80 / 627
第2章 南郡平定戦
回想2 メリリン
もともと、人間には得手不得手がある。
足が早い者、遅い者。
泳げる者、泳げない者。
歌が上手い者、下手な者。
例を挙げれば枚挙にいとまがないほど、その種類は多岐にわたる。
そこで大事なのは、それはその人元来の先天的なものであって、決して後天的ではないということ。
後天的にももちろん得意になるものもあるだろうけど、先天的なものの方が圧倒的に得意なのは疑いようがない。
それを人は才能と言う。
だからどれだけ頑張っても不得意なものは得意以上のものにはならないし、もし大得意になった人がいたとすれば、実はそれこそが先天的な才能であっただけにすぎないのだ。
まぁここまでぐだぐだとこぼして何が言いたいかっていうと、
「数学わかんねぇ……」
机に広げたメモ用紙にダイブ。
もう無理。頭から煙が出てるよ絶対。賭けてもいい。
言ったじゃん、俺、文学部だって。
それが何?
収穫量と税収入の相関関係?
――知らねーよ。
どれだけの田んぼがあって、どれだけ開墾すれば国を運営できる財源が確保できるかだって?
――いっぱいだよ。
外国から資金を借りた場合、利子を含め返却するのに必要な年数?
――死ぬまでには返すよ。
もうわけわかんねー。
それもこれもカルキュールが、
『お前のその構想。一度書類で持って来い! ちゃんとした数字を添えてな! それができたなら考慮してやる!』
なんてこと言わなきゃこんな頭を悩ますこともなかったのに。
だからこうして書庫で昔の財政データとかとにらみっこしてるわけなんだけど。
あーあ、なんでわかってくれないのかなぁ。
俺の言う方が絶対良くなるのに。
「これが政治力の壁か……」
「いやいや、言い方の問題っしょ」
「あー、そりゃ苦手……って、うぉ!?」
ニーアがいた。
いつもの近衛騎士団の格好ではなく、薄い青色のワンピースを着ている。オフなのだろう。
黙っていれば可憐な乙女とも言えるのに、残念でならない。
「はろろー。元気? じゃなさそうだけど」
「あぁ、カルキュールからの宿題がね……」
気が抜けて再び机に突っ伏す。
「あー、そりゃご愁傷様。あたしもあのおじさん嫌い」
「やっぱりニーアもか。分かってるな。あいつ、こまごまとうっさいんだよ」
「お、お、お! ならさならさ、同志の証として揉んでいい?」
「帰れ、失せろ、消えろ」
「うぅー、ジャンヌのツッコミがおざなりだよぅ」
正直、不得意分野すぎて頭が働かない。
これが『長篠の戦いにおける、織田氏と武田氏の地理的優位性と経済格差について』みたいな議題だったら、100枚以上のレポートにまとめてやるってのに。やる気が起きねぇ。
「聞いたよー、サカキンから。カルキュールに政治の話で突っかかったって。ダメだよ。一応あの人、宰相だからね。帝国の下ではそれなりに能吏だったし。なんでも王国の生産高と消費量について過去数十年にわたって覚えてるとかで、そっち方面の話ではそうそう勝てる人いないって」
などと楽しそうに言うニーアに文句を言いたかったが、そんな気すらも起きない。
「ふんふん、なるほどー」
そんな俺の反応を見たニーアは図々しくも隣に座ると、体をぴったりくっつけたりしながら机に散乱するメモ用紙を観察しはじめた。
それでも俺は文句を言う気力もなく、ただなされるがままだった。
メモ用紙を何枚か見ていたニーアだが急に、
「あ、これ計算違うよ」
「嘘!?」
「ほら、この畑の面積の求め方が間違ってる。だから総収穫量とかも違ってきちゃってるし。それに3億の15パーセントがなんで450万なの?」
「……ニーア、お前数学出来たのか」
「スーガク? いや、わかんないけどこれくらい基本じゃない?」
なんだろう。
今、俺はすごく色々なものに負けた気がする。
いいんだよ。もう資料作成とかやる気ねーし。数学ができなきゃ、それに長けた人を使えばいいだけだし。
……………悔しくなんかないんだからな!
「うーん、てかこの様子だと資料作成とか無理じゃん? 誰かに手伝ってもらったら?」
「無理だよ。ハワードは屯田の指揮とってるし、ジルとサカキは王都の復興。ブリーダは金山の見回りだし、クロエは志願兵の対応してる」
あれ、俺って意外と知り合い少なくね?
