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理由
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「はぁ~~~~~!?」
思考停止から解放された俺はその言葉を理解し叫んだ。
「どうゆうことだよ!?母さん。」
その問いには母はあっけらかんとした口調で答えた。
「だってぇ~。その子。何か事情があるんでしょ?だったら誰かそばにいてあげないといけないと思うのよねぇ~。」
「だったら麗華とかに任せたら良いだろ!?何で俺なんだよ!?」
「麗華ちゃんだって忙しいでしょ。それに保護したのはあんたなんだから責任持ってその娘がこの街に慣れるまで面倒見なさい。」
「金銭面ではサポートするからそこは安心して!」
どうやら転校生の分までお金は補填してくれるらしい。・・・て違う!問題はそこじゃない!
「俺、仮にも男だぜ?年頃の男女が一緒の場所にいて良いのかよ?」
「間違いでも起きたらそれこそ大問題だぜ?」
そのことを母に言ったその時、不意に声がした。
「大丈夫です。」
声のした方向を見る。そこに居たのは転校生だった。
転校生は俺のスマホを引ったくると電話に出た。
「おい!なに勝手に・・・。」
叫んだが転校生はそんなこと意に介すことなくそのまま電話に出た。
「もしもし?レンくんのお母様でいらっしゃいますか?」
母も転校生のいきなりの登場に少しびっくりしていたが母も電話に出る。
「そうですけど。あなたがレンが保護した女の子ね?」
「はい。お話は聞いております。何から何まで有難うございます!」
「良いってものよ~!それよりあなたこそうちのバカ息子と一緒でいいの?襲われたりしない?」
「心配ないです。レン君は見るからにヘタレなので襲われる心配はないと思います!」
「そこは同意だわ!」
『ヘタレ』。その言葉が俺の心に深々と突き刺さった。
確かに。誰かを襲うだなんてそんなことできるはずもない。
けど!だとしても!初対面の奴にここまで言われることってある?
母にまで肯定されメンタルがやばい・・・・。四面楚歌とはこのことをいうのだと理解した瞬間だった。
というかこいつ何で俺がヘタレであること知ってんだ?
そしてこの後も転校生と母が今後の予定やら世間話やら話して転校生は通話を切り俺にスマホを突き出してきた。
「話は終わりました!明後日には新居に移動しろとのことでした。」
最悪の気分である。ため息がとめどなく口から漏れる俺であった。
・・・とりあえず今夜だけ転校生は昔両親が使っていた部屋で寝てもらうことにした。
妹、俺、転校生の三人で夕飯を食べた俺は風呂に入ろうとしたのだが妹から一言言われた。
「レディーファーストだよ!お兄ちゃん!」
そんなことを言われ俺は結局、一番最後に風呂に入ることになってしまったのであった。
風呂にも入り終わり夜も更けてきたためベットの中に入った。
やはり寝る時は余計なことを考えてしまう。
多分、母が転校生との共同生活を俺に勧めた理由はもっと別にあるだろう。
勿論、保護した責任という面もあるだろうが真意は違うと思う。
俺がいつまで経ってもあいつの死で前に進めていないからだと思う。
この共同生活を通して前に進む決心がつく事を祈っているのだろう。
けど俺には前に進める気がしなかった。
あいつは確かに見た目だけならかなりの美女といって差し支えないだろう。
けどどれだけすごい美女でもそれは瑠璃じゃない。
俺にはあいつの代わりになんてもんは居なかった。
だから母の期待には応えることができないのだろう・・・・。
今日が終わり移住までのあと一日、俺はこれからどうなるのだろうと不安に駆られるのであった。
思考停止から解放された俺はその言葉を理解し叫んだ。
「どうゆうことだよ!?母さん。」
その問いには母はあっけらかんとした口調で答えた。
「だってぇ~。その子。何か事情があるんでしょ?だったら誰かそばにいてあげないといけないと思うのよねぇ~。」
「だったら麗華とかに任せたら良いだろ!?何で俺なんだよ!?」
「麗華ちゃんだって忙しいでしょ。それに保護したのはあんたなんだから責任持ってその娘がこの街に慣れるまで面倒見なさい。」
「金銭面ではサポートするからそこは安心して!」
どうやら転校生の分までお金は補填してくれるらしい。・・・て違う!問題はそこじゃない!
「俺、仮にも男だぜ?年頃の男女が一緒の場所にいて良いのかよ?」
「間違いでも起きたらそれこそ大問題だぜ?」
そのことを母に言ったその時、不意に声がした。
「大丈夫です。」
声のした方向を見る。そこに居たのは転校生だった。
転校生は俺のスマホを引ったくると電話に出た。
「おい!なに勝手に・・・。」
叫んだが転校生はそんなこと意に介すことなくそのまま電話に出た。
「もしもし?レンくんのお母様でいらっしゃいますか?」
母も転校生のいきなりの登場に少しびっくりしていたが母も電話に出る。
「そうですけど。あなたがレンが保護した女の子ね?」
「はい。お話は聞いております。何から何まで有難うございます!」
「良いってものよ~!それよりあなたこそうちのバカ息子と一緒でいいの?襲われたりしない?」
「心配ないです。レン君は見るからにヘタレなので襲われる心配はないと思います!」
「そこは同意だわ!」
『ヘタレ』。その言葉が俺の心に深々と突き刺さった。
確かに。誰かを襲うだなんてそんなことできるはずもない。
けど!だとしても!初対面の奴にここまで言われることってある?
母にまで肯定されメンタルがやばい・・・・。四面楚歌とはこのことをいうのだと理解した瞬間だった。
というかこいつ何で俺がヘタレであること知ってんだ?
そしてこの後も転校生と母が今後の予定やら世間話やら話して転校生は通話を切り俺にスマホを突き出してきた。
「話は終わりました!明後日には新居に移動しろとのことでした。」
最悪の気分である。ため息がとめどなく口から漏れる俺であった。
・・・とりあえず今夜だけ転校生は昔両親が使っていた部屋で寝てもらうことにした。
妹、俺、転校生の三人で夕飯を食べた俺は風呂に入ろうとしたのだが妹から一言言われた。
「レディーファーストだよ!お兄ちゃん!」
そんなことを言われ俺は結局、一番最後に風呂に入ることになってしまったのであった。
風呂にも入り終わり夜も更けてきたためベットの中に入った。
やはり寝る時は余計なことを考えてしまう。
多分、母が転校生との共同生活を俺に勧めた理由はもっと別にあるだろう。
勿論、保護した責任という面もあるだろうが真意は違うと思う。
俺がいつまで経ってもあいつの死で前に進めていないからだと思う。
この共同生活を通して前に進む決心がつく事を祈っているのだろう。
けど俺には前に進める気がしなかった。
あいつは確かに見た目だけならかなりの美女といって差し支えないだろう。
けどどれだけすごい美女でもそれは瑠璃じゃない。
俺にはあいつの代わりになんてもんは居なかった。
だから母の期待には応えることができないのだろう・・・・。
今日が終わり移住までのあと一日、俺はこれからどうなるのだろうと不安に駆られるのであった。
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