精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第9話:ジュディの異変

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「では、今日の一時限目は【神知学】だ。席につけ、君達っ!」



威厳のある声でそう命令してきたのは【神知学】の先生のようだ。



今の俺は他の生徒(女子ばかりだけど)と一緒のクラスで初めての学院生としての授業を受け(『客人』としてだけど)、一応は【熱心な客人】として真剣に授業を受ける姿勢を見せるため集中しながらあそこの下段にいる先生のいう言葉に耳を傾けている最中だ。



ちなみに、【呪われた大地】という学院生の間に古くからつけたフェクモの『蔑称』の事もあるので、フェクモが出身地の俺がこの教室にいても奇異の視線で向けられたり、警戒されたり、侮蔑の視線を向けられたりすることは言うまでもない。



現に、今は授業を受けている最中にすら様々な流し目を向けられ、如何に俺が歓迎されない生徒であるかを物語る。まあ、構わずに、先生の行う授業に対してだけ意識を集中させ、周りからの『ノイズ』を遮断するだけのこと!



「魔法科か普通科だったかに関わらず、君達も既に中等学院で【聖魔力】と【精霊】についての由来は勉強して知っているのだな?確認を取るまでもないことだけど、一応そこに編入してきたばかりの珍しい【客人】、南大陸フェクモ人であるオケウェーのためにも一応説明しておく」



ここは上から斜め下へ向けて何段かに分けられた繋がったままのテーブルにした学生席があり、下へ降りていくことにつれ、先生のいる下段の中心壇がある。俺達はあそこに立っている先生のことを見つめながら、授業を受けている最中だ。



ちなみに、その茶髪セミロング三つ編みの教師はミレウ先生といって、【神知学】を受け持っているようだ。



この一時限目を受ける前に、さっきのホームルーム時間があって、俺達1年B組の担任先生であるイリーズカもいたけど、彼女から聞くことによれば、一年生の全員に向けて【精霊術学】の授業を担当するそうだ。



つまり、おじちゃんの病を直すために俺が習得しなければならない【精霊術】を教えてもらうために『最重要人物』だ。



「知っての通り、我々の住む世界は【シルヴェーン】といって、遥か5万年も前の【神話時代】から存在していたとされる【始まりの二神(ふたがみ)】である【偉全智神オールナモレス】と【最凶聖神リルティーランニア】の結婚により、【シルヴェーン】が無から誕生した。あの古の時代に、神の存在は彼ら二人だけだった時代で、他に生を受けた魂はいなかった。それから、その【無の宙】の静寂と虚無に飽きたその対比とする能力を持った【始まりの二神(ふたがみ)】が魂の融合をしたような結婚式を終え、それに伴う【大光の爆発】により我々の世界、【 シルヴェーン】ができたということは覚えているな?質問がある者から手を上げなさい」



………………



俺達が住んでいるこの世界の創生由来について一通り説明し終えたミレユ先生は聞きたい者がいるなら挙手しろと勧めてきたが、どうやら応える生徒がいなさそうだ。まあ、この世界の創成期なんて知ってる者は既に多いもんな。俺もおじいちゃんの家にある本で軽くだがその話を読んだこともある。



というか、俺の斜め上背後から凄い負のオーラを向けられていることをさっきから感じてるんだけど、【あいつ】はまだ昨日の一件で未だ根に持っていること自体はさすがに予想済みのこと。だが、もうちょっと自重してほしいというかなんというか。先生が授業してる最中なんだし~!



「で、【聖魔力】というのは、元々この【 シルヴェーン】って世界が誕生したばかりの時点では存在していなかったものだ。それが【始まりの二神】の魂が融合し、【大光の爆発】の後にできた【四種の生】である我々【人間】、【聖神】、【魔神】や【精霊】が創造された瞬間からになって、【四種の生】それぞれの体内に【聖魔力】が宿るようになったものだ。但し、【魔神】だけが【大光の爆発】の後に新たに【二神(ふたがみ)】の融合した状態になった【天頂神、アーズリア=イロイン】のご加護を受けることができずに、ずっと彼ら独特の【混沌の波力】だけを生命力や戦闘力の源としている」