少しショックだったりした。
「ちょっと、そこになんであたしの名前がないかなー」
「気にすんなよ。頭遣うのが苦手な奴に助けは求めないよ」
「ぶー、計算ミス言われるまで気づかなかったくせに」
「自分の間違いはえてして見えにくいものなのさ」
はい嘘です。
実は超恥ずかしいです。脳筋と思ってたニーアに数学、いや算数? の間違いを指摘されて超恥ずかしいのです。
だからまだ俺は机に突っ伏したまま続ける。
「あーあ、しかしここまで人手不足になるとはなぁ。ロキンの奴もとんだ置き土産をしてきたもんだ」
「ん、なになに? 何がロキンのせいなのさ?」
話はこうだ。
オムカ王国の宰相となっていたロキンは、そもそもがエイン帝国からの出向した人間。
他国の人間が盤石の基盤を得るには、相応の後ろ盾に加え、優秀な政治家を作らないということが重要だ。
それで政治が回らなくなろうが関係ない。
彼らの目的は支配することなのだから。被支配国の人間が飢えようが死のうが関係ないのだ。
だから優秀な政治家が出てくれば、それはロキンの重要な手駒であると同時に、強大な敵になる可能性がある。
それをあの他人の足を引っ張ることで優秀なロキンが見過ごすはずがない。
彼は注意深く、敵となるだろう人物を観察し、そして危険だと感じたら即座に排除してきたのだろう。
そうなれば自然残るのは凡庸な者か、ロキンにすり寄る者しかいなくなる。
そんな状態なわけだから、優秀な政治家なんてものが残るはずもなく、カルキュールみたいな奴がトップクラスとしてこの国の宰相に収まることになったのだ。
ぴんぽんぱんぽーん。
この説はあくまで個人の意見です。必ずしもすべての人に当てはまる理屈ではないのでご注意ください。
なんつって。
だがこの国の今の現状がそれを物語っているのは間違いない事実なのだ。
「ふーん。つまり帝国が悪いってことね!」
全然違うけど、本質は合ってるからいいか。
しかしこれは本当に悩みの種だ。
人はそんなに早く育つものじゃないし、なによりそのお手本がいない。
シータから派遣してもらえば、と思うがそれは結局ロキンと同じ羽目になる可能性の方が高い。
前漢の蕭何、曹魏の荀彧、戦国時代の石田三成とは言わないまでも、政治力の高い人物が欲しい。
せめて80台。いや、贅沢言わないから70前後でいいからいないかな。
「どっかに計算できるやつとか落ちてないかなぁ」
あまりに漠然としたぼやきだったが、ニーアは事もなげに答えてくれた。
「いるよ」
「いんのかよ!? あ、でも分かってる。『あ・た・し』とか言うんだろ。それ却下だからな」
「違うって。そんな風に思われてるの心外だなー」
いや、お前の今までの行動を思い返してみればそう言いたくもなる。
「じゃあなんだよ。あ、もしかして俺より計算できるやつなんざ腐るほどいるってやつか!?」
「だから違うって! あ、メリリン! ちょうどいいところに!」
ニーアが立ち上がって、誰かに手を振る。
そこには本があった。
いや、本が動いていた。
何十冊もの本が積み重なったまま移動している。
そんなわけない。
人が大量の本を持ち運んでいるだけだ。だがその陰に隠れてしまうほどその人物の背が小さいということでもある。
「わたしは――」
本が喋った。
いや、その背後にいる人間が喋ったのだが。
それでもその人間が少し高揚しているのが分かる。
そしてそれは腕を伝い、手にした本へと伝わり、
「あっ――」
ぐらっと揺れた積み上げられた本は、必死のバランス調整にも関わらず重力に逆らうことはできず、背後にいる人物の頭上に無慈悲に降り注ぐ。
「ぐにゃーーー!」
潰された猫のような悲鳴。
俺とニーアは慌てて席を立つと、本に埋もれた人物の発掘作業を始める。
「おーい、生きてるか?」
ようやく現れた小さくか細い腕を見つけると、それを手に取って引っ張る。
散らばった本からようやく顔を表したのは、俺と同じか少し上くらいの女の子。
青みがかった髪に眠そうな瞳。眼鏡がずり落ちて、右耳になんとかぶら下がっている状態だ。
「だ、大丈夫か?」
「………………」
少女は俺を一瞥しただけで答えず、ロングスカートの埃をはたいて眼鏡をかけなおしながら立ち上がった。
無視された? ちょっとショック。
「相変わらずメリリンはお転婆だね」
お転婆?
