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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話41 水鏡八重(シータ王国四峰)
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まったく、なんでこんな時に。
本当に間が悪いんだから、明は。
けど、心はざわつく。
まさか死なないよね、あいつ。
淡英、サカキ将軍、グリード将軍。
今回の戦いでは兵士だけでなく、本当に敵も味方も多くが死んだ。
この世界は本当に死があふれている。
だから気になってしまう。
重体ってどこまで重体なのか。
無事なのか無事じゃないのか。
少なくとも、何年かは一緒にやってきた仲だ。
何も言わずにさようならは嫌だ。
だからアッキーにお願いして、シータ軍は離脱した。
3万ほどいた軍も、2万ほどに減ってしまっている。
それほどまでに激戦だったのだ。
できれば二度とこんな戦いはやりたくない。
幸いなのは、それが現実にはならないほどに私たちは勝ったということ。
だから今は、とにかく明だ。
すぐに軍船を準備させて、翌朝に軍を出発させた。
「じゃあな。ありがとう。助かった」
ジュナン城の門前でのアッキーの挨拶。
再会の言葉はなかった。
もうこれで再会はしない。
彼女とは会えない。
いや、また会える。
元の世界に戻って、彼女ではなく彼として。
名前は知っているのだ。
きっと会える。
だからその時を夢見て、再会の言葉はない。
それでいい。
あとはアッキーが帝国を接収すればすべてが終わる。
そうしたら家に帰れる。
家族に会える。
また泳げる。
長かった夢が、ついにこうして叶う時がきたのだ。
それを思えば、気分も高揚してくるもの。
「ミカ、ご機嫌」
「そりゃ明さんに会えるからっすよ。へへ、俺の目はごまかせ――あだっ! じょ、冗談っすよー、姐さん」
そんなこんなして、1日移動して2日かけて河を下り、首都まで3日の距離にある港町に降り立った。
とりあえず軍勢はここで一泊させて、自分だけでも馬で首都ケイン・ウギへ向かおう。
そう天と相談して船を降りた。
だがそこで――
「なんでいるの……」
高揚した気分をどん底に落とす出会いが待っていた。
「なんでいるって。そりゃ心配して帰ってきた水鏡が心配だったんだよ」
そう男は――重体のはずの九神明は、にこやかに答えた。
なんで?
明は首都にいるんじゃなかったの?
なんでこんなところに。
いえ、それ以前に――
「そうじゃない! なんで!? てか重体ってのは!? すんごい元気そうじゃない!」
「ああ、そこか。うん、そうだね。元気だよ。重体ってのは……まぁ、嘘だ」
「嘘……?」
やっぱり意味が分からない。
なんで嘘をつく必要があるの?
嘘をついて、私を呼び戻した?
「実はね。一週間前に夢の中に出てきたんだ。あの女神が」
「女神……」
アッキーから色々聞いた。
そして講和の会議で初めて見た。
人の皮をかぶった邪悪。
それが一体、明に何を……。
嫌な予感しか、しない。
「その女神がね、言うんだよ。まだ終わってないって。まだ、大陸を統一していないって。だからまだ帰すわけにはいかないと」
「まだ終わってないって……だって、帝国を倒して、私たちは元の世界に帰れるんじゃ……」
「違うんだよ。聡明なミカなら分かるだろ?」
「…………まさか!」
衝撃が体中を突き抜ける。
そんなことが。
そんなことを。
そこまで、するか。
あの女神。
アッキーが言うように、本当に最低だ。
ここまで持ち上げておいて、突き落とすなんて、人間の所業じゃない。
どこかネジとかぶっ飛んでるんじゃないかと思う。
けど、まさか。
明がここにいるってことは、それはもう、止まらないということ。
「そういうことさ。こちらとしても断腸の思いなんだけどね。いや、本当に。なんとも悲しく、なんともやりきれない気持ちは大いにある。けど、こうなっちゃったらやるしかない。この状況において、滅びを待つのはごめんだ。そう、背に腹は代えられないってことさ」
悲し気に笑う明。
そして次に顔を上げたときには、彼が王として君臨する時の圧倒的強者としての顔だった。
「このまま全軍で南下、そして西へ向かう。狙いは王都バーベル。オムカ王国王都のバーベルだ。そしてもう1つ」
明はすっと目の前からどく。するとその背後に、見覚えのある男と、まったく見覚えのない長身の男が2人立っていた。
「はじめましてだろうから紹介しよう。こちらは帝国軍の飛鳥馬将軍、そして――軍師の椎葉さんだ。この2人も同行することになった」
