179 / 196
第178話:教会の特殊部隊が取る対策法。そして、ジュディの気持ち......
しおりを挟む
同時刻のセルレス法王国の首都、【聖都シルファラー】にあるアズリオン教会の総本山、大聖堂シルフェリオン内の地下にある、【異端審問執行部隊】が本部にした地下室にて:
「三日間前の拉致に加わり、これまでの謎の魔術使いによる敬虔なアズリオン信徒の兄弟でもある【猫耳人】と【猫頭人】の誘拐事件が計14件まで登り、セルレス法王国内だけでなく、グリムウェール王国内とルアヴレー諸島内にある我が教会の保護下にある色んな【亜人系の信徒】が攫われたことになったとー!」
薄暗い光に照らされた地下室にて、明らかに雰囲気づくりだけに光度を弱くした湿った灯りのあるその部屋で、報告書にある情報を正確に並べている最中の隠密行動に特化した制服を着ている神官がいた!
彼は30代の白髪の男性に見えて、前方の真っ白いフードを被っている高位司祭に向かって跪いている様子だ!
「報告ご苦労。じゃ、これで分かったことがあるんじゃな。....やっぱり、【聖体正義戦獣】に変貌させるための絶対的条件、それも体内の聖魔力の識別波長に元々あった、引き継がれてきた先祖の【混沌の波力】の粒子や残滓も残る【亜人】から吸収した聖魔力の方こそが【聖体正義戦獣】の生産に最も必要なもののようじゃ!」
「はっ!ベルナール様の言う通りに!....おそらく、吸い出した聖魔力を特殊な技術でまたも識別波長を更に変質させ、その後は作られた容器へと保管し、またもその技術を利用して、対象の身体に注入した事でー」
「体内にまで【聖魔質変貌】を起こし、生きたままでも【聖体正義戦獣】にできる、量産型な手法とするために、多くの亜人の誘拐を必要としたクレガーキールの計画に利用されたか、じゃな」
「はっ!あの魔神が何かを企んでいるのか知らないが、【世界樹】の制御を手中に収めただろう、今の奴は【樹界脈】を意のままに伸ばし放題!襲撃したい場所に強力な世界獣を出現させると同時に【聖体正義戦獣】までもが加われば―」
「さすがに聖女ともあろうお方の力を以ってしても対処しくれない場合が生じる、...といったところかー」
なにせ、【聖なる神聖属性】と同質な【光聖魔術】を使う聖女シルヴィンだからだ。
「じゃ、我々はどうやって有効的に阻止できるかと?奴が攫いにきた瞬間、いきなりどこからともなく謎の魔法陣がターゲットとなる亜人の直ぐ側に出現し、それから一瞬での有無を言わせぬ腕力で引き込まれていったとの目撃情報がー」
「は!神出鬼没に見えて実は事前な仕掛けもあるやもしれんぞ!事件の殆どが我々の結界が働いておる屋内と屋外両方にも及んだし、中で転移魔術の発動は事前の仕掛けを設置してないと発動できないはずじゃー!よってー!」
フードを被っている高位司祭が大仰な動作で両腕を突き出すと―
「我らの【異端審問執行部隊】の中に、スパイがあるとー、そう仰いますか?」
「そのようじゃ!じゃから、今からは全ての亜人をこちらへ移送してくれ!精霊魔術を用いての護衛移送でこっちへ移動させ、気に入るじゃろうとびっきり美味しい罠を用意してやったのじゃからな、ガははは!」
「畏まりました!聖神ニムヴァリスの御心のままに!」
「聖神ニムヴァリスの御心のままに」
それだけ別れな挨拶を済ませた二人の【異端審問執行部隊】の魔術師たちは静かに、その広大な地下室を出ていくために上階へと上っていくのだった!
そしてー!
「けーかかかかかー!我がここにいるというのにねー!それ!」
カチャ―!
しゅうぅぅ...........
見えぬ障壁に守られてるゼナタスが、これもまた見えざる小銭を投げ捨てることで炸裂させ、変な見えぬ霧をまき散らしたことを誰にも気づかないままに、あっちこっちで続けられていく!
「ニムヴァリスも大した成長した訳でもないんだな、『親の干渉も防げないようでは』!..けかかかかか......」
不気味な三日月な笑みを見せたゼナテスは、灯りの消された黒闇の真ん中に一人でそんな意味深な独白をしながら佇んでいたのだった!
........................................................
....................
聖エレオノール精霊術学院の同日の15日に戻るけど、ジュディの視点:
「ええ、つまり、そんなに謙遜して自分を卑下するばかりじゃなくて、もっと威厳ある自信満ち溢れる態度と言動を心掛けて下さいな、今わたくし達のー」
「英雄様です~!えへへへ....」
皆に囲まれたオケウェ―の感動に詰まって泣いちゃいそうな顔を見ている私が最後にそう締めくくると―
「ぐず~!みんな、ありがとう~!ひっぐ~~ん!俺なんかの未熟者の所為で、ぐず!...仲間を死なせてしまったのにも関わらず、ひっくっ!...全然責めてこなくてつ、つらい~!」
と、そんな悲痛そうな嬉しそうな混合した気持ちになったオケウエーについ見かねた私はー
「えい!」
「~うお?」
ヒルドレッドもオードリーもクレアリスも押しのけて、真っ先に『私だけの救世主であり、呪いを解いてくれただけじゃなく、罪深き産まれの身体を滅ぼしてから新しい身体にまで転生してくれた、私の英雄様のオケウエー』に近づいて、きつくハグしてやったー!えい~!