「ふ~~わあー!」



「眠いんですか、オケウェーさん?」



先生の教えてくれてる世界創成期や神々の昔話は既に本で知ってきた情報なので、思わず刺激に欠ける内容に欠伸を漏らしてしまった俺を隣の席に座っているジュディに心配された。



だって、魔神の【力の源】だけは【混沌の波力】になってることは常識として学んだこともあるし、他の種族についても【人間にだけ傷つけられる特殊な変質した聖魔力である反人力】を唯一に有する【世界獣】もあるわ、極まれな存在になってしまった俺みたいな【死霊魔術使い】に至っては特別に体内に二つの【力の源】である普通の【聖魔力】や【死の息吹】をも同時に有するわで、様々な情報はもう既に知ってきたんだから!



「まあなあ。話はとっくの昔に知っていたことなんだし、今更聞かされても学べるものはないしね」

素直に自分の気持ちをジュディに伝えたら、



「まあ、まあ、そう言わずに。授業の内容自体、新しい情報であるかどうかに関わらず真面目に聞いて上げないと駄目ですよ?私達、今は立派な【聖エレオノール精霊術学院】の生徒になったばかりなんですからー!」



「そういうことなら我慢して聞くしかないかぁー」



「そこの二人―!私語は控えてなさい!このミレユ神知学教師の授業を無視したまま雑談に興じるとはいい度胸だな」



びくっ!先生に注意されてしまった。ううぅ……ジェームズのヤツじゃないけど、面目ないっす、はい………。



隣を見てみると、一緒に怒られたことにムッとしたか、俺へ非難の目を向けてきたジュディ。



「そして、【聖魔力】という【力の源】をも授けてもらっている【精霊】なる【四種の生】の一つには特殊な存在として特別の方法で【聖魔力】の行使を続けてきた。その行使というのは、精霊達の『他方に力を貸し、主との契約を通じて深まった親睦』を【聖魔力】の循環を両方に流し、主従共々強化していくために使われるものだ」



つまり、精霊だけは使役されるために産まれた存在であると、そう説明してくれたんだね。常識としてもう知ってるんだけど、授業で改めて聞くと、精霊達だけ可哀想な役割を担うことになったなぁって同情しちゃう。



これは既に本で知っていたことなんだけど、最後に教わる内容はまだ知らない情報になることはまだ予感できずにいる俺だった。



「もちろん、これもそこのオケウェーって【フェクモ人】に向けて特別に教える内容となるが、彼は既に、本か何かの自主勉学で自分の住んでいた【南大陸】には魔術の行使ができないだけじゃなくて、【精霊】という【四種の生】なるものまでもがそこで住めないような環境であることは熟知しているはずだ。なんでも、魔術の使用ができない者ばかりが住んでいるから精霊達と契約し【聖魔力】を【魔術】として変換する仕組みが同じような【精霊術】までも使えないだろうということで棲み付いていないことになっているな」



うん、これも既に学んだ情報だ。【四元素の魔術】だけじゃなくて、【精霊術】の行使も【聖魔力】の変換が必要になるんだから、天頂神が南大陸での全ての魔術の使用を出来なくしてやがったんなら、自然と魔術と同質な【精霊術】も使えないはず。だから、何もできないからという理由でフェクモには精霊が棲み付いてこないことは自明の理。



「だが、これから話すことになる事柄はこの学院にしか教えて貰えないような情報だぞ?つまり、こういうことだ:【精霊】という存在はなあ、元々は創造された瞬間から【女性】という体質の半分を持つ【天頂神アーズリア・ イロイン】から【女力】である【アーズリア質】の大半が占めている【聖魔力】の方を授けてもらったものだ。でも、他の二種である【人間】や【聖神】それぞれの方は【男力】の強い【 イロイン質】を授けて貰ったことから、根本的な存在としての本質があまりにも違いすぎるということになるのだ」



ほう?これはまだ学んだことないものだな!なんか興味が湧いてきた!って、【女力の質が多い聖魔力】の方が強く精霊の体内に宿るということー?その他である俺達には【男力の質が多い聖魔力】ってこと?



