精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第144話:【チーム・純粋なる淑女研鑽会】の答え。そして、クレアリスの計画...

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翌日の2月九日、火曜日の聖エレオノール精霊術学院の放課後:



キーン!カーン!コーン!



......................



放課後だ。数学の時間が終わってから先生もついさっきの数秒前、教室から出ていったし。

よし、この時間を待っていたぞ!

またの訓練の時間をー!



「オケウェー」

ん?



「根を詰めても得策ではないから、今日だけ訓練場に向かわず、精霊術学の座学等を図書館へ復習しに行かない?」

おう。オードリーからの珍しい提案だ!



「..いいぜ。行こう」

「私もそれ素敵だと思いますね!是非私も一緒に!」



「もちろん、【皆で】と言う意味で言ってるわよ、ジュディ。べ、べべ、別にあたくしとオケウエー二人っきりで行こうって思ったりする訳ないしー!」



だよな。座学でどうやってあんなとんでもなくヤバそうな【伝説級の世界獣】に当たるマインハーラッドを倒せるか、皆で最終的な復習とヒントの発見と粗探ししておきたいもんね。



「という訳で、あたくし達ー」



バタ――!

「お早ようございますなのです、B組の皆!【チーム・オケウェー】の皆さんいるなのですねー?」



あ。



リーリスだ!

クリス先輩の妹だけれど、どうしたの!



「朗報なのですよー!姉者が大事な話を皆さんとしたそうなので、ついて来てくださいなのですっ~!」



と、リーリスちゃんに言われたので、目を見開いて俺とジュディ、オードリーと交互に視線を交わし合ってると、



「連れていって」

と、短く返事したオードリーがいるだけだった。



........................................




.............




チーム・純粋なる淑女研鑽会の部室にて、午後4:10時:



「ミんな、来てくれて感謝するんデスぞ、デスぞ。デは、部室で皆と会うの初めてなので、改めて自己紹介するとアタクシはクリスティーナデス。クリスティーナ・フォン・イルレッドノイズデス」



「リリはリリなのですよ?姉と同じくイルレッドノイズ家のリーリスなのです」



「レイーザリンはエルグムーンド家の人間で、いつも切磋琢磨で皆さんとの健やかな学院ライフ、そして精霊術同士としての研鑽を怠らない淑女のひとりっぽよ」



そんな情報は誰もが知ってる常識なんだが、真面目なクリス先輩のようだし、形式的にも初めてこの部室へと友人同士として招待してきた俺達に向かって正式な挨拶がしたいだけだろう。



先輩たちの部室に連れていかれたのは何も俺達【チーム・オケウエー】6人だけじゃない。4人だけが使っていたはずの部屋なのに、この広い部室は威厳のあるクラシックっぽいの雰囲気も出ていて、木製と大理石が入り混じってる構造で作られていて、豪華な貴族令嬢が使うような部室であると同時に、どこか厳格な学者と研究者だけが入り浸っていいアクセントも感じさせる木色の調度品と飾り物ばかり置かれている。



「で、僕たち【チーム・オケウエー】だけじゃなくて、シャルロットもルミナリス王女も招いてもらったという事は何か重大なことを僕達にー?」



「...この人数だし、この時間を機にあたしたち『二人』からも皆に【大事な知らせ】があるんだよ」



「うむ!妾も聞きたいのである!クリスティーナ殿の話というのは」



「拙者は王女殿下のお供で御座る故、何処へなりともついて行くので御座いますよ」



どうやら、彼女たちも呼ばれてるらしい。大人数の大所帯の対面となりそうなこの会談に、胸の奥に少しだけ期待のこもった感覚を覚えずにはいられなかった。というか、シャルロットの大事な知らせって何だよ。なんかジェームズと目配せ交わし合ったばっかだったし、もしかしなくても?



「ジュリア。キミの答えを皆に聞かせるんデスぞ」



「「「「「「-!!-」」」」」」



じゅ、ジュリアだーー!今度、蹴ってきたりしないけど、何のつもりだー!

俺達男共とは慣れ合うつもりはなかったらしいが...



「......」



ほら、見ろよ!やっぱり無理じゃないかー!俺とジェームズを見ようとしないし!そっぽを向いてるばっかだし



「...お、オケ」



ん?なんかここから見ると、少しだけ頬にほんのりと朱が差すか、今まで信じてきた理念を曲げようって時に屈辱感を感じてしまいそれで血液が頬に......



「ジュリア。アタクシ達全員にも時間あまりないデスぞ?早く、きっぱりと言うんデス!」



「~!?...も、もう~!分かりましたよ会長!聞かせればいいんでしょうー?...では、そこのオケウェ―!そう、そこのオケウエー・ガラン、いや、【男爵家】になったばかりの新参者であるオケウェ―・フォン・オケウエーとその一味である、これもまた【男】~!の精霊術使いになった新たな男爵家のジェームズ・フォン・ウィンチェスター!お前達二人に言う事があるから良く聞け――!」



おう!愛しき会長に念を押されたから、ついに投げやりの態度で開き直っての切り出しかあー!



「特別にだけど、お前達ふたりに【1年間のテスト】を課してやるぞ!今日から一年間にかけての学院での生活を過ごしになっていく中、もしお前達に何か学院にとっての不名誉な行為や狼藉を働いてしまったら、そこ退学に遭うって約束をしてほしいんだ!」



「「え?」」



ハモった俺とジェームズに、



「この【1年間のテスト】をクリアしたら、やっとお前達を我々聖エレオノール学院の一員になったと正式に認めてやる!だから、それまでの間に、わたし、...し、仕方なく会長の意を汲んでお前達と共同でのチーム同士の活動や戦術作戦に参加してもいいと譲ろう――!だが、決してわたしを失望させるなよー!あくまでも下賤な男であるお前達ふたりにチャンスを与えてやったんだからな!」



「「......お、おう......」」



な、なんか、自らを納得させるために、そして会長に言われた通りにする代わりに自分の矜持も守ろうとしたのか、そんな何の拘束力もないような笑っちゃいそうな条件を突き付けてくるまでに俺達がずっとここにいて、会長との合同活動もすることへの我慢忍耐の譲歩って逃げ道を作りたかったか定かじゃないが、それでも一歩前進だな、あ~ははは......



「トいう訳デスから、これからは【チーム・純粋なる淑女研鑽会】の皆で、キミ達の【氷竜討伐隊】に参加しても良いと言ってるんデスぞー?ジュリアもいいデスよねー?無事に戻る事が保証できないこんな危険極まりない死闘の戦術作戦に参加していても...」



「当然です!会長がどこへ行こうとしても、長年の信頼と友情で結束力を固めてきたわたし達の絆はそんな甘くないー!ですから、たとえ世界一、とっても危険なダンジョンであろうと、会長が行くと決めたらわたしも行くんです!」



「きまりっぽね~!これで、晴れてあっしら【チーム・純粋なる淑女研鑽会】が堂々とそっちの【チーム・オケウェ―】と一緒に氷竜を討伐しに征ける」



「うふふふ...なんかワクワクしちゃいますなのですね、あのデタラメだけどお強い竜にリリの両刃の精霊でグサグサグサグサ~って突き刺しまくりなハッピータイムの想像をすると.....」



「あ~ははは......すっかりやる気になってくれたリーリスちゃんですけど、だい、大丈夫なのかな、そんな楽観的すぎる想像と、あははは...」

俺の横で、なんか無理にでも作り笑顔を浮かべてるジュディがいるんだけど、本当にいいのか、お前の身体をそのままにしても......



「やったっすよねー!これで、先日みせてもらったあんなめっちゃくちゃに規模のデカい究極な精霊魔術も使えるクリスティーナ先輩が側にいたら、万が一にも氷竜に遅れを取ることはないっす!」



「...いいえ、ジェームズ。...油断大敵だからそんな気楽な予想をするべきではないのよ?」



やんわりと舞い上がった気持ちのジェームズを宥めるクレアリスだけれど、今度ヒルドレッドが、



「そう言えば、さっきそこのシャルロットサンが【大事な知らせ】があるって言いましたけれど、なんの話か説明して下さる?」



「ふーん!どうせそこのジェームズに言われて無理やりにも慣れないことをさせられるって話でしょー?分かってるわよ、そんなの」



オードリーよ。どうしてお前はあそこまでジェームズを辛辣に言うんだ?

......まあ、ドレンフィールド家の人間は誰よりも実力主義派の人間ばかり集う一家だと聞いたし、このチームメンバーの中に一番弱いと言われてるジェームズに対して厳しく当たるのも仕方ないかぁー。

....これからのジェームズが強くなっていくってなったら、自然とオードリーも態度を改めるから、頑張れよなー俺の唯一な同性友人よー!



「皆、良く聞いて下さいー!」



ん?どうしたものか、改まったような口調と真剣な声色でそう言いながら立ち上がったシャルロットがジェームズにも彼女に倣うように立ち上がらせると、そしてー



「これから、あたしとジェームズは恋人同士になるんです!...どうかよろしくお願いします」



お、恋人同士かぁ........



......



へえ?



「「「「「「「「「「--ええぇ――――ッ!!!?????」」」」」」」」」」



シャルロットからの思わぬ衝撃な宣言に、素っ頓狂な声を上げてびっくりした顔を浮かべてしまった俺達【チーム・オケウエー】も【チーム・純粋なる淑女研鑽会】もいるのだった。



「にししし...」

「...」



心なしか、ルミナリス王女は既にその展開を予想していたかのように、さほど驚いた表情も見せずにただ小さく笑ってるだけだった。



.........................



「と、とりあえずおめでとう、ジェームズ!俺より先に素敵な彼女さんをゲットできたとは、お前も隅に置けない男だな、おい!」



「うっす!僕と比べれば、君も相当なもんっすよー!あんなに多くを......心の虜にした様子で.....」



ん?最後の声が小さいんだけど、何のことだったのかな?......



