しかも今回は真剣だ。当たればそれだけで致命的。だからこそ、意識もそちらに集まりやすく、他が無防備になる。
そこを狙い打つ。
道場剣術にはない、喧嘩殺法。
もとより竜胆を斬るつもりはない。
いくら道が分かたれたとはいえ、人を殺すつもりはオレにはなかった。
だから体術でケリをつける。
そうすれば、竜胆も諦めてくれるはずだ。
「はっ!」
追い打つように距離を詰め、右手で横なぎに刀を振るう。
竜胆はもちろん木刀でガード。刀が溶断される。
この木刀。反則級の強さだ。
けどそれを扱う人間が劣っていれば、勝てない相手ではない。
武器破壊された。
だがこちらの攻撃は止まらない。
右足の蹴り。読まれていた。竜胆の体が防御の姿勢に入る。
先ほどの反応で分かった。
この子は喧嘩慣れしていない。
いや、逆にこの子が喧嘩慣れしていたら、なんか嫌だ。
だからこれも想定通り。蹴りを途中で止め、それを踏み込みの一歩とすると、そのままの勢いで左拳をフック気味に竜胆の横っ面に叩き込んだ。
「がっ……!」
直撃を受けて、竜胆がふらつく。
とどめだ。取り替えた刀。峰の部分を向け、振り下ろす。
「くっ……九紋竜形態変化、第四紋! 雷竜(らいりゅう)!」
峰打ちの一撃。防がれるか。いや、オレの方が早い。
仮に防御しても、崩れた態勢では満足に連撃に耐えられないだろう。
だから勝った。
そう思った。
だが予想外の行動が来た。
竜胆はこちらの迎撃ではなく、それを地面に突き刺した。
するとそこから何かが走り、
「っ!!」
体が、止まった。
それは一呼吸の短い時間。
だが勝機を逃すには十分な時間。
峰打ちの一撃は空を切った。
「はぁ…………はぁ…………」
距離を取った竜胆が、肩で息をしている。
もうこちらの優勢は変わらない。あとは武器破壊に注意しながら、峰打ちか体術で相手を戦闘不能に追い込めばいい。
けど、その前に。
「竜胆、分かっただろ。もうどいてくれ。じゃないと、オレは」
「…………ってます」
「なに?」
「愛良さんは、間違っています」
「は……?」
「愛良さんは、間違ってます。だから、竜胆が正義するんです……」
「……っ!」
間違ってる。
分かってる。
オレの願いのため、愛梨沙のため。他人を犠牲にしようとしているんだ。
大間違いに決まってる。
けど、けど……。
「こうなっちゃったんだよ! こうするしかなかったんだよ!」
分かってる、けどどうしようもない。
人生なんて、そんなものの連続。
分かっちゃいるのに。どうしようもなくて道を外していく。
それでも、その果てにある幸せがあると信じて、進んでいくしかない。
学校に居場所がなくて、チームに入った。
けど、それによって得られた幸せもあった。
ろくでもない男と付き合って、妊娠もした。
けど、それによって得られた幸せもあった。
だから今回も。
その先にある、幸せを得られると信じての行動。
「じゃあ、なんで!」
それでも竜胆は反駁する。
「なんで、言ってくれなかったんですか……」
「っ!」
その言葉が、オレの、急所を突く。
「なんで、困ってるって言ってくれなかったんですか! 言ってくれれば、竜胆はアホの子なんで分からないですけど……先輩とか、もっと頭のいい人がきっと解決策を考えてくれたはずなのに! なんで黙って出ていったんですか!」
そんなの分かっていた。
けど。
けど、だ。
そんなの……言えるわけ、ないだろ。
いや、あの子には言った。
言って、何もできなかったじゃないか。
何も、叶えてくれなかったじゃないか。
なのになんでオレが悪いみたいに言うんだ。
理不尽だ。
学校に居場所がなくなったように。
悪い男に騙されたように。
「うるさい! あんたに何が分かる!」
「いい加減にしてください、愛良さん!」
「いい加減にするのはそっちだろ、竜胆!」
「敵と戯れ合ってるんじゃあ、ありませんよ! アラン!」
クリスティーヌが背後から声を張る。
その声に応じて、アランが俺の横を通り過ぎ、竜胆に迫る。
「くっ、邪魔を!」
竜胆が再び地面に木刀を刺す。
すると、そこから何かが走り、アランの体を拘束した。
だがそれも数秒。すぐに動き出したアランの突きを、竜胆は大仰な動きで回避する。
「っ! 竜胆!」
「そうよ、2人がかりでやっておしまいなさい!」
2人がかり……。
その言葉を聞くと、なんだかとてもひどいことをしているような気がして、足が一瞬止まる。
「いい加減にしてください! 執事さんも! さもないと正義しますよ!」
「やれるものならやってみなさい! アランは無敵でしてよ!」
「なら――九紋竜形態変化、第七紋! 闇竜(あんりゅう)!」
途端、竜胆の周囲にもやが出現した。
そのもやはこちらに広がり、空気を闇に染めていく。
「目くらましを! アラン!」
「いや、待て!」
嫌な予感がした。
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だがそれは、現実のものとなった。
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5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
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