精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第111話:氷と火の大コンビ

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『グキ~~!?キキキキキキ~~~~~~!!????』



「さっきから思ってたことなんだけど、『あれ』って、前の…、イリナと戦った時も彼女がああやって自我とか本来な性格を失くしたまま獣のようにただ人の言葉も発せずに暴れていただけなのかしら?」



オードリーの尤もな質問に対して、俺もあそこでクリス先輩の奥義で負った『傷』と…言えるものかどうかによって全身が痒くなってそれで絶え間なく自身の身体を掻き毟ったり引っ掻きまくっている犯人少女を見ながら、



「いや、前は普通に言葉も通じたし、我々人間の言語も本来の性格も何もかも保ったままで『変身』したぞ。姿が変わった以外、彼女自身の【個人】がなくなったわけじゃなかったんだ」



どういう理由があって、今は【聖体正義戦獣】になっても姿があまり巨大な巨人になったりせずに、ただコンパクト版になって自我も失っている状態で暴れ回っているのか見当がつかないんだ。



「もしかしたら、前にオケウエーサンが言っていました、あのクレガーキールサンって黒幕が何かしてそこの犯罪者と通じていて、実験用としてまたも『別の方法』で彼女の身体を変貌させたというんですの?」



俺とオードリーの側まで近づいてきたヒルドレッドにそう訊かれたので、彼女の優れている分析力で感心したら、思わずこう言いたくなった、



「多分そうなんじゃないかな?というか、この前、俺と戦った時に見せた数々の戦術と気転の良さといい、オードリーとも長年ライバルとして活躍していたと聞いた事といい、ヒルドレッドってやっぱり戦闘貴族家の出らしく頭が良すぎて、尊敬に値する女の子だと思うぞ?」



「なあ~?ひ、人が真剣なことを聞いた時に何でそうやってレデイであるわたくしを口説こうとしてきましたのーー!?戦場の中なのに、は、恥を知りなさいですわー!ふーん!」



照れ隠しなのか、そっぽを向いたヒルドレッドが俺から顔を逸らして両腕を組みながら白い化け物と化した犯人少女を見ていると、



「オケウエー~~?あたくしを差し置いて、なに戦闘中でヒルドレと無駄話してるのよーーー!?どうでもいい事で褒めるより、まずは彼女の質問だけに答えて敵をどうやって倒せるかだけ考えなさいよーー!もう~!」



「痛-ッ!?」

なんか怒ってるオードリーに脛を蹴られると、



「うぅぅ......あ、あ~うぅん~。……う、ううぅんん?こ、ここって…、ど~こッ?」



「「「あ」」」



どうやら、さっきから気絶してるジュディがやっと目を覚ましたみたいで、よろよろと起き上がりながら、


「はぁー!そ、そうでした!私達は変な薬を人々に飲ませた犯人達を捕まえるためにここ、…【マールグラフ山脈】へと赴いてきて、そ、そしてーー!」


「あんたが敵によってキスされそうになって、それで怖気づいて気を失ったという、情けない恰好を見せたけれどー?」



「はああーーー!!?そうだった、そうだったんですねー!…って、待って、待ってください。オードリーさん!それってー!?」



「ええ、あたくし達があいつらと戦闘中のところにあんたがそこでず~~っと寝ていて参戦できずにいたわよー?どう~?もう十分にタイムアウト満喫できたかしら?お眠り上手なお・ヒ・メ・さ・ん~?」



嫌味っぽく言ったオードリーに、


「うぅぅ……みんなと一緒に参戦できずに、……お役に立ってなくてごめんなさいですっ……しくしく……」



案の定落ち込むジュディだけれど、



「お三人サン、お話し合い中のところ悪いんですけれど、今は戦闘中なんですのよー?早いところバケモノ犯罪者を倒して、この任務を成功させましょうですわー!」



ヒルドレッドにそう窘められた俺らだったので、苦笑して臨戦態勢に戻った。





………








2分後:




「我が手足となりて地下から蠢けー!【フロンデルヒート】ーー!!」



『ミミミミヤヤヤアアアーーーーー!ミミミヤヤーー!!』



変な鳴き声と共に現れたのがジュディの真体姿している契約精霊である【フロンデルヒート】で、体形はジュディより少しだけ一回り大きい、黄色の花々と葉っぱが生えている丸っこいオレンジ色の植物のような体をしている精霊。



本体から伸びてくるのは12本の蛇のようなぽよんぽよんとした蠢動をしている粘着性の弱い肢体で、それが手足となり周囲へと手を蠢かせている様子だ!