「ふーん!予想とは違うけれど、あたくしの思った通りにチームに対して有力そうなニュースではないものね!ふん!で、......でも、一応、お、...おめでとう、って言って、上げないこともないわよー、ジェームズ!」



「う、...うっす!お世辞でも、お形式ばかりでもいいっすよ、ドレンフィールド嬢さん」



「わ、分かればいいわ―!だ、だから、...そんな嬉しそうな顔してあたくしに見せないでー!そこのシャルロットのための笑顔でしょ、もう~」



あ~はははは.....まあ、まあ、オードリーも素直じゃないな。チーム内の友人の晴れ舞台というか、......カミングアウト舞台を正直に称賛したりお祝いしたりすることができないなんて......と、なんでかいきなり俺のもう片側の椅子にに座ってるオードリーに腕を握られてるんだけど、どうしてー!?



「オケウエー!あの二人のことどう思ってるー?いきなり恋人同士ときたんだけれど、なんか急すぎない?」



オードリーの疑問も尤もだ。この学院にみんながお互い出会ってから1ヶ月間ぐらいしか経ってなかったからね。でもな!



「愛はそういうもんだよ」



「...そう。...だ、だから、...い、いずれあたくし達も......」



ん?なんか俯き出してるオードリーがいるようだけれど、それってー



「フハハハハハー!!良いデスぞー!良いデスぞよ、そこの二人―!..光栄にもアタクシ達の部室で関係を公にするとは、そこのジェームズも侮れない粋な男デスの―!フハハ!」



「大胆...なのですね。...やっぱり前のリリの思った通りに、この中の誰よりもハッピーボイーだったなのですよね、ジェームズって人は...」



「この大人数を前に恋路を宣言するなんてドラマチックっぽね、ハフェフェフェー」

ん?なんか変な機械的な笑い声してるレイーザリン先輩がいるんだけど、なんでーー!?



「まあ、こうなることは前々から予測済みだわ。...今更驚くって程のことじゃないけれど、この短期間とこのタイミングで、良く勇気が要る場での宣言して見事だと思うのね、ふふふ。まあ、とりあえず、おめでとうさん、お二人!」



と、オードリーと違って素直に祝いの言葉を口にしたクレアリス。



「お~~ほほほほほほほほほほーー!!素晴らしい愛の住人ですわ、お二人サン~!かくいうわたくしもいつか素敵な【戦少年】との恋愛物語を夢見たいものですわね、そこの二人のように~!お~~ほほほほほほほほほーー!!」



なんか一番嬉しそうな舞い上がった気分のまま立ち上がってそこで高笑いし出した定番のいつもな残念系お嬢様ヒルドレッドなんだけど、心なしか、そこで馬鹿笑いしてる中、俺に対してだけところどころ熱烈な視線を送り込んでくるの錯覚じゃないよなー!?



「ジェームズ!おめでとうございます!まさか初日組で意気投合して友達になった3人の平民組だった私達の中でジェームズだけ先に幸せを勝ち取るようになるなんてズルいですー!」



お祝の言葉を述べていてもなんか拗ねてるようなジュディの態度に、



「はっはッは!嫉妬かー!?そういうの?」

「嫉妬じゃないもん~!」

「僕だけ美味しい思いがして悔しいー?」

「そうじゃないもん~!」



「お二人との間に悪いが、彼はもう既にあたしのものだ。いくら気の合う3人組だったろうが、今は控えてもらおう」



お~!シャルロットが怒ってる怒ってるー!

ジュディの他愛のない冗談を真に受けてるー!



「まあ、私にはまだ私と同じように独身君のオケウエーさんがいますからね、えへへへへ......」



それだけ言って、じゃれ付くように自分の控えめの長さしてるオレンジ色の髪の毛を振り乱しながら俺の腕にしがみ付いてきてるジュディなんだけど、おお、む、胸が~~―――!!?...っていうか、お前ってただ【そんなことから意識を紛らわすために】、敢えて必要以上に明るく振る舞おうとしてるだけに見えるがー!?



......................



その後、俺達みんなは楽しい時間を仲間と過ごしながら、クリス先輩におやつとクッキーをおもてなしされながら、満足感いっぱいのひと時を満喫したのだった!



「にししし~」

今のルミナリス王女は、ジェームズにお祝いの言葉をかけた後、なんかいつもよりの溌剌とした雰囲気と違って、大人しくて控えめな無口ばかりを決め込むようになって、ただ微笑と温かい目だけで俺達と必要以上に馴れ馴れしく踏み込んでこない、部外者としての分別を理解しながら見守ってるだけだった!



..............................................



...................




その日の夜:



『サリ、もう準備ができるでリシャいますか、クレアリスご主人様リシャー~!」



「ええ、そうよ」



(これにて、うちにも【黒絶の魔女】として、完全に目覚めるまでの期間を短縮できた、うふふふふ......)



自分の王都での屋敷内にて、暗闇の部屋の中で、静かにそんな会話を自分の契約精霊である梟の姿してるサリシャーとだけ交わしたクレアリスだった!



..........................................




..................




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