「な~!じゅ、ジュディー!?」
「泣きたいなら堪えなくていいよー?私、...私たちがいるし!」
「~~!」
なんか至近距離で彼の肌のぬくもりを感じた私だけど、
「あぁあ~!じゅーじゅじゅー!ジュディだけずるい~!あたくしも根性の弱ってるオケウエーの【契約友達】として今回だけハグしてやってもいいと思ったのに抜け駆けしてきたわねー!」
ぎゅ~!
「うー、ううおおおー!?」
「ならうちも【漆黒の魔王】大ファンとしては同じことをするのが道理のようね~」
ぎゅ~む!
「うふっ!く、クレアリスまで!」
「な、ななななな!あ、貴女達~~!なにこんな、人が大勢通って見られてるうちにそんな~~!?しゅ、淑女たるドレンフィールド家の令嬢たる貴女までもが~~?」
免疫のない奥手なヒルドレッドまで顔を真っ赤にしながら殿方が複数の女子によって抱きしめられてる光景を見かねると―
「パチパチパチ!はいそこまでですよ、そちらのお嬢さん方たち」
マティールダ寮母が扉を通ってこの庭に囲まれてる門までが一本道となってる寮の外まで出てきて声をかけてくるとー
「お仲間同士の慰め合いなら学院の教室で間に合ってますよ~。ここは皆の登下校している通りであって注意を惹くやり取りをする場所じゃありませんよーです」
あ。
た、確かに寮母さんの言う通りでした!
ジェームズを失ったばかりの平民組だった私でも彼の死亡には大きくショックを感じたままで、オケウエーの気持ちは分からなくもない。
けど、他人の迷惑になってもいけないので、ここは寮母さんの指示通りにここから動くしかないね!
とまあ、落ち着いてきたオケウエーは今度、別の意味でその濃い褐色肌が朱にまで頬が見えやすいほどに照れだしていて可愛くしゅんとなったまま私たちと一緒に何とか教室まで黄色い掛け声や奇異な視線を向けられながら着くと、
「オケウエーちゃん~!おーはーぶふぁー!?」
バコ!
「あんたはそこで大人しくしていなさい」
教室に入るなり、【チーム・オケウエー】の女子メンバーの私達4人に囲まれエスコートされてきたオケウエーを見たら直ぐに駆け出してきて彼を猛ダッシュでハグしようとしてきたセクハラ女子イザベラがいたけど、オードリーの容赦ないクローズラインによって沈められた!
「.........」(返事がない。ただのXXのようだ)
毎回お疲れ、イザベラさん!
「おはようございます、オケウエーさん、皆さん」
「ニナ!今日も元気なのかー?」
「うん!いつも通りで元気すよ。...むしろ2倍とあるかも?だって、チームの皆はこの間すごすぎて、同じ教室の仲間として誇らしい気分ですっ!ふふふ~」
どうやら舞い上がった気分に見えるニナちゃんも挨拶してくるの待ち遠しいらしくて、小走りで教室に入ってきたばかりの私達に近づいてきた!
「やあ~ほ!うちの【チーム・オケウエー】の皆さんだぁ~っん!」
「わたし達の英雄たちが入室来た来たー!」
「先日、伝説級の氷竜、マインハーラッドまでも討伐できたなんて~~!」
「この間、王都を救ってくれたばかりのオケウエー様でしたのに、今度もまたあの真っ白い球体でヤンチャなことばかりしてた厄介な竜まで石化して終わらせられるなんて―!」
あ、確かに表向きとして、彼が公開してきた情報は聖封第7って精霊魔術は球体の中にいる敵を石化させる能力もあるって広めた情報だったよね?外からは何も感知できないような閉ざされた空間になるし、中で行われてきた【あれ】を怪しまれないように石化する能力だけ公開するしかなかったようね。
「「「「「~~素敵~!」」」」」
「オケウエー様!オケウエー様!オードリー様!オードリー様!」
「ジュディ様!ジュディ様!ジュディ様!ジュディ様!」
はわ、はわわわ~、ここまでクラスメイト皆から大歓迎されて称賛の言葉ばかりかけて貰いながら入るなんて、今回が初めてになるかな!?
「にし~!英雄様になった気分はどうであるっ~?オケウエー殿~」
「ひーっ!」
ど、どういうことなの、あれ!?いきなりルミナリス姫さんがオケウエーの側まで寄ってきて、寄ってきて、そ、そしたら~~
「うりうり!ぐりぐり~!英雄になった途端可愛い顔してるやつめー!ぐりぐり~!」
「そこダメ―~!ルミナリス姫~!」
「る・み・な・り・ス・ひ・め~」
バコ―!
