精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第99話:ライバルとの再会

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ター!ター!



「先生ー!みんなー!」



どうやら、オードリーも他の皆もさっきのけたたましい警鐘で目が覚めたらしくて、次々と屋敷の玄関ドアを開けて、中庭を通って門を開ける先の大通りに駆け出してきたようだ!



「さっきの警鐘は何だったのよー!?」



「びっくりしましたよねー?ぐっすり寝てたらいきなりそんな音が聞こえてきたんだもんー!」



オードリーとジュディが俺とリーリスの姿を見るなり、直ぐにそんなことを言ったけど、


「え?お、オケウエー?……どうして、屋根の上からリーリスと一緒になって飛び降りてきたの?…先生もついさっき上から着地してきたばかりだったし…ついさっきまで、あんた達は何してたのよー!?」


「(オケウエー様!あれのことはまだ誰にも言わないでよねー!)」



後ろにいるリーリスちゃんにシャツの裾を摘ままれながら小声で釘を刺されたから、俺も、

「ん?あ!じ、実は……」


先生とリーリスちゃんとも目配せしまくって、なんとか話を合わせるように俺達は先生から大事な通達があるとオードリー達に嘘をついて、内容は来週の【精霊術学】の授業に先生が特別授業を開く予定だからそれについての【激舌の壮麗男、マックミュレーン】に関することを復習するように3人で話し合っていただけって説明してやった。



「それはもうどうでもいいっす!今はさっきの警鐘のことを優先的で調べに行くべきっす!もう止んだようだけど、鳴っていた音の方向性と音量測定なら、確かにこの貴族街の大通りを真っすぐに進んだ先にある大銀行からっすよねー?」



ジェームスの問いに、みんなの視線が大通りの真っ直ぐ先にある巨大な5階建ての建物へと集中する。



銀と金で出来た色合いが混合された配色の煉瓦製のもので、今は家から出てきたと思われる大勢の人がその建物の近くで集まって、警官達が設置したばかりの【鉄塊バリケード】越しに中の様子を見ようと必死みたいだ!



「ええ、そうみたいなのね。オケウエー君のここの屋敷の密集した列は『男爵用』と『騎士団長用』のものが多いようだけれど、銀行の近くへ続けば続くほどの大通りの両側に建てられた屋敷はもっと面積が広くなって、大きくなるのが見えたのよねー?それらは『子爵家』に割り振られるためのものだから、恐らく警鐘が鳴った元の箇所は銀行の中からすると、貴族階級が良く金銭の保管に使っていたその銀行が何かの強盗に遭っていたかもしれないのよー!」



以外にも饒舌になったクレアリスの見解に、


「デは、アタクシ達も早く見に行って、必要とあらば犯人の逮捕に協力すべきデスぞよー!」



タタ―!


それだけ言って、クリス先輩が真っ先に駆け出していった!


さっきのクレアリスが指摘したように、この『エルノイン地区』は男爵級、騎士団長格と子爵級ばかりが保有する私産的屋敷のある区域なので、もっと上級な貴族は別のすごい貴族街に屋敷とか邸宅を保有したり住んでいるそうだ!



「ティーナちゃん、待って下さいわよ~~!先生も行くわ~!」



「ああ、ちょっと!姉者ー!待ってくださいなのですよー!」



タタ―!



先輩が慌てて様子を見に行っているを見て保護欲でも駆り立てられたのか、先生も先輩を追うように走っていった様子だ!



やっぱり、一年以上も【純粋なる淑女研鑽会】を主導していただけのことがあって、正義感も行動力も半端ないクリス先輩が先に動いたらしくて、俺達をおいて銀行に向かって先に駆け出していったのでそれを見た妹のリーリスちゃんも慌てて追いかけていた様子だ!



「俺達も急ごうー!」



「当然ですわよー!」



『御意、……マイ―マスター!』



ヒルドレッドも俺に頷いて、真剣な顔になって駆け出していったので、既に武器化した聖剣の状態にしたイーズを腰の鞘に下げたままの俺がみんなと一緒になって、真っ直ぐに大銀行【ウェーレスリー大金庫】へと向かっていった!





…………………………




タタタタ―!



