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第50話:竜巻のパーティータイム
しおりを挟むバコオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!!!
フシュ―――――――――!!
「くーッ!」
フシュ――――――!!
ターーッ!
風がこっちにまで到達して、俺までもが遥か後ろへと吹き飛ばされ、地面に転がる前に早く【空中浮遊魔術】を発動して、身体の制御を強引に取り戻して、着地できた!
竜巻の爆心地から吹き荒れる強風があまりにもすさまじくて、八方へ噴き出してくる強烈な烈風が生み出されるそれは如何に中心にいるヒルドレッドを甚大なダメージを与えられるかを物語る。伊達に【第3階梯の風邪系四元素魔術】ではないからな!
炎ではなく、風の爆発ということはつまり、風そのものが弾けるように破裂して、その中心にあるものを風力の回転する様をただ弾けさせ、ぐるぐるとまるで魔道ミキサーみたいに一瞬で強風な本流が300回以上の回転を2秒だけで完成させるほどのすごい『風発』。
その強い風発のエネルギーで以って、風の爆発を発生させたのだ!
シュウウウゥゥゥゥゥ……………………………
「や…ったかー?」
オードリーによれば、これを使えば、武器化した状態の精霊でただ【小守白霊防壁】を使えるだけのヒルドレッドが、成す術もなく風の爆発で身体を一瞬だけですごい何百回までも回転させられ、その暴力的なまでの竜巻の本流で気絶させられると確信した目で勧めてきた作戦なんだったけれど……
「おーほ!悪くありませんわよ、さっきの【風系の四元素魔術】。ですが、オケウエーサンって何かをはき違えてるのではなくてー?」
「え?」
ブシュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
「なんだなんだー!!はあーー!?」
「お~~ほほほほほほほほほほ~~~!!!!」
竜巻の残滓が完全に霧散して、その緑色の『煙もしくは雲』だった位置から姿を見せたのは、高い笑いで興奮して舞いあがっている状態のヒルドレッドがいるのだったー!
「あんな強烈な竜巻のぐるぐる回転の風力の爆発をーーー!?一体どうやってーーー!??」
「簡単なことですわ、オケウエーサン。わたくしのこの盾がありますでしょう?ですから、たとえわたくしの【小守白霊防壁】が『聖なる魔術』以外の魔術、…つまり、さっきの貴方の風系の第3階梯魔術で攻撃され、脆くも崩されていてもこの盾がわたくしの左手にある限り、わたくしの盾が【敵攻撃全部着弾不可白清人壁(オール・エネミーアタックス・トータルディフェーンス・オブ・ホワイト=クレンジング・ヒューマンウオール)】という特殊な能力をわたくしの任意で展開でき、こうして貴方の第3階梯の風系魔術の竜巻系の爆発をわたくしの身体に一切触れさせることなく、爆風の爆心地をわたくしの壁の外で誘導できましたからですわよー!」
「-何だとぉー!?」
くそ!つまり、さっきあの凄いぐるぐる爆発が巻き起こした風の純粋なる風力の爆風はヒルドレッドに命中したのではなく、ヒルドレッドの盾が展開したまたの個人用な壁に命中したのだけれど、さっきの【小守白霊防壁】よりも強力な壁だっていうのかよーーーー!?
「あら?何をそんなに焦っている顔してますの?心配しなくとも、わたくしから『ダンスの基本』を教えて差し上げても良くてよー?おほ!」
カッ!カッ!カッ!
静かながらも、ゆっくりとした歩調でありながらも確かにかッかッと鳴っているヒルドレッドの白いハイヒールの踏んでいる音がこっちまで聞こえてきた。
のんびるしたペースでニコニコと微笑んでいるヒルドレッドはただ公園にでも歩くような気軽さと暢気さで徐々に俺がいるここまで優雅に片方の脚だけを交互に前へと一足ひと足に踏んできて、俺をそのセクシーな歩き方で気をそごうとしているのかもしれない!
くーつ!だが、オードリーの教えてくれた作戦通りにいかないのなら、俺が『自分流』の戦い方で決着をつけるまでのことだー!