は~はわわわ~!
オケウエーと腕組みして、お、お胸に押しつけている最中のルミナリス姫さんをオードリーが今キックしてきたばかりだけど、見事に受け止めてみせた王女さん~!
「だから、何度も言ったのであるな?王族たるわらー」
バキー!
受け止めている姫さんの腕から足を退かしたオードリーがまたも逆の脚で蹴ってきたので、それも見事に姫さんに止められちゃった!
「あんたはうちの王女じゃないもん~!とにかく、彼から離れなさ・い――!」
「あ~あはははは......」
なんかイリーズカ先生がやってきて場を静かしてくれるまで、カオスな早朝だった......
まあ、さっきのしんみりした空気より全然いいよね?
ジェージェームズも......もしこの場でいたらいいなって、今になって何度も考えてきたことだった.........
「って、ら、い、いいや、マリエン?」
ラニアことマリエンがこんな近くに立ってきてるのに気づくと直ぐ声をかけた。そして恐る恐る、こう尋ねた:
「マリエンさんは王女達を止めないのですか?」
「はい。お若い王女にはこれから良き友が必要だと思いますからね」
「さ、左様...でしょうかー」
あ~はははは.......確かに私たちと同い年だよね、15歳のルミナリス姫って......
〈ジュディ?聞こえてるか?こちらオケウエーだ。念話でお前と頭ン中リンクしてやったんだ〉
〈あ!お、オケウエーさん!?....念話、だよね?〉
〈うん!同じ遺伝子だから、願おうとすれば、こんなふうに魔術を媒体に使ったりせず直ぐに念話できるけど、もしかしてもっとプライバシー必要だった?なら無理して付き合わずに今度嫌だと言ってくれ。もうこんなことしないから〉
〈....ううん?.....これから、戦場とか何かの特殊な状況で必要になってくるかもしれないし、全然構わないよ?私の魂をこうして新しいのに繋げてきてくれましたから、贅沢なこと言っちゃうと罰が当たるよ~〉
〈そう?まあ、確かにそれもあるね。んじゃ、念話で思考同士を接続してやったのには伝えたいことがあってしたまでのことだったよ。それは、『今夜、どうにかして寮の部屋からこっそり抜け出して、午後11:00時辺りの【静寂の霊群森】へと俺に会いに来てくれ。大事な話があるから』〉
それだけ伝えてきて念話を終えたオケウエーだった。
..........................................................
........................
同日の夜、午後11:00の【静寂の霊群森】にて:
オケウエーの愛の大聖霊イーズの【聖封第2、広範囲悪滅大聖域ラージュ=スケール・イビルデストロイング・ホリーエリア】のもっと進化した結界を発動してくれた彼は、万が一にも盗み聞きされて誰かが機器や機械を使って会話を録音したり、動画を取られないようにそういった行為に対して故障を起こせる結界を張ってくれた!
結界には私たちを緩く包んでいるような見えない四角い透明状なフワフワした霧っぽいものあり、小さな直径7メートルの結果の外からでも私たちの姿を見たり、声を聞いたりすることは一切できないようだってオケウエーが説明した。そして、聖封第2のような規模がなくとも、この結界の中にあるすべての【力の源】の探知を外から出来なくしたような効果にまで進化したばかりみたい。
「え、ええぇ―――――――!!?聖封第7シリーズの中で、滅ぼしたマインハーラッドの後になって出現した霊的魔核を【死霊魔術】で使って新たなホムンクルスへと転生したんですって――――――!!?」
「はい、でもお前と違って普通な人間の機能が伴ってる体じゃなくて、普通な魂ではない故のゾンビー転生にして体まで生き物らしい機能一切ないの【不死者アンデッド】用の状態だよ。ほら、出して見せてやるから、俺の【死の息吹】いっぱい入ってるの確認できるでしょー?」
ズイィィ――――――!!!
「初めまして、ジュディ様。わたくしめこそが【元・氷竜マインハーラッド】の転生した姿であるマインちゃんって子で、オケウエー様が命名して下さったものですので、これからも以後、お見知りおきを―」
ま、まさかそんな事までできるオケウエーだなんて~~。ほ、本当に何でもありな【奇跡乱発機】じゃないですか、もう~~!
「.......」
なんか、ジェームズもシャルロットもその口で噛み殺したことある氷竜だった存在を目の前にすると、複雑な気分を抱くようになった私がそこの両膝までも届く長髪の白髪してるゴシックメイド服を着ている【マインちゃん】を見てただただ凝視しながらの無言だけしか反応することができないままだった........
...........