どっちかっつーとドジっ子という方が合ってるような。
「あのわたしはメルなんですけど」
「ん、メルでしょ、だからメリリンじゃない!」
少女のか細い抗議の声は、ニーアのよく分からない自信満々の前に何の意味もなさなかった。
てかお前のネーミングセンスってどうなってるの……?
「何か用でしょうか?」
「メリリンってさ。計算とか得意系だったよね?」
「得意系……? はぁ、まぁ」
「本当か!? それならちょっと見て欲しいものがあるんだけど!」
「…………」
ニーアへの返答に俺が食いつくと、彼女はうつむいて押し黙ってしまう。
うっ、また無視か。
いや、今のは俺がいけない。ちょっと驚かせすぎた。
「あ、ジャンヌ。ダメダメ。メリリン、超がつくほどの人見知りだから。あたしくらいじゃないと喋れないから」
「人見知りって……」
完全無視なんですけど。
それ超えてない?
「ニーア、ちょっと……」
ふと、メルがニーアの袖を引っ張ると、そのまま部屋の隅へと連れて行ってしまった。
何やらこそこそと2人で話をしている。
それだけなら別に構わないんだけど、時折こちらに視線が来るのが分かる。
あぁ、なんかこういう陰口っぽいのってイライラする!
てかにやにやとこっちを見てくるニーアの視線がムカつく。
待つこと数分。
にやにや顔のニーアと、やっぱり視線を合わせてくれないメルの相反した態度の2人が戻って来た。
「いやー、よかったじゃんジャンヌ」
「なにがだよ」
陰でひそひそ話をされていたようで、俺は今機嫌が悪い。
だから――
「メリリン、手伝ってくれるって」
「てかお前ら、さっきから俺に隠れてこそこそと。彼女が一体――って、えぇ!? いいの!?」
「うわー、そのノリ、クロクロっぽい。師は弟子に似るってことね」
「うるさいよ。てか本当か!? 手伝ってくれるって、資料作成を!?」
「これくらい楽勝よね、メリリンは。王宮とか王都の商業組合とかの経理やってるもんね」
「…………」
マジか。それは頼もしい。
けど、その本人が俺を視界にすら入れてくれないんだけど。口をきいてくれないんだけど。
若干顔が赤いのは怒ってるからなのか?
「あー、嫌ならいいんだけど」
「ニーア、なんでもいいから早くして。わたし、そんな暇なわけじゃないから」
「え?」
「あー、はいはい。了解了解。あ、というわけでジャンヌ。メリリンにはあたしを通して会話して」
「なにその伝言ゲーム!? 同じ空間にいるんだから直接話せばいいだろ!?」
「だから、この子恥ずかしがり屋なの」
「ニーア、わたしは別に恥ずかしくない。ただ……困るだけ」
困るって何が。
てかニーアを経由してる風を装って直接言ってるも同然だよね。なんなんだこの状況。
俺の隠せない戸惑いを察知したらしく、ニーアがこっそり近づいて耳打ちしてきた。
「この子ね、実はジャンヌのファンなんだって」
「はぁ?」
俺にファン?
こんな何のとりえもない大学生にどうして?
あ、いや違う。彼女がファンだというのは、この世界で旗を持って戦うジャンヌ・ダルクという存在だ。写楽明彦じゃない。
「ふっふ、噂に聞くジャンヌが好きでたまらないんだけど、自分は裏方の仕事だからジャンヌとは接点ができないと思ってたところでこれでしょ? そりゃびっくりして照れもする――ぅぅわわわわ!」
急に奇声をあげて何かと思えば、メルがニーアの脇をくすぐっていた。
「なにするのかな!」
「わたしは、そんなんじゃ、ない、です。ジャンヌって人が好きなだけで、その人とは、関係、ないから」
最初はひたすら無視してくる暗い少女と思ってしまったが、その裏を聞けば微笑ましく思う。
ある種、この不器用さが里奈にも通じるものがあったからだ。
「と、とにかく。ニーア。用があるなら、早くして」
「ほいほい、じゃあジャンヌ。このニーアを通訳にするんだからもっと近寄って。吐息が耳に触れるほど近く――わきゃ!」
ニーアの耳に思いっきり息を吹きかけてやった。
……ったく。
そんな感じで始まった奇妙な通訳関係わけだが、
「え、あぁ、はい。えっと……100メートル四方の畑から収穫できる値をXとして、そこからの税を3割とするとこれくらいで。それに……はい、国の財政がこれとすると、1年の納税額がこれくらで、こうなるから、え、2年は無税? それは……うん、そうなるとこうなる。少なくとも5億ほどの金の蓄えがないと。現状の人口では無理。分かる、ニーア?」
俺が数時間もうんうん唸ってどうにもならなかったことを、答えを見ながら解いているかのようにすらすらと書き写していく。ただニーアに対しての教えみたいな形になってるけど。
