英傑奇譚

最強の8人

　今から9年前この世界では人類で最も強い8人に『No.』と呼ばれるものを与えた。
　そして本来殆どの人間が持っている『能力』ではあるがそれらの8人は一般人とは一線を画していた。
　能力の質も強さも何もかも・・・。
　先ほども言った通りこの世には『能力』と呼ばれるものが人間に固有能力として備わっている。
　能力を持っていない人も少なからずいるがそんな人たちとも共存している。
　その効果は多岐に渡り持っている能力は人それぞれで違う。
　「空を飛ぶ能力」や「透明になる能力」など能力によって強さも特性と様々だ。
　そして人々はその能力を自分のため或いは人の為に活用している。
　でもそれほど日常生活に密着している能力だが詳細は誰にも分からない。
　いつ生まれたのかも何処で生まれたのかも果ては生まれた要因までも・・・。
　そんな世界に生まれた俺は学校に向かうべく今日も今日とて通学路を歩いていた。
「はぁ～～～。学校だるいなぁ～。」
　そんな愚痴をこぼしながら登校していると目の前に同級生が立っていた。
「よ！おはよう！」
　こいつの名前は来栖　雷(くるす　らい)。
　能力は名前の通り「雷を操る能力」である。
「おはよう。朝から元気だな。」
　そしてお互いに挨拶を交わし並んで話しながら歩いていると不意に雷が話題を変えてきた。
「『オクタプル』の『No.8』って一体どんな人なんだろうな？」
　・・・・最強の8人。通称『オクタプル』と呼ばれている。
　この世界において最強と名を馳せた8人。
　その8人には『No.』が与えられ身体のどこかにその数字が刻まれている。
　今や人気者の8人。姿を見た事のある人はのちに語った。
「『No.8』の称号を持つ奴だけ仮面を付けていた。」と・・・。
　聞いた話によると『No.1』から『No.7』は自ら顔を晒し活動しているらしい。
　ちなみに美形と聞いたことがある。
　きっと顔を出すことによって『オクタプル』の存在をより知らしめ犯罪の抑止力のような働きを期待しているのだろう。
　けど『No.8』の顔だけは誰も見たことがないのだ。
　いつも仮面を付けて行動しているらしい。
　世間では『オクタプル』の中でも一際、謎に包まれた『No.8』の正体を暴こうとする者も出てきた。
　でも『オクタプル』の『No.』は謂わば力の序列を表していると聞いている。
　『オクタプル』の中でも最下位の順位である『No.8』
の事なんて知る必要などないように俺は感じた。
　さて・・・。長い話もここまで。
　今から綴られるのは一人の男が前に進もうと自らの足で歩む物語。
　「ヒーロー」の物語である。