知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた

第34話 崩壊への序曲

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 ジュナン城で大爆発が起きた。
 それは少し離れた俺たちにも感じるほど激しい地鳴りとして感じられた。

 何より夜空を突くほどの煌々とした光。
 それが煌夜の最期の命の光だとはっきりと感じた。

「ジャンヌ様……」

 ジルが何が起きたのかと不安な声を出す。

「全軍に通達。パルルカ教の教皇が亡くなった。弔旗を出して、全軍で喪に服す。そして明日、ジュナン城に入城する」

「……はっ」

 去っていくジル。
 入れ替わりのように里奈が来た。

「煌夜さん、亡くなったの?」

「ああ」

「じゃあ、きっと蒼月さんも」

「きっとな」

 けど女神は死なないだろう。
 神ならば死なない、というより、そうでなければあの愉快犯でもある女神が、自分の命を勝敗の条件に含めないだろう。
 どこまでも人を、人類をおちょくった奴だ。

『あの女神を、倒してください』

 煌夜から言われたお願い。遺志。

 本当に、どいつもこいつも押し付けていきやがって……。
 受ける側にもなってみろよ。辛いから。とても辛いから。

 けど、それは頼られているということで、それができるのが俺しかいないというのなら、それはもうやるしかないのだろうけど。

 と、そこで背中に体温を感じた。

「大丈夫。明彦くんは私が守るから」

 俺に何かを感じ取ったのか、里奈がそう伝えてくる。
 抱きしめられて伝わる体温。それがとても心強い。

「……ありがとう、里奈」

 翌日、全軍でジュナン城に入った。
 さすが帝国が築いた城だ。4万の兵すべてが入っても余裕がある。

 そこでひとまずは休息を入れて、次の方策を練る。
 といっても俺マターの話ではない。

 すべては相手の出方次第。

 帝国にはまだシータ王国と戦っている戦線の軍がある。
 さらに首都を攻めるとなれば、何千万という数の民衆が抵抗するだろう。

 そうなったら戦いは泥沼だ。
 最悪、今回の勝ちが帳消しになるかもしれない。

 煌夜と女神が乗っ取った蒼月という女性はいなくなったが、それは俺たちプレイヤーだけの問題。
 それをクリアしたからといって帝国がひざまずくかは別の問題なのだ。

 もし俺たちが帰っても、帝国との戦いが続くならそれは心残りになる。
 だからすべてが終わる前に、ジルたちに、マリアに、落ち着いた状況を渡したかった。

 そんな感じで、緊張感もありつつ久しぶりの休息を満喫していた4日後の昼。

 城の外が何やら慌ただしい。
 そしてしばらくして、ジルたちの籠る本陣に伝令が駆けこんできた。

「帝国から使者が参りました! 白旗を掲げています!」

 その伝令に、場内が沸いた。
 それはすなわち、帝国の降伏を意味することだから。

 誰もが歓喜に包まれる場内。
 それを少し感慨深げに眺めていると、水鏡がやってくるのが見えた。

「アッキー、ちょっと話いい?」

「どうした、水鏡?」

 場内と異なり、水鏡はどこか沈んだ様子だ。

「これから、どうなるの?」

「ん……そうだな。降伏の内容を詰めつつ、帝国軍を解体。それから帝都に軍を入れて、周囲への鎮撫をする感じかな。シータと戦ってる軍とか、収まるまではしばらくかかりそうだからな。まぁそれまで俺らがここにいるかは分からないけど、時間切れまでその土台作りに専念するさ」

「そう……時間がかかるのね」

「どうしたんだ?」

 どうも歯切れが悪い。
 何かあったのだろうか。

「実は伝令が来たの」

「ん? 帝都からか?」

「違うわ。本国、シータの首都よ」

「っ!?」

 何が。まさか北のシータ軍がやられて、帝国軍の残党に首都が落とされた?

「首都は無事よ。首都自体はね」

「どういうことだ? 何があった?」

あきらが……シータ国王の九神明くかみあきらが倒れた。明日をも知れない重体だって。だから申し訳ないけど私たちは帰るわ。あれでも、私たちにとっては大事な人だから」

 それはまさに寝耳に水の報告だった。

 そしてそれは、最後の崩壊への序曲でしかなかった。
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