というわけであっという間に俺が知りたかった、農地問題とシータからの援助についての問題に答えが出た。
結論から言うと、現状で税収3割、2年の無税で国の運営は不可能だ。
またシータからの援助もほぼ無利子でも今後50年での完済は不可能と出た。
こりゃカルキュールから言語道断と言われても仕方のない内容だ。
それだけでも俺としては十分な成果だったのだが、
「ちなみにですけど、ジャンヌさんという人がやろうとしている屯田方式は良いと思います。農地を耕作しつつ農民にあてがうのは将来的に有効です。人数さえ確保でき、さらに今の4倍まで広げられれば3年後には余剰ができるほどに潤うでしょう。それまではそうですね、税率は5割、そして1年の無税というのが最大限でしょう。もちろんシータからの援助は必要ですが、最低限の額であれば2年目には返済のめどが立つと思います。むしろ直接的な援助ではなく、商人の仲介や貿易ルートの確立の方が相互共に利益を得られるので良いのではないでしょうか」
という解決策まで導いてくれたのだから言う事はない。
むしろ大万歳だ。
「凄い。凄いなメル! まさに我が蕭何を得たような思いだ! もっと俺の手伝いをしてくれないか!?」
荀彧を得た曹操もこんな気持ちだったんだろう。
あぁ、なんて素晴らしい。人との出会いがこんなに嬉しいものと思ったのは、里奈以来だ。
「あ、あの……ニーア。わ、わたしは……そういうつもりじゃ、ないと……今回だけ。伝えてもらえますか」
「はいはーい。そういうことだって、ジャンヌ」
聞こえてるって。
しかしもうちょっと仲良くなっておきたいな。俺の数多くある弱点をここまで克服できる存在なのだから、これからも頼りにすることも多いだろうし。
いや、待て待て。
ここで無理強いして逃げられたらそれこそ目も当てられない。
敵を叩くにはしっかりとおびき寄せた上で、伏兵で横槍を入れるのが戦術の基本だ。
だから今は焦るべきじゃない。
「分かった。いきなりだなんて言われても困るよな。けど、たまにはお喋りしに来てもいいかな? この案を詰める相談もしたいし」
「に、ニーア……。ジャンヌという、人と一緒とか……無理。わたし、倒れるかも。今日から、ずっと一緒にいて、もらえますか?」
「えー、ずっと? うーん、そっちの方がジャンヌとイチャイチャできそうだけど、やっぱダメー。メリリンもそろそろ独り立ちしてもいいんじゃないかな」
「う、うう……」
半泣き状態のメル。
どうも俺が変態の悪役っぽく聞こえるのは何故だろう。
「ご、5メートル離れてくれるなら……」
それはもはや会話にならないだろ……。
いや、でもよく考えたら初めてニーアを通してじゃなく喋ってくれたのだ。
その勇気を笑うなんて失礼だ。
「分かった。それでいい。これからよろしく頼むよ、メル」
「…………は、はぁ…………」
「いやー、やっぱ人は年齢じゃないな。俺と一緒くらいの人がこんな才能持ってるなんて。ふっふっふ、みてろよカルキュールめ。まだオムカも捨てたもんじゃないってこと見せてやる」
なんて悪役っぽいことを言ってみたが、ふと、空気が気になった。
白けたというか、どこか冷めた空気。
その中心はメルで、その横でニーアが口を膨らませて笑おうとするのを堪えている。
「あの、わたし……24歳です」
「え!?」
ニーアの大笑いが書庫に響き渡った。
//////////////////////////////////////
読んでいただきありがとうございます。
いいねやお気に入りをいただけると励みになります。軽い気持ちでもいただけると嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
足が早い者、遅い者。
泳げる者、泳げない者。
歌が上手い者、下手な者。
例を挙げれば枚挙にいとまがないほど、その種類は多岐にわたる。
そこで大事なのは、それはその人元来の先天的なものであって、決して後天的ではないということ。
後天的にももちろん得意になるものもあるだろうけど、先天的なものの方が圧倒的に得意なのは疑いようがない。
それを人は才能と言う。
だからどれだけ頑張っても不得意なものは得意以上のものにはならないし、もし大得意になった人がいたとすれば、実はそれこそが先天的な才能であっただけにすぎないのだ。
まぁここまでぐだぐだとこぼして何が言いたいかっていうと、
「数学わかんねぇ……」
机に広げたメモ用紙にダイブ。
もう無理。頭から煙が出てるよ絶対。賭けてもいい。
言ったじゃん、俺、文学部だって。
それが何?