「つまり、女性というのは子供に対し、分け隔てなく愛情を注ぎ、育て上げるのが本筋の存在だということ。だからなのか、【女力】の強い【アーズリア質】が含まれている【聖魔力】の方を授けられたということは、【精霊】の存在自体が【男力の強い聖魔力】を有している他方に向けて力を貸して、何らかの形で主のために一生尽くして、貢献していくばかりのようなものだ」



…………ってことはー!



「そうですよ、オケウェーさん。貴方の想像通りに」



隣の席で何やら微笑ましい表情を浮かべるジュディに気づいたが、先生が続くと、



「なので、女性の本質の多くを誇る【精霊】は、基本的に【女性の人間】としか契約を交わさないものとなっており、本来はオケウェーといった少年のことは彼らと契約を交わすことができないことを意味しているのだ」



!?で、でも、男である俺が契約できないとなると、なんであの仮面のヤロウが俺をここへー



「疑問点ばかり浮かぶような顔しているようだが、まあ最後まで話を聞け、黒色少年!要するに、ここ数年にその何百年、何千年にまで亘って続いてきた常識や節理がひっくり返ったようなありえない出来事が起こったから、現在になっては【男性の人間】であろうとも、極まれだが一部の方はもう契約を交わせるような時代になりつつあるのだぞ?」



そう、そうか!よ、よかったー!って、つまり!



「【激舌の壮麗男、マックミュレーン】だ」



ん?



「私達レイクウッド王国民にはまだあの頃の一時的な混沌極まりない【最悪な一年間】の記憶が鮮明に思い出されるが、これもフェクモ人であるオケウェーのために思い出したくもない過去のことを少しだけ話さなくてはならないことだ。まずは、良き【英雄様】のことから話すぞ】



ほう?英雄様っていうのはどういう人物なのか?少し興味が湧いてきた!



「【英雄様】というのは、ここ【北大陸ギャラールホルーツ】において、初めて歴史に名を刻んだ最初の男性の精霊術使いだった。それも、とてつもない長い詠唱を必要とした【神話級の精霊術】をも舌の激しい動きにより、あっという間に1分を要するような詠唱ばかりをたった5秒間で全てを唱え切ってみせたすご舌な男であったからそういう【異名】で呼ばれるようになり、人気者となったのだ」



へーえ?って、って、おいおいおい、ま、マジかーーよおーーはははあははは



「あははははーー!!舌の動きが凄いんだってーーぇ!?な、何それー!ぎゃあはははーあっははははははー!」




なんか可笑しすぎるよ、もう~!



「「「ーーーー!??」」」



と、笑い声を轟かせてきた俺と違って、周囲の様子が静かであることに気づいた。



「な、何々彼~?精霊術使いという神聖な使い手となった最初の殿方にして英雄だった マックミュレーン様のことを笑っているなんて.....」



「あたし、男嫌いだから今学年に男子生徒が入ってくること自体、断じて認めることはできないけれど、英雄様は別なのよー!?それをあのどこの馬の骨とも知らない外人の輩に侮辱されていいはずがないわー!」



「やっぱり、薄汚い【南黒人】だけあって性根も腐っているわね。舌の使いこなしが上手いからってそれを笑い種にというか、珍しがるからって直ぐに笑い飛ばそうだなんて、お里が知れるわね!」



と、口々に非難の声が飛び交っていた。



心なしか、背後で感じていた殺気もいっそ禍々しいものとなり、今でも喰い殺さんばかりに噛みついてきそうな勢いを察知したんだよな...



「オケウェーさん~~」



はー!?なんか隣を見てみると、笑ってないような目をしながらも微笑んだまま青筋を立ててすごむジュディが迫ってくる事を確認した俺だった。



って、俺、また何かやっちゃったんかいーーーー!?