いつまでそうだったか、知らずのうちに声をやっと出すようになった私は、
「...話は分かった....。オケウエーのこれからの活動。....そして育ての養父を不治の病から直すための【新魔術】を開発する必要も分かっているつもり。......色々な立ち回り、状況に応じる際の対処法に、.....こ、駒が必要になってくる事も十分理解するつもりだ、よ。.......けど、こんな.....」
「や、やっぱり死霊魔術は汚らわしいアンデッドばっか生産するような【悍ましい魔術】って改めて認識した?」
「そ!そうじゃない、です!」
なんか彼のそんな諦めにも悲しさ一杯な表情になったのを目にして胸が締め付けられる思いしたので、直ぐに敬語を漏らしてしまう程の焦った気持ちで否定するとー
「駒にすることは反対、....じゃない、よ?......ただ、ジェームズが居なくなってから数日しか経ってないし、......そんな急に、マインハーラッドを思い出させるようなその子の存在を目の前にー」
「やっぱ伝えるのに早すぎたか?ごめん、ジュディ!もう俺達との間に秘密も何もかも包み隠さずに伝え合える一心同体な間柄となったって解釈した俺だったから、もしかして迷惑だった?......こうも喪中期間も何かもぶっ飛ばして真っ先に教えるのって....」
「......う、ううん?.....でも、やっぱりこうして見ると、...やっぱりオケウエーって死霊魔術使いなんだなって自覚した瞬間だとも言えちゃうよねー。....だ、だって、....躊躇もなく宿敵をソンビー化できちゃうんだもん~!」
「あ~はははは......やっぱり普通な感覚を持ってる一般人な精霊術使いなら俺のような死したモノや世界獣をまたも駒とすべくゾンビーとして蘇らせるってのは抵抗感を催された行為なんだなって再認識させられた今この瞬間だったよ」
なんか悪いことしたなって困った顔になったオケウエーを元気づけようと意気込む私は次に、
「じゃ、じゃ、もう分かったから!こ、....心の準備も~!すう~はあ!すう~はあ!も出来ちゃったから、そ、そこのマインちゃんー!」
「はい。何でしょう、ジュディ様」
ずー!
右手を差し出した私。
「はい?もしかしてー」
「うん。仲直りの握手。......過ぎたことはもう戻らないし、世界獣だったあなたに自我がないこと、ただ仕方なく強い聖魔力を求めて人々を襲っていたっていう制御できない【獣っぽい衝動】も咎めようがないんだ」
もし咎めるものなら、今まで生きるための食事として一杯な共食いや殺し合いしてきた動物たちをみんな1体残らずその罪で滅ぼしてやっても文句言えないし......
でも、やっぱりジェームズとの記憶も鮮明に頭の中でいくらでも再生されてきた訳だし、落とし前をつけるためにー
「あなたの事はまだ認めたりすることはできないけど、私の救世主であり、大の恩人でもあるオケウェ―のために生きようと誓った今の私なら、彼のその意向をこれからも汲んであげようって覚悟があったの。だからー」
「特別に許容するような扱いを?」
「うん!....ジェームズの死去はまだ心の奥底に響いてきてるような辛いできごとばかりに感じるし、この気持ちが晴れないままに、当面の間はマインちゃんと仲良くなろうってことは出来ないけど、オケウエーの命令とか指示がある場合、極力その行動を邪魔することもしないと約束しよう。だ、だからー」
ガシ―!
「これで一時的な【見定める期間】を設けるつもりでの仲直りよー!オケウエーのために本当に役に立ってるかどうか、ジェームズの殺害に報いるために本当に償おうって精神が感じられるのか、見極めよう!」
「はいです!」
にっこりと頷いたマインちゃんは、私に向かってまたの恭しいお辞儀をして、ジェームズとその恋人シャルロットを殺してしまったことを謝罪するつもりに、
「ジェームズ様とシャルロット様の事を噛み殺したり自爆させたことは本当に心の底から大いに後悔してるんです!もしできれば、今すぐに時間を巻き戻してどうにかして自我を芽生えさせ、少なくとも彼らだけは殺さないようにと、その場から逃げおおせる事もしたかった。だから、どうかマインめに償いのチャンスを与え、オケウエーご主人様の一生の永遠にして従順な駒として仕えさせて下さいませ!」
「うん!私からの許しは出来ないけど、オケウエーのためならその行動と存在意義を否定せず、一応はその目的やメイドとしてのご奉仕する活動を許すつもりはあるよ?だ、だからー」
「どうやら、テスト期間とはいえ仲直りができたようで、嬉しいよ、二人共」
と、私たちが握手する手々をずっと放さないまま気を良くしたのか、私の想い人にして、好きになったオケウエーが近づいてきて、その手を未だ重ね合わせた私達の手々に、
ぎゅうう~~~っと
彼の手も加わっての3人からなる理解と譲り合いが契約さながら結成された瞬間に感じた!
「そういえば、昨日、俺達がこの学院敷地内へ帰還した際、学院長が俺達の討伐任務完了を労ったり、祝うためのご褒美として、王様が任務で参加してきた俺達に【休暇の期間】を与えてくれるって話じゃなかったっけ?」
あ。
た、確かにそれもあったよねー?