収穫量と税収入の相関関係?
――知らねーよ。
どれだけの田んぼがあって、どれだけ開墾すれば国を運営できる財源が確保できるかだって?
――いっぱいだよ。
外国から資金を借りた場合、利子を含め返却するのに必要な年数?
――死ぬまでには返すよ。
もうわけわかんねー。
それもこれもカルキュールが、
『お前のその構想。一度書類で持って来い! ちゃんとした数字を添えてな! それができたなら考慮してやる!』
なんてこと言わなきゃこんな頭を悩ますこともなかったのに。
だからこうして書庫で昔の財政データとかとにらみっこしてるわけなんだけど。
あーあ、なんでわかってくれないのかなぁ。
俺の言う方が絶対良くなるのに。
「これが政治力の壁か……」
「いやいや、言い方の問題っしょ」
「あー、そりゃ苦手……って、うぉ!?」
ニーアがいた。
いつもの近衛騎士団の格好ではなく、薄い青色のワンピースを着ている。オフなのだろう。
黙っていれば可憐な乙女とも言えるのに、残念でならない。
「はろろー。元気? じゃなさそうだけど」
「あぁ、カルキュールからの宿題がね……」
気が抜けて再び机に突っ伏す。
「あー、そりゃご愁傷様。あたしもあのおじさん嫌い」
「やっぱりニーアもか。分かってるな。あいつ、こまごまとうっさいんだよ」
「お、お、お! ならさならさ、同志の証として揉んでいい?」
「帰れ、失せろ、消えろ」
「うぅー、ジャンヌのツッコミがおざなりだよぅ」
正直、不得意分野すぎて頭が働かない。
これが『長篠の戦いにおける、織田氏と武田氏の地理的優位性と経済格差について』みたいな議題だったら、100枚以上のレポートにまとめてやるってのに。やる気が起きねぇ。
「聞いたよー、サカキンから。カルキュールに政治の話で突っかかったって。ダメだよ。一応あの人、宰相だからね。帝国の下ではそれなりに能吏だったし。なんでも王国の生産高と消費量について過去数十年にわたって覚えてるとかで、そっち方面の話ではそうそう勝てる人いないって」
などと楽しそうに言うニーアに文句を言いたかったが、そんな気すらも起きない。
「ふんふん、なるほどー」
そんな俺の反応を見たニーアは図々しくも隣に座ると、体をぴったりくっつけたりしながら机に散乱するメモ用紙を観察しはじめた。
それでも俺は文句を言う気力もなく、ただなされるがままだった。
メモ用紙を何枚か見ていたニーアだが急に、
「あ、これ計算違うよ」
「嘘!?」
「ほら、この畑の面積の求め方が間違ってる。だから総収穫量とかも違ってきちゃってるし。それに3億の15パーセントがなんで450万なの?」
「……ニーア、お前数学出来たのか」
「スーガク? いや、わかんないけどこれくらい基本じゃない?」
なんだろう。
今、俺はすごく色々なものに負けた気がする。
いいんだよ。もう資料作成とかやる気ねーし。数学ができなきゃ、それに長けた人を使えばいいだけだし。
……………悔しくなんかないんだからな!
「うーん、てかこの様子だと資料作成とか無理じゃん? 誰かに手伝ってもらったら?」
「無理だよ。ハワードは屯田の指揮とってるし、ジルとサカキは王都の復興。ブリーダは金山の見回りだし、クロエは志願兵の対応してる」
あれ、俺って意外と知り合い少なくね?
