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第82話:初任務をこなそうとしたのだが.......
しおりを挟むあたしの名前はシャルロット・フォン・グーズケンハイム。
【ゼールドリッチ=ヴォールフガング帝国】の グーズケンハイム子爵家に生まれたあたしは元々弟がいて、姉弟として生きてきた。
弟はボリスといって、あたしより一年は若い子だったから、いつもあたしに甘えてきたばかりだったよ!
「ねえ、ねえ、お姉ちゃん~!僕、お菓子が食べたいから、お店に行こうよ~?」
「ふふ、はい~!でもあまり食べ過ぎないようにね~?歯に悪いんだよ?」
「ええ!分かったよ、お姉ちゃん!」
当時は11歳のあたしと10歳の彼だったから、ボリスの可愛い顔を見るたび、チクチクと心が痛んでいて、ぞくぞくとした感覚も背中へ走っていたばかりだったので、最初はどういうことかと原因を解明することが出来なかったが、分かってることがあるとすれば、あの時は弟に甘えられては胸がきゅんってなって、いつも衝動に抗えずに抱きしめていたことが何度もあった、それも数えきれないほどに!
あの時、恋だなんて思ってなかったから……
でも、徐々に弟と時間を過ごしていくと、益々彼に対する愛しさと切なさも強くなって、ずっと胸を焦がしていたことがあった!
それが『恋』だって気づく頃にはすでに遅く、11歳となったばかりのボリスに、『それ』が起きたー!
「こほー!こほー!お、お姉ちゃん……」
『スヴァティースヴァラ』という小さな町で暮らしてたあたし達に、不幸がいきなり訪れるー!
謎の病気を患うことになった我が愛しきボリスは、12歳になってからとある日がくるのを皮切りに、いきなりすごい風邪が襲ってきて、ボリスを三日もベッドに留まらせていたことがあったー!
息もつらくなって、喉も痛いと言っていたボリスの弱っている姿を見るのが耐えられなくて、 もしボリスを直す対価として自分の命を差し出さねばならぬという提案を誰かの神様が提供してくれたら、間違いなく即行で受けていたと思うんだ!
「お姉ちゃ……ん……息、くるし…いよ。喉、痛すぎる……よ。ねえ、お姉…ちゃん…僕、……いつ直る…の?」
「うぅぅ~!ボリス―――!」
ぎゅっとー!
三日間でベッドからあまり動けなくなったボリスはその【謎の病気】のせいで、全身を覆い尽くしている痣が浮上して、風邪も尋常じゃないほどに熱そうで、苦しくて仕方ないといったボリスの顔を見ると、自分も弟を直せない無力感に打ちひしがれ、側に付きっ切りだったことを今でも鮮明に思い出せる。
だから、ボリスを失った悲しみから意識を紛らわすためか、ある日を境に、あたしがもっと剣術の訓練を多くしていくと、14歳になった頃には既に飛躍的な成長を遂げて、今はすっかりと強力な精練魔剣も強い契約精霊も両方ゲットできた!
だから、14歳だった頃のあたし、………つまり一年間前に、剣術の腕が上手すぎて騎士と呼ばれていてもいいレベルになったあたしはとある決意をして、両親へ『とあること』を告げようとした!
「旅がしたいー!?それも各国を見回っていくつもりのー?」
お母さんの驚愕した顔は今でも思い出すことができた!
「ええ!どうしてもボリスが患っていた、……あの謎の病気のことがずっと気になり、頭から離れないんだ。……だから、あの病気が何だったのか、どうしてボリスだけを襲うようになったのにあたし達だけ平気だったか、その原因と真相を突き止めていきたいから!だから、旅にでも出てー」
「なら、行くがよいぞ、我が娘よ!」
「お父さん……」
「アナタ…がそういうなら、ママも…」
……………………………
………………
確かに両親があたしの『弟の病因について真相を明らかにするために各国を見て回る旅』について了承はしたけれど、条件がないわけじゃなかった。
つまり、あたしが旅に出てきていいのは、一年後の15歳になった時に、今はすっかり帝国と良好な関係にある【レイクウッド王国】の【聖エレオノール精霊術学院】へ最低限でも2年間通ってからだっていう条件だった。
だから、一年後が経って、15歳になったばかりのあたしはついに、今年の聖神歴895年の一月の一週間目に、学院の入学試験を受けるために他の現地の貴族令嬢達と一緒に学院の訓練場へ向かうとー
「オい、キサマ!」
「ん?」
「ソこのキサマデスぞー!アタクシが呼んだのは」
今は訓練場の門へとくぐって中へ入ろうとしたけど、呼び止められたから声のした方へ振り向いてみると、
「ヨく聞け、キサマ!アタクシはクリスティーナ・フォン・イルレッドノイズといって、この国における【四大貴族】の内に入ってる者デス!キサマは確かに帝国から留学してきた子デスなー?コこの王都に髪の毛が赤い人なんて殆どいないし、きっとそうデスぞー!そうデスぞー!デ、…そもそも帝国からの移住者も殆どが極まれで、国境沿いの町々へ留まっている者が多くて王都クレアハーツへすら行ったことない者ばかりデシタからな……」
「はあぁ…」
いきなり良く喋る白髪ロングの子と出会って、その独特な口調と癖のある性格でこれから翻弄されそうな予感を覚えていると、
「トころで、キサマ!確かに母が管理した学生名簿を覗くと、キサマは帝国の『スヴァティースヴァラ』って町からやってきた【グーズケンハイム子爵家】の長女であるシャルロットデスよなー?」
「……はい、そうだが?」
筋肉が無駄についておらず両脚もすらりと長くて引き締まってる体形してる白髪の子に対して無難にそう答えると、
「ナら良い!試験を受ける前にそこの森でちょっと付き合えー!コの国において影響力も絶大なイルレッドノイズ公爵家の娘たるアタクシに対して、タかが留学生のキサマに断る権利などないから早く行くのデスな!」
はあぁーー
明らかに面倒くさそうな溜息を出しながら、仕方なくついていくとー
………………………………
「ーーーーあなたの部下になれーだとー!?それも『工作員』として待機してて、表向きはあなたとなんにも関わり合いのない学院生活を送れだとーー!?」
「ソうデスぞ、ソうデスぞー!…如何デス?モちろん、工作員として待機してもらうから、アタクシらの【純粋なる淑女研鑽会】に入部しなくてもいいんデスぞー!ソもそも、表向きはアタクシらとなんの関係もないような毎日を過ごしてもらいながら、隠密行動の任務ができる時だけそっちを頼ることにしていきたいのデスがな……」
「……断るといったら?」
そもそも、【四大貴族】であろうが、ここの学院には表面上だけでも貴族からの【命令】というか、【推奨】を身分の低い学生が聞かなくてもいいよう、パワハラは通じないようだと聞いたので、拒否してみるとー
「…ハはは!ソれなら残念だけどな……ナぜなら、キサマのボリスという弟が患っていた、…身体を覆い尽くす奇妙な痣がたくさん出てきて、3日間の風邪、せき込みと喉の痛みや身体の倦怠感の諸々の症状が進んでいけば、最後は死に至るという『あれの情報』が欲しいキサマのようだが、生憎とアタクシからのスカウトを拒むともなると、キサマにくれてやるつもりの情報は残念だけど無しにする以外ほかないー」
「乗るー!乗るんだよ、そっちのオファー!だから、早くボリスのことについてー!ん?…というか、あなたはどこからあたしのボリスについて知るようになってたんだよーー!?」
「ハはははは!ソれは企業秘密デスぞ!ダが、キサマが乗ってくれるなら話が早い!コれからはキサマは『脇に待機して』、アタクシら【純粋なる淑女研鑽会】のために陰ながら尽くしてもらって、学院長の【共学化計画】を真向から妨害し、失敗させるためにこれから入ってくるだろう如何なる男子生徒をも追い出すための布石となってほしいデス!イいんだな、シャルロットー?」
真剣な目になってあたしの顔から至近距離で訪ねてきたので、あたしは迷わずー
「ええ!あなたの手足になってあげるから、あたしの弟、……ボリスが苦しんでいたあの病気についての情報をいますぐー」
「オっとと~!逸る出ないぞー、シャルロット!情報に関してはじきにできあがる初任務を引き受けてから成功した後でキサマに伝えるのだから、今は大人しく待つんデスな……」
「な、なんでだよーー!?」
「保険デスぞー!?イきなりキサマに情報を伝えたらその後は仕事は受けませんですって言われても迷惑デスので!」
「そんな……」
「ハはははは!今はおとなしくアタクシの言う事を聞くのデスな!ナに~、弟の病気についての情報だけでなく、ドうやったらキサマのボリスの【魂】を【霊原海(あの世)】から記憶も性格も生前通りに保つまま召喚し、『無垢なる器』へと転生させられるかその貴重すぎる情報も最終的にキサマに教えるので、最後はキサマの弟とも再開できるチャンスを与えてやる事になるからお安いもんなんデスぞー?」
「~~!??魂を【霊原海(あの世)】から召喚だとー!?それは一体どういうー!!詳しく聞かせてーーー!!」
………………………………………
………………………
現在に戻る:
だから、あたしは失敗してはならぬのだ!
絶対に初任務を成功させて、ジェームズに『あたしに乱暴をした』冤罪をかけるのだ!
あなたとは恨みも執着も最初からなかったけれど、あなたの顔が少しだけ『愛しき弟』と似ているのは事実なので、どうかあたしをあまりにも恨まずにこの学院から静かに退場して欲しいー!
あたしは本物をあの世から召喚して蘇らせたいのだからー!
それだけ決意を胸に固めたあたしは、誰も入ったりしないか見張っていながらあそこの壁で長い間に張り付いて、安心感が強くなった今では男性用保健室へこっそりと覗き込んでから入っていくと、
「案の定、誰もいないねー!これなら好都合ー!」
気絶しているジェームズを発見したので、ベッドの側まで近づくと、
パタ!パタ!パタ!
静かにブレーザのボタンを次々と外していくあたし。
ズウウー!
スカートのチャックも外して、地面に落ちると、
バサー!
ブレーザもスカートも完全に脱げ切ったあたしなので、次は身体を覆う最後の砦、シャーツを脱がしにかかるとー
「ごめんね、ジェームズ…あなたを自分の目的のために利用して……でもキスだけは気持ちよかったよ?」
それだけいって、ベッドに飛び乗り、彼を跨るように両脚を広げて、馬乗りにする。深呼吸を1分近く整えてから覚悟が決まるとー
ガチャ―――――!!
「そこまでよー!シャルロット―!」
「--!!?」
(ほう……?)
どうやら、事に至る前に、運よくさっきから気絶して女性用保健室へと運び込まれていったはずのクレアリスがここへ突入して、あそこで毅然と立ちながらシャルロットに対してダメだしを声高にしただけだったー!
しかも、カオス性がより高まってきたかのように、両者に気づかれないように保健室の中で既に姿が見えなくなるよう自身に対して【神隠し】という精霊魔術をかけている最中の生徒会長、エルヴィーナまでいる始末だ!
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