……………



………



「はあぁ~~ぁああー!散々な一時限目もうおわった!」



一時限目が終わってやっと周りの痛い視線から逃げるように、俺は廊下に出て今年度で用意されたばかりの【男性用】トイレへと用を済まし、やっと出てきた。



やっぱり、さっきの恥ずべきミスを起してしまってる前の時でも俺が教室に入るなり、周りの女子生徒に避けられたり、嫌悪感あふれる表情ばかり向けてきたからなあ。 あいつらのいう【呪われた地】の住民である俺を疎ましく思う子も少なからずいるようだな、ここのB組でも。



それが俺のさっきの失言と重ね重ねに見せつけられてたら、そりゃもっと辛辣な言葉が俺に向けられて飛び交うことになってもおかしくない。



なので、皆からの超~きつい眼差しに耐えられずに思わず飛び出してきたが、今トイレを出たばかりの俺はさっきの失言を伴って笑ってしまったところだった俺をミレユ先生がこっ酷く説教してきたのを思い出した:



「いくら南地にずっといたからといって無知は無罪になり得ることは必ずしもないということを知っておくべきだぞ!」



と、そんなふうに先生に忠告された。



で、トイレから出てきた俺が放心状態にトボトボ戻ろうとすると、



「いたんですね、オケウェーさん!羞恥で学院から逃げ出していったかと思いましたけど、さすがにオケウェーさんはそんなに弱くないと初めて見た昨日から察しましたから!やっぱりそうはしませんよね。まあ、過ちは誰でもするし、あまり気にしてはいないんだけど、周りの子から見れば確かにイケナイことしちゃったと思いますよ?」



ジュディだ。こんな時でも親切に俺を心配して追いかけてくるなんて、ちょっと感極まりそうで、胸がほっこりする思いだ。



「それにしても、何だったんだ、あの マックミュレーンって男は?最初の男の精霊術使いということらしいが、なんでその……5年前..?だったっけ?行方不明になったって先生が言ってたのだが、彼の舌の動きが普通じゃないから超絶早口な男として名を残すことに対して面白おかしく思ってしまっただけなのに、あの非難の嵐ときたらーー!居たたまれないったらありゃしないぜー?」



「あははは……まあ、舌動(ぜつどう)の凄さはともかく、要するにあの子達がオケウェーさんに怒っている一番の理由っていうのは、あのマックミュレーンさんの【英雄】としての一面についてだけだと思いますよー?」



「【英雄の一面】?」



「はい!さっきのは【神智学】であって【歴史学】ではなかったからそこまで教えてもらってなかったようだけど、本当のことをいうと、マックミュレーンさんがもっとも有名になったのは舌のことが主な理由ではなくて、初めての精霊術使いにして見事に7年前に暴虐の限りを尽くしていた、あのう……【魔神アフォロ..メロ】...を倒したことから慕われるようになったからですよ?」



「【魔神アフォロメロ】?」



「はい、当時はハーレムがもっと欲しいとか何とか訳の分からないことばかりを常に豪語していたあの最悪な変態的嗜好を持っていたま、...ま、【魔神】が、自分の誘いを断った数々の人間の女性を攫っていって、自分の城の中に閉じ込めていたからやっと彼女達を救い出して、【神話級の精霊術】を駆使しながらあの…【魔神】…のことを激戦の末に倒し切っていたマックミュレーンさんだから英雄視されるようになったんですよ」



ほう、そんなことが7年前のこの北方の大地で起きていたのか……



同じ頃に南で俺が...うん?7年前の『あそこ』は確かー、ってー?



そうだ!7年前には俺が8歳で、おじちゃんは森の中で気絶してるというか深い眠りに落ちていたところの俺を拾ってくれた時期だったんだ!まさか同時期の北地であるここでそんな関連性のありそうな同時進行の大事件があったなんてー!なんか偶然が過ぎるんじゃー!?



「7年前かあー。色々とあったんだね、『ここは』」

顔に出てきちゃいそうな動揺っぷりを務めて抑えるようにして、冷静に振る舞いながら意見を漏らすと、



「そうでしたね。やっと倒して平和になったかと思ってたら、いきなり2年後である今日から5年前の【聖神歴890年】にて、マックミュレーンさんがいきなり行方不明になりましたからね。波乱万丈な国だったんですよ、ここレイクウッド王国は」



昔の逼迫した国情が鮮明に思い出されるか、いきなり神妙な顔つきになったジュディ。



「ーん?そういえば、さっきミレユ先生が数年前のこの国の状況を知らない俺のために精霊の力の本質と舌の変人...じゃなくてマックミュレなんちゃって一のことまで親切に話してくれたんだけど、どうしてその先のことをまだ話していない【魔神アフォロメロ】の事をジュディが詳しく知ってるんだ?ハーレムが欲しいとか云々で」