「戦術通りにいくわよー!あたくしがこれを先に展開して、いつでも撃てるように準備をする間、ジュディが早く【それ】をチャージしてあたくしと一緒に敵にぶっ放しなさいー!はあああーー!大氷結の地獄に落ちよーーー!!【大災乱弾三十円陣撃】ーーーーー!!!」


「はいですー!やあああーーーー!!我が全十二肢を盛った大いなる杯よー!灰と塵に燃え盛らんがために、我が敵に向かって全ての怒りと闘志をぶつけてみて下さいーーー!!【巨炎大獄激火砲ナカレマ・アシュミナラエ】ーーーーーー!!!!」


詠唱に伴う【精霊魔術名】を唱え終えたジュディなので、自分の【フロンデルヒート】が誇る12本の触手達が中心に集って一つの一点へと全12本を繋ぐとーー!



ブワアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!



この前に、だだっ広い地下訓練場で見せてくれたジュディの最強奥義なんだ。



ありったけの巨大な炎の【大魔砲】が放たれ、炎獄のごとく燃え盛る火の海っぽい真っ赤な空中に浮いてる大川が一直線へとビームのごとくあの犯人少女へと飛んでいくとー!



ビュー―ンビュー―ンビューン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!



オードリーも自分の奥義である【大災乱弾三十円陣撃】をジュディと示し合せて良いタイミングで30陣の魔法陣から計360発の中型氷弾が一斉に放たれたーーー!!



俺との最初の試合ではそういう奥義を見せてくれなかった事は手を抜いた証ということなんだったんだけど、彼女曰く、『あの時はただあたくしが怒りを晴らすためにあんたを惨めに這い蹲らせてやりたいために戦ったんだし、いくら学院長のあれが発動されているとはいえ、オバーキルして学院の新入りな契約精霊もなかった時のあんたに全力をぶつけたらドレンフィールド家の誇りにも傷がついて大人げないでしょうー?』だって。



というか、大人も何も、お前はまだ俺と同じく15歳の学院生だろうが~。

そして、その分別があるならどうして俺が事故でお前の胸を触ったことを理由に俺を半殺しまでに打ちのめしてきたいと決闘を挑んだんだー?そっちの方がもっと大人げないだろうけど、彼女の中の戦士の心がそうやって小さな過ちに対しても戦いで清算しようとする心境にさせたんだろうな。



ブワカカカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!


『ハグアケケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』



氷と火。



異なる属性と性質を持っているんだけど、精霊術使いの中でも数える者しか使えないと言われている【上級な精霊魔術】であるそれらは見事に二つの違う属性を持つ突破力が聖魔力の固体化したヤツの硬い皮膚を同時に凍らせたり燃え上がらせる事で巻き起こした融合した破壊力にて、ついにヤツのとてつもなく硬い皮膚をも削れているようだ!



今はその炎と氷の複合爆破能力で全身が激しく真っ黒に焦げたり一部は圧倒的な氷害にて損傷した部位が凍てついたまま脆くなって崩れたりしていくといった様々なダメージを負ったようだーー!



なにせ、俺やヒルドレッドと違って、オードリーとジュディの精霊達は【神聖なる聖魔力】を主な攻撃手段としていないのだから、相殺される俺ら二人と違って犯人少女の持つ特殊なあれとは効果抜群なんだー!



無論、これらの作戦は耳に装着した【魔導通信機】にて、既にさっきの2分も使っての話し合いにてそこら辺にいるクレアリスとかジェームズやクリス先輩達にも伝えたので、適切な距離から敵が攻撃されるのを待ってもらえたーー!



『ハグアー!!ーハゲエエエエエーーーー!!!!!』



ピカアアア――――――――――――――!!!



激痛のあまり叫びながらも、どうにか激しくのたうち回るのを抑えて蹲っている『あれ』が、いきなり全身を発光させやがったーー!



「あの真っ白い閃光ーー!きっと自分自身を治療するための魔術か、あるいは【聖体正義戦獣】特有の新しく身に付いた【自動式治癒能力】かもーー!!なのでこのまま攻勢を緩めずに皆で押し切ろうー!!戦術通りに―――!!」



「「「「「「「「了解ーーー!!」」」」」」」」






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