少しショックだったりした。
「ちょっと、そこになんであたしの名前がないかなー」
「気にすんなよ。頭遣うのが苦手な奴に助けは求めないよ」
「ぶー、計算ミス言われるまで気づかなかったくせに」
「自分の間違いはえてして見えにくいものなのさ」
はい嘘です。
実は超恥ずかしいです。脳筋と思ってたニーアに数学、いや算数? の間違いを指摘されて超恥ずかしいのです。
だからまだ俺は机に突っ伏したまま続ける。
「あーあ、しかしここまで人手不足になるとはなぁ。ロキンの奴もとんだ置き土産をしてきたもんだ」
「ん、なになに? 何がロキンのせいなのさ?」
話はこうだ。
オムカ王国の宰相となっていたロキンは、そもそもがエイン帝国からの出向した人間。
他国の人間が盤石の基盤を得るには、相応の後ろ盾に加え、優秀な政治家を作らないということが重要だ。
それで政治が回らなくなろうが関係ない。
彼らの目的は支配することなのだから。被支配国の人間が飢えようが死のうが関係ないのだ。
だから優秀な政治家が出てくれば、それはロキンの重要な手駒であると同時に、強大な敵になる可能性がある。
それをあの他人の足を引っ張ることで優秀なロキンが見過ごすはずがない。
彼は注意深く、敵となるだろう人物を観察し、そして危険だと感じたら即座に排除してきたのだろう。
そうなれば自然残るのは凡庸な者か、ロキンにすり寄る者しかいなくなる。
そんな状態なわけだから、優秀な政治家なんてものが残るはずもなく、カルキュールみたいな奴がトップクラスとしてこの国の宰相に収まることになったのだ。
ぴんぽんぱんぽーん。
この説はあくまで個人の意見です。必ずしもすべての人に当てはまる理屈ではないのでご注意ください。
なんつって。
だがこの国の今の現状がそれを物語っているのは間違いない事実なのだ。
「ふーん。つまり帝国が悪いってことね!」
全然違うけど、本質は合ってるからいいか。
しかしこれは本当に悩みの種だ。
人はそんなに早く育つものじゃないし、なによりそのお手本がいない。
シータから派遣してもらえば、と思うがそれは結局ロキンと同じ羽目になる可能性の方が高い。
前漢の蕭何、曹魏の荀彧、戦国時代の石田三成とは言わないまでも、政治力の高い人物が欲しい。
せめて80台。いや、贅沢言わないから70前後でいいからいないかな。
「どっかに計算できるやつとか落ちてないかなぁ」
あまりに漠然としたぼやきだったが、ニーアは事もなげに答えてくれた。
「いるよ」
「いんのかよ!? あ、でも分かってる。『あ・た・し』とか言うんだろ。それ却下だからな」
「違うって。そんな風に思われてるの心外だなー」
いや、お前の今までの行動を思い返してみればそう言いたくもなる。
「じゃあなんだよ。あ、もしかして俺より計算できるやつなんざ腐るほどいるってやつか!?」
「だから違うって! あ、メリリン! ちょうどいいところに!」
ニーアが立ち上がって、誰かに手を振る。
そこには本があった。
いや、本が動いていた。
何十冊もの本が積み重なったまま移動している。
そんなわけない。
人が大量の本を持ち運んでいるだけだ。だがその陰に隠れてしまうほどその人物の背が小さいということでもある。
「わたしは――」
本が喋った。
いや、その背後にいる人間が喋ったのだが。
それでもその人間が少し高揚しているのが分かる。
そしてそれは腕を伝い、手にした本へと伝わり、
「あっ――」
ぐらっと揺れた積み上げられた本は、必死のバランス調整にも関わらず重力に逆らうことはできず、背後にいる人物の頭上に無慈悲に降り注ぐ。
「ぐにゃーーー!」
潰された猫のような悲鳴。
俺とニーアは慌てて席を立つと、本に埋もれた人物の発掘作業を始める。
「おーい、生きてるか?」
ようやく現れた小さくか細い腕を見つけると、それを手に取って引っ張る。
散らばった本からようやく顔を表したのは、俺と同じか少し上くらいの女の子。
青みがかった髪に眠そうな瞳。眼鏡がずり落ちて、右耳になんとかぶら下がっている状態だ。
「だ、大丈夫か?」
「………………」
少女は俺を一瞥しただけで答えず、ロングスカートの埃をはたいて眼鏡をかけなおしながら立ち上がった。
無視された? ちょっとショック。
「相変わらずメリリンはお転婆だね」
お転婆?
どっちかっつーとドジっ子という方が合ってるような。
「あのわたしはメルなんですけど」
「ん、メルでしょ、だからメリリンじゃない!」
少女のか細い抗議の声は、ニーアのよく分からない自信満々の前に何の意味もなさなかった。
てかお前のネーミングセンスってどうなってるの……?
「何か用でしょうか?」
「メリリンってさ。計算とか得意系だったよね?」
「得意系……? はぁ、まぁ」
「本当か!? それならちょっと見て欲しいものがあるんだけど!」
「…………」
ニーアへの返答に俺が食いつくと、彼女はうつむいて押し黙ってしまう。
うっ、また無視か。
いや、今のは俺がいけない。ちょっと驚かせすぎた。
「あ、ジャンヌ。ダメダメ。メリリン、超がつくほどの人見知りだから。あたしくらいじゃないと喋れないから」
「人見知りって……」
完全無視なんですけど。
それ超えてない?