もはや、言葉が出ない。
アッキーと元の世界で再び出会う。
その構想が、足元から崩れていく。
そんな音を聞いた気がした。
本当に間が悪いんだから、明は。
けど、心はざわつく。
まさか死なないよね、あいつ。
淡英、サカキ将軍、グリード将軍。
今回の戦いでは兵士だけでなく、本当に敵も味方も多くが死んだ。
この世界は本当に死があふれている。
だから気になってしまう。
重体ってどこまで重体なのか。
無事なのか無事じゃないのか。
少なくとも、何年かは一緒にやってきた仲だ。
何も言わずにさようならは嫌だ。
だからアッキーにお願いして、シータ軍は離脱した。
3万ほどいた軍も、2万ほどに減ってしまっている。
それほどまでに激戦だったのだ。
できれば二度とこんな戦いはやりたくない。
幸いなのは、それが現実にはならないほどに私たちは勝ったということ。
だから今は、とにかく明だ。
すぐに軍船を準備させて、翌朝に軍を出発させた。
「じゃあな。ありがとう。助かった」
ジュナン城の門前でのアッキーの挨拶。
再会の言葉はなかった。
もうこれで再会はしない。
彼女とは会えない。
いや、また会える。
元の世界に戻って、彼女ではなく彼として。
名前は知っているのだ。
きっと会える。
だからその時を夢見て、再会の言葉はない。
それでいい。
あとはアッキーが帝国を接収すればすべてが終わる。
そうしたら家に帰れる。
家族に会える。
また泳げる。
長かった夢が、ついにこうして叶う時がきたのだ。
それを思えば、気分も高揚してくるもの。
「ミカ、ご機嫌」
「そりゃ明さんに会えるからっすよ。へへ、俺の目はごまかせ――あだっ! じょ、冗談っすよー、姐さん」
そんなこんなして、1日移動して2日かけて河を下り、首都まで3日の距離にある港町に降り立った。
とりあえず軍勢はここで一泊させて、自分だけでも馬で首都ケイン・ウギへ向かおう。
そう天と相談して船を降りた。
だがそこで――
「なんでいるの……」
高揚した気分をどん底に落とす出会いが待っていた。
「なんでいるって。そりゃ心配して帰ってきた水鏡が心配だったんだよ」
そう男は――重体のはずの九神明は、にこやかに答えた。
なんで?
明は首都にいるんじゃなかったの?
なんでこんなところに。
いえ、それ以前に――
「そうじゃない! なんで!? てか重体ってのは!? すんごい元気そうじゃない!」
「ああ、そこか。うん、そうだね。元気だよ。重体ってのは……まぁ、嘘だ」
「嘘……?」
やっぱり意味が分からない。
なんで嘘をつく必要があるの?
嘘をついて、私を呼び戻した?
「実はね。一週間前に夢の中に出てきたんだ。あの女神が」
「女神……」
アッキーから色々聞いた。
そして講和の会議で初めて見た。
人の皮をかぶった邪悪。
それが一体、明に何を……。
嫌な予感しか、しない。
「その女神がね、言うんだよ。まだ終わってないって。まだ、大陸を統一していないって。だからまだ帰すわけにはいかないと」
「まだ終わってないって……だって、帝国を倒して、私たちは元の世界に帰れるんじゃ……」
「違うんだよ。聡明なミカなら分かるだろ?」
「…………まさか!」
衝撃が体中を突き抜ける。
そんなことが。
そんなことを。
そこまで、するか。
あの女神。
アッキーが言うように、本当に最低だ。
ここまで持ち上げておいて、突き落とすなんて、人間の所業じゃない。
どこかネジとかぶっ飛んでるんじゃないかと思う。
けど、まさか。
明がここにいるってことは、それはもう、止まらないということ。
「そういうことさ。こちらとしても断腸の思いなんだけどね。いや、本当に。なんとも悲しく、なんともやりきれない気持ちは大いにある。けど、こうなっちゃったらやるしかない。この状況において、滅びを待つのはごめんだ。そう、背に腹は代えられないってことさ」
悲し気に笑う明。
そして次に顔を上げたときには、彼が王として君臨する時の圧倒的強者としての顔だった。
「このまま全軍で南下、そして西へ向かう。狙いは王都バーベル。オムカ王国王都のバーベルだ。そしてもう1つ」
明はすっと目の前からどく。するとその背後に、見覚えのある男と、まったく見覚えのない長身の男が2人立っていた。
「はじめましてだろうから紹介しよう。こちらは帝国軍の飛鳥馬将軍、そして――軍師の椎葉さんだ。この2人も同行することになった」
もはや、言葉が出ない。
アッキーと元の世界で再び出会う。
その構想が、足元から崩れていく。
そんな音を聞いた気がした。
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