「ウィリアムズ捜査官!何があったの~~?」



先に着いたイリーズカ先生が事件現場の対応を仕切っている一番偉い警官に話しかけていた。空中に止まったままの状態になっている3車の【魔道飛行車】を停止させた支持を出したらしい髭が一杯の金髪おじさんのそいつは、



「ゲルトルード嬢!久しぶりだと思ってたらそんな大勢な教え子を連れたままこんな現場に赴いてきたではないか!」



「知り合いデスか、先生ー?」



クリス先輩に聞かれたので、先生が、



「ええ~、それはもう昔から嫌という程に知り過ぎていた仲でね~~。なにせ~この人、ウィリアムズ・フォン・ロイシャーこそがワタシの幼少時からの恩人でぇ~、無力な4歳だったワタシを武装したチンピラから救ってくれた警官よ~~」



なるほど。昔の先生にそんなことがあったのかぁ……4歳なら確かに何もできなかったな。



「あの時は犯人を路地裏まで追っている最中に、誘拐されそうになったアンタがいたからだね!警官として助けてやって当然なことしたまでのことだ!」



それを言った割にはなんか当時のことでも思い出している最中か、誇らしげに背中を逸らしてドヤ顔して胸を張っている様子だ!



「捜査官殿!彼らは誰なんだいー?」



ん?よくよく見れば、ウィリアムズ...だったっけ?捜査官の前に立っているもっと若い男性がいて、そいつは銀髪ショートヘアで、イケメンといっても差し支えない程に顔が整っていて、真っ白い肌と純粋なる男子の純情をこれでもかと爽やかな印象と万人受けしそうな正統派な美少年っぽい顔してる人が俺達の姿を見るなり捜査官に尋ねた!



「あ、こいつらかー?なら一応紹介してやるよ、マイルズ!事件現場の最中だから手短に済ますが、こっちの銀髪の若い女性が今、聖エレオノール精霊術学院に勤めている【精霊術学】教師で、他に連れてこられたらしい女の子達と、……男の子?二人が恐らく彼女の教え子達だろう!」



「なるほどぉ~。素敵な子達だね~。初めまして、みんな!ぼくはマイルズ・フォン・エリオットだよー。【王都治安維持警察隊】の【警魔士官】として勤めている人でねー!」



ルックス抜群な美少年が爽やかな笑みを俺達に見せてきて、そして、



「きみは?どこかで見たことあるんだねって思ってたから、お名前聞いててもいいのかい?」



大人である先生ではなく、学生身分でありながらも同じく容姿端麗なクリス先輩を見て惹かれたのか、すぐに先輩のところへ行ってナンパ気味に詰め寄ってきたようだが、



「ア、アタクシはクリスティーナ・フォン・イルレッドノイズデスぞ?【四大貴族】のイルレッドノイズ公爵家の長女デス!」



「お、おう~!あの名高きイルレッドノイズ家の長女なんだねー!ちなみに、お趣味はなんなのだいー?」



「………オ、オケウエーくん、コの人はもしかしたらー?」



初対面なのに、ぐいぐい人とのプライベートなことを聞いてきた美少年っぽい顔したマイルズの態度に戸惑っている先輩が彼から離れて俺の側まで来ると、そう訊いてきたので、


「(た、多分、先輩の容姿が好みだから、興味を持たれるだけだと思うよ!どうするー?)」



「(男性に好かれる経験は今までないが、ソれデシタラ困るぞ、オケウエーくん!アタクシはこの間、キミと戦って敗れたから改めて男に対するコンプレックスと嫌悪感が薄れたばかりなんデスぞー!好意を異性から持たれるのに免疫がないんデス!マしてや自分は【四大貴族】の出なんデスぞー!見ず知らずのどこの馬の骨とも知れない男からの好意に嬉しいこそすれ、交際を求められたら断固拒否するぞ!デスから、どう上手く反応すればいいか分からないんデスが、今のアタクシは友達になったばかりのキミとしか男と慣れ合うつもりはないんデスぞー?)」


「(なら、軽くあしらうだけでいいんだってー!)」


「(ソれについてどうすればいいか分からなかったから詳しい方法を聞いてるんデスが!)」



まだ彼からの注目を浴びている俺ら二人なので、会話を彼に聞かれないようにヒソヒソしている俺と先輩なんだけど、



「ねね~、そこの二人ってもう出来ちゃってるんだいー?って、肌がチョコレート色の男子じゃんー!この国に長い間住んできたんだけど、そんな肌色を持つ子は今までなかったんだよねー!って、きみは例のー」



ゴド――!!



