精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第140話:冷めた心境

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2月八日、オケウェーの自室にて、翌朝:



「ちゅぷ、ちゅちゅ~。ちゅっぷ~!」

「うぅうぅ~....」



「ちゅちゅ~、ちゅぷちゅっぱ~」

「うあおう~。うくッ~。く、くすぐったいよ...」



「ちゅ~うっぱ~!ちゅ~っぷー!」

「うああおー!イ―――ズ!またな――!」



ゴド――――!

「痛ダー!」



....................



........



『さっきはごめん......オケ兄ちゃん......調子に乗り......過ぎた』

「ったく!お前が俺から聖魔力を吸うためにやってるの分かったんだけど、もうちょっと、...なんていうのかな、その、...俺が目覚めてから許可を取るまで待てないのか?」



『ノー......それ、できかねる。......イーズ、もうお腹すいた......から』

「...やれやれ。...まあ、待てないならいいけど!それより、早くクラスに行こうー!今日はいつもより早いし、オードリー達とこれからの一日の予定を決めよう、放課後のな」



なにより、【氷竜討伐任務】までの運命の日は今日になって5日間しか残ってないし。昨日から二日間前は俺達【チーム・オケウェー】も激しい訓練をあの地下訓練場でルミナリス王女と一緒にやったが、たとえマインハーラッドの能力を模倣した【魔導自動型人形】 を用いても相も変わらず本物とは程遠いデキだった。



なにせ、マインハーラッドの基本的攻撃手段である【広範囲に亘る氷獄風の凍てつく猛吹雪を齎す攻撃の数々】はその一部しかシミュレーションできないし(【魔導自動型人形】がそれっぽい攻撃を模倣する時もいつも当たり障りのない突風が吹きつけてきただけで本物の猛吹雪とは雲泥の差だっだし、マジで実戦とは程遠い模擬戦闘だった。



「まあ、まずはB組教室に向かうかー」

難しい話は後から考えて、今は遅刻だけしないように心がけよう、うん!



カチャ―!

「あ」「え」



どういうことか、俺が寮の玄関にある両開き扉を開いて直ぐに、目の前にジュディの背中が見えて、振り向いた彼女と目があった!



................



......



「......」



「......」



それからどうなってるのか、俺とジュディがこの学院敷地内を歩いて教室がいっぱい備え付けられている本棟へ向かう途中でもこうして俺とジュディとの間には沈黙だけが重く場の雰囲気を支配し、俺達との間に見えぬ壁でも張っているかのようだった。



先日、俺がジュディに対して全てを話そうとする前に、エルヴィ―ナ会長に邪魔されて以来、まともにジュディとは二人っきりの会話をしてこなかった。



この二日間に、何か理由をつけてジュディをプライベートな場での話し合いに誘ってみてもやんわりと言い訳をつけながら断ってきたし、避けられてるばかりでちょっと不安になってきた。



ジュディよ!もうその呪いについて解こうと思わなくなったのかなぁ.....



「...あ、あのね!」

「...あ、あのな!」



ほえー?案外ハモってしまった俺達ふたり。



「「......」」



本棟に向かいながら、この大きな学院内の広場では他にもそれぞれのクラスに向かっている途中の生徒達もいっぱいなのに、俺達だけがゆっくり過ぎるペースで歩を進ませている。重い沈黙も続いてるままだ。



「...お、オケウェーさん」

「うん」



やっと話せるようになったか、その覚悟のこもった目で俺に向き直ってから、

「や、やっぱりやめよう?そのぅ......私の魂を...新たなる【器】で移植...させるのって。......なんか、改めて考えると、......まるで先に死ぬ必要がありそうな方法で、こ、怖いし......」

「...そ、そう、...なんだ」



やはり怖気づいちゃったか、予想通りの答えが返ってきた。

......まあ、無理もない話だ。俺も、人の魂を俺特性のホムンクルス、それも特別に俺の遺伝子も混じって作ってある優れものへと【転生】させることって今迄一度もやった事なかったし、俺自身も成功できるかどうか疑問点が多いので、正直いうと俺も怖い!



なにせ、【死の魔道書】によると、今までの長い死霊魔術使いの歴史にて、最初に【邪神ヴェルグニール】から死の息吹を受け継いだ12人の【始まりの死霊魔術使い】から何千年も亘って現在の俺という存在に至るまでの長い歴史で、ゾンビー化せずに生きたままの人間の魂をそのまま、術者の作ったホムンクルスへと移植させられる成功話は今までにひとつだけしかないと聞いたから。それ以外はやっちゃってても魂が新たな器での異なる遺伝子に馴染めなかったしな、霊的な意味で。でも、ジュディという強い精霊術使いであり、火属性の四元素魔術も天才級な使い手なら、成功できる確率が高いはずなんだが......



「確か、ミョルンセか、最初にそんな実験を成功させたのって」

「え?...な、何の話です?オケウェーさん...」



いかん!思考に没頭すぎたあまり、声がだだ漏れになっててジュディに聞こえてしまった!

「いや、こっちの話だ。それより、早く行こうー?いつもより早いから、オードリーが「遅刻してしまったわ~!」って悔しい顔してくるの想像しながら待つことにしようー?」

「え、ええ、そうですね。オードリーさんが私たちより遅いって悔しがってるところはたまに可愛いですね、あははは......」



そして、ジュディもまた、

「さあ、『そんな話』はもういいから、今はただただ氷竜討伐任務に向けて訓練だけしましょう?皆さんと一緒で。...いいですよね?」



「......ああ...そ、...そう..だな」



結局、呪いについて諦めの心境となったジュディなのであった。

会長めー、あの時あんたさえ邪魔してこなければー!




...............................




............



______________________________________

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