英傑奇譚

レン

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力と代償

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 どんどん湧き出てくるテロリストどもと戦っていると一際でかい衝撃音が聞こえてきた。
 こんな音を出すのはオクタプルの中でも一人しかいない。『No.2』の龍さんだ。
 あの人の能力は『限界を引き上げる能力』。
 人には必ず限界というものがある。
 パワーや速度といった身体能力のその人のここまでしか出せないという限界が。
 けど龍さんはその限界をさらに上へと引き上げる事ができる。
 普通は100%が限界なのだが龍さんの能力で150%まで限界値を引き上げると100%に50%を上乗せして使えると言うわけだ。
 これを続けて限界が来たらさらに上へと引き上げる。
 だから理論的には無限に力や速度が上げる事ができるいうわけだ。
 だが二つ問題がある・・・。
 一つ目は体がついていけなくなる可能性がある。
 敵との力の差がでかいとそれだけ能力を重ねがけしないといけない。
 だがあまり限界を超えた力を出すと体の方が壊れかねない。
 二つ目はすごい力が出るため思わずやり過ぎてしまう時があるのだ。だから今みたいな爆音が響く。
 殺してないと良いけど。正義に基づいた行為ではあるとはいえだからと言って殺しは良くない。
 まぁこんな甘い考えをしているからこそ先程のように足手纏いになることもあるのだが。
 そして敵を薙ぎ倒しながら元気よく俺の目の前に出てきた人は『No.3』の唯峨さんである。
 唯峨さんの能力は『奪う能力』である。
 奪うと言っても何でもと言うわけではない。
 直接、死に関係するようなものは奪えない。例えば心臓だったり寿命だったり。
 だがそれ以外では相手の思考力だったり持っている武器が奪える。
 敵を無力化するのに優れていると言うわけだ。
 だが唯峨さんの能力は範囲攻撃であるため範囲内に入った者は仲間でも容赦無く対象にされる。
 使いどきを見極める必要があるのだ。
「おぉ!零餓!大丈夫か!?」
 俺の存在に気づいた途端、話しかけてきてくれた。
 唯蛾さんはチャラいところがあるが仲間の心配もしてくれる。見た目では想像できない人だな。
「こっちは大丈夫です!」
「そうか。頑張れよ!」
 お互いに言葉を交わした後、唯蛾さんは再び戦闘を開始した。
 お次は『No.4』の彼方さんである。
 彼女の能力は『五感を支配する能力』である。
 敵と認識した相手の視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚を支配し相手を翻弄する。
 相手側からしたら最も厄介な能力だろう。
 余談だが彼方さんはこの能力でよく俺たちに悪戯を仕掛けてくる。
 俺なんてケーキを食べている時に味覚を操作され甘いはずがとんでもなく辛く感じてしまい悶え苦しんだ。
 唯峨さんの場合はもっとひどい。味覚を遮断され味を感じられなくなったのだ。
 俺の場合はすぐに辞めてもらえた。
 けどその時は彼方さんと唯峨さんが口喧嘩した時で彼方さんの仕返しなのか2日続いた時があった。
 意外にキツいものだ。好きな食べ物の味が感じられないのは。
 でも最後には必ず天魔さんの怒りの鉄拳が待っているのだが。
 ただあまり能力を使うと自分に能力が返ってくる可能性がある。使いすぎ注意である。
 さて次は『No.5』の神威さんである。
 神威さんの能力は『炎換(えんかん)』である。
 本来、能力に決まった呼称はないが『炎換』に関しては神威さん自身で名付けたらしい。
 自身の体を炎に変化させたりその炎で鎧を作ったりできる。
 防御面のカバーもできて攻撃にも長けている。いわゆる万能型である。
 難点は体力である。
 強大な力ゆえ長い時間使うと疲労困憊に陥ってしまうと聞いた事がある。
 そして次は別の場所で救護にあたっている『No.6』の喜葉さんである。
 彼女の能力は『活性化させる能力』である。
 怪我をした人の自然治癒力を活性化させ怪我の治りを早くしたりもできるので治療にも向いている。
 欠点はあまりに大きな傷は治せないと言う所だ。
 活性化させたと言っても所詮は自然治癒力だけであるため即座に治す事はできない。
 だから間に合わない時だってある。
 これまでにいろんな能力を説明した。
 能力の効果そして弱点を。
 この世界にある中で弱点が存在しない能力など存在するはずがない。
 オクタプルの能力にだって何かしら弱点はある。強大な力にはそれなりの代償があるのだ。
 よし。能力に関してはもう良いだろう。
 それよりももう少しで終わりそうだな。
 一気に行くか・・・!
 
 
 
 
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