詳しいことは王様から聞くように、と学院長も言ってたのを瞬時で思い出した私!
..............................................................................
...................................
___________________________________
「三日間前の拉致に加わり、これまでの謎の魔術使いによる敬虔なアズリオン信徒の兄弟でもある【猫耳人】と【猫頭人】の誘拐事件が計14件まで登り、セルレス法王国内だけでなく、グリムウェール王国内とルアヴレー諸島内にある我が教会の保護下にある色んな【亜人系の信徒】が攫われたことになったとー!」
薄暗い光に照らされた地下室にて、明らかに雰囲気づくりだけに光度を弱くした湿った灯りのあるその部屋で、報告書にある情報を正確に並べている最中の隠密行動に特化した制服を着ている神官がいた!
彼は30代の白髪の男性に見えて、前方の真っ白いフードを被っている高位司祭に向かって跪いている様子だ!
「報告ご苦労。じゃ、これで分かったことがあるんじゃな。....やっぱり、【聖体正義戦獣】に変貌させるための絶対的条件、それも体内の聖魔力の識別波長に元々あった、引き継がれてきた先祖の【混沌の波力】の粒子や残滓も残る【亜人】から吸収した聖魔力の方こそが【聖体正義戦獣】の生産に最も必要なもののようじゃ!」
「はっ!ベルナール様の言う通りに!....おそらく、吸い出した聖魔力を特殊な技術でまたも識別波長を更に変質させ、その後は作られた容器へと保管し、またもその技術を利用して、対象の身体に注入した事でー」
「体内にまで【聖魔質変貌】を起こし、生きたままでも【聖体正義戦獣】にできる、量産型な手法とするために、多くの亜人の誘拐を必要としたクレガーキールの計画に利用されたか、じゃな」
「はっ!あの魔神が何かを企んでいるのか知らないが、【世界樹】の制御を手中に収めただろう、今の奴は【樹界脈】を意のままに伸ばし放題!襲撃したい場所に強力な世界獣を出現させると同時に【聖体正義戦獣】までもが加われば―」
「さすがに聖女ともあろうお方の力を以ってしても対処しくれない場合が生じる、...といったところかー」
なにせ、【聖なる神聖属性】と同質な【光聖魔術】を使う聖女シルヴィンだからだ。
「じゃ、我々はどうやって有効的に阻止できるかと?奴が攫いにきた瞬間、いきなりどこからともなく謎の魔法陣がターゲットとなる亜人の直ぐ側に出現し、それから一瞬での有無を言わせぬ腕力で引き込まれていったとの目撃情報がー」
「は!神出鬼没に見えて実は事前な仕掛けもあるやもしれんぞ!事件の殆どが我々の結界が働いておる屋内と屋外両方にも及んだし、中で転移魔術の発動は事前の仕掛けを設置してないと発動できないはずじゃー!よってー!」
フードを被っている高位司祭が大仰な動作で両腕を突き出すと―
「我らの【異端審問執行部隊】の中に、スパイがあるとー、そう仰いますか?」
「そのようじゃ!じゃから、今からは全ての亜人をこちらへ移送してくれ!精霊魔術を用いての護衛移送でこっちへ移動させ、気に入るじゃろうとびっきり美味しい罠を用意してやったのじゃからな、ガははは!」
「畏まりました!聖神ニムヴァリスの御心のままに!」
「聖神ニムヴァリスの御心のままに」
それだけ別れな挨拶を済ませた二人の【異端審問執行部隊】の魔術師たちは静かに、その広大な地下室を出ていくために上階へと上っていくのだった!
そしてー!
「けーかかかかかー!我がここにいるというのにねー!それ!」
カチャ―!
しゅうぅぅ...........
見えぬ障壁に守られてるゼナタスが、これもまた見えざる小銭を投げ捨てることで炸裂させ、変な見えぬ霧をまき散らしたことを誰にも気づかないままに、あっちこっちで続けられていく!
「ニムヴァリスも大した成長した訳でもないんだな、『親の干渉も防げないようでは』!..けかかかかか......」
不気味な三日月な笑みを見せたゼナテスは、灯りの消された黒闇の真ん中に一人でそんな意味深な独白をしながら佇んでいたのだった!
........................................................
....................
聖エレオノール精霊術学院の同日の15日に戻るけど、ジュディの視点:
「ええ、つまり、そんなに謙遜して自分を卑下するばかりじゃなくて、もっと威厳ある自信満ち溢れる態度と言動を心掛けて下さいな、今わたくし達のー」
「英雄様です~!えへへへ....」
皆に囲まれたオケウェ―の感動に詰まって泣いちゃいそうな顔を見ている私が最後にそう締めくくると―
「ぐず~!みんな、ありがとう~!ひっぐ~~ん!俺なんかの未熟者の所為で、ぐず!...仲間を死なせてしまったのにも関わらず、ひっくっ!...全然責めてこなくてつ、つらい~!」
と、そんな悲痛そうな嬉しそうな混合した気持ちになったオケウエーについ見かねた私はー
「えい!」
「~うお?」
ヒルドレッドもオードリーもクレアリスも押しのけて、真っ先に『私だけの救世主であり、呪いを解いてくれただけじゃなく、罪深き産まれの身体を滅ぼしてから新しい身体にまで転生してくれた、私の英雄様のオケウエー』に近づいて、きつくハグしてやったー!えい~!