「ちょ、調子に乗るんじゃないぞ、ヒルドレッド――!!!第2階梯の風系魔術、【連続多数縦向竜巻大乱踊(コンティーニュオッス=マールティープルーヴァ―ティカール・ハリーケイン・オブ・ビッグ=アンド=ヴァイオレントダンス)】ーーー!!!これならどうだーーー!?」
俺が両手を前へ突き出せば、緑色の閃光が走ったかと思うと、次には俺のすぐ前の地面から12の魔法陣が幅広く展開され、一気に12の緑色の縦向きな竜巻となって、ヒルドレッド目がけて突進していくーーー!!
ビュウ――――――!!!ビュウウ―――――ンン!!ビュウ―――――!!ビュウウーーーーンン!!! ビュウウ―――――!!!ビュウウ―――――!!!ビュウウ―――!!ビュウウ―――!!!ビュウウ――――!!ビュウウ―――――!!!ビュウウ――――!!!ビュウ――!!!
「あらまあ?第3階梯の方がダメでしたら今度は第2階梯のを?お可愛いこともしてくれたものですわね~!へいやー!」
さっきの『敵攻撃全部着弾不可白清人壁』をずっと発動しっぱなしにするのが聖魔力量の消費が激しいか、今度はその人壁を解除して、何か別の防御手段を取りそうな雰囲気だ。
だが、竜巻が自分へ来るのを待てないらしくて、自分から第一目の竜巻に突入して直ぐに自身の持つ盾を突き出すと、
ぱーーち!
消えた。だが!
ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!
近くまで3発までの竜巻が彼女に迫ってきたーー!
「その程度ー?それー」
またも盾を突き出して、3発連続で霧散させようとしたようだけれど、
ビュウウ――!!ビユウウー――!!ビュウ―――!!!
俺が操作して、またも別の3発の竜巻が彼女の方に近づいていったーー!!
「な、舐めないで下さいまし―!この程度、わけもー」
パーチ!パーチ!
焦っているような顔を見せつつもなんとか数秒かけて2発の竜巻を霧散させた頃には既に、
ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!ビュウウ―――!!!
またも別の六つの竜巻が四方から囲んできて、すぐヒルドレッドの目の前まできているので、そしてーー!
ビュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
全てが混じって大きな大型な竜巻となって、ヒルドレッドをその中へと巻き込んだー!
だが、もう油断も侮りもしない!
またも『敵攻撃全部着弾不可白清人壁』を発動しただろうヒルドレッドの行動を見越して、今度は俺がー!
「【連続多数縦向竜巻大乱踊】ーーー!!!【連続多数縦向竜巻大乱踊】ーーー!!!」
続けざまに、俺は次々と2回までも第2階梯の風系魔術、【連続多数縦向竜巻大乱踊】を2回まで連続で発動して、24の竜巻をまだあそこで苦戦してやっと防げたヒルドレッドに向かって突進させたーーー!!!
「へえーーー!?う、嘘ですわよ―――――!!?」
「喰らいな――――――!若き撲殺女のオールズティニア嬢よーーーー!!!」
素早く、24の緑色の竜巻が彼女のすぐ至近距離で迫っていき、そしてーー!
ビュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーービューーーーーコココーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!
向かってゆく全てのスピードを上げさせた俺が24の竜巻も融合させ、ヒルドレッドの位置へとその純然たる風の大暴力で呑みこませてやったーーーー!!
そう。
この前、俺がイーズとのキスを経て、確かにイーズからの『愛の渇望』の効力が切れて、普段通りの聖魔力量に戻るはずの俺だったが、どういうわけか、あれから俺の聖魔力量が前より、ずっと上がってきて、今は前の俺とは比べ物にならない程に聖魔力量がとても高くて、莫大なまでを持つようになったんだ!
これぐらい、連続しての第2階梯の四元素魔術を発動するとて、朝飯前のことだ!
それに、いくらヒルドレッドにあらゆる精霊魔術をかき消すその盾があろうとも、威力が十分なら、その盾でさえ打ち消せないほどの破壊力を発揮するだろう。現に、昔のヒルドレッドはその盾で防御しようとしても結局はオードリーとの決闘でオードリーの中型氷弾を次々と浴びせられて盾が凍り付いて破壊されたこともあるとオードリー本人から知らされたこともあるしな。
でも、あれは昔のヒルドレッドの実力だったというのもあるし、果たして今は前より強くなったと豪語したヒルドレッドに通用するかどうか、分からんけど、それでも、俺はさっきの攻撃を放ってから確かな手ごたえを感じたぜー!
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