「ニーア、ちょっと……」
ふと、メルがニーアの袖を引っ張ると、そのまま部屋の隅へと連れて行ってしまった。
何やらこそこそと2人で話をしている。
それだけなら別に構わないんだけど、時折こちらに視線が来るのが分かる。
あぁ、なんかこういう陰口っぽいのってイライラする!
てかにやにやとこっちを見てくるニーアの視線がムカつく。
待つこと数分。
にやにや顔のニーアと、やっぱり視線を合わせてくれないメルの相反した態度の2人が戻って来た。
「いやー、よかったじゃんジャンヌ」
「なにがだよ」
陰でひそひそ話をされていたようで、俺は今機嫌が悪い。
だから――
「メリリン、手伝ってくれるって」
「てかお前ら、さっきから俺に隠れてこそこそと。彼女が一体――って、えぇ!? いいの!?」
「うわー、そのノリ、クロクロっぽい。師は弟子に似るってことね」
「うるさいよ。てか本当か!? 手伝ってくれるって、資料作成を!?」
「これくらい楽勝よね、メリリンは。王宮とか王都の商業組合とかの経理やってるもんね」
「…………」
マジか。それは頼もしい。
けど、その本人が俺を視界にすら入れてくれないんだけど。口をきいてくれないんだけど。
若干顔が赤いのは怒ってるからなのか?
「あー、嫌ならいいんだけど」
「ニーア、なんでもいいから早くして。わたし、そんな暇なわけじゃないから」
「え?」
「あー、はいはい。了解了解。あ、というわけでジャンヌ。メリリンにはあたしを通して会話して」
「なにその伝言ゲーム!? 同じ空間にいるんだから直接話せばいいだろ!?」
「だから、この子恥ずかしがり屋なの」
「ニーア、わたしは別に恥ずかしくない。ただ……困るだけ」
困るって何が。
てかニーアを経由してる風を装って直接言ってるも同然だよね。なんなんだこの状況。
俺の隠せない戸惑いを察知したらしく、ニーアがこっそり近づいて耳打ちしてきた。
「この子ね、実はジャンヌのファンなんだって」
「はぁ?」
俺にファン?
こんな何のとりえもない大学生にどうして?
あ、いや違う。彼女がファンだというのは、この世界で旗を持って戦うジャンヌ・ダルクという存在だ。写楽明彦じゃない。
「ふっふ、噂に聞くジャンヌが好きでたまらないんだけど、自分は裏方の仕事だからジャンヌとは接点ができないと思ってたところでこれでしょ? そりゃびっくりして照れもする――ぅぅわわわわ!」
急に奇声をあげて何かと思えば、メルがニーアの脇をくすぐっていた。
「なにするのかな!」
「わたしは、そんなんじゃ、ない、です。ジャンヌって人が好きなだけで、その人とは、関係、ないから」
最初はひたすら無視してくる暗い少女と思ってしまったが、その裏を聞けば微笑ましく思う。
ある種、この不器用さが里奈にも通じるものがあったからだ。
「と、とにかく。ニーア。用があるなら、早くして」
「ほいほい、じゃあジャンヌ。このニーアを通訳にするんだからもっと近寄って。吐息が耳に触れるほど近く――わきゃ!」
ニーアの耳に思いっきり息を吹きかけてやった。
……ったく。
そんな感じで始まった奇妙な通訳関係わけだが、
「え、あぁ、はい。えっと……100メートル四方の畑から収穫できる値をXとして、そこからの税を3割とするとこれくらいで。それに……はい、国の財政がこれとすると、1年の納税額がこれくらで、こうなるから、え、2年は無税? それは……うん、そうなるとこうなる。少なくとも5億ほどの金の蓄えがないと。現状の人口では無理。分かる、ニーア?」
俺が数時間もうんうん唸ってどうにもならなかったことを、答えを見ながら解いているかのようにすらすらと書き写していく。ただニーアに対しての教えみたいな形になってるけど。
というわけであっという間に俺が知りたかった、農地問題とシータからの援助についての問題に答えが出た。
結論から言うと、現状で税収3割、2年の無税で国の運営は不可能だ。
またシータからの援助もほぼ無利子でも今後50年での完済は不可能と出た。
こりゃカルキュールから言語道断と言われても仕方のない内容だ。
それだけでも俺としては十分な成果だったのだが、
「ちなみにですけど、ジャンヌさんという人がやろうとしている屯田方式は良いと思います。農地を耕作しつつ農民にあてがうのは将来的に有効です。人数さえ確保でき、さらに今の4倍まで広げられれば3年後には余剰ができるほどに潤うでしょう。それまではそうですね、税率は5割、そして1年の無税というのが最大限でしょう。もちろんシータからの援助は必要ですが、最低限の額であれば2年目には返済のめどが立つと思います。むしろ直接的な援助ではなく、商人の仲介や貿易ルートの確立の方が相互共に利益を得られるので良いのではないでしょうか」
