知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第3章 帝都潜入作戦

第3話 あけましてお女神

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「はいっというわけでー、あけましておめでとうございます、今年もバンバンっていきましょー! ということで『あけバ』!」

 もうまったく意味が分からん。

「もうっ、アッキーはシャイなんだからー」

 アッキーはやめろと何度言えばわかるんだよ。
 てか正月からお前か。これか。マジいい加減にしてくんないかなぁ。

「えー、正月から私が見られるなんて超ラッキーだよ? 超レアだよ? ほら、日本でも言うでしょ『一富士二鷹三女神』って」

 言わねーよ。
 てかお前、鷹より弱いのな? 茄子なすと同レベルなのな? 東照大権現とうしょうだいごんげん様の好物なのな? もう食われちゃえよ。

「うっ、相変わらずの減らず口。じゃあ『一女神メガ女神メガ三わたし』かな?」

 つまりお前は3メガバイトしか容量がないってことか。

「…………もう、なんなの! アッキーったらせっかく私が正月からやってきてあげてるってのに! あーだこーだ言ってー! お母さん怒りますよ!」

 もう突っ込む気すら起きないわ。

「というわけでもう帰ってくれよ」

「お、出たね。帰れコール。それを聞かないとアッキーに会いに来たって感じしないよねー。これぞザ・ツンデレ!」

 デレねーから。

「てかまさかそのためにこの前半、うざったらしい小芝居やってんじゃねーよな?」

「まさか。私もそれほど暇じゃないし。目的のほんの半分くらいだって」

 十分すぎる熱量だよ。

「嘘うそ、冗談だよ。本当はね……アッキーと初日の出、見たかったんだ。でも私、女神でしょ? そっちの世界には行けないの。だからせめて初夢だけでも共有したくて……来ちゃった」

「はい、そういうのいいから。それでドキッとかしたら、騙されてやんのー、パターンでしょ」

「あははー、さすが知力99。ばれたかー。…………でもね、アッキーと一緒にいたかったのはホントだよ」

「うっ……」

「はいアウトー! 相変わらずアッキーちょっろー」

 マジこいつ本気でかえらないかな、無に。

「いやーメンゴメンゴ。こんなことでもしてストレス発散しないとさー、おねーさん大変なわけよ。分かる? 女神の辛さ」

「知らねーし知りたくもねー」

 てか俺がストレス発散のはけ口かよ。迷惑だ。

「ま、いーじゃんか。アッキー、去年は大活躍だったんだからさ。いやー、まさかアッキーがちゃんと年を越せるなんてねー。絶対どっかで野垂れ死んでると思ったよ、あたしゃ。てかそれが大本命だったからね。まさかの大穴馬券20倍が来たもんだ」

 人の生死を勝手に賭けにしてんじゃねーよ。

「でもま、本当に頑張ったんじゃない? おねーさんが褒めてあげよう、よしよし」

「やめろよ。てか体ないだろ、俺」

「そこはこう……気分?」

「はいはい、どうもありがとーございましたー」

「もう、誠意がこもってないなぁ。ま、いいでしょ。それでアッキー、今年の抱負は?」

「お前との関係を断つ」

「もうイケズだなー。本当は色々決まってるんでしょ? その知力99の頭脳でさ」

「ふん、皆まで言うかよ――ってか、さっきも気になったけど……知力下がってね?」

「あ、気付いた? いやー、そりゃご褒美ですからね。南郡制圧のごほーび」

「まぁ傘下に入ったのはドスガだけだけどな」

「またまたー。ワーンス王国とフィルフ王国ははほぼ属国化。トロン王国もほぼ無力化してオムカの友好国。残るスーンも、これだけ周りを囲まれたら文句言えないってね」

「……結果論だよ」

「うわ、その訳アリ顔。悪いねー、アッキーは。むしろこうなることを見越しての苦戦だったわけでしょ?」

「何の話だ?」

「ドスガ王国との戦争。あれほど苦戦する戦じゃないのに、わざと苦戦してみせた。それだけ人を死なせたってこと。敵も味方もね。そうすることで、南郡の戦力は大幅に低下する。それこそ1年や2年じゃあ回復できないほどにね。そうすればオムカとの国力の差ははっきり広がる。そのために戦争を長引かせた。南郡の人間を間引く、そのために」

「ち、違う! 俺はそんなこと思って戦ったわけじゃない!」

「なら何で鉄砲隊に正面からぶつかったの? もっと地形を利用すれば被害は減らせたよね? なんで夜襲に対して徹底的に殺させたの? そうでなくとも水爆弾は手に入ったわけだから、鉄砲隊は機能しなくなって勝てたよね? なんで新兵部隊を攻撃させたの? もうあの時点で決着はついてるよね?」

「違う、違う違う違う違う違う違う違う! 俺は!」

「違わないよ。そうしなければアッキーは、今頃南郡をこうも綺麗に支配できなかった。これを見越してやったんだよ。いや、さすがだね。当時知力100の考えることは」

「俺は必死に戦った! 手こずったのは俺の考えが足りなかったからだ! マツナガが上手うわてだっただけだ! そんなこと、考えても実行なんてするもんか!」

「そうだね。そうやって自分サゲしてまで言い訳しないと、極悪非道の人間になっちゃうからね。あの最低認定のマツナガくんと同レベルの。ううん、それを自覚しようとしない以上、アレより酷いね」

「……………………」

「あら、黙っちゃった? うーん、まさかここまでメンタル弱いとは……あー、弱いか。告白まがいのことでうろたえて、好きな人と分かり合えなくて狼狽ろうばいし、王様を自殺させたことに動揺しまくるくらいだもんねーさすが正義のヒロイン」

「うるさい!」

「ええ、それが女神ですもの。人間の幸不幸をさかなに、人々の争いを見て楽しむ。人間の生き死になんてどうでもいい。人間の心が壊れようと関知しない。人間が絶滅しようが、多分気にしないんじゃないかな? それが女神という生き物。存在。現象。アッキーも知ってるでしょ、パリスの審判って」

 ……うるさい。

「むふー、ごめんねアッキー。半分冗談だけど半分本気だよ?」

 だからなおさらたちが悪いんじゃねーか。

「かもね。で、どうする? 記憶消しとく?」

「……いや、いい。それも俺の罪だ。断罪された記憶は持ってく」

「うわ、アッキーって前から思ったけどドM? どうしてそこまで思い悩むかな、背負うかな?」

「それが俺だよ、クソ女神」

「はい、格好良く言ったところでダメです。もう、しょうがないなぁ。ほんとはねー。南郡制圧おめでとー、知力99になったよ帝国との戦争頑張ってねー、という祝勝会的な感じだったのに、アッキーのせいでぐずぐずになっちゃったんだよ」

 お前が言うな。

「たはー、消沈しても辛辣しんらつー。ま、そういうわけで、記憶消し消しハンマー・改! 何が改かって? そりゃ記憶を消す部分を選べるからなのです! といっても前半部分とか真ん中とかってエリア指定しかできないけどね。ほい、だから後半のマジ話は削除! ほら、また知力99になりました報告すんの、めんどいじゃん? 全く、アッキーだけだよ。こんなにめんどくさいことになるの」

「おい、やめろ。俺は消すつもりはないぞ」

「だーかーらー、もうちょっち肩の力抜けっての! ほい、じゃあ『あけバ』ってことで、バイバーイ!」

 だからやめ――

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読んでいただきありがとうございます。
相変わらずの女神回ですが、このやり取りも一応、後半につながってくる……はずです。それなりに。

いいねやお気に入りをいただけると励みになります。軽い気持ちでもいただけると嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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