こればかりは謎だね。だから知りたい。



「さすがに当時の7年前のジュディは俺と同様に8歳だったんだろう?詳細なことを両親さんが教えてくれないとあっても不思議じゃない。だがジュディはまるで、直接にあの魔神のことを知っているかのようー」



「それ以上は聞かないで下さいーーー!」



「ーー!?」



いきなりそんな悲壮感溢れる顔で叫んだジュディ。



彼女の顔を良く見てみると、涙が潤みそうなほどの辛い表情を浮かべていて今でも泣き出しそうな消え入りそうなうめき声を堪えている様子だ。




「……ごめん! 先に戻るんですっ!」



タタタタ………



「…………」



った、ったく、一体何だったんだよー!?




…………




………




一時間30分後の学院長室にて、



「昨夜の入学試験の結果は、合格だ。わたしの学院長としての権限により、貴様ら平民3人組の入学を認めよう」



「やったね、オケウェーさん!」



「うっす!僕達の努力、やっと報われたってことなんっすよねー!」



「当然だ。あんな児戯に等しい戯れが試験だったから悪かったんだね、どこの誰かさんにとってー?」



口々にお祝いの言葉を交わし合っていると、俺だけが鋭く学院長を挑発するようなことを言いながらあの女の方に挑戦的な目を向けた(我ながら子供っぽい意地っ張りなところもあるもんだ、俺は)。



「図に乗るなよ、薄汚い【南蛮人】の【黒糞男子(こくふんだんご)】が!口を謹んで『客人』らしく振る舞わないといずれどこで誰かに喉笛を掻き切られることになっても知らないぞ?」



と、俺の挑発に対してまたも物騒な煽り文句で返してきた学院長に、



「オケウェーさん!駄目ですよ、そんな失礼なことを学院長さんに!」



「何のことがあって喧嘩腰になったか知らんっすけど、くれぐれも気をつけろよなー!学院長っすよあの方はー!それも公爵家の超偉い~~、イルレッドノイズ家の長女っすよ?気に入らないものなら何でも遣っちゃう気がするっすよー!」



俺を諭そうと助言してくれたジュディとジェームズ。



俺のために心配してくれてるお気持ちは嬉しいけど、彼らにはまだ知らないことなんだがな、俺の本当の能力について。



【死霊魔術使い】である俺の本当の力を。学院長にも俺の【あれ】としての在り方を知らない様子だから、なるべく何か勘ぐられないようにするために、逆に堂々としていないと何かを探られることになるかもしれない。



秘密を抱えれば抱えるほどもっと表に出ろみたいなー? 灯台下暗しっていうかさー? 目立つようなことすればするほど逆に疑われない、みたいな。



そして、ジェームズは一年C組に配属されたそうだから、俺やジュディと同じ教室に通えずにしゅんとなった一人ぼっちな彼はC組の方へととぼとぼ歩いてくのを見届けた。その後、俺達二人がB組に入った時のことを思い出す。



「…………」



俺の姿を見るなり、静かに沸々と怒り心頭の表情を浮かべるオードリーのことを確認した。



げーっ!会長に言われたから既に分かってることなんだけど、またこいつかー!ってげんなりするしかない俺。ん?



「……ふーん!」



鼻を鳴らしながら、髪をかきあげるオードリーは静かに沸き上がる憤怒を精神力の強さと貴族家の令嬢としての誇りで抑え込んでいるらしくて、ドア近くに立っている俺やジュディの前からただ黙々と立ち去り、自分の席に戻っていくだけだった。



「誰ですか、あの子?なんかオケウェーさんに向かってすごい怒ってるっぽいんですけど?」



「詳しく話すと頭が痛くなるものだから、いずれ話すことにするよ、ジュディ……」



怪訝な顔になったジュディの質問を誤魔化すようにそれだけしか言わない俺だった。



………………



と、そんなこともあって、ついさっき学院長室へ、俺達3人が昨日の試験の結果を教えてもらうために赴いたら合格だって知らされて大喜び状態を満喫していた仲だというのに、今いきなり魔神のことを聞かれて機嫌が悪くなるとか、ジュディと魔神に一体何の過去がーー?





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