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第56話:『奇跡の南地男子』に女難の相あり?
しおりを挟む「決闘終了だー!勝者による敗者への要求、敗者であるヒルドレッドが起きてから明確にしてもらうから今は解散するのだな、貴様ら全員ー!」
それだけいって、イルレッドノイズ学院長があの最上階の観客席にあるボックス状の特等席から立ち去っていった。俺達に目もくれず、ただ真っ直ぐに地上へと戻るためにそこの出口の階段がある両開きの真っ白いドアへと向かっていったようだ。せっかちだな、学院長!
さて、俺も仲間の方へと戻るよ!
「ふぅう……ん~?こほこほー!?」
タタ―!タタ―!
どうやら、さっきあの騎士達から受けていた腹での斬撃の傷も深いらしくて、血のせき込みまでしてしまっているようだ……
でも、俺だって『精霊術使い』なので、例えオードリーみたいに短く眠ってるだけで回復するまでにとはいかないまでも、半日休めば『愛の大聖霊』イーズベリアのご加護の元で自動的に半分の傷まで回復することも可能だろう(例えば、未だにイーズのすべての能力に慣れてなくて彼女の本来の力の10分の2までも出しきれていない今の俺であろうとも)。
「オケウエーさんー!」
ん?
声がしたかと思えば、あそこ観客席のいくつかの階段を下ってこっちへと駆け出してくる仲間達4人の姿を見つけた!
その先頭に、オレンジ色の髪してるジュディがいる!
…………
「オケウエーさん!大丈夫ですかー!」
「……オケウエー!しっかりしてよね!あたくしを打ち負かしたことあるだけじゃなくて、この間の…『あれ』も…討伐できたんだから、このぐらいの傷でへこたれないでよね!」
優しく俺の身体を支えてきたジュディと対照的に、オードリーはああいう冷たいツンデレって態度で俺を鼓舞しようとしながらも、律儀にジュディのいる反対側の俺の左の脇に寄って、軽い指先で俺の腕を触ってくる様子だ。
まったく~!素直じゃないな、オードリー!
そんなに俺に対して心配の気持ちを他に人がいる状況で表現するのが恥ずかしいってか?可愛い奴めー!ははは……
「オケウエー!ボロボロじゃないっすか、お前―!今すぐ保健室へ寄っていかないとねー!」
「そう…だな。少しなら、あそこで治療でも受けて、安静にするまで眠って、夜ぐらいには寮に戻れるかもね…」
なにせ、精霊術使いの回復力と生命力ってすごいからね!オードリーみたいな上級精霊もそうだけど、俺のイーズベリアも事実が事実通りならオードリーより上位の【伝説級の3体の大聖霊】でもあるので、一日があれば全快できないことはないだろう……
「まあ、学院長からの【物理と魔術全類耐性万丈】お陰もあって、オケウエー君がそんなに血を大量に流していても大丈夫だと思うのよ。何故なら、その血が流出していったのと同時に、新たな血液が早く体内で生成されるように出来ているからね、その魔術って。なので、眩暈こそすれど、どんなに出血していても命に関わるようなことは絶対にないのよ、こんな学院主催の決闘ごときで……」
クレアリスの言う通りだしね。
でも、いくら学院長のおかげで失った血液が元通りに回復する速度が何倍も速くなっていても、精神的ダメージが入って疲れや頭痛もしているので早く横になって眠りたいけどね!
「オケウエー!」
ん?
俺の隣で急に俯いて何か言いづらそうにしてるオードリーがいるんだけど、
「その……おめでとう。ヒルドレに勝利できたこと……」
見下ろしてるこっちからも彼女が少し照れて頬に朱が差すことも確認できた。
「どうも。…手強い奴だったけど、なんとか勝つことができたね」
「こうなればお祝いが必要ですね、お祝いー!」
「うっす!この前に、寮で開いた質素な【祝勝会】より、今は僕達は3人とも男爵の身分になったんっすからもっと豪華なのにしようぜ、週末でー!」
「はは…お前達もそういうと思ったから、ついさっき俺も考えてた事だったんだよね。今の祝勝会は、王様が俺に授けてくれた王都での屋敷を皆で訪ねて、そこでパティーでも開こうかなって思ってたところだったよ。だから、この土曜日で『チーム・オケウエー』の俺らで招待してやるよ、人生において俺の初めての屋敷へ……もちろん、あそこのヒルドレッドもねー!...え?」
あそこを見てみると既にヒルドレッドの身体がいなくなり、ちょっとだけ慌て出している俺が周りを見渡せば、はあー!どうやらあそこで既に女性用の医務室へと担架で運んでいる最中の学院の【特別治療遊撃隊】が数人いるようだ!
確か、【特別治療遊撃隊】って2年生だけが入っていい部活なんだー?負傷したり、万が一に『ダンジョン』への遠征授業があった場合で死亡したりする時に我々学院生のサポートをしてくれる部活って……
ん?うおあ~?危ない、もう眩暈が酷くなってくるので早く男性用の保健室へ寄っていかないとねー!
「じゃ、俺は保健室に行くね。一人で歩けるからジュディも先に寮に帰ー」
「そうは行きませんよ!私もお供します!だって、オケウエーさんをあんな血の海に浸かっていたばかりみたいな恰好で一人にして行かせたりはできないもんー!」
「ふーん!あたくしも元よりそのつもりでいるわよー!あんたに弱音を吐かせる気はないけれど、少しの『チームメンバー』としての軽いサポートならわけないわね!」
と、既に俺の両脇を囲むように、ジュディに強く右腕を組まれて、左脇に至ってはオードリーが控えめでおどおどしながら小さな指先を躊躇いがちに俺の左腕へ触ってきて、そして急に決心がついたかがっしって掴んで離さない様子!
「さあ、行くわよ、保健室へ―!ああ、彼を保健室へ連れていくのはあたくし達二人だけで充分だからクレアリスとジェームズは先に退散してていいわ。何も大勢で押しかけていくべきじゃないし、こっちの方がいいわよ」
「あはは、…私もオードリーさんに賛成でーす!じゃ、早く早く!オケウエーさん辛そうですし!」
「ええ、行こう!」
「あ、ちょー!」
有無を言わさぬ勢いで美少女二人に挟まれて、連れていかれた俺だった!
って、ジュディのむ、む、胸ー!当たってるよ当たってるよ――!?
というか、ジュディってこんなに大胆な子なわけ?
おそらく、俺の大怪我を見て心配過ぎてるからそんな過保護になっちゃってるの?
でも、やっぱり意識しないようにしないと、あそこがヤバくなってる一方、...ておいー!?
今度はオードリーまでもが俺の腕へと自身の腕を組ませるんじゃなくても俺の腕をがしって鷲づかんできてちょっと痛いんだけど―!
「ううおおー?」
ザザザーー!
心配してくれてるジュディ―、不機嫌そうにしながらもどこかまんざらでもなさそうに朱が差してるオードリーに腕を力強く握り込まれてる俺は場の雰囲気に流されるがままこの子達と一緒に保健室へと傷だらけの身体を保険医先生に診てもらいに行くのだった。
「えっと~、僕達……二人だけ取り残されるてるんっすけど、あれって何だったんすかね、あはは……」
「ふふふ……今のあの二人は彼の心配を名目にしている様子なのだけれど、いずれ何かの大きな修羅場になりそうな予感がしないでもないのね、ふふ…」
オケウエーが両脇をオードリーとジュディに挟まれて困惑してるような顔を浮かべてる彼をただそれぞれの反応を見せてるジェームズとクレアリスがいるのだった。
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