英傑奇譚

レン

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任務完了

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 それからも戦い続け目に見えた全てのテロリストを拘束する事ができた。
 戦いを終えた俺たちは一旦、集合し警察が来るまでの間はテロリストたちの監視をしていた。
「はぁ~!疲れたわ~!」
 彼方さんが溜め息混じりで叫ぶ。
 それに対して唯峨さんは子供のように瞳を輝かせながら声を上げる。
「いや~!久しぶりに暴れたなぁ!おかげでいい運動になったぜ!」
 そんな感じで俺たちは雑談をしながら警察の到着を待っていると不意誰かが叫んだ。
「ふざけんじゃねぇ!こんなところで警察なんかに捕まってたまるかよ!」
 見るとテロリストどものリーダーと思わしき人物が俺たちに銃を突きつけていた。
 いつ間に拘束を解いたのだろうか?縄が緩かったか?
 相手の武器は現状、銃だけなので俺でも倒せるしさっきの背後を取られた失敗を取り返したい。
 そう思い自ら声を上げみんなの前へ出る。
「ここは僕が行きます。」
 すると天魔さんが俺よりも前に出ながら言う。
「いやいい。ここは俺がやろう。俺も少し暴れたりないのでな。」
 そういえば天魔さんの能力を説明し忘れていたな。
 ならばここは素直に引き下がるとしよう。
「そうですか。なら任せます。」
「あぁ。」
 そうして天魔さんは相手の目の前に堂々と立った。あと数cmで銃口に身体がつきそうな距離である。
 相手も天魔さんの予想外な行動に驚いているのか銃身を震わせている。
 そして覚悟を決めたのか相手の目つきが変わった。
「この野郎!舐めやがって~!」
 そして相手は引き金を引いた・・・。
 銃声が辺りを木霊する。
 確かに相手は撃った。けど結果など分かりきったことだった。
 相手は倒れ天魔さんは全てを終わらせこちらに歩み寄ってくる。
 さて天魔さんの能力の説明だが。
 弾丸よりも早く動けるほどスピードを上げる能力?
 ・・・違う。
 動体視力を極限まで高める能力?
 ・・・これも違う。
 正解は『時』である・・・。
 改めて言うと天魔さんの能力は『時間支配』である。
 空間全体までとはいかなくとも相手の時を止めたり加速させたりすることができる。
 逆に自分に使用することもできたりする。
 時間を止めてしまえばパワーなど関係ないからな。
 こんなにも強い能力なのだ。それなりの弱点もある。
 天魔さんの能力の弱点は主に二つ。
 一つ目は一回能力を使い再び能力を使うためには時間が必要になると言う点だ。
 時間にして約1分。1分間は能力を発動できず自分の力だけで身を守るしかなくなる。
 二つ目は能力の対象が限定的なのだ。
 先ほども話した通り空間全体の時を止めることはできない。
 しかも1人にしか使用することができないので2人まとめては厳しい。
 だけどこの能力を持つが故に俺たち、オクタプルをまとめ上げることができているのだ。
 全くこの世は不条理だな・・・。
 天魔さんを始めオクタプルの皆んなはこんなにも強い能力を持っているのに俺は無能力者なのだ。
 だからと言って落ち込んでいる暇はない。
 自分の置かられた状況で自分にできることをしよう。
 そしてそれから時は過ぎ周りも暗くなったころ俺は帰路を辿っていた。
 あれから警察が来て無事テロリストたちは警察に捕まった。
 オクタプルの皆んなも各々のやることを済ませ帰宅している。
 でも何でだ?ここ数年はあまり大きなテロとかはなかったはずだ。何で今頃になって?
 そんなことを考えているといつの間にか自宅に到着していた。
 自宅のドアを開け中に入る。
 俺はアパートではなく自分の家を持っている。
 オクタプルは給料もいい。それはそうだ。何せ命をかけて仕事なのだから。
 だが俺はあまりものを買わないタイプなので結構貯蓄がある。
 だから家を買うお金もあった。
 ちなみに俺は一人暮らしである。
 両親は若い頃に死んだ。だが警察曰く死んだ理由は不明らしい。
 俺もなぜかあまりその時のことを覚えてない。頭にモヤがかかった感じがするのだ。
 でも俺は親が死んだと言う事実を受け止め今を前向きに過ごしている。
 きっと今の俺を見て父さんも母さんも誇りに思っていることだろう・・・。
 そして俺は窓に寄りかかり夜空を見上げながら今回のテロのことについて改めて考えるのであった。
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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