「な~!じゅ、ジュディー!?」
「泣きたいなら堪えなくていいよー?私、...私たちがいるし!」
「~~!」
なんか至近距離で彼の肌のぬくもりを感じた私だけど、
「あぁあ~!じゅーじゅじゅー!ジュディだけずるい~!あたくしも根性の弱ってるオケウエーの【契約友達】として今回だけハグしてやってもいいと思ったのに抜け駆けしてきたわねー!」
ぎゅ~!
「うー、ううおおおー!?」
「ならうちも【漆黒の魔王】大ファンとしては同じことをするのが道理のようね~」
ぎゅ~む!
「うふっ!く、クレアリスまで!」
「な、ななななな!あ、貴女達~~!なにこんな、人が大勢通って見られてるうちにそんな~~!?しゅ、淑女たるドレンフィールド家の令嬢たる貴女までもが~~?」
免疫のない奥手なヒルドレッドまで顔を真っ赤にしながら殿方が複数の女子によって抱きしめられてる光景を見かねると―
「パチパチパチ!はいそこまでですよ、そちらのお嬢さん方たち」
マティールダ寮母が扉を通ってこの庭に囲まれてる門までが一本道となってる寮の外まで出てきて声をかけてくるとー
「お仲間同士の慰め合いなら学院の教室で間に合ってますよ~。ここは皆の登下校している通りであって注意を惹くやり取りをする場所じゃありませんよーです」
あ。
た、確かに寮母さんの言う通りでした!
ジェームズを失ったばかりの平民組だった私でも彼の死亡には大きくショックを感じたままで、オケウエーの気持ちは分からなくもない。
けど、他人の迷惑になってもいけないので、ここは寮母さんの指示通りにここから動くしかないね!
とまあ、落ち着いてきたオケウエーは今度、別の意味でその濃い褐色肌が朱にまで頬が見えやすいほどに照れだしていて可愛くしゅんとなったまま私たちと一緒に何とか教室まで黄色い掛け声や奇異な視線を向けられながら着くと、
「オケウエーちゃん~!おーはーぶふぁー!?」
バコ!
「あんたはそこで大人しくしていなさい」
教室に入るなり、【チーム・オケウエー】の女子メンバーの私達4人に囲まれエスコートされてきたオケウエーを見たら直ぐに駆け出してきて彼を猛ダッシュでハグしようとしてきたセクハラ女子イザベラがいたけど、オードリーの容赦ないクローズラインによって沈められた!
「.........」(返事がない。ただのXXのようだ)
毎回お疲れ、イザベラさん!
「おはようございます、オケウエーさん、皆さん」
「ニナ!今日も元気なのかー?」
「うん!いつも通りで元気すよ。...むしろ2倍とあるかも?だって、チームの皆はこの間すごすぎて、同じ教室の仲間として誇らしい気分ですっ!ふふふ~」
どうやら舞い上がった気分に見えるニナちゃんも挨拶してくるの待ち遠しいらしくて、小走りで教室に入ってきたばかりの私達に近づいてきた!
「やあ~ほ!うちの【チーム・オケウエー】の皆さんだぁ~っん!」
「わたし達の英雄たちが入室来た来たー!」
「先日、伝説級の氷竜、マインハーラッドまでも討伐できたなんて~~!」
「この間、王都を救ってくれたばかりのオケウエー様でしたのに、今度もまたあの真っ白い球体でヤンチャなことばかりしてた厄介な竜まで石化して終わらせられるなんて―!」
あ、確かに表向きとして、彼が公開してきた情報は聖封第7って精霊魔術は球体の中にいる敵を石化させる能力もあるって広めた情報だったよね?外からは何も感知できないような閉ざされた空間になるし、中で行われてきた【あれ】を怪しまれないように石化する能力だけ公開するしかなかったようね。
「「「「「~~素敵~!」」」」」
「オケウエー様!オケウエー様!オードリー様!オードリー様!」
「ジュディ様!ジュディ様!ジュディ様!ジュディ様!」
はわ、はわわわ~、ここまでクラスメイト皆から大歓迎されて称賛の言葉ばかりかけて貰いながら入るなんて、今回が初めてになるかな!?
「にし~!英雄様になった気分はどうであるっ~?オケウエー殿~」
「ひーっ!」
ど、どういうことなの、あれ!?いきなりルミナリス姫さんがオケウエーの側まで寄ってきて、寄ってきて、そ、そしたら~~
「うりうり!ぐりぐり~!英雄になった途端可愛い顔してるやつめー!ぐりぐり~!」
「そこダメ―~!ルミナリス姫~!」
「る・み・な・り・ス・ひ・め~」
バコ―!