という解決策まで導いてくれたのだから言う事はない。
むしろ大万歳だ。
「凄い。凄いなメル! まさに我が蕭何を得たような思いだ! もっと俺の手伝いをしてくれないか!?」
荀彧を得た曹操もこんな気持ちだったんだろう。
あぁ、なんて素晴らしい。人との出会いがこんなに嬉しいものと思ったのは、里奈以来だ。
「あ、あの……ニーア。わ、わたしは……そういうつもりじゃ、ないと……今回だけ。伝えてもらえますか」
「はいはーい。そういうことだって、ジャンヌ」
聞こえてるって。
しかしもうちょっと仲良くなっておきたいな。俺の数多くある弱点をここまで克服できる存在なのだから、これからも頼りにすることも多いだろうし。
いや、待て待て。
ここで無理強いして逃げられたらそれこそ目も当てられない。
敵を叩くにはしっかりとおびき寄せた上で、伏兵で横槍を入れるのが戦術の基本だ。
だから今は焦るべきじゃない。
「分かった。いきなりだなんて言われても困るよな。けど、たまにはお喋りしに来てもいいかな? この案を詰める相談もしたいし」
「に、ニーア……。ジャンヌという、人と一緒とか……無理。わたし、倒れるかも。今日から、ずっと一緒にいて、もらえますか?」
「えー、ずっと? うーん、そっちの方がジャンヌとイチャイチャできそうだけど、やっぱダメー。メリリンもそろそろ独り立ちしてもいいんじゃないかな」
「う、うう……」
半泣き状態のメル。
どうも俺が変態の悪役っぽく聞こえるのは何故だろう。
「ご、5メートル離れてくれるなら……」
それはもはや会話にならないだろ……。
いや、でもよく考えたら初めてニーアを通してじゃなく喋ってくれたのだ。
その勇気を笑うなんて失礼だ。
「分かった。それでいい。これからよろしく頼むよ、メル」
「…………は、はぁ…………」
「いやー、やっぱ人は年齢じゃないな。俺と一緒くらいの人がこんな才能持ってるなんて。ふっふっふ、みてろよカルキュールめ。まだオムカも捨てたもんじゃないってこと見せてやる」
なんて悪役っぽいことを言ってみたが、ふと、空気が気になった。
白けたというか、どこか冷めた空気。
その中心はメルで、その横でニーアが口を膨らませて笑おうとするのを堪えている。
「あの、わたし……24歳です」
「え!?」
ニーアの大笑いが書庫に響き渡った。
//////////////////////////////////////
読んでいただきありがとうございます。
いいねやお気に入りをいただけると励みになります。軽い気持ちでもいただけると嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
あなたにおすすめの小説
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
親王様は元大魔法師~明治の宮様に転生した男の物語~戦は避けられるのか?
サクラ近衛将監
ファンタジー
日本のIT企業戦士であった有能な若者がある日突然に異世界に放り込まれてしまった。
異世界に転移した際に、ラノベにあるような白い世界は無かったし、神様にも会ってはいない。
但し、理由は不明だが、その身には強大な魔法の力が備わっていた。
転移した異世界の都市は、正にスタンピードで魔物の大襲撃に遭っているところであり、偶然であるにせよその場に居合わせた転移者は魔物を殲滅して街を救い、以後その異世界で大魔法師として生きることになった。
そうして、転移から200年余り後、親族や大勢の弟子が見守る中で彼は大往生を遂げた。
しかしながら、異世界で生涯を終え、あの世に行ったはずが、230年余りの知識経験と異能を持ったまま赤子になって明治時代に生まれ変わってしまったのである。
これは異世界に転移したことのある出戻り転生者の物語である。
* あくまでもフィクションであり、登場人物や時代背景は史実とは異なります。
** 史実に出て来る人物又は良く似た名前の人物若しくは団体名が登場する場合もありますが、広い心で御容赦願います。
*** 週1(土曜午後9時)の投稿を予定しています。
@ 「小説家になろう」様にも投稿しています。