「痛ー!!」



「だからいつも言ってんだろうー、マイルズ!いくらおめえが【王都治安維持警察隊】に入ったばかりの19歳の新参者でありながらも【王立高等魔術学院クレイレイリアー】を2位で卒業した優秀すぎる【魔術使い】であっても、【警魔士官】として働いてもらっている以上、それなりの尊厳と慎み深い態度が求められるんだぞー!」



「~~はい……」



しょぼんと落ち込んだマイルズって呼ばれている残念系な美少年顔の彼は拳骨を捜査官に見舞われ、そこで蹲っているのを見ると、



「フうぅ……コれでやっとあのしつこい男からの質問攻めから解放されたんデスな、オケウエーくんー?」



ほっとするように溜息をつきながら至近距離で横向きな素敵すぎる安堵の笑みを先輩に向けられてドキッとしたので、直ぐに俺の赤面状態を抑えてこう返事する、



「う、うん!マジで対応に困るテンションの高いお兄さんだったねー?」



「ウむ!マったくデスな!……デも、キミがこうして近くにいるから安心したんデスぞー?キミがいなかったら、ソういう軽い乗りの男の対応に困るアタクシが思わず、昔からの男嫌いの癖が再燃してきて、街中での【不要暴力禁止】って法律に背いてしまうまでにヤツをブッ飛ばしてしまうところデシタぞー!」



「でも、……さすがにあの程度の可愛いもので暴力に出るのはいけないと思うよ、先輩―?同じ男の俺としてもお兄さんが可哀想に感じるんだもん!……まあ、男嫌いの歴史って長かったんだからしょうがないかぁー」



「分かってくれて感謝するんデスぞ!オケウエーくん!ヤっぱり、あんな精霊虐待するようなクズ以来の男友達になってくれてる優しくて思いやりの出来るキミの方こそが、アタクシが今まで交流してきたどんな男よりも、……す、素てー」



「状況はどうなのー、先生!?そこのウィリアムズ捜査官も説明お願いねー!」



俺と頬がピンク色に染まりそうな先輩の会話が弾みそうなところに、そして美少年顔の残念系の若き青年であるマイルズの蹲っている姿を無視したように、ちょっと不機嫌そうな表情を浮かべるオードリーはイリーズカ先生とウィリアムズ捜査官に事件の詳細を聞いてきたのだが、それに対して先生が、



「そうよ~!捜査官の部下があまりにも遠慮のない気安いナンパが過ぎたから本題が邪魔されたんだけど~、さっきは警鐘が鳴ってたから見に来てるのよ~!実際に、何があったの~!?」



「ええ、さっきの警音の所為で、こうして『エルノイン地区』地元の都民が真相を知るために駆けつけてきたんだが、今は王国有数の大銀行であるここの【ウェーレスリー大金庫】に大変なことが起きたばかりだ!」



「大変なことってのはどういうことなんだー!?」



聞いてみた俺に、彼がこう答える、



「ウェーレスリー大金庫の中で泊まりっきりで働いている契約済みの傭兵警備会社から派遣してきた警備員6人と金庫長のギリッカ・フォン・アイザロンが人質に取られたんだー!街中のドラッグ中毒っぽい、めっちゃくちゃな腕力を誇る男共3人によって!今の彼らの要求は、魔道拡声器を通してついさっき知ったばかりなんだが、金庫の金すべてを持ち帰って安全な退路を確保したいとのことで、その間には人質を取って、中へ警官とどんな人でも入らないように命令してきたんだー!さっき警鐘が鳴ったのも、彼は金が保管されてる格納庫を強引に開けられたから鳴り響いたようだぞー!」



「「「「「「「「--!!?」」」」」」」」



なんだと!?



確かに【ウェーレスリー大金庫】って俺が前にも行ったことあって、王様から授けられた賞金やら毎月で送金して頂くためのバンクアカウント作成やらを既に会員登録で済ませたことがあったが、こんな短期間でいきなり悪者に狙われるだなんてー!