は~はわわわ~!
オケウエーと腕組みして、お、お胸に押しつけている最中のルミナリス姫さんをオードリーが今キックしてきたばかりだけど、見事に受け止めてみせた王女さん~!
「だから、何度も言ったのであるな?王族たるわらー」
バキー!
受け止めている姫さんの腕から足を退かしたオードリーがまたも逆の脚で蹴ってきたので、それも見事に姫さんに止められちゃった!
「あんたはうちの王女じゃないもん~!とにかく、彼から離れなさ・い――!」
「あ~あはははは......」
なんかイリーズカ先生がやってきて場を静かしてくれるまで、カオスな早朝だった......
まあ、さっきのしんみりした空気より全然いいよね?
ジェージェームズも......もしこの場でいたらいいなって、今になって何度も考えてきたことだった.........
「って、ら、い、いいや、マリエン?」
ラニアことマリエンがこんな近くに立ってきてるのに気づくと直ぐ声をかけた。そして恐る恐る、こう尋ねた:
「マリエンさんは王女達を止めないのですか?」
「はい。お若い王女にはこれから良き友が必要だと思いますからね」
「さ、左様...でしょうかー」
あ~はははは.......確かに私たちと同い年だよね、15歳のルミナリス姫って......
〈ジュディ?聞こえてるか?こちらオケウエーだ。念話でお前と頭ン中リンクしてやったんだ〉
〈あ!お、オケウエーさん!?....念話、だよね?〉
〈うん!同じ遺伝子だから、願おうとすれば、こんなふうに魔術を媒体に使ったりせず直ぐに念話できるけど、もしかしてもっとプライバシー必要だった?なら無理して付き合わずに今度嫌だと言ってくれ。もうこんなことしないから〉
〈....ううん?.....これから、戦場とか何かの特殊な状況で必要になってくるかもしれないし、全然構わないよ?私の魂をこうして新しいのに繋げてきてくれましたから、贅沢なこと言っちゃうと罰が当たるよ~〉
〈そう?まあ、確かにそれもあるね。んじゃ、念話で思考同士を接続してやったのには伝えたいことがあってしたまでのことだったよ。それは、『今夜、どうにかして寮の部屋からこっそり抜け出して、午後11:00時辺りの【静寂の霊群森】へと俺に会いに来てくれ。大事な話があるから』〉
それだけ伝えてきて念話を終えたオケウエーだった。
..........................................................
........................
同日の夜、午後11:00の【静寂の霊群森】にて:
オケウエーの愛の大聖霊イーズの【聖封第2、広範囲悪滅大聖域ラージュ=スケール・イビルデストロイング・ホリーエリア】のもっと進化した結界を発動してくれた彼は、万が一にも盗み聞きされて誰かが機器や機械を使って会話を録音したり、動画を取られないようにそういった行為に対して故障を起こせる結界を張ってくれた!
結界には私たちを緩く包んでいるような見えない四角い透明状なフワフワした霧っぽいものあり、小さな直径7メートルの結果の外からでも私たちの姿を見たり、声を聞いたりすることは一切できないようだってオケウエーが説明した。そして、聖封第2のような規模がなくとも、この結界の中にあるすべての【力の源】の探知を外から出来なくしたような効果にまで進化したばかりみたい。
「え、ええぇ―――――――!!?聖封第7シリーズの中で、滅ぼしたマインハーラッドの後になって出現した霊的魔核を【死霊魔術】で使って新たなホムンクルスへと転生したんですって――――――!!?」
「はい、でもお前と違って普通な人間の機能が伴ってる体じゃなくて、普通な魂ではない故のゾンビー転生にして体まで生き物らしい機能一切ないの【不死者アンデッド】用の状態だよ。ほら、出して見せてやるから、俺の【死の息吹】いっぱい入ってるの確認できるでしょー?」
ズイィィ――――――!!!
「初めまして、ジュディ様。わたくしめこそが【元・氷竜マインハーラッド】の転生した姿であるマインちゃんって子で、オケウエー様が命名して下さったものですので、これからも以後、お見知りおきを―」
ま、まさかそんな事までできるオケウエーだなんて~~。ほ、本当に何でもありな【奇跡乱発機】じゃないですか、もう~~!
「.......」
なんか、ジェームズもシャルロットもその口で噛み殺したことある氷竜だった存在を目の前にすると、複雑な気分を抱くようになった私がそこの両膝までも届く長髪の白髪してるゴシックメイド服を着ている【マインちゃん】を見てただただ凝視しながらの無言だけしか反応することができないままだった........
...........
