知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第3章 帝都潜入作戦

第34話 女神の真実、というか雑談

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「いえーーーい! お久しぶりです、女神の国からこんにちわ、こんばんわ、アスタラビスタベイベベイベーの、女神ちゃんでーーーす!」

 うわー、ここで来るか。
 帝都脱出してちょっと気が緩んだか。

「そうでーす! アッキーは今、帝都を無事に抜け出したところの宿でバタンキュー中だってんだこんちくしょう!」

「なんかキャラ変わってない?」

「こんにゃろばかやろ、当然じゃい! 半年以上も放っておくなんてひどすぎる! わたしの出番をもっと増やせー! コノウラミハラサデオクベキカー! 女神の超級恨みパワーを思い知るがいいー!」

 はいはい。もう二度と出てこなくていいから。

「うわー、ドライなんですけど。いつになくドライフラワー、メイフラワー、カリフラワーなんですけどー」

 もう意味わかんないからくんな。

「えぇー、あの時のアッキーはなんだったの。あの夜はあんなに激しかったのに……」

「誤解を招くような言い方はするな!」

「え、誤解? 何言ってるの? ツッコミのことだけど? もしかしてアッキー、なにか変なこと想像しちゃった? はい、おねーさんに言ってごらん? 大きな声で、元気よく!」

「さっさと消えろよ! うっとおしい!」

「ふぅ、というわけでアッキーをイイ感じにいじったらちょっとだけ気が晴れたわー余は満足じゃー」

「じゃあもういいだろ。もう今後10年、いや、二度と出てくんな」

「辛辣で激しいツッコミいただきましたー。さすがアッキー。今日も冴えてるねーごちそうさまです」

「その流れはいいから。もういいや。そんなことより、せっかくだから聞いておくぞ」

「ん、なに? 急に改まっちゃって」

「赤星煌夜、知ってるな」

「アッカーボシコーウヤン? 新しい怪獣の名前?」

「真面目な話!」

「はーーーい。知ってますよー。そりゃわたし女神だし? この世界のプレイヤー管理してますし―?」

「いい感じにお前のこと恨んでるぞ。女神を殺すとか言ってる」

「あははははははは! さっすがコーヤ。こりないやっちゃねー」

「知ってるんだな」

「そりゃあね。そもそもパルルカ教を勧めたのも、あのスキルに育てたのも、可愛い彼女の蒼月麗明あおつきれあちゃんを世話したのもわたしだし」

「どういう意味だ?」

「さぁー、わたしは知りませーーん。わたしは何も知らない。何も語らない。何も喋らない。何も気づかない。何も動かない。何も示さない。何も煽らない。ただただここにいるだけ。ここにいて、見るだけ」

「ごまかすなよ。ばっちり何かやってるじゃないか」

「ごまかしてなんかないよ。本当にわたしはここにいるだけ。ここにいて、あなたたちたち人間の望みを叶えているだけ。私から君たちに何かをする、そんなことはしないよ。私は聞くだけ。転生するかどうか。私は与えるだけ。あなたたちの選んだスキルを。私は見届けるだけ。あなたたちがこの世界で選んだ、その選択を」

 どこまで本気か疑わしいものだけどな。

「えぇー、疑うの? この純粋できれいな瞳を?」

「瞳が綺麗だろうが、腹の中で笑う奴は笑うさ。この世界に来て、そういう奴らを嫌って程見てきた」

「すねてるねー。もっと楽しもう? せっかくの第二の人生なんだからさ!」

「その第二の人生なんだけど」

「ん? なに?」

「これまでも、あったのか。俺たち以外の、例えば……過去の人間とかが」

「ふーーーーん?」

「ここ数年の話じゃないんだろ。もっと前から、この世界では元の世界にいた人間がやってきて、そして……そこで争い、殺し合ってきた。違うのか?」

「なるほどね。コーヤくんに何吹き込まれたと思ったらそういうこと。うん、そうだよ。ここ数百年。わたしはここに来た迷える魂を、この世界に送り込んできた」

 認めた。
 やはりそうなのか。
 この世界はこの女神を名乗る悪魔の遊び場だというのか。

「ちょっとちょっと! そうやって片方だけの言い分を信じて疑うの、人としてよくないと思います!」

 女神に人間を語られるの、すんげぇ不愉快なんだけど。

「なによー。女神だって元は人間みたいなもんなんだからね。じゃなきゃこんな格好しないわ。あ、もちろんこの格好なのは、イケメンイケジョと恋のランデブーをするためで――」

「分かったよ。言い分を聞きゃいいんだろ。さっさと話せ。話半分――いや、300分の1で聞いてやる」

「ぶー、女神差別よくないと思います。これが女神ハラスメント……メガハラってやつ!? なんかゲームのタイトルっぽい!?」

「いいから!」

「はいはい。と言ってもね。そんなに内容のある話でもないのよね。わたしが転生の女神だから、以上!」

「本当に内容スッカスカだな」

「だってそれ以外に言い様がないでしょ。じゃああんたはなに? なんで人を捕まえるんですか? 警察だから。なんで人を裁くんですか。裁判官だから。なんで料理を作るんですか? コックだから。なんで転生させるんですか? 転生の女神だから。それ以上でもそれ以下でも中心でも外周でも首都でも郊外でもその他諸々でも圧倒的多数でもなんでもないんじゃー!」

「つまり……仕事だって言いたいのか?」

「イエス、アイドゥー!」

 こいつの今日のノリ。いつも以上に増して本当にうざいな。

「そうなのよねー。ただわたしはわたしの職務をこなしただけなのに。それで恨まれて殺されそうになるとかなに!? この世は不条理だらけ! 誰かこんなか弱いわたしを助けて!?」

「はいはい。お前がそんなか弱いわけねーだろ」

「まぁねー。コーヤが来たら返り討ちするけど」

 てへっ、と舌を出して頭をこつんとする女神。
 キモかった。年齢を考えろ。

「てか今絶賛、お前に恨みを抱いている人間がいるんだけど知ってる?」

「えー、どこどこ? わたしの前には腕力1の超ザコ最弱最低ナメクジ無能くんしかいないけど?」

「お前、絶対殴るからな。ここに体を持ち込めたら絶対殴ってるからな!」

「ええーアッキーこわーい殺されちゃうー」

「棒読み1000%の名演技ありがとよ!」

 ……はぁ。ともあれ、幸か不幸か両方の言い分を聞けたわけだ。
 そのうえでどうするか。
 いや、こいつがどうあれ、決めたことはある。

「一応言っとくけど、俺は別にコーヤに味方するつもりはないからな。色々胡散臭いところあるし、この世界を何とも思ってないあいつに協力するなんてありえない。だからあいつが変なことする前に、俺が止める」

「え、なにそれ。それって遠回しにわたしを守るとかいいたいわけ? え、ヤバ。なにその下げといて爆上げすんの。やめて。アッキー超イケ。駄目だよ。だって女神と人間だよ? 女の子と女の子だよ? それがこんな……キュンてしちゃっていいの?」

「これももう一度言っとくけど、お前を恨んでるのは間違いないからな!」

「うわー、アッキー。今、わたしの中に芽生えた萌えキュン要素が一気に冷めたんですけど―。この乙女の純情、どうしてくれるつもりですかー」

 どうもしねぇよ。どこが乙女だ。
 何百歳の婆だろ。

「アッキー、それ次言ったら、オールパラメータ1に下げっからね?」

「俺たちに何もしないんじゃなかったのかよ!」

「しないよー? でもアッキーがそういうことを望んじゃったからってことで。言ったでしょ? 女神も人間みたいなものだって。だから嬉しさもあるし恋心もあるし乙女だし美しいし可愛いし愛らしいし可憐だし美声なんだけど、もちろん怒りも悲しみも恨みも怒りも年齢もつらみも怒りもなんでもあるんだよ?」

「ワカリマシタ、もう言いません……」

 初めてこいつを怖いと思った……。
 そして相変わらず自分盛りが激しいな、という部分で引いた。

「なによー。わたしが美少女女神じゃないっていうの?」

「誰もそんな表現使った事ねーよ。鏡見ろ」

「鏡? 鏡を見たら壊れちゃうじゃない。わたしの美しさに耐えきれずに悶えて破裂しちゃうわ」

「お前はメデューサか……いや、なんかそのツッコミも違うな」

「あら、メデューサさんを知ってるの? あ、そうか学者だもんね。そう、ゴルゴーン姉妹は、わたしのお父さんの従妹の夫の息子の友達の妹さんの知り合いの娘さんなんだよ」

「はいはい、わかったから。赤の他人じゃねーかってツッコめばいいんだろ」

「ん、まぁ結局、母方の従妹って言いたかったんだけど」

「巡り巡ってそっち!? 意外と近いの!? てかお前、ギリシャ神話系なの!?」

 っと、ヤバい。
 駄目だ、こいつの話に関心もっちゃ。
 言っていることがほぼ無意味なんだから。

「無意味じゃないよ。ちゃんと答えてるじゃん」

「それが無意味だって言ってんだよ。結局、だらだらと雑談して疲れただけじゃねーか」

「そんなことないよ。わたしにとって、この時間はとても楽しい、アッキーと過ごせる大切なひと時だもん」

「う……そう……かよ。まぁ、俺もそこまで悪くは……」

「はいズガーン! アッキーちょろー。最後の最後に女神様の魅力にやられちゃったー? この妄想癖童貞オタクが夢見てんじゃないわよ」

「もう二度とくんな!」
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