「もしかしたら、この前の女性達が襲われていた件と同じような、……町の裏社会に出回っているって噂で聞いた変な薬を飲んでいるゴロツキと同じ類の事件ですかー?」



ジュディからの問いに、



「そうかもしれないな!なにせ、例の傭兵警備会社が雇っている警備員はどれも優れている【身体能力強化魔術】の達人であり、腕力と護身術に関しては申し分ない程に昇華された精鋭揃いな面子だ!彼らのような人間をも上回る普通の男は今まで聞いたことがないし、だからこの【聖魔力測定機器】で中の様子を探っていたんだが、するとなんと中からは他と明らかに一線を画すほどの聖魔力量を誇る3人の人間を探知できたー!つまりー!」



「あの薬は前のようにただ人を暴走化させるだけじゃなくて、今は一般人であるのにもかかわらず摂取した誰もが自身の体内に宿る聖魔力を何倍も爆発的に上げさせる効果を持つことまでに進化したんですのーー!?」



ヒルドレッドの仮設に対して、



「その通りだー!だから今の我々は下手に中へ入れないんだ!そこの【王立高等魔術学院クレイレイリアー】を2位で卒業したことある【警魔士官】のマイルズの聖魔力量をも上回っている連中だぞー!人質を助けられるどころか、むしろ返り討ちに遭って、命を落とすことになるだけだ!」



「悔しいが、捜査官の仰る通りなんだ!ぼくでもどうすることが出来なくて、情けないったらないんだ~!だから、さっきのはただのストレス解消なんで、気を悪くしたら謝るね、クリスティーナちゃん~?」



「エえ、分かったから今は事件の解決に集中すべきデスぞ!」



先輩に謝るマイルズをよそに、ウィリアムズ捜査官に切実な表情に触発されたのか先生が、



「じゃ、どうするわよ~~?ただ黙って彼らに金を盗ませる気なの~~!?」



「本当に他にやることがないんデスぞかーー!?」



「リリも姉者も【四大貴族】の人間として見過ごせないなのですねー!みすみすと悪党に国の大切な金を略奪されるのを見て見ぬふりするのをー!」



「駄目だぞ、おまえらー!この現場の対応の指揮を執るのが捜査官である自分の方だ!勝手なことは許せないぞ!だって、もし他に打破できる策がないなら、やっぱり金より人の命が大事ー」

「いいえ、そうとも限らないのであるぞー?」



「「「「「「「「「「「----!!?」」」」」」」」」」」



困っている俺達が集まっているここの大通りに、いきなり頭上の空から聞いたことのない声が聞こえてきたので、俺達【チーム・オケウエー】6人も【チーム・純粋なる淑女】二人やイリーズカ先生と警官達2人も誰も彼もが驚いたー!



だが、それだけに対して驚愕したなら、まだ可愛いものだった!



なぜなら、俺達が声の主を確認するために首を上へと向けて見上げるより前に、これからもっと凄いのがすかさず起こるからだー!



パチイイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンー!!!!!!!!!!!!!!!



「なーー!?なんなんですのよ、あれよー!?」



「緑色の閃光が銀行の建物すべてを覆い尽くしているあれはーー?」



ヒルドレッドとクレアリスがそんな事実を口にしたところに、



ター!



「ふうぅ……成功したであるな!初めてやっちゃったけど、上手いであるぞ!我が不屈なる剛腕の太刃持ちの厳獣アークメリオンよー!」



ティファニーブルーの色がした長くて美しいロングヘア―な厚いポニーテールを持っている女の子が俺達の近くに着地してきた模様!



お姫様っぽい上品過ぎる緑色のドレスを着ながら、ティアラを頭に被っているようだが、どこか溌剌とした良い表情と雰囲気を醸し出しているその少女の美貌に見惚れていると、



「…ルミナリス……姫」



俺の側にいるクレアリスからそんな言葉が聞こえてきたので、横を向いてみると険しい表情を浮かべるクレアリスがあそこにいるティファニーブルー色のロングヘアを持っている少女を鋭い視線で睨んでいる様子だー!


それに対して、あのティアラを頭に被っている少女もまたクレアリスの方を向いているんだけど、こっちと違ってただただニコニコと不敵に微笑んでいるだけで優位性を強調したような態度を見せるだけだ!


だが、その笑みは決して親しい間柄に見せるような友好的な笑みではないことが明白だ!



知り合いのようだが、これは、…も、もしかしなくても、またヒルドレッドとレイーザリンみたいな犬猿の仲かよーー!?



知らない人だが、どいつもこいつも喧嘩腰ばかりでマジで疲れちゃうぞ!






………………………………………………………





…………………………………





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