いつまでそうだったか、知らずのうちに声をやっと出すようになった私は、
「...話は分かった....。オケウエーのこれからの活動。....そして育ての養父を不治の病から直すための【新魔術】を開発する必要も分かっているつもり。......色々な立ち回り、状況に応じる際の対処法に、.....こ、駒が必要になってくる事も十分理解するつもりだ、よ。.......けど、こんな.....」
「や、やっぱり死霊魔術は汚らわしいアンデッドばっか生産するような【悍ましい魔術】って改めて認識した?」
「そ!そうじゃない、です!」
なんか彼のそんな諦めにも悲しさ一杯な表情になったのを目にして胸が締め付けられる思いしたので、直ぐに敬語を漏らしてしまう程の焦った気持ちで否定するとー
「駒にすることは反対、....じゃない、よ?......ただ、ジェームズが居なくなってから数日しか経ってないし、......そんな急に、マインハーラッドを思い出させるようなその子の存在を目の前にー」
「やっぱ伝えるのに早すぎたか?ごめん、ジュディ!もう俺達との間に秘密も何もかも包み隠さずに伝え合える一心同体な間柄となったって解釈した俺だったから、もしかして迷惑だった?......こうも喪中期間も何かもぶっ飛ばして真っ先に教えるのって....」
「......う、ううん?.....でも、やっぱりこうして見ると、...やっぱりオケウエーって死霊魔術使いなんだなって自覚した瞬間だとも言えちゃうよねー。....だ、だって、....躊躇もなく宿敵をソンビー化できちゃうんだもん~!」
「あ~はははは......やっぱり普通な感覚を持ってる一般人な精霊術使いなら俺のような死したモノや世界獣をまたも駒とすべくゾンビーとして蘇らせるってのは抵抗感を催された行為なんだなって再認識させられた今この瞬間だったよ」
なんか悪いことしたなって困った顔になったオケウエーを元気づけようと意気込む私は次に、
「じゃ、じゃ、もう分かったから!こ、....心の準備も~!すう~はあ!すう~はあ!も出来ちゃったから、そ、そこのマインちゃんー!」
「はい。何でしょう、ジュディ様」
ずー!
右手を差し出した私。
「はい?もしかしてー」
「うん。仲直りの握手。......過ぎたことはもう戻らないし、世界獣だったあなたに自我がないこと、ただ仕方なく強い聖魔力を求めて人々を襲っていたっていう制御できない【獣っぽい衝動】も咎めようがないんだ」
もし咎めるものなら、今まで生きるための食事として一杯な共食いや殺し合いしてきた動物たちをみんな1体残らずその罪で滅ぼしてやっても文句言えないし......
でも、やっぱりジェームズとの記憶も鮮明に頭の中でいくらでも再生されてきた訳だし、落とし前をつけるためにー
「あなたの事はまだ認めたりすることはできないけど、私の救世主であり、大の恩人でもあるオケウェ―のために生きようと誓った今の私なら、彼のその意向をこれからも汲んであげようって覚悟があったの。だからー」
「特別に許容するような扱いを?」
「うん!....ジェームズの死去はまだ心の奥底に響いてきてるような辛いできごとばかりに感じるし、この気持ちが晴れないままに、当面の間はマインちゃんと仲良くなろうってことは出来ないけど、オケウエーの命令とか指示がある場合、極力その行動を邪魔することもしないと約束しよう。だ、だからー」
ガシ―!
「これで一時的な【見定める期間】を設けるつもりでの仲直りよー!オケウエーのために本当に役に立ってるかどうか、ジェームズの殺害に報いるために本当に償おうって精神が感じられるのか、見極めよう!」
「はいです!」
にっこりと頷いたマインちゃんは、私に向かってまたの恭しいお辞儀をして、ジェームズとその恋人シャルロットを殺してしまったことを謝罪するつもりに、
「ジェームズ様とシャルロット様の事を噛み殺したり自爆させたことは本当に心の底から大いに後悔してるんです!もしできれば、今すぐに時間を巻き戻してどうにかして自我を芽生えさせ、少なくとも彼らだけは殺さないようにと、その場から逃げおおせる事もしたかった。だから、どうかマインめに償いのチャンスを与え、オケウエーご主人様の一生の永遠にして従順な駒として仕えさせて下さいませ!」
「うん!私からの許しは出来ないけど、オケウエーのためならその行動と存在意義を否定せず、一応はその目的やメイドとしてのご奉仕する活動を許すつもりはあるよ?だ、だからー」
「どうやら、テスト期間とはいえ仲直りができたようで、嬉しいよ、二人共」
と、私たちが握手する手々をずっと放さないまま気を良くしたのか、私の想い人にして、好きになったオケウエーが近づいてきて、その手を未だ重ね合わせた私達の手々に、
ぎゅうう~~~っと
彼の手も加わっての3人からなる理解と譲り合いが契約さながら結成された瞬間に感じた!
「そういえば、昨日、俺達がこの学院敷地内へ帰還した際、学院長が俺達の討伐任務完了を労ったり、祝うためのご褒美として、王様が任務で参加してきた俺達に【休暇の期間】を与えてくれるって話じゃなかったっけ?」
あ。
た、確かにそれもあったよねー?
詳しいことは王様から聞くように、と学院長も言ってたのを瞬時で思い出した私!
..............................................................................
...................................
___________________________________
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる