英傑奇譚

レン

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責務と意義

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 任務を終えはや数日が経過した。
 今日も俺は学校を終え雷と二人で帰り家でお茶を飲みながらベットの上で寛いでいた。
 ゴロゴロ寝そべっていると不意にテレビの音が騒々しくなった。
 不思議に思いテレビに目を向けるとそこには緊急速報と書いてあった。
 そしてそれと同時に研究所が爆発したということも書いてあった。
「何だと!?」
 それは驚きのあまり飛び起きそのまま画面を食い入るように見た。
 キャスターの人も慌てた様子で目の前の状況について伝えている。
 どうやら研究所が何者かの手によって突然、爆破されたらしい。
 研究所というのは国が作った場所でありそこでは能力のことを理解しようと色々な研究がされている。
 重傷者は多数。今もなお燃えているそうだ。
 ニュース速報を聞きながら俺は必死に考えていた。
「数日が経過したとはいえ早過ぎるな。」
 やはりここ最近、少しおかしいな。
 いや今はそんな事どうでもいい。まずは目の前のことをどうにかしないといけないのだ。
 研究所の場所を確認する。
「あまり遠くない。俺が1番近いのか。」
 どうすればいい?
 他の『オクタプル』のメンバーと合流してから現場に向かうか?
 それじゃあ間に合わない。
 きっと今この瞬間でも怪我をしている人はたくさんいるはずだ。
 俺が行くしかない!
 そう決心した瞬間、スマホの着信音が鳴った。
 見ると燈だった。
「零餓。テレビのニュース見た!?」
 燈もいきなり爆破事故が起こったためか焦っている様子だった。
「あぁ俺も見た。俺はこれから向かう。」
「向かうって現場に!?確かに君は1番近い。だけど多分だけど相手は能力者だ。」
「一人で行ったら絶対死ぬよ!」
 きっと燈も無能力者の俺の身を案じて言ってくれているのだろう。
 でも俺は叫んだ。
「だとしても!逃げていい理由にはならない!」
「死ぬのは確かに怖い。けど俺は誰かを見殺しにする方がもっと怖いんだ!」
「きっと今もなお被害者が増え続けている。早く止めないと手遅れになる!」
「俺はオクタプルの一人なんだ。弱くても他人を守るのが俺の責務であり生き甲斐なんだ。」
「ここで行動しなかったら明日の俺がものすごく後悔するだろうぜ。」
「だから頼む!行かせてくれ!」
 俺の言葉に燈は少し黙った後、口を開いた。
「分かった。天魔さんには僕から話しておくよ。」
「ありがとう・・・。」
「君の他人を助けたいという気持ちは多分オクタプルの中でも随一だと思う。」
「そこはすごいと思うし尊敬している。」
「けど一つだけ約束してほしい。」
「何だ?」
「死なないでね。」
「あぁ・・・。」
 ・・・強いか弱いかではなく立ち向かうことにこそ意義があるのだ。
 より多くの人命を守るためそして『オクタプル』の一員としての存在意義を示すために。
 そうして通話を切った俺は仮面を装着して事故現場に向かうのであった。
 

 
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